8.8cm対空砲 Flak18
「8.8cm対空砲 Flak18 (プラモデル) (AFV CLUB 1/35 AFV シリーズ No.AF35088 )」です
●「8.8cm対空砲 Flak18」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●第2次世界大戦時のおけるドイツ軍の最も有名な高射砲である「88mm高射砲」を再現したキットで、最初の生産型である「Flak18」が表現されています
●高射砲の代名詞とも言われる「88mm高射砲」を再現、長く突き出た砲身に四角形の防盾、高射砲としての砲架部のメカニカルな作り、そして十字形の砲の台座部と、同砲の魅力が表現された内容となっています
●高射砲本来の姿として上空を狙う状態を表現したり、地上射撃として水平状態で敵戦車を狙う姿とするなど、いろいろな展開を楽しむことができるでしょう
・ AFVモデラーの「伝説」となった、敵戦車を多数撃破した北アフリカ戦の「88mm高射砲 Flak18」を再現したシーンを製作するというのもモデラーの心を揺さぶられます
●また、牽引用のトレーラーが付属していますので、牽引シーンを再現してみたり、トレーラー上から射撃する場面などを展開すると、より迫力有る姿を感じさせてくれることと思います
●第1次世界大戦終結時、「ヴェルサイユ条約」により高射砲などの開発を禁じられたドイツ軍は、秘密裏にスウェーデンの「ボフォース」社に高射砲の開発を依頼、「60口径75mm高射砲」を完成させます
●ドイツのクルップ社はこの設計を基に「88mm高射砲」を開発、ドイツ軍の再軍備化にあたり1933年に「88mm高射砲 Flak18」として制式化されています
●この「88mm高射砲 Flak18」は、56口径という長砲身により、8000mの有効射高を誇り、弾道計算器や航空機の高度に合わせて信管を調整する「ヒューズセッター」と呼ばれる装置など装備し、高射砲として非常に優れた性能を持っていました
●この高射砲としての性能だけではなく、長砲身による高初速、低伸弾道性に優れており、対地上戦闘にも威力を発揮することが可能で、特に地上戦用として用意されている徹甲弾による装甲貫通能力は当時の対戦車砲を比べると段違いの能力を持っているのが特徴でした
●ドイツ軍は、第2次大戦以前から高射砲部隊を重要視しており、地上部隊や重要拠点を空の脅威から守るために主に空軍所属の高射砲部隊を各戦線に大量に投入、この部隊は低空用の機関砲と高空用の高射砲を装備していました
●これらの部隊は、第2次大戦勃発時から対空戦闘をはじめ、対地上戦においても活躍を見せます
●特にフランス戦においては、当時としては装甲の厚いフランスの重戦車、イギリスの歩兵戦車に対して、ドイツ戦車や対戦車砲では歯が立たず、「88mm高射砲 Flak18」による水平射撃において敵戦車を多く撃破する活躍を発揮しています
●また、独ソ戦では急降下爆撃機「スツーカ」と並び、「T-34」や「KV-1」などの新鋭のソ連戦車に対抗できる唯一の兵器として各地において活躍、高射砲部隊は「火消し部隊」としての役目で一目置かれるようになりました
●そして、「88mm高射砲 Flak18」を一番有名にしたのが北アフリカの戦いです
●この北アフリカの戦いにおいては、同戦線初期ではイギリス軍は装甲の薄い巡航戦車や軽戦車が殆どを占めていましたが、ドイツアフリカ軍団の参戦によりイギルス軍は苦戦となり、続々と新鋭戦車である歩兵戦車「マチルダ」を投入しました
●この「マチルダ」は、別名「砂漠の女王」とも呼ばれた当時の戦車としては破格に強力な装甲を誇り、イタリア軍の兵器ではほとんど太刀打ちできず、ドイツ軍の戦車や対戦車砲でも有効な打撃を与えられずに、防御陣地は簡単に蹂躙されてしまうこととなります
●そこで切り札として登場したのが「88mm高射砲 Flak18」で、北アフリカ軍団の指揮官であった「ロンメル将軍」は、フランス戦による戦訓から同砲を対戦車兵器として使用、視界が開けた砂漠地帯において、「マチルダ」戦車の主砲の有効射程の遥か遠方から射撃を開始、その破壊力は絶大で、「マチルダ」戦車は多くの損害を出し、イギリス軍の反攻は手痛い打撃を伴って頓挫してしまいます
●このような活躍により「88mm高射砲」はドイツ軍の救世主となってドイツ将兵から信頼を得て、また敵である連合軍兵士からもその活躍ぶりから賞賛されました
・ このような評価により同砲を戦車用に改良して搭載したのが「タイガー1」です
●同砲の威力は大戦後期においても衰えず、その存在は連合軍航空機、戦車、そして歩兵に至るまで脅威となり、ドイツ本国や占領地では防空の「要」として、地上戦では強力な「破壊斧」や強固な「防御壁」として大戦を通じて活躍し、ドイツ軍を支え続けたのでした
●この「88mm高射砲 Flak18」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●キットは、同社の誇る細部表現力により「88mm高射砲 Flak18」をシャープ且つディテール感豊かに再現、同砲の特徴的なメカニカルで迫力のシルエット、そして牽引トレーラーに搭載された姿など、その魅力が表現された内容となっています
・ 同社の火砲類のキットは細部の表現のためにパーツ数が多いのが特徴ですが、本キットは砲の大きさに比べてパーツ数は抑えられています
●キットは、射撃時の地上に据えた状態と、牽引時のトレーラーに載せた状態、そして緊急射撃時におけるトレーラー上での射撃状態を選択して作製できます
●砲身は金属製砲身が付属しており、砲口内部のライフリングが再現されています
・ 砲尾は上下分割式となっています
・ 閉鎖器は3パーツで構成され、開閉状態が選択できます
・ 砲身(揺架)は上下方向に可動します
●揺架は左右分割式で、内側に存在するリベットや補強用のフィンなどが表現されています
・ 駐退複座装置は5ブロックで構成されており、中央部は金属パーツとなっています
・ 複座装置上部に取り付けられる照準器がパーツ化
・ 揺架側部に存在する装填補助装置5パーツで構成されています(実際には、この装置は使われることは少なく、取外されている場合が多かったようです)
●砲架は左右側面、中央部の3ブロックで構成されています
●砲架の左側面ブロックは、信管調整装置、信管調整手席などが表現されています
・ 信管調整装置のダイヤル表示部はエッチングパーツとなっています
・ 側面上部に存在するベルがパーツ化、配線は側面板にモールドされています
・ 牽引時の砲脚を固定するためのチェーンを再現する金属製のチェーンが付属
●砲架の右側面ブロックは、データー測定器、照準手席などが表現されています
・ データー測定器のダイヤル部はエッチングパーツとなっています
・ 照準手席は3パーツで構成され、展開状態と牽引時の折畳まれた状態とを選択できます
・ 照準装置は、射撃時の取り付けられている状態と、牽引時において取り外された状態とを選択できます
●中央部ブロックは、主要部が3パーツで構成され、これにバッテリケース、平衡器を取り付けます
・ バッテリーケースは6パーツで構成
・ 平衡器のシリンダー部外側は真鍮パイプとなっており、砲の動きに合わせてシリンダーが可動します
●防盾は一体成型で、端に向かって薄い成型となっており、防盾部の薄さが表現されています
・ 表面及び裏面のディテールが再現されています
・ 内側の細かなネジは別パーツ化
・ 照準用の扉は開閉可動式です
・ 防盾は、装着した状態と外した状態とを選択できます
●砲脚部分は、表面上のディテールや側面のリベットなどが再現、高さ調整用の操作ハンドルなど、パーツ分割により細かく表現されています
・ 側部の砲脚は、射撃時の展開状態と、牽引時の折畳まれた状態とを選択できます
・ 射撃時に使用される固定用の杭は4パーツで構成され、フィンの穴が開口処理されています
・ トラベリングロックは砲を固定した状態と、外した状態とを選択できます
●「88mm高射砲 Flak18」用の牽引トレーラー「Sd.Ah.201」が付属しています
●トレーラーの足周りは、フレーム部にシャーシ、サスペンション、タイヤを取り付ける構成となっています
・ タイヤはホイール部とゴムの部分とが別パーツです
・ ゴムの部分はラバー製となっており、トレッドパターンが表現されています
●トレーラー上部は、フェンダー、通信リール、ウインチ部が表現されています
・ 通信リールに取り付けるケーブルを再現するラバー製の細いパイプが付属しています
・ 砲脚固定用のチェーンを再現する金属チェーンが付属
●マーキングは、6種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 北アフリカ戦線 ダークグレー単色塗装
・ 北アフリカ戦線 ダークイエロー単色塗装
・ 北アフリカ戦線 ダークイエローとレッドブラウンの2色迷彩
・ 空軍第74高射砲大隊(ダンケルク / 1940年~1941年) ダークグレー単色塗装
・ (東部戦線 / 1942年夏) ダークグレー単色塗装
・ (フランス北部海岸) ダークグレー単色塗装
●塗装例のマーキング指示に基づく、キルマーク、砲記号などを再現したデカールが付属しています
●2005年 完全新金型
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●ワンポイント
・ この「88mm高射砲」は、地上用の一般的な種類として「Flak18」、「Flak36」、「Flak37」の3タイプが存在します
・ 3タイプは部品等の互換性が有り、消耗などにより取り替えられている場合が多く、一見で判別することは難しいのが事実です
一応の目安としては、
・ 「Flak18」は、砲身が中央部の出っ張りの無いワンピース型で、トレーラーが付く砲脚部分が太い
・ 「Flak36」は、「Flak18」と同じダイヤル式の測定器や信管調整器を持ち、砲脚の形状が4本共にほぼ同一
・ 「Flak37」は、前2種とは異なり、メーター式の測定器や信管調整器を装備している
という違いが挙げられます
・ 地上戦での使用例では圧倒的に「Flak18」と「Flak36」が多く、これは新型のデーター測定器により対空戦闘に優れた「Flak37」が防空任務部隊に優先的に配備されたものと思われます