デュエル・イン・ザ・ミスト 2
「デュエル・イン・ザ・ミスト 2 (本) (パンツァーレックス DUEL IN THE MIST No.002 )」です
●第2次世界大戦後期のアルデンヌ戦における、アメリカ軍の戦闘記録から見たドイツ武装親衛隊の「パイパー戦闘団」の軌跡を追った写真付き資料集です【 「パイパー戦闘団」について 】
●1944年12月、ドイツ軍は本格的な反撃作戦「ラインの守り」を、ルクセンブルグのアルデンヌ地域において発動します
●この作戦は、戦線の間隙とも言えるアルデンヌ戦線を突破、西ヨーロッパ最大の港湾都市であるベルギーのアントワープを占領し、連合軍を分断、孤立するという起死回生の一大反攻作戦でした
●ドイツ軍は、攻撃戦域の北部に武装親衛隊の戦車師団を中心とした部隊を配備、その先鋒となったのが「パイパー戦闘団」です
●同部隊はSS第1戦車師団「ライプシュタンダルテ・アドルフヒトラー」の戦車連隊を中心に、装甲擲弾兵部隊などの各兵科の部隊が組み込まれ、アルデンヌ戦に投入された戦闘団の中では最強の戦力を持っていました
・ 同作戦では、その地形の制約から、臨時に師団を分割した連隊規模の戦闘団で作戦行動を行なうことが多く、その戦闘団には各兵科の部隊が分散配備され、戦闘団のみで諸兵連合による戦いが展開できるようになっていました
・ 「パイパー戦闘団」は、戦車連隊が基幹となっていたものの、この頃のドイツ軍の戦車戦力は消耗しており、戦車数の不足を補うためにSS第501重戦車大隊が編入されていました
●このアルデンヌ戦線は、森と川、そして丘陵地帯からなる土地で、進撃には不向きな地形であり、連合軍側から「幽霊戦線」と呼ばれ、アメリカ軍の戦闘で消耗した部隊が休養と再編成を兼ねて配備されていました
●ドイツ軍が攻撃を開始すると、圧倒的な兵力差によりアメリカ軍は敗退、2個師団が壊滅してドイツ軍は快進撃を行います
●「パイパー戦闘団」も当初、多大なる戦果を挙げ、アメリカ軍の第14騎兵グループを含めた多くの敵を撃破、アメリカ軍はパニックに陥って戦意を喪失し、壊走もしくは捕虜となります
●同戦闘団は、橋梁などの拠点に部隊を残置しながら進撃を継続、作戦部隊の北翼の先鋒として重要都市「リエージュ」に向かいます
●アメリカ軍は、ドイツ軍の攻勢に対応するために増援部隊を投入、「パイパー戦闘団」も徐々に激しい抵抗を受け、進撃は停止してしまいます
●また、アメリカ軍は「パイパー戦闘団」の後方の橋梁を攻撃して占領、ここに至って同戦闘団は包囲、孤立してしまいました
・ 前述のように、このアルデンヌ地域は大部隊の進撃には向いていない地形であり、1本の橋梁の攻防によって戦況が変化しました
●ドイツ軍は、「パイパー戦闘団」の包囲を解こうと他の部隊による攻撃を繰り返しますが、アメリカ軍は徐々に戦力を増してきており、その試みは尽く失敗します
●同戦闘団も、砲爆撃とアメリカ軍の地上部隊の攻撃に曝されて戦力を消耗、弾薬にも事欠くようになり苦しい防御戦となります
●弾薬の補給は連合軍の絶対的制空権の関係から空輸が行なえず、河川を使っての輸送も行なわれましたが、結果的には失敗してしまいました
●「パイパー戦闘団」は5日間の包囲戦闘によって戦力を喪失、結局、残存部隊は全車両を放棄して徒歩により脱出し、当時のドイツ軍の最強部隊は壊滅したのでした【 「デュエル・イン・ザ・ミスト 2」の内容について 】
●このアルデンヌ戦での「パイパー戦闘団」の戦闘経過を追った資料書籍です
●当時のアメリカ軍の戦闘記録を元に、「パイパー戦闘団」の戦闘の軌跡を収録、包囲下となった1944年12月20日、21日の「ストゥーモン」、「ラ・グレーズ」近郊の戦闘を中心に解説、検証しています
●戦闘後に写されたドイツ軍の戦闘車両(破壊車両)の白黒写真が約85枚掲載されています
・ この写真の多くは個人所有の未発表写真です
●写真は、多くが原版から起こされたクリアーな画質のもので、迷彩塗装のパターンなども明瞭に判読でき、大戦後期のドイツ軍戦闘車両の塗装とマーキングが分かる貴重な資料写真となっています
●また、当時の写真の場面に合わせた、現在の様子を写したカラー写真も掲載、その変わらない原風景から当時のアルデンヌの雰囲気を実感することができます
・ この現在のカラー写真は、アルデンヌ戦のジオラマを作製する場合に、色調や戦場の地形の再現に非常に役立つことでしょう(ただし、現在の写真は季節の良い晴天時に撮られており、その点を考慮する必要が有ります)
・ 一方で、道路が舗装道となった以外は、大戦時と殆ど変わらない風景に目を奪われます
●パイパー戦闘団の足跡を追ったカラーの作戦地図、巻末には鮮明なモノクロの写真を元に新たに作成したカラーの迷彩塗装図も収録されています【 「デュエル・イン・ザ・ミスト 2」の内容目次 】
1. Reorganisation of Regimental Combat Team 119
2. The first attempt
3. Push from the north: Task Force Jordan
4. Organised chaos
5. David and Goliath: Sievers prevails
6. The Germans in La Gleize during 19-20 December
7. Task Force Lovelady closing the door
8. Task Force McGeorge receives a bloody nose
9. The air attack on Kampgruppe Peiper
10.Barbed wire
11.The rope tightens
12.Third attack on Stoumont: afternoon 21 December
13.Out of the woods: McCown’s attack
14.Rückmarsch. Getting out of the Sanatorium
15.Trying to get the real picture
16.Task Force McGeorge attacks again
17.Cheneux: Perseverance prevails
Appendix 1. Refitting the Panzergrenadiere
Appendix 2. Order of Battle 3./ SS-Pz.Pi.Btl. 1
Appendix 3. Camouflage patterns 【 「デュエル・イン・ザ・ミスト 2」の主な掲載車輌 】
●Sd.Kfz.171 パンター戦車
・ パンター 211号車 (全鋼製転輪型、ダークグリーンベースの3色迷彩)
・ パンター 232号車
・ パンター 002号車 ( 防盾部に車両番号が記載)
・ パンター 151号車
・ パンター 101号車
・ パンター 111号車 (砲塔部と防盾部に車両番号が併記されている)
・ パンター 114号車 (ステンシルによる光と影迷彩)
・ パンター 124号車 (ステンシルによる光と影迷彩)
・ パンター 201、202号車
・ パンター 214号車 (車台番号が描かれている)
・ パンター 221号車 (全鋼製転輪)
・ パンター 225号車
・ パンター 131号車 (ステンシルによる光と影迷彩)
・ パンター 234号車
●Sd.Kfz.186 キングタイガー
・ キングタイガー 104号車 (境界がはっきりとした光と影迷彩)
●Sd.Kfz.161 4号戦車
・ 4号戦車 725号車 (光と影迷彩)
●Sd.Kfz.161/4 ヴィルベルヴィンド
・ ヴィルベルヴィント (ツィンメリットコーティング有り)
●Sd.Kfz.165 フンメル
・ 自走榴弾砲 フンメル
●Sd.Kfz.251系車輌
・ Sd.kfz.251/7
・ Sd.kfz.251/8
・ Sd.kfz.251/9
●Sd.Kfz.10 1tハーフトラック系車輌
・ Sd.kfz.10/5
など【 「デュエル・イン・ザ・ミスト 2」奥付 】
●著者 : TIMM HAASLER ・ RODDY MACDOUGALL ・ SIMON VOSTERS ・ HANS WEBER
●版型 : A4版 ハードカバー
●ページ数 : 全233ページ / うちカラー14ページ
・ 114枚の大判写真(ポートレート写真を含む)、地図(作戦図)14枚、カラーの車両塗装図10点などを収録
●発行日 : 2012年 初版発行
●ISBN : 978-0-9841820-6-0
●全英文解説