日本海軍 軽巡洋艦 矢矧 レイテ沖海戦
「日本海軍 軽巡洋艦 矢矧 レイテ沖海戦 (プラモデル) (ハセガワ 1/350 Z帯 No.40092 )」です
●太平洋戦争時における日本海軍の軽巡洋艦「矢矧」を1/350スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●1944年10月の「レイテ沖海戦」時の姿を再現しています
●従来の5,500t級軽巡洋艦に代わる水雷戦隊の旗艦として建造された軽巡洋艦「矢矧」を再現、スマートな船体に近代的な砲塔、艦橋、各種構造物を配置した端整なシルエットを再現した内容となっています
●ハセガワ社製「日本海軍 軽巡洋艦 矢矧 天一号作戦」をベースとして、「レイテ沖海戦」時の状態を再現するために、探照灯台座などを新規パーツに変更したバリエーションキットです
【 「日本海軍 軽巡洋艦 矢矧 レイテ沖海戦」のキット内容について 】
●日本海軍の軽巡洋艦「矢矧」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●条約明けの軽巡洋艦として美しいスタイルを誇る軽巡洋艦「矢矧」を再現、1/350スケールならではの高い解像度を活かして細やかな艤装や、船体各部のディテールをハセガワらしいパーツ構成と彫刻で再現した内容となっています
●「矢矧」は、竣工後から戦訓により対空兵装を中心に度々増強が行われており、キットは「レイテ沖海戦」時における機銃増設、電探の装備、そして探照灯台座を船体中央部に設置した状態を再現しています
●喫水線以下の部分も再現したフルハルモデルです
●「矢矧」は、「船体」「上甲板」「艦橋などの上部構造物」「主砲などの艤装類」の各ブロックごとに分割した構成となっています
●各ブロックをそれぞれ個別に組み立てて、上甲板、構造物と艤装類を船体ブロックへと取り付けて完成させます
●船体部は左右に分割したパーツで構成
・ 船体には「ビルジキール」「デッドウッド」を一体成型化しています
・ 船体には、「舷外電路」「舷窓」「フェアリーダー」「ボラード」「塵捨て管」「ホース」「パイプ」などをモールドで再現しています
・ 舷側の鋼板継ぎ目を繊細な凸状のモールドで再現、一部の鋼板パネルは別パーツ化しています
・ 左右分割した船体を組み立る際、船体パーツの間に歪みを防ぐための「桁パーツ」を挟みこむ構成となっています
・ 船底部の「推進軸」(×4)、「推進軸支柱」(×4)、「スクリュー」(×4)、「舵」(×1)を別パーツ化しています
●上甲板は、前部、中央部、後部で分割しています
・ 甲板上には、リノリウム押さえ、滑り止め、主砲台座、魚雷発射管台座、カタパルト台座、魚雷運搬軌条などの基本構造の他、「ボラード」(一部)、「昇降口」などの細かなディテールをモールドで再現しています
「矢矧」の艦上の構造物は下記のようなパーツで構成しています
●艦橋
・ 艦橋の下部構造物は、各パネルを箱組み状に貼り合せて作製、これに4層で構成される羅針艦橋部を積み上げて完成させます
・ 「艦橋窓枠」はクリアパーツとなっており、窓の部分を一段凹んだ状態で再現し立体感を演出しています
・ 「防空指揮所」の前面には遮風装置を一体成型化
・ 艦橋内部を再現、「羅針盤」「双眼鏡」などを別パーツ化しています
・ 「防空指揮所」に装備する、各種「双眼鏡」と「測距儀」を別パーツ化
・ 艦橋トップに装備する、「6m測距儀」(×1)、「94式方位盤」(×1)、「方位測定器」(×1)を個別にパーツ化しています
・ 「6m測距儀」は上下に分割したパーツで再現、艦橋側に内蔵するポリキャップにより旋回させることができます
・ 艦橋構造物前方に装備する「95式機銃射撃装置」は3パーツで構成、艦橋側に内蔵するポリキャップにより旋回させることができます
・ 艦橋部分に装備する、「40cm探照灯」(×2)、「25mm 3連装機銃(防盾付き)」(×2)、「25mm単装機銃」(×4)、「パラベーン」(×2)、「21号電探」(×1)、「22号電探」(×2)などを別パーツ化、探照灯はクリアパーツで再現しています
●メインマスト
・ メインマストは3脚檣型です
・ マスト中央の十字部分は一体成型のパーツで再現、下部の3脚檣部分はトラス状となった各パネルごとで構成、クロスツリーは別パーツとなっています
・ マストに装備する、「信号灯」(×1)、「電波探知機」(×1)、「13号電探」(×1)を別パーツ化
● 煙突
・ 煙突の本体部分は左右に分割したパーツで構成
・ 煙突トップの雨水カバー部は別パーツ化、カバーの間の部分は開口しています
・ 煙突内部の整風板を別パーツ化しています
・ 煙突の各管は個別にパーツ化
●後部構造物及び後檣
・ 後部構造物は、各パネルを箱組み状に貼り合せて作製します
・ 後檣は、クロスツリーの部分で上下に分割したパーツで再現
・ 探照灯用スポンソンなどは個別にパーツ化しています
・ クレーンは左右に分割したパーツで再現、上部のトラス構造もモールドで再現しています
・ 後部構造物及び後檣に装備する、「25mm3連装機銃(防盾付き)」(×2)、「110mm探照灯」(×1)、「測距儀」(×1)、「信号灯」(×1)などを別パーツ化、探照灯のガラス部分はクリアパーツとなっています
●探照灯台座
・ 探照灯台座は、それぞれ左右に分割したパーツで再現、「探照灯」のフラットは別パーツとなっています
・ 照灯台座上部の「94式高射装置」は上下に分割したパーツで再現、内蔵するポリキャップにより左右旋回します
・ 探照灯台座に装備する、「110cm探照灯」(×2)を別パーツ化、ガラス部分はクリアパーツとなります
●航空機作業甲板
・ 航空機作業甲板は、天板のパーツに、支柱となる各パネルを取り付けて作製します
・ 航空機作業甲板には、航空機軌条をモールドで再現、ターンテーブルは別パーツとなっています
・ 航空機作業甲板上部に設置された「建屋」が付属、5パーツで構成しています
・ 航空機作業甲板に装備する、「25mm 3連装機銃(防盾付き)」(×4)、「25mm単装機銃」(×3)を別パーツ化
●カタパルト「呉2号5型射出機」
・ カタパルトは各パネルを貼り合せて作製、トラス構造とディテールを再現しています
●主砲塔「50口径 41式 15cm連装砲」 ×3
・ 主砲塔は上下に分割したパーツで再現、砲身は1本ずつ個別にパーツ化しています
・ 砲身の砲口は開口しています
・ 砲身は基部に防水布が再現されたパーツと防水布のないパーツの2種をセット、選択して使用することができます
・ 砲身は、完成後も上下可動とすることができます
・ 空中線支柱は1パーツで再現
・ 主砲塔は台座部分に内蔵するポリキャップによって旋回させることができます
●高角砲「60口径 98式 8cm連装高角砲」 ×2
・ 高角砲は上下に分割したパーツで再現、連装状に一体成型となった砲身を挟み込んで作製します
・ 高角砲の砲身は上下に可動させることができます
・ 高角砲は、台座部分に内蔵するポリキャップによって旋回させることができます
●魚雷発射管「92式 61cm 4連装発射管 (シールド付き)」 ×2
・ 魚雷発射管本体は一体成型のパーツで再現、シールドは別パーツです
・ 発射管に装填した魚雷を再現したパーツが付属、4連状に一体成型化しています
・ 魚雷発射管は台座部分に内蔵するポリキャップにより旋回させることができます
・ 予備魚雷装填装置は上下に分割したパーツで再現
●対空機銃
・ 25mm 3連装機銃 (防盾付き) ×10
・ 25mm 単装機銃 ×26
・ 3連装機銃は、銃身部と銃架、防盾の3パーツで再現、単装機銃は一体成型のパーツで再現しています
●内火艇、カッター及びボートダビッド
・ 12m内火ランチ ×1
・ 9mカッター ×1
●艦載機「零式3座 水上偵察機」 ×2
・ 艦載機は、胴体部分は左右に分割したパーツで構成、これに主翼、キャノピー(クリアパーツ)、水平尾翼、カウリング、プロペラ、スピナー、フロート、フロート支柱のパーツを取り付けて作製します
・ 艦載機用の射出用台座(×1)、飛行機運搬台車(×1)が付属
●その他の艤装を再現したパーツとして
・ 艦首、艦尾旗竿
・ 錨
・ ラッタル
・ リール
・ ケーブルホルダー
・ 菊花紋章
・ 予備フロート
・ 各種ダビット
・ 通気塔
・ フェアリーダー
・ 機銃弾薬箱
・ 縦舵機調整台
・ 係船桁
・ 爆雷投下軌条
などをセットしています
●アンカーチェーンは、付属の金属チェーンを使用して再現します
【 エッチングパーツについて 】
●上部構造物の手摺りなどを再現したエッチングパーツが付属しています
●エッチングパーツの主なディテールアップポイントは
・ 探照灯台座の手摺り
・ 艦橋構造物後部の手摺り
・ ラッタル
・ 艦橋構造物のフラット
・ 梯子
・ 単装機銃の台座
・ 本エッチングパーツはハセガワ社製「軽巡 阿賀野型 ディテールアップ エッチングパーツ ベーシック A 」「軽巡 阿賀野型 ディテールアップ エッチングパーツ ベーシック B」などを補完するものですので、同エッチングパーツと併用してご使用下さい
●フルハルモデル展示用のスタンドが付属しています
●艦尾の軍艦旗(直線タイプとなびいている状態の2種)、前部の日章旗、艦載機の日の丸マーク、識別帯、偏流測定線、機体番号などを再現したデカールが付属しています
・ 軍艦旗、信号旗などを再現したシールも付属しています
●「矢矧」の完成時の大きさ
・ 全長 : 498.5mm
・ 全幅 : 54mm
●パーツ数 : 496点
【 「日本海軍 軽巡洋艦 矢矧 レイテ沖海戦」のパッケージ内容 】
・ 軽巡洋艦 矢矧(レイテ沖海戦時) ×1
・ 零式水上偵察機 ×2
・ エッチングシート ×1
・ 金属製チェーン ×1
・ デカールシート ×1
・ シールシート ×1
・ 組立て説明書 ×1
・ カラー塗装図 ×1
●2015年 一部新金型
【 「軽巡洋艦 阿賀野型」について 】
●第1次世界大戦までの海戦では戦艦、装甲巡洋艦といった砲撃力を主体とした艦艇が中心となっていましたが、その後魚雷の性能が向上、魚雷を主武装とした駆逐艦が大きな戦力へと成長します
●この雷撃を念頭においた駆逐艦が採る戦術は、数隻を集中運用することで雷撃時の射撃本数を多くし、射界(射線)の拡大により敵艦の回避行動を困難にする方法でした
●このような数隻で編成される駆逐艦艦隊を駆逐艦艦隊を日本海軍では水雷戦隊と呼び、小型艦ながら主力の大型艦を撃破、撃沈する手段として重要視します
●巡洋艦は搭載する主砲の大きさによって重巡洋艦と軽巡洋艦とに区別するのみでしたが、日本海軍では軽巡洋艦を水雷戦隊の旗艦として用いることを決定します
●これは、駆逐艦と比べて大きいことにより旗艦設備が設け易いことと、駆逐艦よりも大型の主砲を搭載することから敵の駆逐艦との交戦が有利になることが理由で、その建造にあたっては水雷戦隊を構成する駆逐艦と同じ速度性能を持つことが絶対的な条件となりました
・ 他の国の海軍では、主に大型の駆逐艦となる嚮導駆逐艦がその役割を担っています
●これにより1920年初頭に「球磨型」や「長良型」などの5500tクラスの軽巡洋艦が続々と誕生、これらの旗艦が率いる水雷戦隊は世界最高水準の戦闘能力を誇ります
●しかし、1920年代の後半に日本海軍は画期的な駆逐艦「特型(吹雪型)駆逐艦」を建造、その後は軍縮条約の制限を受けながらも駆逐艦の高性能化と大型化が図られていました
●5500tクラスの軽巡洋艦も近代化改装が幾度と行われましたが、1930年代後半には艦歴も古くなり水雷戦隊旗艦としては見劣りし、更には速度性能も駆逐艦と同程度には及ばず、新造艦が望まれるようになります
・ 機関の変更は極めて大掛かりな改修となってしまうために、速度性能の向上は困難でした
●ただし、軽巡洋艦は5500tクラスの隻数が豊富なことにより、軍縮条約下においては他の艦種の建造や近代化改修が重点に行われ、水雷戦隊用の軽巡洋艦の新造は永らく行われませんでした
・ 1923年に竣工した「軽巡洋艦 夕張」は、実験艦の意味合いが強く、海軍内での正式は区分は駆逐艦に分類されていました
●軍縮条約の脱退により保有する艦艇の制限を受けなくなった日本海軍は、1939年に新たなる軽巡洋艦の建造計画を立案、この軽巡洋艦は水雷戦隊旗艦用の「乙型」、潜水戦隊旗艦用の「丙型」に区分していました
●この「乙型」として1940年から建造を開始したのが「阿賀野型」の4隻です
●この「阿賀野型」は、水雷戦隊旗艦として駆逐艦の速力に合わせた高速性と、敵の駆逐艦に対抗するために新型の「15cm連装砲」を搭載、5500tクラスでは1機のみの航空機搭載能力が2機へと増加し、航空機作業甲板も設置していました
●艦の魚雷も3連装魚雷発射管を2基装備し、コンパクトな船体に攻撃力と機動力を兼ね備え、更に索敵能力も向上、日本海軍が理想とした高性能艦となりました
●「阿賀野型」では、対空兵装として新たに開発された「60口径 98式 8cm連装高角砲」(通称「長8cm高角砲」)を2基搭載、これは「秋月型」で有名となる「65口径 98式 10cm連装高角砲」が船体幅の関係から搭載することができず、これをスケールダウンしたもので、高角砲を持たない5500tクラスから比べると対空能力は大幅に向上しています
●しかし、同艦が建造された時期では、同規模の軽巡洋艦として、イギリス海軍では「ダイドー級」が竣工、アメリカ海軍では「アトランタ級」が建造中で、両艦は対空兵装を中心にした防空巡洋艦であり、時代の流れから見ると「阿賀野型」の対空兵装は不十分なものでした
●「阿賀野型」は、1942年から1944年にかけて4隻を竣工、戦争後期に竣工した「酒匂」以外は最新鋭艦として第一線に投入が行われ、新鋭艦に相応しい働きを見せましたが、水上戦闘を行う機会は少なく、3艦共に戦没しています
【 「軽巡洋艦 矢矧」について 】
●軽巡洋艦「矢矧」は、「阿賀野型」の3番艦として1943年12月に竣工しました
●翌1944年2月にシンガポールに進出、同型艦「阿賀野」の戦没により同艦が務めていた「第10水雷戦隊」旗艦の座に就きます
●「矢矧」は、直衛艦として日本海軍の機動部隊が集結するタウイタウイ泊地へと移動、周囲の対潜水艦任務に従事します
●1944年6月、連合艦隊の機動部隊は、アメリカ機動部隊と決戦を挑み、「マリアナ沖海戦」が発生します
●「矢矧」は、機動部隊の直衛艦として同海戦に参加、潜水艦の攻撃により航空母艦「大鳳」と「翔鶴」が失われ、同艦はそれらの艦の乗組員の救助に当たりました
●また、飛来するアメリカ艦載機に対して対空戦闘を敢行しています
●「マリアナ沖海戦」での敗北後、「矢矧」は内地へと一旦帰還、電探や対空兵装の強化が行われ、再び南方のリンガ泊地へと移動します
●1944年10月、アメリカ軍がフィリピン東部のレイテ島に上陸すると、日本海軍は水上戦力による輸送船団の壊滅を図り、「レイテ沖海戦」が発生、「矢矧」はその主力である「栗田艦隊」へと編入されました
●「栗田艦隊」は、フィリピン中央部を進んでレイテ島を目指しますが、途中アメリカ艦載機の空襲を受け、その攻撃を一手に引き受けるように戦艦「武蔵」が撃沈、「矢矧」も命中弾により小破しています
●同艦隊は、損害を受けながらもレイテ島近海へと到達、護衛空母で構成されるアメリカ機動部隊と遭遇し、激戦が始まります
●「矢矧」は、水雷戦隊を率いてアメリカ機動部隊に突進、空母から緊急発進した艦載機による攻撃を受けながらも砲雷撃を行い、駆逐艦を撃沈する戦果を挙げます
●「栗田艦隊」は、アメリカ機動部隊の撃滅を図りますが、艦載機による反撃と護衛艦艇の捨て身の行動による損害の大きさ、そして混乱した戦況から一定の戦果を挙げたものと判断して戦場からの離脱を決定、ブルネイへと反転します
●しかし、アメリカ軍の艦載機による攻撃は執拗で、その帰途において艦隊は僚艦「能代」を失い、「矢矧」も多くの損害を被りました
●「矢矧」は、内地へと帰還後、修理を受け、第2水雷戦隊の旗艦として戦艦「大和」の護衛任務に就きます
●1945年4月、「大和」は「天一号作戦」として地上戦が行われている沖縄に向けて出撃、「矢矧」は駆逐艦8隻を従えて「大和」に随伴しました
●鹿児島と沖縄の中間地点において、艦隊はアメリカ艦載機の猛攻を受け、「矢矧」は雷撃に受けて航行不能に陥り、「大和」への追従が不可能となります
●停止状態の「矢矧」には、その後もアメリカ艦載機の攻撃が繰り返されますが、同艦は対空戦闘を繰り広げ、1時間半の激闘の後、魚雷6本、爆弾10発以上の被弾により、壮絶な最期を遂げたのです