日本重巡洋艦 鈴谷
「日本重巡洋艦 鈴谷 (プラモデル) (タミヤ 1/700 ウォーターラインシリーズ No.343 )」です
●「日本重巡洋艦 鈴谷 (すずや)」です
●太平洋戦争時における帝国海軍の「重巡洋艦 鈴谷」を1/700スケールで再現したプラスチックモデル組立てキット
●太平洋戦争時における帝国海軍の最新鋭「重巡洋艦 鈴谷」を再現、同系艦「最上」「三隅」と異なる設計となった船体や艦橋など、従来の重巡洋艦とは異なるコンパクトなデザインの艦橋を持つ、端整かつ均整の取れたシルエットを再現した内容となっています【 「重巡洋艦 最上型」について 】
●1930年に締結されたロンドン軍縮会議の結果、巡洋艦、駆逐艦などの補助艦艇の保有制限が定められ、帝国海軍は重巡洋艦の枠は既存の「古鷹型」「妙高型」「高雄型」で一杯となり、新たに重巡洋艦を建造することができなくなりました
●また、保有する軽巡洋艦は、第1次世界大戦時に設計された5500tクラス以降建造されておらず(実験的な艦である「夕張」を除く)、旧式化が目立ち始めていました
●そこで、重巡洋艦の一定義となる「20cm砲」以下の主砲を搭載し、従来の軽巡洋艦よりも大型で火力を大幅に増強した大型軽巡洋艦の建造計画が立てられ、「最上型」4隻と「利根型」2隻が建造されます
・ 「最上型」は、「最上」「三隈」「鈴谷」「熊野」の4隻となります
●「最上型軽巡洋艦」は、軽巡洋艦のカテゴリーに属する「15.5cm砲」を3連装式にした砲塔を5基装備し、重巡洋艦の「20cm砲」とは1門あたりの威力は劣るものの、合計15門という砲火力と、発射速度の早さで火力を補おうとしました
●ただし、将来的な条約破棄を想定し、「最上型」は「20cm砲」へと容易に換装できるように設計がされていました
●「最上型軽巡洋艦」の建造が着工された後、「友鶴事件」が発生、艦艇の復元力が問題視された結果、起工していた1番艦「最上」と2番艦「三隈」はバルジを増設、まだ起工していなかった3番艦「鈴谷」と4番艦「熊野」は設計段階からバルジの装着が計画され、更には船体重心の低下が図られています
●「最上型軽巡洋艦」は1935年から1937年にかけて竣工、当初は「15.5cm砲」を搭載していましたが、1936年の軍縮条約脱退を契機に、1939年から1940年の改装時に「20cm砲」を搭載した重巡洋艦へと生まれ変わりました
・ 「利根型」は、建造の途中から20cm砲へと変更されており、重巡洋艦として竣工しています
●「最上型重巡洋艦」は、「利根型重巡洋艦」と並び帝国海軍が誇る最新鋭の重巡洋艦であり、その安定した性能により活躍、「重巡洋艦 三隈」は「ミッドウェー海戦」で戦没し、重巡洋艦の最初の喪失艦となりましたが、他の3艦は「レイテ沖海戦」まで戦い続け、連合艦隊の主軸となっています
【 「重巡洋艦 鈴谷」について 】
●「重巡洋艦 鈴谷」は、前述のように大型「軽巡洋艦 最上型」の3番艦として1933年に建造が開始され、1937年に竣工しました
●「重巡洋艦 鈴谷」は、同型艦3隻と共に「第7戦隊」を編成、太平洋戦争が開戦すると同戦隊は南方へ派遣され、マレーやインドネシア方面の攻略作戦に参加します
●1942年6月の「ミッドウェー海戦」では、「鈴谷」を含む第7戦隊は「攻略部隊」に編入、「ミッドウェー島」への上陸部隊を護衛して同海域へと進みます
●しかし、アメリカ艦載機の攻撃により前衛の機動部隊が壊滅、「第7戦隊」は主力部隊が夜間戦闘により敵艦隊を撃破するという計画が立てられ、ミッドウェー島の飛行場を砲撃して無力化を図るために、一旦同島に向かって突き進みました
●ところが、作戦の中止が決定、暗闇での転舵と、アメリカ潜水艦の出現により陣形が乱れ、「最上」と「三隈」とが衝突してしまいます
●速度が落ちた2隻は、翌朝アメリカ軍機に攻撃され、「三隈」は大破、炎上、航行不能状態となりました
●「鈴谷」は、旗艦「熊野」から戦場から離脱する旨の命令を受けましたが、独断で「三隈」の乗員の救出活動を行いました
●その後「重巡洋艦 鈴谷」は、第2次ソロモン海戦やマリアナ沖海戦に参加しましたが、主に機動部隊に随伴する直衛艦として用いられたために、個艦での目立った活躍は有りませんでした
●1944年10月の「レイテ沖海戦」では、「重巡洋艦 鈴谷」は水上戦力の主力となった「栗田艦隊」へと編入、同艦隊はレイテ沖のアメリカ輸送船団及びその護衛艦隊に打撃を与えるために、フィリピン中央海域を突き進んでレイテ島を目指します
●しかし、この「栗田艦隊」の行動は、幸先が悪く、フィリピンに到達するまでに潜水艦の雷撃により重巡洋艦「愛宕」と「摩耶」が戦没、「高雄」が大破してしまうという損害を受けました
●フィリピン中央部のシブヤン海においてアメリカ艦載機の大群が同艦隊を襲い、「戦艦 武蔵」が激闘の末に失われてしまいます
●「栗田艦隊」はフィリピン中央部を抜け、レイテ島の入り口となるサマール沖へと到達、そこで護衛空母から編成されるアメリカ機動部隊と遭遇、「栗田艦隊」は敵艦隊に向けて突進を開始します
●アメリカ機動部隊は必死となって退避行動を展開、護衛の駆逐艦は煙幕を天張しながら空母の後退を果敢に援護、砲雷撃によって「栗田艦隊」の空母への攻撃を阻止しようとします
●また、護衛空母は搭載していた航空機を急速発進させ、持ちうる能力の全てを投入させて抵抗を試みました
●「重巡洋艦 鈴谷」は、アメリカ機動部隊の護衛の駆逐艦との砲撃戦を開始しますが、空母から発進した航空機により至近弾を受けて損傷し、艦速に影響が出てしまいます
●更に、アメリカ機動部隊との交戦中止後、再びアメリカ艦載機の攻撃を受けて搭載魚雷が誘爆、致命傷となります
●なおもアメリカ軍機の攻撃は続き、乗員は復旧に努めましたが、他の魚雷や砲弾の誘爆が発生、遂には総員退艦命令が下され、その後に同艦はその姿を沈めて行ったのでした
【 「日本重巡洋艦 鈴谷 (すずや)」のキット内容について 】
●この帝国海軍の重巡洋艦「鈴谷」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●重巡洋艦「鈴谷」をシャープかつ実感豊かに再現、タミヤらしいキレのあるモールドと優れた造形力により洗練された同艦のフォルム、ディテールが表現された内容となっています
●タミヤ社製「日本重巡洋艦 三隅 (みくま)」のバリエーションキットではなく、「鈴谷」としての細部の違いを詳細に再現、船体部分の微妙な幅の相違、上部構造物の配置状況など、同艦の特徴が最新のリサーチにより表現されています
・ 艤装類、前後の上甲板以外は新規パーツとなっています
●「重巡洋艦 鈴谷」は、竣工時の軽巡洋艦時代、砲塔を換装して重巡洋艦となった改装時、戦訓による対空兵装強化時というように時代を追って姿が変化しており、本キットでは重巡洋艦への改装直後の状態が再現されています
●艦体喫水線までが再現されたウォーターラインモデルです
●「重巡洋艦 鈴谷」の船体部は左右分割式となっています
・ 船体部には、舷側の舷窓、フェアリーダー、副錨などが再現されています
・ 船体部の魚雷発射管口は開口処理済み
・ 船体部にはカタパルト台座基部が一体成型されています
・ ウォーターラインモデルに欠かせない船体下を塞ぐ平らな船底パーツが付属、オモリとなるバラストも付属しています
●上甲板は、「前部甲板」「後部甲板」「艦橋甲板及び飛行甲板部」の3分割式となっています
・ 甲板上には、主砲塔台座、リノリウム押さえ、滑り止め、航空機運搬用軌条の基本躯体の他、リール、ボラード、パラベーン、昇降口などの細かなディテールが再現されています
・ 魚雷発射管部分の甲板パーツが付属、甲板部には予備魚雷がモールドにて再現
●上甲板上の構築物となる「艦橋部」「主砲部」「高角砲部」「カタパルト部」「煙突部」「後部艦橋部」などを個別にブロック化して構成、それぞれを甲板上に取り付けて完成させます
「重巡洋艦 鈴谷」の艦上の構造物は下記のようなパーツで構成されています
●艦橋
・ 艦橋は5層で構成され、トップの測距儀、射撃指揮所が別パーツにて再現
・ 羅針艦橋の窓がシャープに彫刻されています
・ 羅針艦橋の下部前面は別パーツで、操舵室、作戦室の窓が再現
・ 前檣楼支柱がパーツ化
・ 艦橋部分を構成する、91式高射装置(×2)、60cm信号灯(×2)、「25mm連装機銃」(×2)などが付属しています
●前檣
・ 前檣は三脚檣型、トップは1本の単檣となっています
・ マスト下部は前後分割式で、方位測定室が一体成型されています
・ マスト上に設置された「方位測定器」が付属
● 煙突
・ 本体部分は左右分割式で、煙突トップ部は別パーツ化、雨水カバー部はシャープなモールドで開口処理されています
・ 副管の一部は別パーツです
●後檣
・ 後檣は三脚檣型、トップは1本の単檣となっています
・ 三脚檣の部分は前後分割式で、中央部のヤードは別パーツです
・ 三脚檣の後部パーツにはクレーンが一体成型されています
●探照灯台座、及び探照灯
・ 探照灯台座は、上部の110cm探照灯と一体成型されています
・ 台座部分にはトラス構造が再現
●高角測距儀
・ 4.5m高角測距儀と台座部分は一体成型されています
●中央機銃座
・ 機銃座は一体成型となっています
・ 機銃座に装備される「25mm連装機銃」(×4)が付属
●カタパルト「呉式2号5型射出機」 ×2
・ カタパルトは一体成型のパーツで再現、側面のトラス構造がモールドで表現されています
●後部艦橋
・ 後部艦橋は3パーツで構成され、上部「94式予備方位盤」は別パーツ化されています
●主砲塔部「50口径 3年式2号 20cm砲」 ×5
・ 砲塔は測距儀も含めて一体成型で、砲身部分は1本づつに分割されています
・ 砲身部分には防水カバーが表現されています
・ 2番主砲塔用の砲身は、実艦通りに仰角が付けられています
・ 主砲塔は、甲板部分に内蔵させるポリキャップにより左右旋回が可能です
●高角砲「40口径 89式 12.7cm連装高角砲 A1型改1」 ×4
・ 高角砲はシールド部分と砲身本体との分割式で、砲身部分は連装式に一体成型されています
・ 円形の高角砲台座がパーツ化
●対空機銃
・ 25mm 3連装機銃 ×6(艦橋、機銃座に配置)
・ 機銃は銃身、銃架が一体成型されています
●魚雷発射管「61cm 90式 3連装魚雷発射管 1型」×4
・ 魚雷発射管は3連装式に一体成型されています
●内火艇、カッター及びボートダビッド
・ 11m内火艇 ×2
・ 11m内火ランチ ×2
・ 9mカッター ×3
・ 7mカッター ×1
・ 小型カッター ×1
●その他の艤装を再現したパーツとして
・ 艦尾旗竿
・ 錨
・ 菊花紋章
・ 航空機台車
などがセットされています
●「重巡洋艦 鈴谷」の艦載機として
・ 94式水上偵察機 ×1
・ 95式水上偵察機 ×2
を再現したパーツが付属しています
●静岡模型教材協同組合「大型艦兵装セット」のランナーが2枚付属しており、高角砲、機銃、艦載機、カタパルト、内火艇、艤装類などは同ランナーのパーツを使用します
●艦尾の軍艦旗(直線タイプと、なびいているタイプの2種)、艦載機の日の丸マーク、主砲塔の対空識別マークを再現したデカールが付属しています
●2003年 船体・上部構造物など新金型
●重巡洋艦 最上型 第3弾