ドイツ 38t式駆逐戦車 シュタール
「ドイツ 38t式駆逐戦車 シュタール (プラモデル) (トランペッター 1/35 AFVシリーズ No.05524 )」です
●第2次世界大戦末期におけるドイツ軍の軽駆逐戦車「ヘッツァー」の「シュタール型」を再現したキットで、その「ディーゼルエンジン搭載型」が表現されています
●車体で砲の反動を吸収するという特異な存在である「ヘッツァー シュタール型」を再現、「ヘッツァー」の基本構造を踏襲しながらも、各部がリファインされた「ディーゼルエンジン搭載型」の精悍なフォルムが表現されています【 軽駆逐戦車「ヘッツァー シュタール型」について 】
●「ヘッツァー」は、大戦後期に登場した対戦車用の軽駆逐戦車です
●1943年、ドイツは連合軍の爆撃に晒され、当時の主力対戦車兵器である「3号突撃砲」の生産ラインも被害を受けました
●このため、「3号突撃砲」の代替え兵器の開発が行なわれ、「4号戦車」の車体に「3号突撃砲」の上部構造を取り付けた「4号突撃砲」、そして「38(t)戦車」をベースとした軽駆逐戦車「ヘッツァー」が誕生します
●この「ヘッツァー」の開発にあたっては、従来の「38(t)戦車」のシャーシを使用するのではなく、同車の新型車体(偵察戦車として試作)をベースとしたため、転輪や誘導輪が大型化され、起動輪の形状も異なっています
●車体は被弾経始を重視した傾斜装甲で覆われ、前面装甲は60mmと、このクラスの車輌としては優秀な防御力を持ちました
●また、搭載する主砲は「48口径 75mm対戦車砲 Pak39」で、当時の主力戦車である「4号戦車」と同じ攻撃力を持ち、小型で強力な理想的な軽駆逐戦車として生まれました
●この「ヘッツァー」は、駆逐戦車として、対戦車能力が高く、生産コストも低いという兵器として優秀なものでしたが、更に生産コストを削減するために、砲の反動を車体で吸収するという「シュタール型」が計画されました
●この「シュタール型」は、砲の駐退複座装置を廃止し、発砲時の反動を車体全体で吸収するもので、砲架の構造を簡単にすることができ、生産コストの低減と、生産工程を短くすることが可能でした
●「シュタール型」は、1944年の中頃に試作車が完成、通常型「ヘッツァー」の生産が軌道に乗ったので、同型の量産化は遅れ、1945年5月から行われる予定でした
●結局、終戦により「ヘッツァー シュタール型」も量産車は作られることななく、試作車とその先行量産型の合計14両が作られたのみに終わっています
●一方、ドイツでは大戦の末期には燃料が不足し、「ヘッツァー」に燃費の良いディーゼルエンジンを搭載した軽駆逐戦車「38D」が計画されました
●「ヘッツァー シュタール型」の最後の14両目は、この「38D」計画に基づき、ディーゼルエンジンを搭載したタイプで、従来型と比べてエンジンデッキ、後部パネルの形状が異なり、フェンダーの幅も若干広くなるなど、細部が微妙に変化しています
●この車輌は、「38D」の原型的な存在でしたが、終戦によりこの1両の生産のみに止まり、本来の「38D」も計画のみに終わっています【「ドイツ 38t式駆逐戦車 シュタール」のキット内容について 】
●この軽駆逐戦車「ヘッツァー シュタール型」の「ディーゼルエンジン搭載型」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●「ヘッツァー シュタール型」の「ディーゼルエンジン搭載型」をシャープに再現、通常型の「ヘッツァー」と同じデザインながらも、幅広のフェンダーや、エンジンデッキの構造の違いなど、その相違が表現された内容となっています
●また、車体は基本部分が一体成型されており、履帯部分を除くと、実車自体が簡素な作りの分、パーツ数は少なく、比較的容易に組立てることができるものと思われます
●「ヘッツァー シュタール型」の「ディーゼルエンジン搭載型」は、車体上部、下部、左右フェンダー部、後部パネル、エンジンルーム内部の6ブロックで構成されています
●砲身は、一体成型となっており、スライド式金型により砲口が開口処理されています
・ 防盾および車体側の防盾部は、それぞれ1パーツで構成
・ 砲身は上下方向に可動します
●車体上部は、前部フェンダーも含めて一体成型されています
・ ライトコードがモールドにて再現
・ フェンダー支持架は、エッチングパーツとなっています
・ 車長ハッチ、装填手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 車長ハッチ内側の砲隊鏡用の小ハッチも別パーツです
・ 各ペリスコープは別パーツで、ペリスコープガードはエッチングパーツで再現されています
・ エンジングリルのメッシュを再現するエッチングパーツが付属
・ リモコン機銃用の防盾はプラパーツとエッチングパーツが用意され、選択して使用します
・ 車体前側面に付けられた偽装用のループはエッチングパーツが用意されています
・ 側面のシュルツェンは、プラパーツによって一体成型されたパーツとなっています
●車体下部は、バスタブ式に一体成型されています
・ サスペンションユニットは1パーツで構成(全4パーツ)
・ 転輪は各1パーツで構成され、転輪上にモールドされているリベットを一部切り取る加工が必要となっています
●履帯は、1枚ずつが分割された連結可動式履帯が付属しています
・ 履帯パーツを両側のピンで固定する方式です
・ 履帯組み立て用の治具が付属
●フェンダーの基本躯体は1パーツで構成され、支持架、補強のプレス構造が表現されています
・ 雑具箱は2パーツで構成、側面に穴の無いタイプとなっています
●後部パネルは、点検ハッチも含めて一体成型されています
・ 大型の牽引装置は別パーツとなっています
●エンジンルーム内部は、後部の隔壁、燃料タンク、エンジン本体、ラジエターなどが再現されています
・ エンジン本体は左右分割式で、その細部がパーツ化によって再現
●エンジングリルのメッシュ、偽装用のループ、ペリスコープガードを再現するエッチングパーツが付属しています
●マーキングは、1種類の塗装例(ダークグリーンベースの3色迷彩)が説明書にカラーの5面図で記載されており、それに基づく国籍マークを再現したデカールが付属しています
●全780パーツ
●2011年 完全新金型
-----------------------------------【「ドイツ軍 駆逐戦車 シュタール」のワンポイント 】
●キットの付属履帯は連結可動式となっていますが、両側のピンの成型精度が今一つであり、切れてしまうことが多いので、塗装の前に車体に装着した方が無難でしょう