ドイツ タイガー 1 重戦車 中期型 ノルマンディー上陸作戦70周年キット
「ドイツ タイガー 1 重戦車 中期型 ノルマンディー上陸作戦70周年キット (プラモデル) (アカデミー 1/35 Armors No.13287 )」です
●第2次世界大戦時におけるドイツ軍の重戦車「タイガー 1」の「中期型」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●絶大な威力を示した主砲と重装甲により連合軍将兵を恐怖に陥れた重戦車「タイガー 1」を再現、避弾経始を考慮しない垂直に切り立った装甲を持つ車体に、馬蹄形の砲塔を装備した重厚なフォルムを表現した内容となっています
●車長キューポラがペリスコープを装備した新型となり、千鳥式の転輪を持つ「タイガー 1」の「中期型」が再現されています
●アカデミー社製「タイガー 1 中期型 内装パーツ付」をベースに、内装パーツとフィギュアを省き、砲塔、砲身、キューポラ、エンジングリルなどを新規パーツへと変更したリニューアル版となります
●ノルマンディー上陸70周年記念版として、新規のカルトグラフ社製デカールがパッケージされています
・ デカールはノルマンディ戦の投入された「タイガー 1」のマーキングを再現したものが含まれていますが、他の戦線の車両のデカールも付属しており、「タイガー 1」の「中期型」のマーキングを広く再現した内容となっています
【 「ノルマンディ戦のタイガー 1 中期型」について 】
●重戦車「タイガー 1」は、1942年の末から戦線に投入、従来のドイツ軍戦車「1号戦車」~「4号戦車」とは全く異なる性能を持つ「タイガー 1」は連合軍戦車を寄せ付けない活躍を見せます
●しかし、このような「タイガー 1」も欠点を持っており、配備部隊から最も指摘されたのが車長キューポラでした
・ 「タイガー 1」の「初期型」に装備された円筒状の車長キューポラは十分な装甲を持っていましたが、この砲塔から上に突き出した車長キューポラは連合軍の砲火の的となり、装甲を貫通しなくても被弾の衝撃でキューポラが持ち上がってしまう例も少なくありませんでした
・ また、車長キューポラに装備された直接式の視察装置は、ソ連軍の対戦車ライフルの格好の標的となり、防弾ガラスを突破った対戦車ライフルの銃弾によって乗員が死傷する事案も多発します
●この戦訓を受けて1943年7月から生産されたのが「タイガー 1」の「中期型」で、車長キューポラは間接式の視察装置となるペリスコープを装備し、背の低い新型へと変更されました
●また、露出した状態で取り付けられていた車体後部のエアフィルターは、被弾に弱いことから廃止されています
●1944年6月、ノルマンディに連合軍が上陸、反攻のための橋頭堡を確保しようとする連合軍と、連合軍を海に追い落とそうとするドイツ軍の間で激戦が繰り広げられました
●ドイツ軍はこのノルマンディ戦において「タイガー 1」を装備する重戦車大隊を3部隊投入、その内訳は国防軍の第503重戦車大隊、武装親衛隊の第101重戦車大隊、同第102重戦車大隊でした
・ これらの重戦車大隊は、ノルマンディ戦の直前に編成や再装備が行われた関係で、生産時期から「タイガー 1」の「後期型」が中心となっていました
・ ただし、武装親衛隊の第101重戦車大隊は1944年初期に編成され、更に第3中隊の全てと第1中隊の一部は車両の受領が早かったために、「タイガー 1」の「中期型」が配備されています
・ 第503重戦車大隊にも「タイガー 1 中期型」の存在が認められる写真がありますが、不確定要素が多く、はっきりとは分からないようです
●これらの部隊の「タイガー 1」は、その強力な火力により攻勢を行う連合軍戦車を血祭りに挙げ、特に第101重戦車大隊の「ミヒャエル・ビットマン」の「ヴィレル・ボカージュ」における活躍は有名な戦史となっています(「ミヒャエル・ビットマン」の乗る「タイガー 1」は「後期型」)
●しかし、連合軍による物量と4発重爆撃機まで投入した航空支援はドイツ軍の戦力を奪い、アメリカ軍による攻撃作戦「コブラ作戦」によってドイツ軍の戦線は決壊してしまったのでした
【 「ドイツ タイガー 1 重戦車 中期型 ノルマンディー上陸作戦70周年キット」のキット内容について 】
●この軍の重戦車「タイガー 1」の「中期型」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●1/35スケールのオーソドックスなパーツ構成で「タイガー 1 中期型」のフォルムとディテールを再現した内容となっています
●「タイガー 1 中期型」は、「砲塔」「車体」「後部パネル」の3ブロックで構成されています
【 砲 塔 】
●砲塔は、特徴的な馬蹄形のフォルムを始め、各部の溶接跡、ボルト穴、キューポラの溶接跡などのディテールが細かく再現されています
●「88mm戦車砲 KwK36」の砲身は、前後方向に3分割したパーツで構成されています
・ マズルブレーキは、本体、中央の間仕切り、先端部の3パーツで構成され、その内部構造も再現 ・ 防盾は、前後方向の分割で3層で構成されており、先端の装甲スリーブは別パーツとなります
・ 防盾(砲身)は、完成後も上下可動とすることができます
●砲塔は、左右に分割したパーツ構成で、これに天板パーツを取り付けます
・ 車長ハッチ、装填手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ ベンチレーター、後部脱出ハッチ、ピストルポート、側面の視察スリット部は別パーツにて再現
・ 予備履帯の取り付け基部は個別にパーツ化されています
・ 車長キューポラに装備される対空機銃と機銃架がセットされ、対空機銃用の対空照門を再現するエッチングパーツも付属しています
●砲塔後部のゲベックカステンは、本体と底面の2パーツで構成されています
【 車 体 】
●平面で構成された「タイガー 1 中期型」の車体レイアウトを再現、「中期型」の特徴となる車体後部のトラベリングロックなどが再現されています
●車体は、バスタブ状に一体成型された車体下部に各パネルを貼り合わせて作製します
・ 車体上部パネルは「初期型」用のパーツとなっており、ボッシュライト基部、Sマイン発射機のベースなどのモールドを削って使用します
・ 車体後部のエンジングリル部は、各点検パネルごとにパーツ化されています
・ エンジングリル部のメッシュを再現するエッチングパーツが付属しています
・ 操縦手ハッチ、前方機銃手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 車体後部のトラベリングロックがパーツ化、ロックは解放状態のみとなります
●戦闘室前面パネルには、操縦手用クラッペ、前方機銃マウントがパーツ上に一体成型して再現されています
・ 前方機銃は一体成型のパーツで再現
・ ボッシュライトは前後に分割したパーツ構成で、ベースのパーツに取り付けます
●車載工具類は、個別にパーツ化され、固定具が工具類のパーツ上に一体成型して再現されています
・ 牽引ワイヤーも固定具が一体成型された状態で再現、後部の固定具は別パーツとなります
・ 履帯交換用ワイヤーも固定具を含めて1パーツで再現
●サイドフェンダーは左右それぞれ一体成型のパーツで再現されています
●サスペンションアームは車体とは別パーツとなっています
・ 起動輪、誘導輪、転輪は前後に分割したパーツで構成され、内蔵するポリキャップにより回転可動させることができます
・ 車体の内部構造となるトーションバーがパーツ化されています
【 後部パネル 】
●車体後部パネルは一体成型のパーツで再現
・ 筒状の車間表示灯は別パーツとなっています
・ 排気管は上下に分割したパーツで構成され、蓋を支える支柱は1本ずつパーツ化
・ 排気管カバーはプラパーツにて再現しています
【 履 帯 】
●履帯は、軟質素材によるベルト式履帯が付属しています
・ 履帯は、接地部分にハの字状の滑り止めパターンが付いた「タイガー 1」用の「後期型」履帯が再現されており、モデルカステン製「ティーガー 1型 戦車用履帯 (後期型) (可動式)」がこれに対応しています
・ 履帯のリング状への接続は焼き止めとなります
●エンジングリルのメッシュ、対空照門などを再現するエッチングパーツが付属しています
●ポリパテとブレードによりツィンメリットコーティングを再現するためのエッチング製のブレードが付属しています
・ ポリパテとブレードによりツィンメリットコーティングを再現する方法は、タミヤ社製「ドイツ 重駆逐戦車 エレファント」のページを参照して下さい
【 「タイガー 1 中期型」の塗装とマーキング 】
●「タイガー 1 中期型」のマーキングとして、ドイツ軍仕様となる11種類の塗装例が説明書に記載されています
・ SS第101重戦車大隊 第1中隊 131号車 (ノルマンディ / 1944年7月)
・ SS第101重戦車大隊 第3中隊 334号車 (フランス・アミアン / 1944年5月)
・ SS第101重戦車大隊 第3中隊 312号車 (ベルギー・モン / 1943年~1944年冬)
・ 第501重戦車大隊 (東部戦線 / 1944年4月)
・ 第502重戦車大隊 「オットー・カリウス」乗車車両 (マリファーナ / 1944年7月)
・ 第502重戦車大隊 (ネルヴァ戦線 / 1944年)
・ 第506重戦車大隊 (ウクライナ / 1944年4月)
・ 第506重戦車大隊 (ウクライナ / 1943年~1944年冬)
・ 第501重戦車大隊 (東部戦線 / 1944年3月)
・ 第503重戦車大隊 (東部戦線 / 1943年~1944年冬)
・ 第508重戦車大隊 (ローマ近郊 / 1944年2月)
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、部隊マーク、車体番号、パーソナル記号などを再現したデカールが付属しています
・ デカールのプリントはカルトグラフ社製
【 「ドイツ タイガー 1 重戦車 中期型 ノルマンディー上陸作戦70周年キット」のパッケージ内容 】
・ ドイツ軍 タイガー 1 中期型 ×1
・ エッチングシート ×2
・ デカールシート ×1
●2014年 一部新金型
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【 「ドイツ タイガー 1 重戦車 中期型 ノルマンディー上陸作戦70周年キット」のワンポイント 】
●「タイガー1」はAFVモデルとしての最人気アイテムであり、その内容はドイツ軍ファンならずとも気になるところです
●キットは、アカデミー社らしいエッチングパーツやコーティングブレード、そしてカルトグラフ社のプリントによるデカールなどが付属した、一見すると豪華なキットに見えます
●ただ、商品を販売する立場であるエムズとしては言い辛いことなのですが、アカデミー社のこのキットはパーツをじっくりと眺めてみると他社の「タイガー 1」のキットの影(影響?)が見られるところがあります
●タミヤの「タイガー 1」のキットと、ドラゴンの「タイガー 1」のキットの中間的な存在と言うこともできますが、車体上部は「初期型」のパーツとなっており、「中期型」を再現するにはそのパーツ上のモールドを削り取らなくてはいけないというようなチグハグな構成ともなっています
●ただ、付属のデカールは「タイガー 1 中期型」の有名車両が網羅されており、「中期型」の車両をコレクションする際には有用なキットであることも事実です