日本駆逐艦 雪風
「日本駆逐艦 雪風 (プラモデル) (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.020 )」です
●太平洋戦争時における帝国海軍の「陽炎型駆逐艦」の8番艦「雪風」を1/350スケールで再現したプラスチックモデル組立てキット
●「奇跡の駆逐艦」としてその武運を誇った「駆逐艦 雪風」を再現、「甲型駆逐艦」として連合艦隊の水雷戦隊の中核を担ったバランスのとれたシルエットが表現されています
・ 1945年の「天一号作戦」時の姿が再現されています
【 「日本駆逐艦 雪風」のキット内容について 】
●この帝国海軍の「駆逐艦 雪風」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●タミヤスタンダードの表現力と、キレのある彫刻により「駆逐艦 雪風」を再現、タミヤらしいメリハリのあるパーツ構成と模型としての捉え方により同艦のスタイルとそのディテールとが絶妙に表現された内容となっています
●1/350スケールの艦船モデルとしてのディテール追求としてエッチングパーツを含みながら、その使用箇所を絞ることで最大限の効果を演出、組立てと保管時に破損し易い部分にはABS素材を採用しており、タミヤ製キットとして精密さと作り易さとが両立されています
●また、船体部分の鋼板の継ぎ目などの部分はタミヤタッチによって繊細さと模型としての見栄えが考慮された彫刻となっており、同スケールならではの艦船モデルの表現力を楽しむことができるでしょう
●「雪風」は、太平洋戦争中において対空兵装の増強が繰り返し行われており、キットは1945年の「天一号作戦」時の姿が表現されています
●喫水線以下も再現されたフルハルモデルと、喫水線以上の部分を再現するウォーターラインモデルとを選択して作成することが可能です
●前後マストや旗竿などの繊細なパーツは、破損し難いABS樹脂製となっています
・ 三脚状のマストを歪みなく簡単に組み立てられる治具も付属しています
●キットのパッケージは収納箱を兼ねており、完成した状態の「雪風」を倒した状態で収納することができます
・ あくまでも簡易式の収納箱ですので、箱の上部には重いものを置かないようにして下さい
●「雪風」の船体は左右分割式となっています
・ 船体には、フェアリーダー、舷外電路、舷窓、梯子などのモールドが彫刻されています
・ 舷側部には、繊細なタッチによる段差状の鋼板の継ぎ目が再現
・ 船体の歪みを防ぐ桁のパーツが付属
・ 船首のフェアリーダーは別パーツです
●船底部は、ウォーターラインモデルとしての船体下を塞ぐ平らな船底パーツとフルハルモデル用の船底部が付属、選択して使用します
・ フルハルモデル用の、スクリュー、舵、推進軸などは別パーツで、推進軸は金属製シャフトとなっています
●上甲板は船首楼甲板と中央甲板、後部甲板とに分割されています
・ 甲板上には、リノリウム押さえ、滑り止め、魚雷運搬用レール、ボラード、リール、アンカー導板などがモールドで再現
・ アンカーチェーンは、付属の金属製チェーンを使用します
●上甲板上の構築物となる「艦橋部」「主砲部」「魚雷発射管」「煙突部」「後部構造物」などを個別にブロック化して構成、それぞれを甲板上に取り付けて完成させます
「雪風」の艦上の構造物は下記のようなパーツで構成されています
「艦橋」
●艦橋は、艦橋下部、羅針艦橋部、艦橋天板の3層で構成、トップの方位盤と測距儀は別パーツです
●艦橋下部は、羅針艦橋下部が一体成型されており、左右と前部の3分割式です
・ 前部、側面の舷窓などが再現
・ 羅針艦橋下部には防弾板が貼られた状態が彫刻にて再現
・ 側面の支柱はエッチングパーツです
・ 艦橋前部の機銃座はスポンソン部と支柱部分の2分割式です
●羅針艦橋の窓の部分は、ガラス面を表現するためにクリアーで成型されています
・ 艦橋部分の双眼鏡が別パーツで再現
●艦橋上部に装備された、「測距儀」、「94式方位盤」、「逆探」×3は個別にパーツ化、「94式方位盤」は艦橋部分に内蔵させるポリキャップにより旋回可動式です
・ 「逆探」はエッチングパーツです
「メインマスト、後檣」
●メインマストは前部分割式です(ABS樹脂製パーツ)
・ メインマストに装備される見張り所、航海灯、「22号電探」がパーツ化
●後檣は前後分割式で、後部に装備された表示灯がパーツ化されています
・ 後檣に装備される「13号電探」はエッチングパーツにて再現
「第1煙突・第2煙突」
●煙突本体は左右2分割式で、トップ部は別パーツです
・ 各副管は別パーツとなっています
・ トップの雨水カバー金網は開口処理され、その構造を立体的に再現
●煙突のベース部分となる中央構造物は一体成型となっています
・ 中央構造物の側面のディテールは別パーツにて再現
・ 前部の通気筒は左右分割式で、メッシュ部分を再現するエッチングパーツが付属
・ 煙突部の機銃座は1パーツにて再現、滑り止めパターンや内側のフィンも表現されています
「探照灯台」
●探照灯台は下部構造物が煙突部分に一体成型され、ブルワーク部分がパーツ化
・ 探照灯は本体とレンズ部との2分割式で、レンズ部はクリアーパーツとなっています
・ 探照灯台に装備された方位測定器はエッチングパーツにて再現
「後部構造物」
●後部構造物は、各パネルを貼り合せる箱組み方式となっています
・ 構造物上部の通気口が別パーツにて再現
・ 後部の機銃座は上部パネルに一体成型、前部の機銃座は別パーツです
「主砲」
●主砲塔部「50口径 3年式 12.7cm連装砲 C型」 ×2
・ 砲塔の本体部分は上下、左右の4分割式で、窓、ステー、照準口などがシャープに彫刻されています
・ 主砲砲身は1本ずつのパーツで、砲身基部のキャンバスカバーが一体成型されています
・ 主砲砲身は、水平状態と仰角を付けた状態とが付属しており、選択して使用します
・ 砲塔は船体部に内蔵させるポリキャップにより左右旋回が可能です
「魚雷発射管」
●「92式 61cm 4連装魚雷発射管 2型」 ×2
・ 魚雷発射管は、4連装式に一体成型された発射管と下部の魚雷、3分割式のシールド部で構成されています
・ シールド部には、窓、扉、ステーなどがシャープに彫刻されています
・ 発射管は船体部に内蔵させるポリキャップにより左右旋回が可能です
「対空機銃」
●「25mm3連装機銃」 ×5
・ 機銃は、3連装式に一体成型された銃身部と銃架部との2分割式で、防盾はエッチングパーツとなりますす
・ 銃身部の上部には弾倉、銃架部には側部の照準席が再現されています
・ 3連装機銃が装備される各機銃座には、滑り止めパターンや弾薬箱が表現
●「25mm単装機銃」 ×16
・ 単装機銃は、銃身及び銃架が一体成型されています
・ 単装機銃が装備される船体部分に取り付けられた防弾板がパーツ化
「対潜兵装」
●「爆雷装填台3型」 ×1
・ 爆雷装填台は前後分割式で、フレーム形状や詰まった状態の爆雷が再現
●爆雷発射機(Y砲)は一体成型です
●「爆雷投下軌道」 ×2
・ 爆雷投下軌道は左右分割式で、フレーム構造と装填された爆雷とが再現されています
●内火艇、カッター及びボートダビッド
・ 8m内火艇 ×1
・ 7mカッター ×1
●その他の艤装を再現したパーツとして
・ 艦首、艦尾旗竿
・ 錨
・ リール
・ ラッタル(エッチングパーツ)
・ スキッドビーム
・ ダビッド
・ パラベーン
・ 通気口
・ プロペラガード(エッチングパーツ)
・ ベランダ(エッチングパーツ)
などがセットされています
●船体側面と艦尾の艦名表記、艦首及び舷側の喫水表記、カッター類の艦名表記、艦尾の旗竿に掲げられる軍艦旗などを再現したデカールが付属しています
・ 「天一号作戦」時には艦名表記などのデカールは使用しません
●フルハルモデル用の展示台が付属しています
●2008年 完全新金型
【 「駆逐艦 雪風」について 】
●帝国海軍は、日本の国力の関係からアメリカ、イギリスといった列強国程の艦艇数を持つことは不可能であり、その劣勢をカバーするために個艦の能力を引き上げることに精力を傾けました
●一方で、大艦巨砲主義の象徴でもある戦艦などの砲撃力はその海軍力を示すものとして認識されていたものの、日露戦争などの戦訓から砲撃のみで大型艦を沈めることは難しく、魚雷を主兵装とする駆逐艦が注目されることとなります
●帝国海軍では、4隻ほどの駆逐艦で構成される水雷戦隊を編成、速力に優れ、破壊的な攻撃力を誇るこの水雷戦隊を艦隊決戦時や夜戦において、尖兵として敵艦隊に斬り込み、雷撃による攻撃により相手の戦力を削ぐことが意図されました
●また、この水雷戦隊の攻撃力を増すために、他国の駆逐艦には装備されていない魚雷の次発装填機能が取り付けられ、水雷戦隊は前述のように敵艦隊に突入して1度雷撃をした直後に離脱、一旦戦場から離れる間に再び魚雷を装填して、もう一度突入する戦法になっていました
・ 他国の駆逐艦も予備の魚雷を搭載していましたが、この魚雷は船体部に収納されていたために戦闘時での再装填は不可能でした
●そして、帝国海軍の最大の新兵器が「61cm酸素魚雷」であり、この新開発の魚雷は他国の魚雷よりも一回り大きいために、炸薬量の多さからその破壊力は強力であり、通常型の魚雷よりも航跡が目立たず、その上最大射程は他国の魚雷の3倍にも及んでいます
●この「61cm酸素魚雷」を搭載する水雷戦隊は、帝国海軍の秘めたる戦力として海軍内で重要視され、魚雷を扱う水雷科は希望者が殺到するエリート的な存在となっています
●水雷戦隊を構成する駆逐艦は、1920年代から着々とその保有隻数を増やして行きましたが、1930年でのロンドン軍縮会議において駆逐艦などの保有制限(総排水量による)が決まってしまいます
●その結果、艦の大型化が進行していた駆逐艦は隻数を確保するために、一気に小型化に傾きます
●ただし、艦の小型化は帝国海軍が駆逐艦に要求する性能を満たす余裕がなく、兵装の量や速度、航続距離などを削らなければなりませんでした
●1930年代後半に入ると、条約の脱退が濃厚となり、駆逐艦は大きさの問題を考慮しないで設計が行うことができるようになりました
●これにより誕生したのが「甲型駆逐艦」の「陽炎型」で、排水量は2000tクラスとなる大型の駆逐艦です
●「陽炎型」では、前のクラスとなる「朝潮型」よりも大幅に航続距離が増大、最大速度は35ノットで帝国海軍が求める性能よりも若干低い値でしたが、それ以外は性能的には申し分がなく、艦隊型駆逐艦の理想形として高い評価を得ました
●「陽炎型」は、1941年までに19隻が建造、その後は「改陽炎型」とも言われる「夕雲型」に建造が移行しています
●「陽炎型」は「夕雲型」と並んで、帝国海軍の最新鋭艦として常に最前線に投入、夜戦において搭載する「61cm酸素魚雷」は絶大な威力を示し、連合軍艦艇に対して大きな損害を与えています
・ この魚雷は1本のみでも巡洋艦クラスを戦闘不能とする威力を持っており、近距離で戦いが行われた夜戦では圧倒的な兵力差を覆す活躍を見せました
●しかし、その代償として「陽炎型」の損失も大きく、南方の「ソロモン海」での消耗戦で多くの艦が戦没し、終戦まで残存したのは8番艦である「雪風」1隻のみでした
「雪風」の戦歴
●「雪風」は、昭和15年1月20日に「陽炎型駆逐艦」の8番艦として海軍佐世保工廠で竣工、太平洋戦争の緒戦においてはフィリピン攻略、アンボン、チモール島などの上陸作戦の支援を行い、1942年2月には初の本格的な海戦となる「スラバヤ沖海戦」に参加しました
●1942年6月には一大決戦である「ミッドウェー海戦」、その後、「ソロモン海戦」、「南太平洋海戦」などの主要海戦に参加し、特に日本軍が大損害を受けた「ビスマルク海戦」においても生還を果たし、「強運の艦」として認められるようになります
●1943年7月の「コロンバンガラ島沖海戦」では「雪風」を含む駆逐艦隊(水雷戦隊)の活躍により連合軍の巡洋艦隊に大打撃を与えるなどの活躍を示しました
●その後も、「マリアナ沖海戦」や「レイテ沖海戦」などの大海戦に参加して武運の強さを発揮します
●しかし、「レイテ沖海戦」以降、アメリカ軍との戦力の差は大きくなる一方で、連合艦隊は組織的な作戦行動を行うことが不可能となります
●特に、1945年に入ると実質的にフィリピンを失い、南方からの補給路を断たれた状態の日本では、艦を外洋に出航させる燃料に事欠く状態となってしまいました
●1945年4月、アメリカ軍が沖縄に上陸、このアメリカ軍を撃破するために帝国陸海軍では航空機による体当たり攻撃を敢行、そのような状況下において連合艦隊は戦艦「大和」を沖縄に突入させることを決定します
●この作戦は「天一号作戦」と呼ばれ、「大和」には「雪風」も含めて9隻が護衛として随伴しました
●当時、絶対的な制海権と制空権を握るアメリカ軍は、この日本艦隊の動きを早々にキャッチ、鹿児島と沖縄と中間海域において大量のアメリカ軍機が艦隊を襲います
●数度に渡る波状攻撃により「大和」は息絶え、護衛の艦艇にも多くの損害が発生しました
●この結果、出撃した「大和」以下の10隻の艦艇は6隻が沈みましたが、「雪風」は無傷で帰還、帝国海軍の中で最も「強運の艦」として認められ、「陽炎型駆逐艦」唯一の残存艦として終戦を迎えています
●戦後「雪風」は復員船としても活躍、その後賠償艦として中華民国に引き渡され、「丹陽」という艦名で使用されました