日本軽巡洋艦 熊野
「日本軽巡洋艦 熊野 (プラモデル) (タミヤ 1/700 ウォーターラインシリーズ No.344 )」です
●「日本軽巡洋艦 熊野 (くまの)」です
●帝国海軍の「軽巡洋艦 熊野」を1/700スケールで再現したプラスチックモデル組立てキット、軽巡洋艦時の姿が表現されています
●大型「軽巡洋艦」として計画、竣工した「熊野」を再現、当時の最新式のコンパクトな艦橋に、3連装式の「15.5cm砲」を5基搭載した軽巡洋艦の精悍なスタイルを再現した内容となっています【 「重(軽)巡洋艦 最上型」について 】
●1930年に締結されたロンドン軍縮会議の結果、巡洋艦、駆逐艦などの補助艦艇の保有制限が定められ、帝国海軍は重巡洋艦の枠は既存の「古鷹型」「妙高型」「高雄型」で一杯となり、新たに重巡洋艦を建造することができなくなりました
●また、保有する軽巡洋艦は、第1次世界大戦時に設計された5500tクラス以降建造されておらず(実験的な艦である「夕張」を除く)、旧式化が目立ち始めていました
●そこで、重巡洋艦の一定義となる「20cm砲」以下の主砲を搭載し、従来の軽巡洋艦よりも大型で火力を大幅に増強した大型「軽巡洋艦」の建造計画が立てられ、「最上型」4隻と「利根型」2隻が建造されます
・ 「最上型」は、「最上」「三隈」「鈴谷」「熊野」の4隻となります
●「最上型軽巡洋艦」は、軽巡洋艦の枠内となる「15.5cm砲」を3連装式にした砲塔を5基装備し、重巡洋艦の「20cm砲」とは1門あたりの威力は劣るものの、合計15門という砲火力と、発射速度の早さで火力を補おうとしていました
●ただし、将来的な条約破棄を想定し、「最上型」は「20cm砲」へと容易に換装できるように設計がされていました
●「最上型」の建造が着工された後、「友鶴事件」が発生、艦艇の復元力が問題視された結果、起工していた1番艦「最上」と2番艦「三隈」はバルジを増設、まだ起工していなかった3番艦「鈴谷」と4番艦「熊野」は設計段階からバルジの装着が計画され、更には船体重心の低下が図られることになります
●「最上型軽巡洋艦」は1935年から1937年にかけて竣工、当初は「15.5cm砲」を搭載していましたが、1936年の軍縮条約脱退により、1939年から1940年の改装により「20cm砲」を搭載した重巡洋艦へと生まれ変わりました
・ 「利根型」は、建造の途中から「20cm砲」へと変更されており、重巡洋艦として竣工しています
●「最上型重巡洋艦」は、「利根型重巡洋艦」と並び帝国海軍が誇る最新鋭の重巡洋艦であり、その安定した性能により活躍、「三隈」は「ミッドウェー海戦」で戦没し、重巡洋艦の最初の喪失艦となりましたが、他の3艦は「レイテ沖海戦」まで戦い続け、連合艦隊の主軸となっています
【 「重(軽)巡洋艦 熊野」について 】
●巡洋艦「熊野」は、前述のように大型「軽巡洋艦 最上型」の4番艦として1934年に建造が開始され、1937年に竣工しました
●当初は、他の3艦と同様に「15.5cm砲」を装備する「軽巡洋艦」として運用されましたが、1939年に「20cm砲」への換装工事が行われ、「重巡洋艦」に艦種変更されます
●艦種変更の後、「重巡洋艦 熊野」は、同型艦3隻と共に第7戦隊を編成、太平洋戦争が開戦すると同戦隊は南方へ派遣され、マレーやインドネシア方面の攻略作戦に参加します
●1942年6月の「ミッドウェー海戦」では、「熊野」を旗艦とした第7戦隊は「攻略部隊」に編入、「ミッドウェー島」への上陸部隊を護衛して同海域へと進みます
●同海戦では、空母部隊の他に、この第7戦隊にもアメリカ艦載機の攻撃が及び、「三隈」が戦没、「最上」が大破するという損害を受けました
●海戦で無傷だった「熊野」と「鈴谷」は、インド洋沖での通商破壊を目的としてマレー方面へと進出、しかし、アメリカ軍のガダルカナル島への上陸の報を受け、ソロモン海域へと移動、機動部隊の直衛艦としての任務に就きます
●このため、ガダルカナル島への砲撃などの最前線任務は担当せず、機動部隊と行動を共にし、主に対空戦闘に従事しました
●「重巡洋艦 熊野」は、「第2次ソロモン海戦」「南太平洋海戦」に参加、1943年7月にコロンバンガラ島北方での空襲により魚雷を1本被弾しますが、大事には至らず、1944年6月の「マリアナ沖海戦」においても損傷を受けませんでした
●1944年10月、連合艦隊は水上艦艇によりアメリカ軍に決戦を挑み、「レイテ沖海戦」が開戦されます
●「重巡洋艦 熊野」は従来の機動部隊の直衛を離れ、水上艦艇の主力部隊である「栗田艦隊」へと編入、一路アメリカ艦隊が存在するレイテ島を目指します
●「栗田艦隊」は、その途上において潜水艦、艦載機の攻撃を受けて数隻が脱落、レイテ島の入り口となるサマール島沖で護衛空母を中心としたアメリカ機動部隊と遭遇します
●同艦隊は、敵機動部隊に向かって突進を開始、アメリカ軍側は必死となって空母を退避させ、護衛の駆逐艦は盾代わりとして積極的に「栗田艦隊」との交戦を挑みました
●「重巡洋艦 熊野」は、アメリカ機動部隊との間で砲撃戦を繰り広げますが、アメリカ駆逐艦の雷撃を受け、1本が艦首部分に命中、艦首を失うという損害を受けます
●これにより大幅な速度低下となった同艦は戦線を離脱、しかし2度に渡るアメリカ艦載機の空襲を受け、3発の爆弾を被弾、低速ながら追撃を振り切り、何とかマニラに逃れることができました
●応急修理が完了した「熊野」は、フィリピン北部のルソン島のサンタクルーズに輸送船団と共に移動、同地においてアメリカ潜水艦の雷撃を受け、1本が艦首に、1本が機関室へと命中、第1主砲塔前部の位置で船体が切断、機関室への被弾により航行不能となる大損害を被りました
●「重巡洋艦 熊野」は曳航されてサンタクルーズ港へと避難、同港での乗員による必死の復旧作業により、微速ながら自力航行ができるようになりました
●しかし、アメリカ艦載機の攻撃がこの地にも及び、「熊野」は魚雷3本、爆弾4発が命中し、これまでの乗員の努力も虚しく、同港内においてその最期を遂げてしまいます
【 「日本軽巡洋艦 熊野 (くまの)」のキット内容について 】
●この帝国海軍の「軽巡洋艦」として建造された「熊野」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●軽巡洋艦時代の「熊野」をシャープかつ実感豊かに再現、タミヤらしいキレのあるモールドと優れた造形力により洗練された同艦のフォルム、ディテールが表現された内容となっています
●タミヤ社製「日本重巡洋艦 鈴谷 (すずや)」をベースとし、軽巡洋艦時代の「熊野」を再現するために主砲塔パーツを新規パーツへと変更したバリエーションキットです
●「熊野」は、竣工時の軽巡洋艦時代、砲塔を換装して重巡洋艦となった改装時、戦訓による対空兵装強化時というように時代を追って姿が変化しており、キットは軽巡洋艦の時の姿が再現されています
●艦体喫水線までが再現されたウォーターラインモデルです
●「軽巡洋艦 熊野」の船体部は左右分割式となっています
・ 船体部には、舷側の舷窓、フェアリーダー、副錨などが再現されています
・ 船体部の魚雷発射管口は開口処理済み
・ 船体部にはカタパルト台座基部が一体成型されています
・ ウォーターラインモデルに欠かせない船体下を塞ぐ平らな船底パーツが付属、オモリとなるバラストも付属しています
●上甲板は、「前部甲板」「後部甲板」「艦橋甲板及び飛行甲板部」の3分割式となっています
・ 甲板上には、主砲塔台座、リノリウム押さえ、滑り止め、航空機運搬用軌条の基本躯体の他、リール、ボラード、パラベーン、昇降口などの細かなディテールが再現されています
・ 魚雷発射管部分の甲板パーツが付属、甲板部には予備魚雷がモールドにて再現
●上甲板上の構築物となる「艦橋部」「主砲部」「高角砲部」「カタパルト部」「煙突部」「後部艦橋部」などを個別にブロック化して構成、それぞれを甲板上に取り付けて完成させます
「軽巡洋艦 熊野」の艦上の構造物は下記のようなパーツで構成されています
●艦橋
・ 艦橋は5層で構成され、トップの測距儀、射撃指揮所が別パーツにて再現
・ 羅針艦橋の窓がシャープに彫刻されています
・ 羅針艦橋の下部前面は別パーツで、操舵室、作戦室の窓が再現
・ 前檣楼支柱がパーツ化
・ 艦橋部分を構成する、91式高射装置(×2)、60cm信号灯(×2)、「25mm連装機銃」(×2)などが付属しています
●前檣
・ 前檣は三脚檣型、トップは1本の単檣となっています
・ マスト下部は前後分割式で、方位測定室が一体成型されています
・ マスト上に設置された「方位測定器」が付属
● 煙突
・ 本体部分は左右分割式で、煙突トップ部は別パーツ化、雨水カバー部はシャープなモールドで開口処理されています
・ 副管の一部は別パーツです
●後檣
・ 後檣は三脚檣型、トップは1本の単檣となっています
・ 三脚檣の部分は前後分割式で、中央部のヤードは別パーツです
・ 三脚檣の後部パーツにはクレーンが一体成型されています
●探照灯台座、及び探照灯
・ 探照灯台座は、上部の110cm探照灯と一体成型されています
・ 台座部分にはトラス構造が再現
●高角測距儀
・ 4.5m高角測距儀と台座部分は一体成型されています
●中央機銃座
・ 機銃座は一体成型となっています
・ 機銃座に装備される「25mm連装機銃」(×4)が付属
●カタパルト「呉式2号5型射出機」 ×2
・ カタパルトは一体成型のパーツで再現、側面のトラス構造がモールドで表現されています
●後部艦橋
・ 後部艦橋は3パーツで構成され、上部「94式予備方位盤」は別パーツです
●主砲塔部「60口径 3年式 15.5cm 3連装砲」 ×5
・ 砲塔は、砲身、測距儀も含めて一体成型となっています
・ 一体成型ながらタミヤらしいシャープなモールドにより細部を再現、砲身基部の防水カバーも表現されています
・ 主砲塔は、甲板部分に内蔵させるポリキャップにより左右旋回が可能です
●高角砲「40口径 89式 12.7cm連装高角砲 A1型改1」 ×4
・ 高角砲はシールド部分と砲身本体との分割式で、砲身部分は連装式に一体成型されています
・ 円形の高角砲台座がパーツ化
●対空機銃
・ 25mm 3連装機銃 ×6(艦橋、機銃座に配置)
・ 機銃は銃身、銃架が一体成型されています
●魚雷発射管「61cm 90式 3連装魚雷発射管 1型」×4
・ 魚雷発射管は3連装式に一体成型されています
●内火艇、カッター及びボートダビッド
・ 11m内火艇 ×2
・ 11m内火ランチ ×2
・ 9mカッター ×3
・ 7mカッター ×1
・ 小型カッター ×1
●その他の艤装を再現したパーツとして
・ 艦尾旗竿
・ 錨
・ 菊花紋章
・ 航空機台車
などがセットされています
●「軽巡洋艦 熊野」の艦載機として
・ 94式水上偵察機 ×1
・ 95式水上偵察機 ×2
を再現したパーツが付属しています
●静岡模型教材協同組合「大型艦兵装セット」のランナーが2枚付属しており、高角砲、機銃、艦載機、カタパルト、内火艇、艤装類などは同ランナーのパーツを使用します
●艦尾の軍艦旗(直線タイプと、なびいているタイプの2種)、艦載機の日の丸マークを再現したデカールが付属しています
●2003年 一部新金型
●重巡洋艦 最上型 第4弾