ドイツ オストヴィント 37mm対空戦車 3号戦車車体
「ドイツ オストヴィント 37mm対空戦車 3号戦車車体 (プラモデル) (マコ 1/72 AFVキット No.7210 )」です
●「ドイツ オストヴィント 37mm対空戦車 3号戦車車体」です
●第2次世界大戦末期におけるドイツ軍の「3号対空戦車」を1/72スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●「3号戦車」をベースとして「オストヴィント」と同じタイプの砲塔を搭載した「3号対空戦車」を再現、6角形の砲塔を装備した独特のフォルムが表現されています
●レベル社製「3号戦車L型 (Pz Kpfw 3 Ausf.L)」をベースとし、「3号対空戦車」を再現するために、MACO社製「ドイツ オストヴィント 4号 37mm 対空戦車」の砲塔パーツをセットした内容となっています【 「3号対空戦車」について 】
】
●ドイツ軍は、戦前から対空火器の開発と生産、配備に熱心であり、各種ハーフトラックを中心とした自走化も進められました
●これらののハーフトラックベースの対空自走砲は、各戦線で広く使用され、対空、対地上戦闘に活躍しましたが、基本的に無装甲のソフトスキン車輌であり、防御力に難点が在るのも事実でした
●このため、戦車の車体をベースとした対空戦車が開発され、1943年後期には「20mm機関砲Flak38」を搭載した「38(t)対空戦車」、1944年初めには「4号戦車」をベースとした対空戦車「メーベルワーゲン」が誕生、これらの車輌は開放型の戦闘室を持つために、防御力の問題は完全に解消できず、あくまでも暫定的な車両という存在となっています
●そこで、砲塔式に機関砲を搭載した対空戦車「ヴィルベルヴィント」が登場、ただし「20mm機関砲」では威力不足という観点から「37mm機関砲Flak43」を装備した「オストヴィント」も開発されます
●ただし、「オストヴィント」は大型の機関砲を装備した関係で、車体ベースとなった「4号戦車」のターレットリング径では大きさが不足し、そのままでは砲塔が搭載できず、車体の改造が必要となりました
●このため、量産型の生産は遅延し、終戦までに生産された台数は極少数にとどまっています
・ 「オストヴィント」の量産型の生産台数は、7両もしくは43両の2説があります
●一方、突撃砲部隊を管轄する砲兵科では、戦車部隊などを管轄する機甲科自身が対空戦車の調達に苦心していることを考慮しながらも、突撃砲部隊にも対空戦車の必要性を痛感し、独自にその開発を進めます
●この対空戦車の開発については、突撃砲部隊の主要車両である「3号突撃砲」をベースにして、「3号戦車」の車体上部構造物を流用した車体を使用(「3号戦車」は生産が終了していたため)、これに「オストヴィント」の砲塔が搭載されました
●この車両は「3号対空戦車」として1945年3月頃に突撃砲部隊に若干数が配備、大戦末期において対空戦闘に従事しています
・ この「3号対空戦車」は現在のところ実車写真がないために、その存在は謎ですが、当時の部隊配備記録には明記されているようです
・ 同車の生産台数は14両程度と言われています
【 「ドイツ オストヴィント 37mm対空戦車 3号戦車車体」のキット内容について 】
●このドイツ軍の「3号対空戦車」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●MACO社の1/72シリーズとして小粒ながらシャープなモールドにより「3号対空戦車」を再現、「37mm機関砲 Flak43」のメカニカルな構造、砲塔形状や装甲の薄さなど、同車の特徴とディテールとが表現された内容となっています
●キットの車体は、「3号戦車L型」の車体をベースとしたタイプとなっています
●「3号対空戦車」は、「機関砲」「砲塔」「車体上部」「車体下部」の4ブロックで構成されています
【 機関砲 】
●「37mm機関砲Flak43」の砲身は一体成型となっており、機関部は左右2分割式です
・ 砲身先端部のフラッシュハイダー側面の穴がモールド再現されています
・ 砲身基部の小防盾は別パーツで再現
●砲架部は、中央の本体部分の他、照準器、照準手席、フットペダル、防危板、装填台、予備砲弾ラックなどの細部も別パーツにて細かく再現されています
【 砲 塔 】
●砲塔は上下分割式です
・ 砲塔の装甲板は薄く成型されています
・ 照準器用のカバーは、開けた状態で砲塔上部にモールドにて再現
・ 砲塔上部には防水カバー用の小フックがモールドされています
【 車体上部 】
●車体上部は、フェンダーも含めて一体成型されており、戦闘室前面、吸気グリルは別パーツとなっています
・ 戦闘室前面パネルには操縦手用クラッペ、前方機銃マウントがモールドにて再現
・ 車体前部の点検ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ フェンダー上部には車載工具類が一体成型され、ボッシュライト、ジャッキ台は別パーツです
・ 車体後部の通気カバー、牽引ワイヤーは別パーツにて再現
・ 予備履帯は、固定具も含めて一体成型となっています
【 車体下部 】
●車体下部は、各パネルを貼り合せる箱組み方式です
・ サスペンションアームは側面パネルに一体成型されています
・ 転輪、起動輪、誘導輪は左右分割式です
●履帯は、一部連結式履帯が付属しています
・ 上下の直線部分は繋がった状態のパーツ、前後の曲線部は1枚ずつが分割されたパーツとなっています
●砲塔リング部分を再現するメタルパーツが付属
【 塗装とマーキング 】
●「3号対空戦車」のマーキングとして、ドイツ軍仕様となる2種類の塗装例が説明書に記載されており、塗装例に基づく国籍マーク、車体番号、部隊マークなどを再現したデカールが付属しています
●2013年 新パーツ追加
・ 車体下部などは、レベル社製「3号戦車L型 (Pz Kpfw 3 Ausf.L)」のパーツを使用しています
-----------------------------------------------
【 「ドイツ オストヴィント 37mm対空戦車 3号戦車車体」のワンポイント 】
●上記のように、「3号対空戦車」は実車の資料が極めて少ない上に、実車写真が存在しておらず(2013年5月時点)、謎の多い車両です
●資料では一定数が作られたと言われているものの、「オストヴィント」自体が極少数生産でとどまっており、「3号対空戦車」としての生産台数分が確保できたか、「3号突撃砲」から「3号戦車」への改造と、ターレットリングの改造が順調に行われたのか、などの疑問点も浮かび上がります
●本キットでは、「3号戦車L型」がベースとなっていますが、このような車体があったという確定的な物証もありません
・ もっとも、「オストヴィント」の生産数に対して、部隊配備の記録では同車が頻繁に登場しており、「3号対空戦車」が或る程度生産されたとすれば、この矛盾が解消できるのですが…
●ただ、この「3号対空戦車」は如何にも大戦末期のドイツ軍らしい車両であり、「3号戦車」の車体に「オストヴィント」の砲塔という組み合わせは、混沌とした敗戦間際の状況を物語ってくれるでしょう