日本特型潜水艦 伊-400 スペシャルエディション
「日本特型潜水艦 伊-400 スペシャルエディション (プラモデル) (タミヤ スケール限定品 No.89776 )」です
●太平洋戦争時における帝国海軍の大型潜水艦(潜特型)「伊-400」を1/350スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●アメリカ本土を直接攻撃する潜水艦として建造された「伊-400」を再現、航空機を収納するための大型の艦橋構造物を持つ特異なシルエットが表現されています
●タミヤ社製「日本特型潜水艦 伊400」をベースとして、艦橋構造物と水上機「晴嵐」をクリアーパーツとし、同キット用のエッチングパーツ「日本特型潜水艦 伊-400 エッチングパーツセット」とプラスチック製の乗員フィギュア48体をセットしたスペシャルバージョンです【 「日本特型潜水艦 伊-400 スペシャルエディション」のキット内容について 】
●帝国海軍の戦略に基づき、アメリカ本土攻撃用の艦載機3基を搭載する能力を持つ大型潜水艦「伊-400」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●タミヤならではの造形力とシャープな彫刻により「伊-400」を再現、全体のプロポーションを捉えながら、排水口や上甲板の木甲板などの表現はエッジの立った彫刻、舷側部の鋼板継ぎ目は極めて繊細な彫刻という強弱をつけたモールドで同艦のディテールが表現されており、また作り易さも考慮され、タミヤタッチの「潜水艦の模型」を楽しむことができる内容となっています
●スペシャルエディション版として艦橋構造物を再現するクリアーパーツとディテールアップ用のエッチングパーツが含まれており、艦載機が収納されている状態を完成後も鑑賞でき、付属のエッチングや船員フィギュアを配置する事で甲板上のリアル感を高める事ができることでしょう
●「伊-400」の船体部は、上下分割式となっています
●船体部には、ビルジキール、デッドウッドが一体成型され、細部では魚雷発射管及び扉、各部の排水口、船体の鋼板継ぎ目などが表現されています
・上甲板部には木甲板表現の他、主砲台座、航空機軌条、ボラードなどが再現されています
・ 推進軸、スクリュー、主舵、前部潜舵、後部横舵がパーツ化
・ 前部の潜舵は展開状態と収納状態が選択できます
・ モデルに重量感を与える金属製のバラストが付属
●上甲板の前部は、船体とは別パーツとなっています
・ 前部甲板には、滑り止め表現がモールドされ、キャプスタンは別パーツです
●上甲板上の構築物となる「艦橋部」「主砲部」「カタパルト部」などを個別にブロック化して構成、それぞれを甲板上に取り付けて完成させます
「伊-400」の艦上の構造物は下記のようなパーツで構成されています
●艦橋
・ 艦橋は左右分割式で、艦橋の2層の甲板は別パーツです
・ 艦橋の甲板には木甲板表現が施されています
・ 潜望鏡はブロック化した1パーツで再現され、潜望鏡を上げた状態と格納した状態を選択することができます
・ 潜望鏡パーツには「22号電探」が一体成型され、「逆探」と「13号電探」(エッチングパーツ)は別パーツです
・ 艦橋部分を構成するループアンテナ(エッチングパーツ)、双眼鏡(×5)、「25mm3連装機銃」(×3)、「25mm単装機銃」(×1)などがパーツ化
●格納筒
・ 艦橋下部の内部には航空機格納筒の内壁が再現されています
・ 翼を折り畳んだ状態の「晴嵐」3機を収納することができます
・ 格納筒の前扉は別パーツで、開閉状態が選択できます
●主砲「40口径 11年式 14cm単装砲」 ×1
・ 主砲は砲架も含めて一体成型となっています
●カタパルト
・ カタパルトは左右分割式で、天板部分はエッチングパーツとなっています
●クレーン
・ クレーンは支柱部分がプラパーツで、アームの部分はエッチングパーツです
●対空機銃「25mm3連装機銃」 ×3、「25mm単装機銃」 ×1(艦橋部分に装備)
・ 3連装機銃は3連装式に一体成型された銃身部と銃架との2分割式です
・ 単装機銃は一体成型です
●艦載機「晴嵐」×6 (「伊-400」の搭載可能機数は3機です)
・ 「晴嵐」は翼を展開した状態が2機、翼を折り畳んだ状態が4機製作できます
・ 「晴嵐」はクリアーパーツとなっています
・ 艦載機は、胴体、主翼、水平尾翼、スピナー、プロペラ(エッチングパーツ)、爆弾のパーツ構成です
●その他の艤装を再現したパーツとして
・ 錨
・ 後部アンテナ(エッチングパーツ)
・ ボラード
・ 滑走車(エッチングパーツ)
・ 艦尾キャプスタン
・ 艦尾プロペラガード
・ 旗竿(エッチングパーツ)
などがセットされています
●13号電探、カタパルト天板、クレーンのアーム、後部アンテナなどを再現するエッチングパーツが付属しています
スペシャルエディションとして付属しているエッチングパーツ等
●ディテールアップ用のエッチングパーツと、アクセサリーパーツの真鍮挽き物の魚雷(×4)が付属しています
・ このパーツはタミヤ社製「日本特型潜水艦 伊-400 エッチングパーツセット」と同一の内容となっています
●エッチングパーツで再現されているディテールアップポイント
・ 船体及び艦橋部の手摺り(固定用のダボ付き、弛み表現なし)
・ 魚雷のスクリュー及びフィン部
・ 魚雷展示台
●手摺り固定用の穴を開けるためのガイド用シールが付属
●プラスチック製の乗員フィギュア48体が付属しています
・ フィギュアのポージングは立ち姿の5種となっています
●展示用のスタンドが付属しています
・ 船体とは、船体部に内蔵させる金属ナットとネジで固定します
●艦橋の日章旗マーク、艦名表示、艦載機用の日の丸マーク、識別帯、キャノピー部のガラス表現などを再現したデカールが付属しています
●旗竿に掲げられる軍艦旗を再現したペーパーシートが付属
●展示用スタンドに貼る艦名が書かれたホイルシートが付属しています
●スポット生産品
【 「潜特型潜水艦 伊-400」について 】
●帝国海軍では潜水艦を艦隊戦用の兵器として捉えており、ドイツ海軍の「Uボート」に代表されるような通商破壊戦は前提となっていませんでした
・ これは帝国海軍の艦隊決戦思想に基づいたものではありましたが、太平洋戦域ではオーストラリアなどを除くと連合国側の海上補給路は少なく、ヨーロッパ戦域のような通商破壊戦が想定し難かったものとも思われます
●このため、帝国海軍の潜水艦は、艦隊戦の前に敵艦隊に損害を与えるという役割や、敵艦隊の動向を味方に通知する帝国海軍の「目」となる働きが要求され、海域の広い太平洋において敵地付近まで航行する必要性から航続距離の長い大型潜水艦が主力となりました
●この大型潜水艦が水上排水量1000t以上のクラスとなる「伊号潜水艦」で、その以下のクラスとして500t~1000tの「呂号」、500t以下の「波号」が存在していましたが、実戦での運用は「伊号」が主体となっています
・ ドイツ海軍では大型潜水艦となる「Uボート 9型」は帝国海軍では「呂号」に分類されています
●太平洋戦争が開戦すると、これらの「伊号潜水艦」はハワイ沖などに投入されて連合軍艦隊の動向を掴みましたが、「伊-17」などの10隻ほどの潜水艦は長駆アメリカ西海岸まで進出、石油施設を砲撃するなどの本土攻撃を行い、その行為はアメリカ国民に大きな衝撃を与えています
●もっとも、これらの攻撃は潜水艦の備砲による単艦射撃のために、軍事的な戦果としては微々たるものでした
●このため、より本格的なアメリカ本土攻撃用として1942年に建造が計画されたのが「潜特型」の「伊-400」です
●この「潜特型」では、より軍事的な目標として「パナマ運河」への攻撃が選ばれ、この運河を破壊することで、大西洋に展開するアメリカ艦隊の太平洋戦域投入を遅らせることができ、更にその後アメリカ海軍は本土防衛用に兵力を割かねばならず、攻撃成功時の効果は大きいものでした
●ただし、アメリカ軍の抵抗も予測されることから、運河に近づいて砲撃により攻撃を行うことは困難であり、潜水艦に搭載された航空機による攻撃方法が採られました
●このような、潜水艦からの航空機運用は他国ではあまり考慮されませんでしたが、帝国海軍では「伊号潜水艦」に小型の水上機を1機搭載して実戦行動を行っているという実績を持ち、その設計と運用のノウハウは十分に獲得されていました
●「潜特型」の「伊-400型」の1番艦「伊-400」は1944年12月に竣工、続いて2番艦「伊-401」が1945年1月、「伊-402」が1945年7月に竣工します
●この「伊-400型」は、大型化した艦橋構造物に下部に円筒状の航空機収納筒を装備、この収納筒には特殊攻撃機「晴嵐」を3機格納することができ、潜水艦としては世界に類を見ない航空機搭載数を誇りました
●同艦の航続距離は長大で、燃料を満載すると地球を1周半分航続できる能力を持ち、能力的には地球上の全ての沿岸部を攻撃可能というものでした
●この航空機搭載数と航続距離を確保するため、同艦は水上排水量5000tという軽巡洋艦にも匹敵する大きさを持ち、通常動力型の潜水艦としては現在に至るまで最も大きな艦となっています
●また、「伊-400型」は当時の日本の潜水艦建造技術の粋を結集した優秀な艦で、その大型な船体にも関わらず水中の機動性能は小型潜水艦に匹敵するものでした
●しかし、1番艦「伊-400」が竣工した大戦後期では帝国海軍は防戦一方で、アメリカ海軍は太平洋戦域に膨大な兵力を保有しており、もはや「パナマ運河」攻撃してもその効果は期待できませんでした
●そこで、攻撃地をアメリカ艦隊が集結地としていた「ウルシー環礁」へと変更、竣工していた「伊-400」と「伊-401」、そして他の潜水艦2隻による艦隊が編成され、1945年6月に作戦の発起地であるトラック島に到着します
●作戦決行は1945年8月中旬に行われる予定で、艦隊は「ウルシー環礁」へ出航、その途上において日本の降伏を知ることとなったのです
●「伊-400」は、機密保持のために搭載していた特殊攻撃機「晴嵐」を投棄、内地へと帰還し、アメリカ軍の武装解除を受けました
●その後、アメリカ軍に接収された「伊-400」は、1946年6月にハワイ沖でアメリカ軍の手で海没処分されましたが、同艦はその能力と大きさによりアメリカ軍関係者に大きな衝撃を与えており、アメリカ海軍のその後の潜水艦開発に大きな影響を与えた存在と言われています