帝国陸軍 五式中戦車 チリ
「帝国陸軍 五式中戦車 チリ (プラモデル) (ファインモールド 1/35 ミリタリー No.FM028 )」です
●太平洋戦争時における帝国陸軍の中戦車「5式中戦車」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット。
●帝国陸軍の最大かつ最強の戦車である「5式中戦車」を再現、従来の日本戦車のイメージを払拭する重戦車を彷彿させる迫力あるフォルムが表現されています。
【 帝国陸軍 五式中戦車 チリ (ファインモールド 1/35 ミリタリー FM028) プラモデルの内容 】
●帝国陸軍の中戦車「5式中戦車」を再現したプラスチックモデル組立キットです。
●ファインモールド社の日本車両への拘りと徹底したリサーチにより「5式中戦車」を再現、重装甲ならではの装甲板の荒れ、溶接跡を再現する繊細なモールド、重厚さを演出する幅広の履帯の細かな彫刻など、帝国陸軍の戦車技術の集大成的存在の同車の魅力が表現されています。
●また、連結可動式履帯が付属しながらも全体としてはパーツ数が抑えられており、「5式中戦車」の迫力溢れる姿を気軽に楽しむことができる内容となっています。
●「5式中戦車」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」「後部パネル」の4ブロックで構成されています。
【 砲 塔 】
●砲塔は重装甲ならではの装甲板の荒れが表現、天板部の繊細な溶接跡も彫刻されています。
●「試製 75mm戦車砲1型」は左右分割式で、砲口部分は別パーツとなっています。
・ 防盾は1パーツで構成され、防盾から突き出た駐退器は別パーツです。
・ 砲尾部分、照準器も再現され、閉鎖器は開閉状態が選択できます。
・ 防盾(砲身)は、完成後も上下可動式とすることができます。
・ 砲耳のボルトを再現するエッチングパーツが付属。
●砲塔は、各パネルを貼り合せる箱組み方式となっています
・ 砲塔前面と天板部分は一体成型されています。
・ 照準口の蓋は別パーツです。
・ 砲塔前部のハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます。
・ 砲塔後側面の機銃のマウント部は別パーツで、機銃後方の機関部、照準器もパーツ化。
・ 両側面の視察ハッチは別パーツで、開閉状態が選択可能、防弾ガラス部はクリアーパーツです。
・ 砲塔上部の視察装置(半球状のもの)は、装着の有無が選択できます。
・ 砲塔は左右旋回が可能です
●車長キューポラは、上下3分割式です
・ 視察用の防弾ガラスは、クリアーパーツとなっています。
・ 車長ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます。
【 車体上部 】
●車体上部は、装甲板とフェンダーの素材の違いが表現され、車体上部の溶接跡が繊細なモールドで再現されています。
●車体上部はフェンダーを含めて一体成型となっています。
・ 戦闘室前面パネルは別パーツです。
・ 前部ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます。
・ 前照灯には、管制カバーのパーツが付属、前照灯のガラス部を再現するクリアーパーツが用意されています。
・ 操縦手用の視察扉は別パーツで、開閉状態が選択できます。
・ エンジンデッキ上の牽引ワイヤーは、装備状態と固定具のみの状態とを選択できます。
・ 車載工具類は固定具が一体成型され、ジャッキの固定具は別パーツです。
●副砲の「1式 37mm戦車砲」の砲身は一体成型となっています。
・ 砲身基部は左右分割式。
・ 防盾は1パーツで構成。
・ 砲尾部分も再現され、防危板、薬莢受け、照準器、肩当てなどがパーツ化。
・ 砲耳のボルトを再現するエッチングパーツが付属。
・ 防盾(砲身)は、完成後も上下可動式とすることができます。
【 車体下部 】
●車体下部は、複雑な足周りがパーツ数を抑えて再現されています。
●車体下部は、バスタブ式に一体成型され、後部パネルは別パーツとなっています。
・ スポンソン下部及び後部の排気グリルがパーツ化。
・ サスペンションアームは別パーツです。
・ 下部転輪は、転輪本体とハブキャップとの2分割式、ボギー部は1パーツで構成されています。
・ 戦闘室のフロアパネルが別パーツにて再現。
【 後部パネル 】
●後部パネルは、表面部の装甲の荒れが表現され、排気管は細分化されたパーツ構成によりその構造が再現されています。
●後部パネルは一体成型となっています。
・ 後部の点検ハッチは別パーツです。
・ 排気管は横方向に分割されており、14パーツで構成。
・ 排気管カバーを再現するエッチングパーツが付属しています。
【 履 帯 】
●履帯は、その薄さを再現、連結可動式により自然な弛みを再現することができます。
●履帯は、1枚ずつが分割された連結可動式履帯が付属しています。
・ 各履帯(履板)は上下分割式で、前部の履帯を挟み込んで接着することにより可動式となる方式です。
●銘板、排気管カバー、砲耳のボルトなどを再現するエッチングパーツが付属。
●視察用の防弾ガラス、前照灯及び尾灯のガラス部などはクリアーパーツで再現しています。
【 帝国陸軍 五式中戦車 チリ (ファインモールド 1/35 ミリタリー FM028) 塗装とマーキング 】
●「5式中戦車」のマーキングとして、3種類の塗装例と7種類のマーキング例が説明書に記載されています(マーキング例は推定)。
・ 試作車両 (1945年)
・ 陸軍第4研究所
・ 戦車第1連隊 第3中隊
・ 戦車第1連隊 第5中隊
・ 戦車第28連隊
・ 戦車第11連隊
・ 戦車第29連隊
●説明書の塗装例に基づく、ナンバープレート、部隊マークなどを再現したデカールが付属しています。
【 帝国陸軍 五式中戦車 チリ (ファインモールド 1/35 ミリタリー FM028) 完成時のサイズ 】
・ 全長 : 237mm
・ 全幅 : 88mm
・ 全高 : 98mm
●2009年 完全新金型
【 「五式式中戦車 チリ」について 】
●帝国陸軍では、戦闘を決着させる方法として歩兵の突撃能力を重視しており、戦車もその歩兵を支援する兵器という見解を持っていました。
●そのため、「95式軽戦車」や「97式中戦車」といった戦車戦力の主力は、概して小火器射撃に対する防御力しか持たず、主砲も対歩兵用の短砲身砲が主体で、対戦車戦はほとんど考慮されていませんでした。
●しかし、ドイツ軍やソ連軍などでは戦車を陸上兵器の中心的存在と捉え、ドイツ軍はその機甲戦力を活かして電撃戦を展開、独ソ戦が開始されると両軍で熾烈な戦車戦が行われるようになります。
●帝国陸軍では、1939年に発生した「ノモンハン事件」でソ連軍の機甲戦力の威力を多大な犠牲によって思い知らされましたが、実質的な敗北となったこの事件自体が異例なものとして忘れ去られ、戦訓によって開発が始まった「1式 47mm対戦車砲」の進行も遅々としたものでした。
●しかし、帝国陸軍内では海外の情報網により比較的正確に各国の戦車の性能と保有数を掴んでおり、第2次世界大戦が中盤に入るとこれまでの日本の戦車では対抗できないことが明白となります。
●そこで1943年7月、帝国陸軍は従来の方針を転換、戦車戦を重視した2種の戦車「チト」と「チリ」の開発を開始しました
・ 「チト」は少し小型、「チリ」は「チト」よりも大型の戦車でした。
●ところが、その戦車戦を重視することは装甲、火力のスペックが桁違いに異なることを意味しており、予定重量は「97式中戦車」の15tに比べて「チト」は24t、「チリ」は35tを超え、従来の戦車技術とは次元が違う実質的に0からの設計に近い難開発となりました。
●また、太平洋戦争の開戦後は当面必要としていた艦船、航空機の開発に人材と資材とが注がれている状況であり、これらの戦車の開発は遅れぎみとなってしまいます。
●特に、問題だったのが主砲として予定されていた「試製75mm戦車砲」の開発の遅れでした。
●このため、この「チト」と「チリ」の後に開発が開始された戦時急造型である「チヌ」が「3式中戦車」として先に制式化されています。
●「チリ」(後の「5式中戦車」)は、前面装甲75mmという装甲を持ち、車体は従来の日本戦車の特徴であるリベット接合を廃止し、溶接式の接合を採り入れ、その防御力はアメリカ軍の「M4中戦車」に匹敵するものでした。
●主砲として予定されていた「試製75mm戦車砲」は、イギリス製の「ビッカース 75mm高射砲」をコピーして車載型へと変更したものであり、「90式 75mm野砲」を主砲とした「3式中戦車」よりも高い装甲貫通能力を誇っています。
●しかし、「チリ」の開発の遅れは致命的であり、1両の試作車が完成した1945年の段階で、同じ主砲を搭載して生産が容易な「チト」(「4式中戦車」)へと生産を集中させることが決定、「チリ」は「5式中戦車」として制式化されるものの、量産化は見送られました。
●結局、「5式中戦車」は実戦に投入されることはなく、戦局には全く寄与しませんでしたが、太平洋戦争時において35t以上の大重量の戦車を開発できたという意義は大きく、その経験は戦後の戦車開発に多大な影響を与えたとも言われています。