ドイツ軍 スタッフカー シムカ 5
「ドイツ軍 スタッフカー シムカ 5 (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.321 )」です
●1930年代後半から1950年代に生産されたフランスの「シムカ 5」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●「フィアット 500」のフランス版「シムカ 5」を再現、小型の車体に自動車の機能を凝縮しながらも、イタリア車らしいスタイリッシュなフォルムを再現した内容となっています【 「シムカ 5」について 】
●「シムカ」社は、1934年に設立されたフランスの自動車メーカーで、1963年にアメリカの「クライスラー」社に買収されました
●1928年イタリア系フランス人である「アンリ・テオドル・ピゴッティ」氏がフランスでイタリア車を販売するため、その関税対策からフランス国内に「フィアット・フランス」を設立、自動車販売を成功させます
●この成功を受けて、同氏が「フィアット」社からの資金援助により本格的自動車メーカーとして誕生させたのが「シムカ」社です
●ヨーロッパでは、1930年代前半にモータリゼーションが発達、自動車メーカーが多く設立され、自動車、トラックが生産されましたが、その普及は富裕者層がメインで、まだまだ一般的とは言えませんでした
●イタリアの「フィアット」社は、大衆車として1000ccクラスの小型車を販売して好評を博しており、更に小型化を図り、価格を抑えた大衆向けの革新的な車「フィアット 500」を1936年に開発しました
●この「フィアット 500」は、2人乗りの小型車で、569ccの13馬力のエンジンを搭載、究極の小型化と軽量化が進められましたが、車としての基本性能は維持するように設計され、耐久性と信頼性とが確保されていました
●運転者の足が収まるように、そのスペースを確保するためエンジンは前輪から突き出るように配置、ラジエターはエンジン後方に装備されるという変則的なレイアウトとなっています
●同車は、その低価格から大ヒット作となり、大衆へと自動車を普及させることに成功、1948年のマイナーチェンジ版の生産開始までに約12万2000台が生産され、小型車としての軽快さと愛らしい姿から「トポリーノ(はつかねずみ)」という愛称が付けられ、絶大な人気を得ています
●一方、「シムカ」社はその設立の経緯から「フィアット」社との関係が深く、この「フィアット 500」をフランス向けに生産することを決定、細部仕様が若干異なる「シムカ 5」として生産が行われ、1940年6月までに65,000台が作られ、同車もフランス国民から高い人気を獲得します
●民間用として高い評価を受けた「シムカ 5」は、フランス軍の小型スタッフカーとして運用されました
●また、フランスの降伏後にはドイツ軍向けにも生産が行われ、約6,000台が納入、フランス駐留部隊だけではなく東部戦線などにおいても広く使用されています
●ただし、元々野戦用として設計された車輌ではないため、不整地での走行には適しておらず、積載量も極めて限られており、主に戦線後方において連絡や軽輸送に用いられました
●大戦終結後、「シムカ 5」は生産を再開、「シトロエン 2CV」などの新規の大衆車が登場するまで、戦後の復興に活躍しています
【 「ドイツ軍 スタッフカー シムカ 5」のキット内容について 】
●このフランスの「シムカ 5」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●「シムカ 5」をタミヤタッチによりシャープかつ表情豊かに再現、特徴的なフォルムをしっかりと捉えながら、ソフトスキン車輌らしい繊細さとメリハリの在る彫刻によって、その魅力を引き出した内容となっています
●ボディの成型、幌の彫刻、ドアのウィンドーの構造など、タミヤがこれまで培ってきた表現力が活かされており、キレの在るモールドと同社MMシリーズらしい抑えられたパーツ構成により、作る楽しさと雰囲気ある仕上がりとを味わうことができるでしょう
●「シムカ 5」は、ベースとなる「車体下部」パーツに、「シャーシ」「ボディ」「フロントグリル」などを取り付ける構成となっています
●シャーシのフレームは、前後部分がパーツ化され、中央部分は車体下部パーツに一体成型されています
・ フロントサスペンションは2パーツ、後部サスペンションは3パーツで構成
・ プロペラシャフト、排気管がパーツ化
・ タイヤは、本体部分と裏側内部の2分割式で、表面の細かなトレッドパターンが彫刻されています(プラパーツ)
●車体下部パーツには前部フェンダーが一体成型されています
・ 前部のマッドフラップは別パーツです
●ボディは一体成型となっています
・ 左右のドアは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ フロントとドアのウィンドーはクリアーパーツで、ドアのウィンドーにはスライド状に開けた状態と閉じた状態のパーツが付属、選択して使用します
・ 幌は畳んだ状態がパーツ化、側面の折り返しもモールドされています
・ 前照灯は、通常の状態と管制カバー付きを選択可能、通常の状態用としてのガラス部を再現するクリアーパーツが付属
・ 前後のバンパー、ナンバープレート、尾灯、ワイパーがパーツ化
●フロントグリルは一体成型で、グリルの細かなラインが彫刻されています
●車体内部は、メーターパネル、座席、ハンドル、変速レバー、サイドブレーキ、バックミラーがパーツ化されています
・ 各座席は1パーツで再現
・ メーター類を再現するデカールが付属
●ドイツ軍の兵士を再現したドライバーのフィギュアが1体付属しています
・ 運転席に座り、片手をハンドルに置いたポーズとなっています
・ 服装は、「M36野戦服」を着用、略帽を被り、ブーツを履いた姿です
・ 服の皺の表現はスケールに沿っており、服の縫い目などのディテールはシャープなモールドで彫刻されています
・ フィギュアは、頭部、上半身、下半身、両腕のパーツ構成です
●「シムカ 5」のマーキングとして、3種類の塗装例が説明書に記載されています
・ ドイツ第3歩兵師団 (東部戦線)
・ ドイツ空軍所属
・ フランス民間車輌 (大戦中)
●説明書の塗装例に基づく、部隊マーク、戦術マーク、ナンバープレートなどを再現したデカールが付属しています
●実車を解説したリーフレットが付属しています
●2012年 完全新金型
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【 「ドイツ軍 スタッフカー シムカ 5」のワンポイント 】
●キットは、全長8.5cm程度の小型車輌であり、またタミヤらしいパーツの合いの良さとパーツ数の少なさにより、ジオラマやビネット展開など様々な楽しみ方ができるでしょう
●単品作品だけではなく、その小型さからジオラマの脇役に最適で、フィギュアを中心としたシーンにおいてもフィギュア自体の魅力を引き立ててくれる存在となる筈です
●その愛くるしい形状と小ささから、荷物を満載したり、故障中や市街地での風景など、同キットを主役としたシーンも面白いでしょう
●最近のキットは、多くのパーツとの「格闘」に終わりがちで、このような演出を楽しむ余裕が生まれることが模型本来の「面白さ」の一つだとエムズは考えます
●キットの箱を開けると、その模型作りの「面白さ」が思い浮かぶことでしょう
●また、この「シムカ 5」は、タミヤMMシリーズのキットですが、その特徴的な形状からカーモデルとして演出することも可能と思われ、ミリタリーモデルユーザーだけではなく、カーモデルユーザーにも一風変わったスタイルの車の模型としてお勧めします
●このキットは、画家に与えられた白いキャンバスのように、作り手の個性によって様々な「絵」を描くことができる絶好の素材となるものと思います