バレンタイン歩兵戦車 Mk.4 ソビエト軍仕様
「バレンタイン歩兵戦車 Mk.4 ソビエト軍仕様 (プラモデル) (AFV CLUB 1/35 AFV シリーズ No.AF35199 )」です
●「バレンタイン歩兵戦車 Mk.4 ソビエト軍仕様」です
●第2次世界大戦時におけるイギリスの歩兵戦車「バレンタイン Mk.4」の「ソ連軍仕様タイプ」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●ソ連軍向けレンドリース車輌の中で高い評価を得た「バレンタインMk.4」を再現、堅牢な足周りに小型の砲塔を搭載した特徴的なフォルムが表現されています
●AFVクラブ社製「イギリス 歩兵戦車 バレンタイン Mk.1」をベースとし、「バレンタインMk.4 ソ連軍仕様タイプ」を再現するために転輪、雑具箱、エッチングパーツを新規パーツへと変更したバリエーションキットとなります【 「歩兵戦車 バレンタイン」について 】
●第1次世界大戦において世界で初めて近代戦車を登場させたイギリスは、第2次世界大戦前での戦車開発の方針として、厚い装甲で歩兵を支援する「歩兵戦車」と、機動力により追撃戦闘を行なう「巡航戦車」という2つのカテゴリーに分類して開発が行なわれました
●イギリスの兵器メーカー「ヴィッカース」社は、既にイギリス陸軍に採用されていた「巡航戦車 Mk.1(A9)」の装甲を強化した「A10」を開発、「歩兵戦車」の部門における大型歩兵戦車の座を獲得しようとしますが、同車は同時期に開発されていた「A12」との採用競争に敗れてしまいます
・ 採用された「A12」が後の「歩兵戦車 Mk.2 マチルダ」となります
●ところが、1939年、ヨーロッパ内で開戦の緊張が高まるにつれ、戦車の数を充足させることが急務であったイギリス陸軍は、「歩兵戦車 マチルダ」の穴を埋めるために、この「A10」の復活採用を決定、「歩兵戦車 バレンタイン」と命名、制式化されました
●一方、1940年にドイツ軍がフランスへと侵攻、ドイツ軍を阻止するためにイギリス陸軍の主力が派遣されていましたが、ドイツ軍の電撃戦の前に敗退し、その全装備を失って兵員のみが帰還しました
●そのため、陸軍の最装備の必要性からイギリスでは兵器生産を優先、更には枢軸国軍と対峙する北アフリカ戦線に装備、兵力を増強します
●ただし、北アフリカの地は、あくまでも2次的な戦線であり、スエズ運河が在る「カイロ」、主要港「アレクサンドリア」以外は戦略的な要地が存在しませんでした
●1941年6月、独ソ戦の開始によりソ連は連合国軍側(それまでソ連は、フィンランド、ポーランドへの軍事侵攻から連合国側からは敵対する国として見られてました)となり、ドイツ軍と全面的に戦っている様子から、支援のための車輌や兵器が供与されることとなりました
●イギリスは、戦車として歩兵戦車「マチルダ」「バレンタイン」「チャーチル」を供与、ソ連軍は独ソ戦初期の敗退により極めて多くの戦車を失っており、これらの到着した戦車を積極的に使用しました
●「マチルダ」は、側面の装甲スカートが外せない構造となっており、軟弱地の多いロシアでは足周りに泥が詰まることにより機動性能が低下、「チャーチル」は重装甲が好まれたものの車体の大きさの割りには火力が低く、両車共に良い評価を受けませんでした
●しかし、「バレンタイン」は、程良い装甲の厚さと堅牢な足周りによる堅実な機動性、そして車体の大きさから高い評価を獲得、ソ連軍はその大きさから歩兵直協の戦車として活用し、皮肉にも「歩兵戦車」としての本来の活躍をしたのはロシアの大地でした
●この「バレンタイン」は、エンジン、武装などの変更により「Mk.1」~「Mk.11」までの型式に分類されており、「Mk.4」は「Mk.1」「Mk.2」と同じ2人用砲塔を装備、エンジンをアメリカGMC社製ディーゼルエンジンへと変更、性能自体は大きな変化はなかったものの、より機械的信頼性が向上したタイプとなりました
●「バレンタイン MK.4」は、その多くがソ連へと供与され、前述のように高評価を得ており、ソ連軍は更に同戦車を要望し、75mm砲を搭載した「バレンタイン Mk.11」などイギリス軍では後継車両の登場によりあまり使用されなかったタイプも供与されています【 「バレンタイン歩兵戦車 Mk.4 ソビエト軍仕様」のキット内容について 】
●このソ連軍に供与された「バレンタイン Mk.4」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●AFVクラブ社の高い成型技術によって「バレンタイン Mk.4」を再現、小型の戦車ながら複雑な足周りを持ち、イギリス戦車らしい細かな造りが、細分化されたパーツ構成により表現されています
●同社キットらしく、足周りのコイル式サスペンションはプラパーツによりバネ状に成型され、伸縮させることも可能で、その動きを楽しむことができます
●AFVクラブ社製「イギリス 歩兵戦車 バレンタイン Mk.1」をベースとし、「バレンタインMk.4 ソ連軍仕様タイプ」を再現するために転輪、雑具箱、エッチングパーツを新規パーツへと変更したバリエーションキットとなります
●「バレンタイン Mk.4」は、砲塔、車体、左右フェンダーの4ブロックで構成されています
●砲身は金属製パーツとなっており、砲口が開口処理されています
・ 砲尾部分も再現されており、5パーツにて構成
・ 防盾部は前後分割式になっており、表面部には鋳造肌が表現されています
・ 同軸機銃は機関部も含めてパーツかされ、銃口部分が開口済みです
・ 防盾は上下可動式です
●砲塔は、前部、左右側面、後部バスル部、底部、天板の6パーツで構成されています
・ パーツの表面には鋳造肌が表現
・ 上部ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ ペリスコープは3パーツで構成され、接眼部とペリスコープ本体とはクリアーパーツとなっています
・ 直接照準器はプラパーツにて再現
・ ピストルポートは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 車内の無線器が再現されています
・ 複雑な構造の対空機銃架が5パーツで再現、装備される「ブレン軽機関銃」も用意されています
・ アンテナ基部は9パーツで構成
●車体は、側面と底部とがバスタブ式に一体成型された車体下部に前面、後面、上部、エンジングリル部を貼り付ける構成となっています
・ 特徴的なエンジングリル上の突起部は、それぞれ別パーツとなっています
・ ラジエターグリルハッチと、エンジンルームハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ ペリスコープは3パーツで構成され、接眼部とペリスコープ本体とはクリアーパーツとなっています
・ 前部ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
●各サスペンションユニットは10パーツで構成され、実際の動きのように可動することが可能となっています
・ コイル式サスペンションはプラパーツにて再現、サスペンションの動きにより伸縮します
・ 転輪、誘導輪は、本体とハブキャップとの2分割式で、内蔵するポリキャップにより回転可動式です
・ 起動輪は3分割式で、基部に内蔵させるポリキャップにより回転可動式です
・ 履帯は、接着可能な素材によるベルト式履帯が付属しています
●フェンダーは、本体部分が1パーツで構成され、前後のマッドフラップは別パーツとなっています
・ フェンダー支持架は各1パーツで構成されています
・ 排気管は7パーツで構成、先端部は上下分割式で、開口部が表現されています
・ 排気管カバーはエッチングパーツです
・ 前照灯カバーを再現するエッチングパーツが用意されています
●ペリスコープを再現するクリアーパーツが付属
●排気管カバー、ライトカバー、細部などを再現するエッチングパーツが付属しています
●「バレンタイン Mk.4」のマーキングとして、ソ連軍仕様となる4種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 所属不明 (ハリコフ / 1942年6月)
・ 所属不明 (クルスク / 1942年)
・ 所属不明 (スターリングラード / 1942年9月)
・ 所属不明 (東部戦線 / 1942年冬)
●説明書の塗装例に基づく、車輌番号などを再現したデカールが付属しています
●2012年 一部新金型
--------------------------------------------------【 豆知識 】
●「バレンタイン戦車」はイギリス戦車の特徴として細部が変わるだけで「Mk.~」が変化してしまうということで、形式が分かり難くなっているので、ここで整理しておきましょう
●「バレンタイン戦車」は大きく分けて4タイプとなります
・ 2ポンド砲装備で2人用砲塔 (Mk.1 Mk.2 Mk.4)
・ 2ポンド砲装備で3人用砲塔 (Mk.3 Mk.5)
・ 6ポンド砲装備で2人用砲塔 (Mk.8 Mk.9 Mk.10)
・ 75mm砲装備で2人用砲塔 (Mk.11)
●Mk.6 Mk.7はカナダ生産型で、Mk.10以降はほとんどイギリス軍には使用されずにソ連に供与されたようです