イギリス 巡航戦車 セントー Mk.4
「イギリス 巡航戦車 セントー Mk.4 (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.232 )」です
●第2次世界大戦時におけるイギリス軍の巡航戦車「セントー」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立てキットで、「95mm榴弾砲」を搭載した「Mk.4」を再現した内容となっています
・ 巡航戦車「クロムウェル」と同じ車体を持ち、エンジンのみ異なる巡航戦車「セントー」を再現、唯一実戦に使用されたイギリス海兵隊仕様車が表現されています
●タミヤ社製「イギリス 巡航戦車 クロムウェル Mk.4」のバリエーションキットで、砲身、防盾、砲塔前面パネル、前方機銃を塞ぐ蓋、装填手のフィギュアなどを追加したものです【 巡航戦車「セントー Mk.4」について 】
●第2次世界大戦の開戦以前から、イギリス軍は歩兵戦車と巡航戦車という2種類のカテゴリーで戦車を開発、運用していました
●巡航戦車は、機動力を重視した戦車であり、フランス戦や初期の北アフリカ戦などで使用された「巡航戦車 Mk.4」の後継として巡航戦車「カビナンター」、そして重巡航戦車「クルセイダー」が開発・生産されました
●フランス戦の敗北により装備していた戦車を大量に失ったイギリス軍は、強力な戦車をいち早く戦力化することを望み、「クルセイダー」の本格的生産が始まる前にその後継車両の開発を始めました
●この新型巡航戦車は、「クルセイダー」を重装甲、重武装化することが重視され、当初は「クルセイダー」のエンジンや足周りをそのまま流用する計画となっていました
●しかし、当然のことながら、機動力は大幅に低下し、巡航戦車としての機動力が確保できなくなってしまいます
●そこで、この問題を解決する方法として注目されたのが、戦闘機「スピットファイア」などに搭載された「ロールスロイス」社の航空機用エンジン「マーリン」を車載用に改造した「ミーティア」エンジンです
●この「ミーティア」エンジンは当時の同規模のエンジンよりも1.5倍以上も高出力であり、新型巡航戦車のエンジンとして申し分なく、同エンジンを搭載するものとして開発が進められました
●ところが、当時のイギリスはドイツ空軍の空襲下にあり、迎撃を行なう戦闘機を揃えるのに必死の状態で、「マーリン」エンジン自体が供給不足となり、とても戦車に回す余裕は有りませんでした
●イギリス軍は、フランス戦、北アフリカ戦線などで戦車を大量に喪失し、イギリス本土もドイツ軍の脅威及び上陸作戦が危惧されている状況により、「ミーティア」エンジンの供給を待つどころでは無く、計画の当初に予定されていた「クルセイダー」と同じ「リバティー」エンジンを搭載した車両の開発と、「ミーティア」エンジンを搭載する車両の開発を同時に進めました
●この「リバティー」エンジン搭載型は「A24」、「ミーティア」エンジン搭載型は「A27」という開発番号が与えられ、「A27」に関しては「ミーティア」エンジンの出力に合わせた懸架装置の強化と変速操行装置の変更が行われます
●しかし、この2車種の戦車の開発の最終段階に至っても「ミーティア」エンジンの供給には目途が立たず、
「A27」に「リバティー」エンジンを搭載した車両が作られることとなり、従来の「A27」は「A27M」に、「リバティー」エンジン搭載型は「A27L」となります
●この結果、砲塔と車体の形状はほぼ同一ながら3種類の異なる戦車が開発、制式化され、「A24」は「キャバリエ」、「A27L」は「セントー」、「A27M」は「クロムウェル」と名称が付けられました
●1943年に入ると、「ミーティア」エンジンの供給の目途が付き、「クロムウェル」の生産が開始され、「セントー」は主に訓練用、「キャバリエ」は観測戦車などの補助的な役割に充てられました
・ 「セントー」は、その後多くの車両が「ミーティア」エンジンに換装されて、「クロムウェル」に変化しています
●このように、「セントー」は巡航戦車の本命である「クロムウェル」に付随する隠れた存在であり、出力の弱いエンジンによりイギリス陸軍では、その車両のほとんどが訓練用として使用されたに過ぎません
●一方、イギリス海兵隊の機甲支援グループでは、主力戦闘車両として「95mm榴弾砲」を搭載した「セントー Mk.4」を80両装備していました
●この機甲支援グループは「ノルマンディ上陸作戦」に参加、イギリス連邦軍の上陸地点である「ジュノー」、「ソード」、「ゴールド」の3箇所の海岸に分散して投入され上陸部隊の火力支援を行いました
●この部隊は元来、上陸時の火力支援を目的とし、その後の火力支援は陸軍の機甲部隊が行う予定でしたが、士気の高い同部隊は命令を無視して内陸へと進撃、上陸部隊への反撃に投入されたドイツ軍部隊と交戦しています
●この部隊が装備していた「セントー Mk.4」の最大の特徴が砲塔周囲の目盛りのマーキングで、この目盛りは揚陸艇に搭載された際に、観測員からの指示により射撃方向を定めるのに用いられました
【 「イギリス 巡航戦車 セントー Mk.4」のキット内容について 】
●このイギリス軍の巡航戦車「セントー Mk.4」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●タミヤタッチにより「セントー Mk.4」をシャープかつ表情豊かに再現、短かな砲身、砲塔の大型ボルト、プレス加工のフェンダーなど実車の特徴を捉えた内容となっています
●また、装甲板表面に見られる微妙な表情(荒れ)もタミヤ独特なタッチで再現されており、実車が持つ「戦車」としての存在感を模型として感じ取ることができることでしょう
●そして、タミヤのMMシリーズとしてパーツ数を抑えながらも実車のポイントとディテールを表現、パーツ同士の合いも良好であり、「セントー Mk.4」の魅力を気軽に楽しむことができる名作キットです
●キットは、「ノルマンデイ上陸作戦」に参加したイギリス海兵隊所属車両を再現、その特徴である砲塔に描かれた目盛りのマーキングを再現したデカールが付属しています
●「セントー Mk.4」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成されています
●砲身は、左右分割式の砲身基部と、先端のカウンターウェイト部で構成されています
・ 砲尾部分も再現
・ 防盾は1パーツで構成され、防盾(砲身)は上下可動式です
●砲塔は内側部分が上下分割式で、これに外部パネルを貼り付ける構成となっています
・ 車長キューポラは別パーツです
・ 車長ハッチ、装填手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 各ハッチのパッド部は別パーツにて再現
・ 車長用のペリスコープのカバーは、開閉状態が選択可能です
●車体上部は、フェンダーも含めて一体成型されており、戦闘室前面パネルは別パーツです
・ 操縦手用の視察ハッチは別パーツで、開閉状態が選択可能、表面部の小ハッチのみを開いた状態にすることも可能です
・ 前方機銃を塞いだ蓋のパーツが付属
・ 操縦手ハッチ、前方機銃手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ ペリスコープは、上部のカバー部が別パーツとなっています
・ エンジングリルのメッシュは、付属のナイロンメッシュにより再現します
・ エンジン点検ハッチは別パーツです
●「セントー Mk.4」の車体下部は、バスタブ式に一体成型され、これに外部パネルを取り付ける構成となっています
・ サスペンションアームは別パーツです
・ 起動輪、誘導輪、転輪は内臓させるポリキャップにより可動します
・ 履帯は、接着及び塗装が可能な素材によるベルト式履帯が付属しています
●車長及び装填手のフィギュアが各1体付属しています
●車長のフィギュアについて
・ 車長ハッチから上半身を出し、マイクロフォンを持って通話しているポーズとなっています
・ 大戦後期の車両乗員用の野戦服を着用、ベレー帽を被った姿です
・ 頭部、胴体、右腕のパーツ構成となっています
●装填手のフィギュアについて
・ 装填手ハッチから上半身を出し、ハッチを持っているポーズとなっています
・ 野戦服の上に革製のベストを着用、ベレー帽を被った姿です
・ 頭部、胴体、両腕のパーツ構成となっています
●ゴーグル、ワインボトルなどを再現するクリアーパーツが付属しています
●マーキングは、2種類の塗装例が説明書に記載されています
・ イギリス海兵隊 機甲支援グループ 第1連隊 第2中隊 H小隊
・ イギリス海兵隊 機甲支援グループ 第5独立中隊
●説明書の塗装例に基づく、砲塔の目盛りのマーク、部隊記号、パーソナルネーム、車台番号などを再現したデカールが付属しています
●1999年 一部新金型