ドイツ 3号戦車 N型
「ドイツ 3号戦車 N型 (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.290 )」です
●「ドイツ3号戦車 N型」です
●第2次世界大戦時におけるドイツ軍の戦車、「Sd.Kfz.141/2 3号戦車N型」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●ドイツ軍の主力戦車として開発された「3号戦車」に短砲身の75mm砲を搭載した「3号戦車N型」を再現、歩兵支援だけではなく対戦車戦闘にも活躍した個性的なフォルムが表現されています【 「Sd.Kfz.141/2 3号戦車N型」について 】
●1935年の再軍備化に基づき、ドイツ軍は「1号戦車」~「4号戦車」という4種類の戦車を開発します
●各戦車には戦車の車格に合わせた役割が持たされており、「3号戦車」は主力戦車として戦車部隊の中核を占め、攻撃力と防御力のバランスが取れた戦車となる予定でした
●ところが、搭載予定の戦車砲の開発が遅れたために、当初は威力の小さい「37mm戦車砲」を装備、本命とされた「42口径 50mm戦車砲」の装備は独ソ戦の開始時期までずれ込むことになりました
●この「42口径 50mm戦車砲」は、その開発当時としては威力に優れた砲でしたが、「マチルダ 2」や「シャール B1」などの連合軍の重戦車クラスには威力不足が明白であり、長砲身の「60口径 50mm戦車砲」の開発が進められます
●同砲は、本来1940年8月には採用されて「3号戦車」に搭載される筈でしたが、開発と車載化に遅れ、結局装備されたのは1942年の初頭となりました
●一方、独ソ戦においてドイツ軍は「T-34」や「KV-1」というソ連軍の新鋭戦車の遭遇、これらの戦車は設計思想自体がドイツ軍戦車の1歩や2歩先を進んでおり、ドイツ軍は苦戦を強いられます
●「3号戦車」にとって、「T-34」や「KV-1」は「42口径 50mm戦車砲」だけではなく「60口径 50mm戦車砲」でも対抗することが難しく、結果的には「3号戦車」は常に搭載砲の不利な状況で戦い続けることとなりました
●これらのソ連軍の戦車に対抗するため、長砲身(43口径)の「75mm砲」を搭載する案が持ち上がりましたが、当初ある程度の余裕を持って作られた「3号戦車」でも同砲を搭載するには無理が在り、この砲の搭載は車格の大きい「4号戦車」が選ばれます
●「4号戦車」は、支援戦車として開発と生産が行われましたが、この「43口径 75mm戦車砲」を搭載することで、その支援戦車という役割は主力戦車へと変更、以後は「4号戦車」が戦車部隊の主軸となって行きます
●その代わり「3号戦車」の役割は、主力戦車から支援戦車へと移行し、「4号戦車」が搭載していた短砲身の「24口径 75mm戦車砲」を搭載した「3号戦車N型」が1942年6月に登場しました
●本来、支援戦車とは搭載する砲の榴弾の威力により、対歩兵戦闘を行う役割を持っており、「24口径 75mm戦車砲」はその任務に適した砲でしたが、徹甲弾も用意されており、「43口径 75mm戦車砲」には及ばないまでも対戦車戦闘も可能でした
●更に、同砲用の対戦車榴弾が開発、ホロチャージ効果により装甲貫通力が大きく、「24口径 75mm戦車砲」を装備した車輌は大戦後期においても対戦車戦闘に活躍しています
●このため、「3号戦車N型」は、本来の支援戦車としてだけではなく、戦車として様々な任務に就いており、特に威力不足が顕著となっていた「3号戦車」の「60口径 50mm戦車砲」を搭載型を装備していた部隊(前述のように主力戦車は「4号戦車」となっており、暫定的な意味合いが強い)には歓迎されました
●「3号戦車N型」は、1943年8月までに700両が生産され、強力な連合軍戦車が登場した大戦後期においては第2戦部隊向け車輌となりましたが、トーションバーサスペンションによる走行性能の良さ、機械的信頼性による稼働率の高さ、そして適度な砲火力により、将兵からの信頼は厚く、その姿はドイツの敗戦まで見られています
【 「ドイツ3号戦車 N型」のキット内容について 】
●このドイツ軍の「3号戦車N型」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●キットは、タミヤMMシリーズの傑作キットである「ドイツ 3号戦車 L型 (Sd.Kfz.141/1)」をベースとしており、ディテール再現力とシャープ且つ表現力豊かなモールド、各パーツの雰囲気の良さ、それでいてパーツ数は抑えられて、整合性も高く、ディテール再現と組み易さが両立された同シリーズの特徴が集約された内容となっています
●キットは、ベテランの戦車モデラーから戦車モデル初心者の人にまで幅広くお勧めできる内容であり、ストレス無く組立てることが可能で、ストレートに組んで「3号戦車N型」の魅力を気軽に楽しんだり、製作者の方向性により、ディテールアップや改造、そしてジオラマ展開など様々な楽しみ方ができることでしょう
●キットは、タミヤ社製「ドイツ 3号戦車 L型 (Sd.Kfz.141/1)」をベースとし、「3号戦車N型」を再現するために「砲身」「防盾」「スモークディスチャージャー」「エンジングリル部」のメッシュのエッチングパーツなどの新規パーツを追加したバリエーションキットとなります
●「3号戦車N型」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成されています
●「24口径 75mm戦車砲」の砲身は、金属製パーツとなっており、砲口が開口処理されています
・ 砲身基部の装甲スリーブは、先端にボルト受け穴(?)が有るタイプと無いタイプとが用意されており、選択して使用します
・ 砲尾部分も再現され、砲尾、防危板、薬莢受けは左右2分割式です
・ 閉鎖器は別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 防盾は1パーツで構成、上下に可動します
●砲塔は、上部、下部、前面パネルの3分割式となっています
・ ベンチレーター、側面ハッチの雨樋、後部のピストルポートなどが別パーツとなっています
・ 側面のハッチは別パーツとなっており、開閉状態が選択可能です
・ ゲベックカステンは上下2分割式で再現されています
・ 砲塔側面の吊下げフック、ハッチストッパーが別パーツで再現
●スモークディスチャージャーは、基部と各ランチャーで構成されています
・ ランチャーは、装弾した状態と、発煙弾を装填していない状態のパーツが用意されており、選択して使用します
●車長キューポラは上下3分割式となっています
・ 車長ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
●車体上部はフェンダーも含めて一体成型で、戦闘室前面及び側面が別パーツとなっています
・ エンジン吸気口は別パーツです
・ 車体前部とエンジンルームの点検ハッチは別パーツとなっており、ハッチ上の吸気口カバーはそれぞれ個別にパーツ化されています
・ 戦闘室上部の跳弾板の有無が選択できます
・ フェンダー上のフェンダー支持架は別パーツで再現
・ アンテナは、立てた状態とアンテナケースに収納した状態とを選択することができます
・ エンジングリルのメッシュ(側面吸気口と車体後部吸気口)を再現するエッチングパーツが付属しています
●車体下部は、後面パネルを除いてバスタブ式に一体成型されています
・ サスペンションアームは別パーツとなっています
・ ダンパー、ショックアブソーバーは別パーツ化
・ 起動輪は、基部に取り付けるポリキャップにより可動します
・ 側面の乗降ハッチは別パーツで、装備の有無が選択できます
・ 排気管は左右が一体成型されています
・ 履帯は接着及び塗装が可能な素材によるベルト式履帯が付属しています
●車長を再現したフィギュアが2体付属しています
・ フィギュアの1体は、「ドイツ 3号戦車 L型 (Sd.Kfz.141/1)」に付属しているフィギュアと同一のものとなっています(詳細は同キットの目録を参照して下さい)
●新規パーツの車長フィギュアについて
・ フィギュアは、北アフリカ戦線での国防軍の下士官が表現されています
・ 服装は、熱帯野戦服に熱帯規格帽を被った状態です
・ 服の皺の表現はスケールに沿っており、服の縫い目や徽章類などのディテールはシャープな彫刻が施されており、ポケットなどのエッジも立った造形となっています
・ フィギュアは、規格帽、頭部、胴体、両腕のパーツ構成です
・ フィギュアは、車長キューポラから上半身を出した状態で、ヘッドフォンを片手で押さえて通話しているポーズと、片手で信号ピストルを持ち発射しようとしているポーズとを選択できます
・ フィギュアのヘッドは、大きく口をあけている状態を再現
●エンジングリルのメッシュを再現するエッチングパーツが付属しています
●「3号戦車N型」のマーキングは、ドイツ軍仕様となる3種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 第502重戦車大隊 第1中隊 (レニングラード戦区 / 1942年~1943年)
・ 第15戦車師団 第8戦車連隊 (チュニジア / 1943年)
・ 第6戦車師団 第11戦車連隊 (クルスク戦 / 1943年夏)
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、部隊記号、車体番号などを再現したデカールが付属しています
●2008年 一部新金型
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【 「ドイツ3号戦車 N型」のワンポイント 】
・ 前述のようにキットは、模型本来の「作る楽しみ」を味わえる内容となっています
・ パーツ数の多い他社のキットに悩まされ、ついつい組立時点で未完成に終わってしまう人には、このキットを一度組むことをお勧めします
・ きっと、未組立の悩みが解消し、組立て易く、かつ完成度の高いモデリングを楽しむ事ができる、「タミヤフォーマット」によるパーツ構成の素晴らしさ・奥深さを再認識することができることでしょう
・ また、新規パーツとして付属している北アフリカ戦線の戦車兵フィギュアはインジェクションキットとして貴重な存在であり、開口部の小さな車長キューポラに収まるようになっていますから(正確には、既存のフィギュアは体格が大きなものが多い)、同キットのみならず、他の戦車キットにも広く流用することができます