イスラエル軍戦車 M51 スーパーシャーマン
「イスラエル軍戦車 M51 スーパーシャーマン (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.323 )」です
●1960年代から1970年代にかけてイスラエル軍の主力戦車として運用された「M51 スーパーシャーマン」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●「M4」戦車シリーズの最終進化形として、HVSSサスペンションを装備し、105mm戦車砲を搭載した「M51 スーパーシャーマン」を再現、長砲身砲を持ち、側面に各種装備品を積載する、第2次世界大戦における「M4」とは全く異なる、迫力の有るフォルムが表現されています
●タミヤ製「イスラエル軍 戦車 M1 スーパーシャーマン」のバリエーションキットでは無く、「M2重機関銃」を除く全てのパーツが新規金型となっています【 「M51 スーパーシャーマン」について 】
●古くから独自の国を持たないユダヤ人は、19世紀ごろからの列強各国に対しての活動や、第2次世界大戦時の戦費調達などから、1948年ユダヤ人発祥の地パレスチナに国家イスラエルを建国します
●ただし、このパレスチナには元々アラブ人が住んでおり、イスラエルの建国によりこのアラブ人(パレスチナ人)を追い出す構図となり、その結果アラブ人及び周囲のアラブ人国家との紛争へと発展することになってしまいます
●イスラエルは国軍の創設を急ぎましたが、アラブ国家との政治的摩擦を避けるためにアメリカ、イギリスなどからは兵器を輸出してもらえず、戦車の調達に関しては密輸や、スクラップ品を掻き集める手段で軍備を整えていきました
●「戦車」では、戦後になり余剰となった「M4」戦車シリーズが主に集められ、第2次世界大戦に従軍した兵士や整備兵の尽力によって戦力化されることになります
●イスラエル建国当時の主力戦車となった「M4」でしたが、調達できた車輌は「75mm砲 砲塔型」であり(対戦車能力に劣る「75mm砲 砲塔型」は真っ先に余剰兵器となっていました)、この砲よりもより対戦車能力に優れた「76mm砲 砲塔型」をフランスから輸入することに成功します
●一方、既存の「75mm砲 砲塔型」を火力強化する方法も採られ、フランス軍の「AMX-13」に搭載されていた「75mm戦車砲 CN-75-50」(ドイツの「パンター」戦車に搭載された「75mm戦車砲」のコピーと言われる)に換装した「M50 スーパーシャーマン」も開発されました
●1956年に勃発した「第2次中東戦争」のアラブ側の敗北により、これらの諸国では「JS-3」や「T-54/T-55」などのソ連製の新鋭戦車を導入し、イスラエルに対抗する強力な戦車を持つに至りました
●このようなソ連製戦車に対しては、「M50 スーパーシャーマン」では力不足であり、より火力の強化を図る必要に迫らせることになります
●この計画により、搭載された砲はフランス軍の「AMX-30」の主砲である「105mm戦車砲 CN-105-F1」で、車各の小さな「M4」戦車に搭載するために、砲身の短縮化が行なわれ、後座長を短くように先端部には大型のマズルブレーキが取り付けられました
●また、「M4」戦車にとって、この巨大な砲を収めることは大変であり、その搭載車輌は砲塔部が大きい「76mm砲 砲塔型」が使用され、その砲塔後部には大きなカウンターウェイトが装着されています
●この105mm砲搭載型の「M4」は、「M51 スーパーシャーマン」という名称が付けられ、1962年から改造が進められ、1960年代の中頃までに180両程度が作られました
●「M51 スーパーシャーマン」が戦力化された頃には、イスラエル国防軍にはイギリスの「センチュリオン」や、アメリカの「M48」が装備され始めていましたが、同車は戦車部隊戦力の一画を占めていました
●1967年「第3次中東戦争」が勃発、「M51 スーパーシャーマン」は火力、信頼性、そして乗員の練度によりアラブ側を圧倒、敵戦車を数多く撃破するなど目まぐるしい活躍をして、イスラエル戦車部隊の精強さを世界中に知らしめる要因の一つとなりました
●続いて1973年に開戦した「第4次中東戦争」においても「M51 スーパーシャーマン」は活躍、旧式車輌として侮る敵戦車部隊に対して痛打を浴びせ、同戦争の勝利に貢献しています
●しかし、さすがにイスラエル国産の戦車「メルカバ」が登場した1970年代末ともなると、さすがに旧式化は否めずに徐々に退役化が進み、1980年代には他国へと売却、もしくは各種自走砲のベース車輌に転用されています
●「M51 スーパーシャーマン」は、第2次世界大戦型の戦車として長らくイスラエル国防軍の主力戦車として用いられ、同軍の戦車部隊の基礎を作り、戦車の改造技術、そしてそれから発展した戦車の開発、生産技術に大きく寄与したのでした
●また、同車は高い信頼性を保ち、工業大国アメリカが作った「M4」戦車の確かな優秀性の証ともなっています
・ イスラエル戦車隊としては「センチュリオン」が名高いですが、乾燥した同地の砂漠地帯では故障が続発し、活躍を始めるのはイスラエル独自の改造が実施された後となります
【 「イスラエル軍戦車 M51 スーパーシャーマン」のキット内容について 】
●このイスラエル軍の「M51スーパーシャーマン」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●「ラトゥルン戦車博物館」での綿密な実車取材に基づき、「M51 スーパーシャーマン」の曲面構成の車体・砲塔フォルムをタミヤタッチでシャープかつ表情豊かに再現
・ 過度にパーツ数を増やしてディテールを追求するのではなく、タミヤMMシリーズの美点である彫刻のシャープさやディテール表現のセンスの良さ、そして何よりも作り易さが充分に考慮されており、ベテランモデラーから初心者に近いモデラーにも戦車模型の楽しさが実感できる内容となっています
●また、防盾部分の防塵カバーの質感、砲塔と車体とで異なる鋳造肌など、同社がMMシリーズで培ってきた模型としての表現力が活かされ、「M4A1」をベースとした「M51 スーパーシャーマン」の魅力を味わうことができることでしょう
●同社MMシリーズ初の「M4」戦車系列「HVSS(水平バネ式)サスペンション」のキット化であり、複雑なサスペンション構造も必要最小限のパーツ分割となっており、メカニカルな足周りを気軽に楽しむことができます
●キットは、同社「イスラエル軍 戦車 M1 スーパーシャーマン」などの「M4」戦車系列のバリエーションキットではなく、戦車上の「M2重機関銃」以外は新設計となっています
●「M51スーパーシャーマン」は、砲塔、車体上部、車体下部の3ブロックで構成されています
●105mm砲の砲身は左右分割式
・ 砲の先端に装備された武骨な形状のマズルブレーキ部は複雑な構造を4分割のパーツで忠実に再現しています
●防盾は、1パーツで構成され、先端部のボルト穴も再現されています
・ 防盾は内蔵させるポリキャップにより上下可動式で、防盾カバーを接着することで固定されます
・ 防盾カバーは4分割式で、タミヤタッチによりカバーの素材による皺が表現
●砲塔は、後部のカウンターウェイト部も含めて上下分割式となっています
・ 砲塔表面には繊細なタッチで鋳造肌が再現、カウンターウェイト部の張り出し形状や溶接跡も表現されています
・ 側面の排莢ハッチは砲塔に一体成型、下部の刻印も彫刻されています
・ 車長キューポラは、別パーツです
・ 直接照準具、ペリスコープガード、カウンターウェイトの手摺りがパーツ化されています
・ 車長ハッチ、装填手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
●車体上部は、側面のフェンダーも含めて一体成型となっています
・ 車体上部の表面上にはざらついた感じの鋳造肌が表現されています
・ エンジン点検パネルと、 フェンダー上部の支持架は別パーツです
・ 操縦手ハッチ、前方機銃手用ハッチは別パーツで開閉状態が選択できます
・ ライトガード、ペリスコープガードはプラパーツ製となっています
・ 各種車載工具類はタミヤの従来の「M4」用パーツではなく、新たに作り起されたものとなっています
・ イスラエル軍独自のホーンカバーが再現
・ 前方機銃(「M1919A4機関銃」)は、マウント部も含めて一体成型となっており、銃身部の放熱口もモールドされています
・ 車体側面に取り付けられる、ジェリカン、水タンク、予備履帯、予備転輪、雑具箱などがパーツ化、ラック部分は各パーツに一体成型されています
・ 牽引ワイヤーを再現したパーツが付属、ワイヤー本体はキットにセットされている紐を使用します
●車体下部は、各パネルを貼り合わせる箱組み方式となっています
・ HVSSサスペンションユニットは、本体、左右コイルスプリング部、サスペンションアーム前端部の4パーツで構成されています(全6ユニット)
●履帯は、接着及び塗装が可能な素材によるベルト式履帯が付属しています
・ ダブルピン式の全鋼製履帯「T80」を再現しています
・ センタガイド上部には肉抜き穴が表現されています
付属の「フィギュア」について
●車長と装填手の半身像のフィギュアが各1体付属しています
・ 車長のフィギュアはヘルメットを着用、装填手のフィギュアはアメリカ軍式の戦車ヘルメットを着用しています
・ 服の皺の表現はスケールに沿っており、ポケット、服の縫い目などの細部は繊細且つシャープなモールドで彫刻されています
・ フィギュアは、頭部、胴体、両腕のパーツ構成で、装填手のフィギュアは腕が胴体に一体成型されています
「各フィギュアのポ-ジング」について
●車長のフィギュアは、車長キューポラから上半身を出し、前方を指差しながら叫んでいるポーズです
●装填手のフィギュアは、ハッチ部分から顔のみを出しているポーズとなっています
・ このフィギュアは、ハッチから顔を出しているだけですので、装填手に限らず、車長を含めて操縦手や前方機銃手としても転用ができます
●マーキングは、イスラエル国防軍の3種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 所属不明 (1967年 第3次中東戦争時)
・ アリエル・シャロン「バイソン」師団 第14機甲旅団 (1967年6月 第3次中東戦争時)
・ 所属不明 (1973年 第4次中東戦争時)
●説明書の塗装例に基づく、車体番号、車体記号、車台番号などを再現したデカールが付属しています
●実車の解説が書かれたリーフレットが付属しています
●2011年 完全新金型(「M2重機関銃」を除く)