日本海軍 重巡洋艦 高雄 1944 (フルハルモデル)
「日本海軍 重巡洋艦 高雄 1944 (フルハルモデル) (プラモデル) (アオシマ 1/700 艦船シリーズ No.043264 )」です
●帝国海軍の「重巡洋艦 高雄」を1/700スケールで再現したプラスチックモデル組立キット、1944年の「レイテ沖海戦」時の状態を再現した内容となっています
●日本の重巡洋艦を代表する存在である「高雄型重巡洋艦」のネームシップである「高雄」を再現、大型の艦橋構造物を持つ独特のシルエットを再現しています【 「重巡洋艦 高雄型」について 】
●1929年に竣工した「妙高型重巡洋艦」は、列強の同クラスの重巡洋艦よりも強力な攻撃力を持つ傑作艦であり、この艦の登場により帝国海軍の重巡洋艦のスタイルが確立されました
●1932年に竣工した「重巡洋艦 高雄」は、この「妙高型重巡洋艦」を改良した艦として建造され、武装などの配置は「妙高型」を継承したものとなっています
●最大の相違点は艦橋構造で、「妙高型」が戦隊旗艦(4、5隻程度の旗艦)程度の旗艦装備しか用意されていないのに対して、艦隊旗艦(10隻から20隻程度の旗艦)の設備を持っており、艦隊司令部とその要員を収納するために、10層で構成される巨大な艦橋構造物を持つ姿となっています
・ この「城」を想像させる巨大な艦橋のシルエットは、戦前の国民に強いインパクトを与え、連合艦隊を代表する艦の一つにもなりました
●また、魚雷兵装も「妙高型」の船体の側面に魚雷発射管を搭載する方式から上甲板上に設置された構造物に搭載する方式へと変更され、被弾時の誘爆によって船体に直接被害を受けないように改善されています
●1938年、「高雄型」重巡洋艦4隻は近代化改装が行なわれることとなり、先んじて「高雄」と「愛宕」の2隻の改装が着手されました
・ 1941年には残る「鳥海」「摩耶」の改装が予定されていましたが、開戦により中止されています
●この改装にあたっては、従来の帝国海軍の艦艇が兵装などの多さで艦の安定力を欠いていたことの見直しが行なわれ、「高雄型」の巨大な艦橋構造物がトップヘビーな状態を招いていると判断、この艦橋は一回り小型化されました
●対して、対空兵装は増強が行なわれ、新造時には「12cm 単装高角砲」が4基だったところを「12.7cm 連装高角砲」4基へと倍増、機銃類も追加されています
●そして、魚雷兵装も連装発射管4基を4連装発射管4基へと変更、魚雷攻撃力が格段に向上しました
●このような兵装の増強により安定力の低下を防ぐために、船体側面にはバルジが設置され、兵装とバルジにより、総排水量は2,000tも増加しています【 「重巡洋艦 高雄」について 】
●「高雄」は「高雄型」重巡洋艦の1番艦として1932年に竣工しました
●「高雄」は、日中戦争において各上陸作戦の支援などに従事、前述のように1938年から大規模な近代化改装が行われ、1939年に工事が完了しています
●太平洋戦争が開戦すると、「高雄」はフィリピンなどの上陸作戦の支援を行い、続いてジャワ島近海において連合軍側の駆逐艦などの艦艇を撃沈する戦果を上げます
●1942年6月には「ミッドウェー作戦」の陽動としての「アリューシャン作戦」に参加、8月からはソロモン海域の戦闘に従事し、アメリカ軍艦艇との間で夜間戦闘による死闘を繰り広げ、「高雄」も少なからず損害を受けました
●1943年2月、日米の戦いの中心であった「ガダルカナル島」からの撤退が決定され、「高雄」は撤退の支援に参加、その後、ブーゲンビル島、トラック島、ラバウルのラインが日本軍側の最前線となります
●1943年11月、そのラバウルに進出していた「高雄」は、アメリカ軍艦載機の空襲を受け、2発の爆弾が命中して中破、内地へと帰還、そして修理を受けます
●修理が完了すると、フィリピン南方のタウイタウイ泊地において航空隊の練成訓練中の空母機動部隊へと合流、決戦に備えました
●1944年6月、日本軍が絶対防衛圏としていたマリアナ諸島にアメリカ軍が上陸を開始、連合艦隊は総力を挙げてアメリカ艦隊との一大決戦「マリアナ沖海戦」を挑みます
●しかし、空母搭載の艦隊航空隊は練成訓練をしていたものの、それまでの航空消耗戦においてベテランパイロットを逐次抽出した結果、訓練不足が目立ち、更には敵潜水艦の跳梁により空母での訓練自体が充分に行えない状況でした
●対して、アメリカ軍は日本軍の作戦、戦術を充分に研究、新鋭艦及び新鋭機が続々と戦列に加わり、その防空能力は従来の比ではなく、そして新兵器である近接信管「VT信管」も装備され、その能力、物量は無敵に近いものとなっていました
●「高雄」は、この「マリアナ沖海戦」に参加、前衛部隊として配備されましたが、航空決戦となった同海戦は連合艦隊の完敗に終わり、アメリカの艦載機の追撃を振り切り、無傷で内地へと帰投します
●この「マリアナ沖海戦」での敗北により、連合艦隊には再び航空決戦を行う航空戦力は残されておらず、再建の目途も立たない状況となります
●1944年10月、アメリカ軍はフィリピン東部のレイテ島に上陸を開始、フィリピンを失うことは南方への補給路が断たれることを意味しており、日本の戦争遂行能力に大きな影響が出るのが必至でした
●帝国陸海軍は、アメリカ軍をフィリピンにおいて撃破することを誓い、連合艦隊は再び総力を挙げてアメリカ艦隊との決戦に挑みます
●ただし、もはや航空戦力では戦うことができず、空母機動部隊を「囮」として運用、水上戦力によってアメリカ艦隊を叩くこととしました
●「高雄」は、その攻撃力により水上戦力の主力である「栗田艦隊」へと配属、同艦隊は泊地であるブルネイを出発し、フィリピン中央部を進む航路で、レイテ島を目指しました
●ところが、「栗田艦隊」が同艦隊がフィリピン西方のパラワン島沖に差し掛かったところ、アメリカ潜水艦2隻の攻撃を受け、「高雄」は2発の魚雷を被弾しました
●これにより、「高雄」は航行不能となり、艦隊から取り残されます
●その後、同艦は低速ながら自力航行ができる程度に復旧し、戦線を離脱、ブルネイを経てシンガポールへと入港、修理を受けます
●しかし、フィリピンでの「レイテ沖海戦」では連合艦隊が敗北、制空権、制海権を失い、更には燃料の確保もままならない状態となった連合艦隊には組織的な作戦を行なうことはできず、「高雄」はシンガポール防衛のための浮き砲台とされることが決定されます
●1945年7月、イギリスの特殊潜水艇により、艦底部に爆弾が仕掛けられて爆発が発生、しかし、「高雄」自体の損傷は軽微でした
●「高雄」は終戦時に残存、戦後はイギリス軍に引き渡され、1945年10月に爆破処分、その栄光の生涯に幕を下ろしました【 「日本海軍 重巡洋艦 高雄 1944 (フルハルモデル)」のキット内容について 】
●この帝国海軍の「重巡洋艦 高雄」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●アオシマ社の1/700艦船シリーズのフォーマットに沿って重巡洋艦「高雄」を再現、実艦の細部表現を重視しながら作り易さも考慮されており、同スケールにおける艦船模型としてのバランスが取れた内容となっています
●「高雄」は対空兵装の増強が繰り返されており、本キットでは1944年の「レイテ沖海戦」時の姿を再現しています
●艦体喫水線以下も再現されたフルハルモデルです
●「高雄」は、左右分割式の船体に上甲板を取り付ける方式となっています
・ 船体部にはビルジキールが一体成型され、魚雷発射口、舷側の舷窓、フェアリーダー、船体の継ぎ目などのモールドが彫刻されています
・ 船体部の魚雷発射管口は開口処理済み
・ 船体下部の推進軸、スクリュー、舵がパーツ化されています
・ 船体の歪みを防ぐ桁のパーツが付属
●上甲板は、前部、後部、シャルター甲板、飛行甲板の4分割式となっています
・ 甲板上には、主砲塔台座、リノリウム押さえ、艦首の滑り止め、航空機軌条などの基本躯体の他、パラベーン、リール、ボラード、昇降口などの細かなディテールが再現されています
・上甲板後部には魚雷発射管搭載甲板が一体成型され、予備魚雷がモールドされています
●上甲板上の構築物となる「艦橋部」、「主砲部」、「高角砲部」、「カタパルト部」、「煙突部」などを個別にブロック化して構成、それぞれを甲板上に取り付けて完成させます
「高雄」の艦上の構造物は下記のようなパーツで構成されています
●艦橋
・ 艦橋は、左右分割式で、これに前面部、羅針艦橋部、測的所(上部の艦橋)を取り付ける構成で、トップには測距儀、射撃指揮所が別パーツにて再現
・ 前面と側面には、舷窓、扉などがモールドされています
・ 艦橋の窓の部分は別パーツで、クリアーパーツとなっています
・ 艦橋下部の遮風装置は別パーツです
・ 艦橋部分を構成する、91式高射装置(×2)、4.5m高角測距儀(×2)、方位盤(×2)、60cm探照灯(×2)、25mm連装機銃(×2)、22号電探(×2)などがパーツ化
●メインマスト
・ メインマストは三脚檣型で、前後2分割式です
・ マスト中央の電探探信室は別パーツとなっています
・ マストに設置された「21号電探」「13号電探」は別パーツにて再現
● 煙突
・ 第1、第2煙突は左右分割式で、トップは別パーツです
●後檣
・ 後檣は三脚檣型、トップは1本の単檣となっています
・ マストは三脚檣部分は前後分割式、上部の単檣とヤード部はそれぞれ1パーツで構成されています
・ クレーンは別パーツとなっています
●機銃台座、探照灯台座部
・ 台座部分は一体成型となっており、探照灯台座のブルワークは別パーツです
・ 「25mm 連装機銃」×4、「110cm 探照灯」×4が付属
●カタパルト「呉式2号5型射出機」 ×2
・ カタパルトは一体成型のパーツで再現されています
●主砲塔部「50口径 3年式 20cm連装砲E型」 ×5
・ 砲塔は上下分割式、砲身部分は1本づつに分割されています
・ 砲身部分には防水カバーが表現されています
・ 測距儀は別パーツとなっています
・ 主砲塔は基部に内臓するポリキャップにより、旋回可動式です
●高角砲「40口径 89式 12.7cm連装高角砲」 ×4
・ 高角砲はシールド部分と砲身本体との分割式で、砲身部分は連装式に一体成型され、砲架部が別パーツで再現
・ 円形の高角砲台座がパーツ化
●魚雷発射管「92式 61cm 4連装発射管1型」 ×4
・ 魚雷発射管は一体成型されたパーツとなっています
●対空機銃
・ 25mm 3連装機銃 ×6
・ 25mm 連装機銃 ×6(艦橋部含む)
●対空機銃座として
・ 後部3連装機銃2基用台座 ×1
・ 艦尾部3連装機銃用台座 ×2
●内火艇、カッター及びボートダビッド
・ 12m内火艇 ×1
・ 12m内火ランチ ×2
・ 9mカッター ×2
●その他の艤装を再現したパーツとして
・ 艦尾旗竿
・ 錨
・ 菊花紋章
などがセットされています
●キットには、静岡模型教材協同組合「大型艦兵装セット」のランナーが2枚付属しており、高角砲、機銃、艦載機、カタパルト、内火艇などは同ランナーのパーツを使用します
●艦尾の軍艦旗(直線タイプとなびいている状態の2種)、艦載機の日の丸マークを再現したデカールが付属しています
●展示用のスタンドが付属しています
●2008年 一部新金型