1号 15cm自走重歩兵砲 (15cm s.IG.33 Sf auf Pz.Kpfw.1 Ausf B)
「1号 15cm自走重歩兵砲 (15cm s.IG.33 Sf auf Pz.Kpfw.1 Ausf B) (プラモデル) (ドラゴン 1/35 '39-45' Series No.6259 )」です
●第2次世界大戦初期におけるドイツ軍の自走歩兵砲「1号 15cm自走重歩兵砲」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●小型の車体である「1号戦車」に、「s.IG.33 150mm重歩兵砲」をそのままの形で搭載した、背の高い特異なフォルムを再現した内容となっています
【 「1号 15cm自走重歩兵砲 (15cm s.IG.33 Sf auf Pz.Kpfw.1 Ausf B)」のキット概要 】
●細分化したパーツ構成とエッチングを交えて細部再現に重きを置いた内容
●戦闘室や防盾、揺架などは薄く成型、揺架内側のディテールも再現
●戦闘室から見える範囲の車体内部を再現
●転輪のホイール形状を再現するために、ホイールのリムの部分をエッチングパーツで再現
●籐製の砲弾ケースは、接着及び塗装が可能な軟質素材製パーツで再現
●排気管カバー、射表、砲弾ケース固定具などを再現したエッチングパーツが付属
●履帯は「1号戦車」用のシングルピン履帯、DS素材によるベルト式
●塗装例はドイツ軍仕様5種、国籍マーク、部隊マーク、車両記号を再現したデカールが付属
【 「15cm 33式重歩兵砲搭載 1号自走砲」について 】
●歩兵砲とは、歩兵部隊が取り扱う近接支援用の火砲で、射程距離は短いものの、その分軽量化を図り、歩兵部隊に追従できる機動力を求められていました
●「s.IG.33 150mm重歩兵砲」は、砲自体の設計は古いものの、堅牢な構造と取扱の容易さ、そして150mmの大口径から発射される砲弾の威力で大戦を通じて活躍、特に市街地の戦闘や敵の防除陣地の制圧では絶大な効果をもたらしました
●ただし、「s.IG.33 150mm重歩兵砲」は歩兵砲という砲の特性から最大射程は4.6kmと短く、歩兵部隊に随伴するため敵から反撃を受けることも多く、早々に自走砲化が進められます
●「15cm 33式重歩兵砲搭載 1号自走砲(1号 15cm自走重歩兵砲)」は、この「s.IG.33 150mm重歩兵砲」を搭載した最初の自走歩兵砲として開発が開始され、ポーランド戦が終結し、戦車としては旧式化しつつあった「1号戦車B型」の車体をベースとしました
●開発に当たっては、フランス戦への間に合わせという意味合いが強く、「s.IG.33 150mm重歩兵砲」を砲架だけではなく車輪も含めてそのまま搭載するという乱暴な方式を採り、1940年2月の1ヶ月間に38輌が作られました
●また、小さな「1号戦車」に大型の火砲を搭載したことから、砲弾を収容するスペースがなく、やむを得ずフェンダー上にケースに入ったまま砲弾を搭載するという方法になりました
●このため、「1号 15cm自走重歩兵砲」の砲弾の搭載量は3発というもので、砲弾は随伴する「1t ハーフトラック」が供給しましたが、それでも乗員の判断により数発の砲弾を余分に積載した様子を見ることができます
●「1号 15cm自走重歩兵砲」はフランス戦から実戦に参加、高いシルエットの車体は的になりやすく弱点となりましたが、自動車化歩兵部隊に追従し、間接射撃だけではなく直接照準射撃でも活躍、大口径砲を搭載した自走砲の効果はドイツ軍のみならず連合軍にも大きく評価されています
●「1号 15cm自走重歩兵砲」の活躍によってドイツ軍は「s.IG.33 150mm重歩兵砲」を搭載した本格的な自走歩兵砲の開発を進め、その後「2号戦車」の車体を利用した車両を経て、「38(t)戦車」の車体を使った「グリレ」シリーズへと発展して行きます
●「1号 15cm自走重歩兵砲」は、高いシルエットのうえ装甲も薄く、戦闘を重ねる度に徐々に失われていきましたが、1943年の時点でも数両の「1号 15cm自走重歩兵砲」が運用されていたようです
【 「1号 15cm自走重歩兵砲 (15cm s.IG.33 Sf auf Pz.Kpfw.1 Ausf B)」のキット内容について 】
●このドイツ軍の自走歩兵砲「1号 15cm自走重歩兵砲」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●ドラゴン社のディテール再現力と成型力の高さをもって「1号 15cm自走重歩兵砲」を再現、細分化したパーツ構成と多数のエッチングパーツを交えて細部再現に重きを置いた内容となっています
●「1号 15cm自走重歩兵砲」は、「砲」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成しています
【 砲 】
●砲架を中心に多数のリベットを使用した「s.IG.33 150mm重歩兵砲」の構造を再現、砲身は金属挽き物パーツで再現しています
●「s.IG.33 150mm重歩兵砲」の砲身は、金属製砲身となっており、砲口の内側にはライフリングをモールドで再現しています
・ 「砲尾」は5パーツで再現、「閉鎖器」は別パーツ化しており、開閉状態を選択できます
・ 「揺架」は、左右及び底部、天板の4パーツで再現、表面上や揺架内部の細かなリベットもモールドで再現しています
・ 「揺架」は、完成後も上下方向に可動させることができます
・ 砲身の「防塵カバー」を再現したパーツが付属、固定バンドはエッチングパーツで再現します
●「砲架」は、左右に分割したパーツで再現、「揺架」や各ステーなどを挟んで作製します
・ 左右のパーツには表側と裏側のディテールをモールドで再現しています
・ 「駐鋤」は前後に分割したパーツで再現、「把手」などを別パーツ化しています
・ 「車輪」はそれぞれ一体成型のパーツで再現、車輪基部の車軸部は細分化したパーツで再現しています
・ 「砲架」を固定するフレームは、プレート状のパーツを貼り合わせて作製、後方に延びるフレームはエッチングパーツで再現しています
●「防盾」は一体成型のパーツで再現、照準口部分は別パーツ化しており、開閉状態を選択することができます
・ 「射表」はエッチングパーツで再現しています
(再販前のキットでは
・ 駐鋤はスライド金型を使い複雑な形状を再現しています
・ 照準器はクリアーパーツで再現、接眼部が高いタイプと低いタイプとが選択して使用できます
と記載していましたが、今回の再販分には照準機器まわりのクリアランナーが抜けています
組立説明書内でもこの部分を省略した記載となっていますので、ドラゴン社の意図的な仕様変更と思われます)
【 車体上部 】
●車体上部は、「前部」「戦闘室」「エンジンデッキ」の3ブロックで再現しています
・ 後部の各「点検ハッチ」は別パーツ化
・ 前部の「視察クラッペ」は別パーツ化、閉じた状態を再現しています
・ 「前照灯」は前後に分割したパーツで再現
●戦闘室は一体成型のパーツで再現、実車の装甲板に沿って薄く成型しています
・ 「戦闘室」は高さが若干異なる2種のパーツをセット、選択して使用します
・ 「照準扉」と、後部の「延長部」は別パーツ化、開閉状態を選択することができます
・ 「予備転輪ラック」はエッチングパーツで再現
●車体内部を再現、以下のパーツで構成しています
・ フロアパネル
・ 隔壁
・ ドライブシャフト
・ トランスミッション
・ クラッチ
・ 最終減速器
・ 操縦席
・ 操行レバー
・ 変速レバー
・ 各種ペダル
など
【 車体下部 】
●車体下部は、フェンダーを含んだバスタブ状に一体成型となったパーツで再現、前面パネルと後部パネルは別パーツとなっています
・ フェンダーの側面部分はエッチングパーツで再現します
・ フェンダー上に搭載する籐製の砲弾ケースは、接着及び塗装が可能な軟質素材製パーツで再現、固定具はエッチングパーツで作製します
●後部パネルは一体成型のパーツで再現
・ 「排気管」は上下に分割したパーツで再現、「排気管カバー」はエッチングパーツで再現します
●ガータービームを使用した「1号戦車B型」の足周りを再現
・ 「ボギー式サスペンション」は前後に分割したパーツで再現、「転輪」を挟んで作製します
・ 「ガータービーム」は一体成型のパーツで再現
・ 「転輪」は、転輪本体とホイールのリムの部分を再現したエッチングパーツとで構成
・ 「起動輪」は一体成型のパーツで再現
・ 「誘導輪」は前後に分割したパーツで再現しています
【 履 帯 】
●履帯は、裏側のガイドが2枚となる「1号戦車」用のシングルピン履帯を再現しています
・ 履帯は、接着及び塗装が可能な軟質素材によるベルト式履帯となっています
・ より精密で立体感ある履帯に交換したい場合には、「1号戦車用履帯」がこれに対応しています
●排気管カバー、射表、砲弾ケース固定具などを再現したエッチングパーツが付属しています
【 「1号 15cm自走重歩兵砲」の塗装とマーキング 】
●「1号 15cm自走重歩兵砲」のマーキングとして、ドイツ軍仕様となる5種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 第1戦車師団 第702重歩兵砲中隊 (フランス / 1940年)
・ 第5戦車師団 第704重歩兵砲中隊 (ロシア / 1943年)
・ 第5戦車師団 第704重歩兵砲中隊 (ロシア / 1941~1942年)
・ 第2戦車師団 第703重歩兵砲中隊 (フランス / 1940年)
・ 第2戦車師団 第703重歩兵砲中隊 (バルカン半島 / 1941年)
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、部隊記号、戦術マーク、パーソナルネームなどを再現したデカールが付属しています
・ デカールのプリントはカルトグラフ社製
【 「1号 15cm自走重歩兵砲 (15cm s.IG.33 Sf auf Pz.Kpfw.1 Ausf B)」のパッケージ内容 】
・ 1号 15cm自走重歩兵砲 ×1
・ 金属製砲身 ×1
・ エッチングシート ×1
・ 転輪のホイールリムのエッチングパーツ ×20
・ デカールシート ×1
・ 組立て説明書 ×1
●2016年 パッケージ内容 一部変更
●2009年 一部新金型
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【 「ドイツ 1号 15cm自走重歩兵砲」の製作のワンポイント 】
●キットは、実車が小さいということもありドラゴン社のキットとしてはパーツ数が少ないですが、説明書に解説の不足が目立ちます
●特に、車体後部についての不明点が見受けられ、後方に伸びるブームをエッチングパーツで再現する場合には、資料を用意した方が良いでしょう