アメリカ カーゴトラック 6×6 M561 ガマゴート
「アメリカ カーゴトラック 6×6 M561 ガマゴート (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.330 )」です
●「アメリカ カーゴトラック 6×6 M561 ガマゴート」です
●1970年代から1990年代におけるアメリカ軍の汎用高機動トラック「M561 ガマゴート」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●アメリカ軍の歴代車両の中で特異な存在となる「M561 ガマゴート」を再現、車体が2つのモジュールで構成されるというユニークなフォルムを再現した内容となっています【 「M561 ガマゴート」について 】
●アメリカ軍は、国内でのモータリゼーションの発展から他国の軍隊と比べて多くの車両数を誇り、その車両も実用性と機械的信頼性が高く、これまでの数々の戦訓から野戦車両としての能力にも優れているのが特徴となっています
●第2次世界大戦時においてアメリカ軍は傑作小型車両「ジープ」を生み出し、戦後暫くすると、その発展型である「M38」、「M38A1」が登場しました
●これらの「ジープ」は、不整地である戦場においても高い機動性能を発揮しましたが、インドシナ戦争でフランス軍に使用された「ジープ」は、湿地やジャングルが多いベトナムの地において充分な機動力を示すことができませんでした
●移動・輸送・連絡など様々な活動に用いられてきた「ジープ」の機動性が失われる事実は、アメリカ軍に大きな衝撃を与え、フランス軍に代わってベトナムへの介入を伺っていたアメリカにとってこの事実は無視できないものでした
●そこで、アメリカ軍は、1959年に不整地踏破能力を重視した新型車両の開発を国内メーカーに発注、その結果「LTV」社(旧「チャンス・ボート」社)が1962年に開発したのが「M561 ガマゴート」です
・ 車体自体は「ジープ」よりも大型化し、後部のトレーラーモジュールには兵員8名が搭乗することが可能、最大積載量1.3tを誇ります
・ また、車体は軽量化のためにアルミ合金製で、水上の浮航能力も擁していました
●「M561 ガマゴート」は、車体が2つのモジュールで構成されるという特徴を持ち、後部のトレーラーモジュールは単に牽引されるのではなく、特殊なドライブシャフトで後輪にも動力が伝達され、6輪駆動式となっています
・ 後輪には前輪とは逆位相となる操舵機能も付けられており、その機能により旋回能力も優れています
●このモジュール化により、「M561 ガマゴート」は不整地における地形への追従能力を持ち、103馬力のディーゼルエンジンの力で極めて優れた走破性能を発揮しました
●「M561 ガマゴート」の生産が開始されたのは1969年で、肝心のベトナム戦争には間に合うことなく、その出番はありませんでした
●「M561」は、1973年までに約14,000両が生産、主にアメリカ陸軍と海兵隊に装備され、不整地における輸送任務で活躍しています
●もっとも、「M561 ガマゴート」の不整地踏破性能は高かったものの、モジュール方式による車体の操縦は難しく、後輪を繋ぐドライブシャフトの整備も難しかったため、「ジープ」よりも扱いにくい車両であったようです
●「M561 ガマゴート」は1983年の「グレナダ侵攻」に参加、空輸により同地へと送られ、兵員や物資の輸送、そしてアメリカの民間人の救出に貢献しています
●1985年、アメリカ軍は「M151」や「M561 ガマゴート」などの小型車両を統合させるものとして汎用高機動車両「ハンビィー」を開発、この「ハンビィー」の配備により「M561 ガマゴート」は徐々に装備から外され、1990年代初頭にはほぼ全車が退役しています
●このようにアメリカ軍車両としては短命に終わった「M561 ガマゴート」ですが、その特異なスタイルと機能からミリタリーファンから高い人気を博しています
【 「アメリカ カーゴトラック 6×6 M561 ガマゴート」のキット内容について 】
●このアメリカ軍の汎用高機動トラック「M561 ガマゴート」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●実車の持つ各部部材の質感の違いや、ソフトスキン車両ならではの柔らかさを感じる微妙なボディラインなどをタミヤタッチの極めて高いレベルで再現、装甲車両とは異なる実感を豊かに再現しています
●実車の特徴の一つである複雑な足周りは、一体成型を重視しながらも彫刻の妙により精密感を演出、タミヤならではの作り易さを配慮したパーツ構成で、模型としての作る楽しさとソフトスキン車両としての造りの細かさとを両立させた内容となっています
●アメリカ軍の同時期におけるジープ型車両「M151」よりもかなり大型の車両のために存在感が大きく、またその独特のフォルムは目を引きますので、「M60A1」などの戦闘車両や「M151」などのソフトスキン車両同士のジオラマシーンの演出、そして単品としても充分に見応えのある作品として楽しむことができるでしょう
●「M561 ガマゴート」は、前部の「トラクターモジュール」と、後部の「トレーラーモジュール」との2ブロックで構成されています
【 トラクターモジュール 】
●トラクターモジュールは、その特徴的なスタイルを再現、繊細かつ立体的なモールドにより各部のグリルや細かなリベットなどが質感高く再現されています
●「トラクターモジュール」は、バスタブ式に一体成型されたフロアパネルパーツに、サスペンション、前面及び後面パネル、内装、エンジンフードなどを取り付ける構成となっています
・ 前部と後部のサスペンションは一体成型で、アーム部分と前輪のコイルスプリングは別パーツです
・ ステアリングは固定式です
・ 排気管は1パーツで構成され、先端部は開口処理されています
●前面パネルは一体成型となっています
・ 前照灯は前面パネルに一体成型され、ガラス部はクリアーパーツです
・ ライトガードがパーツ化
・ 前面パネルには上部のグリルがモールドされ、そのカバーは別パーツです
・ ウィンカーは本体とガラス部で構成、ガラス部はクリアーパーツです
・ サイドミラーは、ミラー本体と支柱との2パーツで構成
・ ホーン及びホーンガードがパーツ化
●車体前部に装備されるウインチが付属しています
・ ウインチはワイヤーが巻かれている状態が表現され、ウインチ本体は上下分割式、基部は3パーツで構成されています
●フロントウィンドーは着脱状態を選択することが可能
・ フロントウィンドーは、枠の部分が成型色パーツ、ウィンドーはクリアーパーツです
・ ワイパーは枠の部分にモールドにて再現
●内装部分は、内装のフロアパネルと後部パネルとが一体成型されています
・ 座席は各1パーツで再現
・ 各種レバー類がパーツ化
・ ダッシュボードは1パーツで構成され、メーター類を再現するデカールが付属しています
●エンジンフードは本体と両側面との3パーツで構成
●タイヤは、本体と内側内部の2パーツで構成されています
・ タイヤは内蔵させるポリキャップにより回転可動します
【 トレーラーモジュール 】
●トレーラーモジュールは、プレス式によるアングル材とパネルによる複合構造を再現、極めて繊細な彫刻によりその部材の違いまで再現されています
●トレーラーモジュールは、バスタブ式に一体成型されたフロアパネルパーツに、シャーシ、各パネルなどを取り付ける構成となっています
・ サスペンションはシャーシ部分に一体成型され、上下のアームは別パーツです
・ 後輪のコイルスプリングは別パーツです
・ 後部パネルは、本体部分とランプとで構成され、ランプは開閉状態が選択できます
・ ランプ部分に装備される車載工具類は、内側の工具類と外側のシャベルとの2パーツで構成
●タイヤは、本体と内側内部の2パーツで構成されています
・ タイヤは内蔵させるポリキャップにより回転可動します
●トレーラーモジュールは、トラクターモジュール後部のシャフトの取り付け部に内蔵させるポリキャップにより、回転及び左右に可動します
【 フィギュア 】
●ドライバーのフィギュアが1体付属しています
・ 操縦席に座り、片手をハンドル、片手をボディ側面に置いているポーズです
・ 服装は、「ウッドランドパターン」と呼ばれる「BDU迷彩服」にボディアーマーを着用、「フリッツ型」と呼ばれるヘルメットを被った姿です
・ 服の皺の表現はスケールに沿っており、靴の紐やボディアーマーの細部などは繊細かつ立体的なモールドで彫刻されています
・ フィギュアは、頭部、上半身、下半身、両腕のパーツ構成となっています
【 塗装とマーキング 】
●「M561 ガマゴート」のマーキングとして、アメリカ軍仕様となる3種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 第82空挺師団所属 (グレナダ / 1983年)
・ 第3海兵師団所属 (キャンプ富士)
・ 所属部隊不明 (1976年)
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、部隊マーク、部隊表示、車台番号などを再現したデカールが付属しています
●組立説明書のほかに「M561 ガマゴート」の解説が書かれたモノクロのリーフレットが付属しています
●2013年 完全新金型
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【 「アメリカ カーゴトラック 6×6 M561 ガマゴート」のワンポイント 】
●「M561 ガマゴート」は、不整地での輸送に特化した車両であり、戦闘車両とは異なる一見すると地味な車両です
●また、このような複雑な足周りを持つ車両は、現在のAFVモデルのキット傾向では細分化されたパーツ構成による「超絶」なものとなりがちです
●本キットは、プラモデルのトップメーカーであるタミヤの製らしく、特にソフトスキン車両での評価が高い同社らしい「逸品」に仕上がっています
●精密さと作りやすさとがしっかりと考慮されており、パーツ数を抑えながら車両の細かな造りを十二分に再現、パーツ状態で見ただけでもその秀逸さが伝わってきます
●前述のように地味な車両ですが、タミヤらしいメリハリのあるモールドと質感まで感じる彫刻により存在感も充分です
●過度にディテール追求せずにユーザーに自由を与えながらポイントはしっかりと押さえているというこのキットの内容は、他のメーカーの追従を許さないタミヤならではの模型としての方向性を我々に示したものとも言えることでしょう