日本海軍 航空母艦 雲龍 終焉時
「日本海軍 航空母艦 雲龍 終焉時 (プラモデル) (フジミ 1/700 特EASYシリーズ No.018 )」です
●太平洋戦争後期における日本海軍の航空母艦「雲龍」を1/700スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●アメリカ海軍の空母建造計画に対抗し、戦時簡易型の航空母艦として建造された中型空母「雲龍」を再現、既存の空母をベースに設計が行われ、如何にも日本空母らしい姿を再現した内容となっています
●日本海軍艦艇の中では難易度の高い塗装作業となる、飛行甲板上に幾何学模様の迷彩パターンが描かれた戦争後期における航空母艦「雲龍」を再現したキットで、色分けしたランナーとシールにより、迷彩パターンを施された「雲龍」の姿を再現することができます
【 「日本海軍 航空母艦 雲龍 終焉時」のキット内容について 】
●日本海軍の航空母艦「雲龍」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●フジミ社製「特EASYシリーズ」として航空母艦「雲龍」を再現、船体は迷彩色のベースとなるライトグリーン、艦載機などは艦載機色の濃いグリーン、といった形でランナーごとに色分け、飛行甲板、船体の迷彩塗装、煙突のトップ部分、艦載艇の甲板部などを再現したシールを使用することで、組み立てるだけで塗装を行わなくても迷彩パターンを施した「雲龍」の姿を楽しむことができる内容となっています
・ 舷側部の迷彩色の塗り分けにはシールを使用します
●フジミ社製「日本海軍 航空母艦 雲龍 終焉時」をベースに、「特EASYシリーズ」として成型色を変更、シールを付属したバリエーションキットとなります
・ フジミ社製「日本海軍 航空母艦 雲龍 終焉時」がベースキットですので、通常とおりに塗装を行うこともできますが、飛行甲板の表示線などを再現したデカールは付属していませんのでご注意下さい
●「雲龍」は短い生涯ながら、竣工後に改装を実施しており、本キットでは噴進砲を装備、対空機銃も増設した「最終時」の姿を再現しています
●艦体喫水線までの部分を再現した洋上モデルです
●「雲龍」は、「船体」「上甲板」「飛行甲板」「艦橋などの上部構造物」「高角砲などの艤装類」を、それぞれブロック化して分割した構成となっています
●各ブロックをそれぞれ個別に組み立てて、上甲板、飛行甲板、構造物、艤装類を船体ブロックへと取り付けて完成させます
●船体は左右に分割したパーツで構成
・ 船体部には、格納庫側面を一体成型化しています
・ 左右の舷側を合わせる際に船体に歪みが生じないよう、間に「桁」を挟み込んで組み立てます
・ 船体部には、基本構造物などの他に、舷側の「舷窓」「フェアリーダー」「ホースパイプ」「扉」などの細部をモールドで再現
・ 洋上モデルに欠かせない船体下を塞ぐ平らな船底パーツが付属しています
●上甲板は、船首部分、船尾部分、そしてボート収納デッキに分割しています
・ 甲板上には、滑り止めパターンの他に、「アンカーチェーン」「アンカーチェーン導板」「リール」「ボラード」などの細かなディテールをモールドで再現しています
●飛行甲板は、一体成型のパーツで再現、「エレベーター」は別パーツとなっています
・ 飛行甲板上には、ラテックス甲板を再現しており、「着艦制止装置」の基部、「探照灯蓋」「クレーン蓋」などをモールドで再現しています
・ 「遮風柵」は別パーツ化して再現
・ 側部の兵員用のスポンソンは飛行甲板に一体成型化しています
・ 飛行甲板裏側には細かな梁構造をモールドで再現
・ 前後に存在する「飛行甲板支柱」は、それぞれ別パーツとなっています
・ 「エレベーター」は、昇降状態を選択できます
「雲龍」の艦上の構造物は下記のようなパーツで構成しています
●艦橋
・ 艦橋は上下のブロックで分割しており、上部ブロックは3層のパーツ、下部ブロックは一体成型のパーツで再現しています
・ 「艦橋窓」は窓ガラスにあたる部分を一段凹んだ状態で再現し立体感を演出、艦橋窓の部分を再現したシールも付属しています
・ 艦橋構造物下部には、「窓」「扉」などをモールドで再現しています
・ 艦橋に装備する、「94式高射装置」「(×1)、「21号電探」(×1)、「60cm探照灯」(×1)、「25mm単装機銃」(×2)、「測距儀」(×1)、「探照灯管制器」(×2)などを別パーツ化して再現
●マスト
・ マストは3脚楼型で、前後及びヤードなどの4パーツで再現しています
・ マストに装備する「13号電探」(×1)を別パーツ化
●通信マスト
・ 通信マストは上下方向に3分割したパーツで再現、基部の部分には起倒装置を再現しています
●煙突
・ 本体部分は上下に分割したパーツで再現、トップの雨水カバー金網と内部の整風板は別パーツとなっています
・ 表面上には緊急用排煙口などをモールドで再現
・ 雨水カバー金網はヌケた状態に開口しています
●機銃用スポンソン
・ 機銃用スポンソンはブロックごとに別パーツ化、下面の補強板は1枚ずつモールドで再現しています
・ スポンソン部の支柱は1本ずつ別パーツ化しています
・ 艦首部分の機銃座は、スポンソン、後部構造物、支柱に分割したパーツで再現
・ 機銃用スポンソンには滑り止めパターンの他に、機銃の「弾薬箱」もモールドで再現
●舷側の通路、弾薬供給所
・ 舷側部の通路、弾薬供給所などの構造物は、各ブロックごとにパーツ化しています
・ 通路間のラッタルを別パーツ化
●高角砲 「40口径 89式 12.7cm連装高角砲 (A1型)」 ×6
・ 高角砲は、砲身部と砲架部との2パーツで再現
・ 台座はスポンソン部分と支筒とに分割しています
●噴進砲 「12cm 28連装噴進砲」 ×6
・ 噴進砲はそれぞれ一体成型のパーツで再現しています
・ 噴進砲の台座は左右ブロックごとにパーツ化
・ 台座の支柱は、1本ずつ別パーツ化しています
●対空機銃 「25mm 3連装機銃」 ×16、「25mm 3連装機銃(シールド付き)」 ×4、「25mm単装機銃」 ×27(艦橋部を含む)
・ 各機銃は一体成型のパーツで再現、シールド付きの機銃は3連装状となった銃身とシールド部分との2パーツで再現しています
●艦載機
・ 艦載機は、胴体、キャノピー、主脚、尾脚、プロペラ、増槽もしくは武装に分割したパーツで再現しています
・ 艦載機は濃いグリーンで成型しています
●艦載機内容
・ 艦上攻撃機 天山 ×2
・ 艦上攻撃機 流星 ×2
・ 艦上偵察機 彩雲 ×2
・ 艦上戦闘機 烈風 ×2
●内火艇、カッターなど
・ 12m内火艇 ×3
・ 11m内火艇 ×1
・ 12m内火ランチ ×2
・ 13m特型運搬船 ×2
・ 9mカッター ×2
●その他の艤装を再現したパーツとして
・ 艦首旗竿
・ 錨、副錨
・ 菊花紋章及び艦首フェアリーダー
・ 方位測定器
・ 射撃指揮装置
・ 110cm探照灯
・ 21号電探 (飛行甲板部)
・ リール
・ 舷梯
・ 着艦指示灯
などをセットしています
●飛行甲板、舷側の迷彩パターン部、艦橋窓枠、カッター類の甲板部、内火ランチのキャンバス部、煙突トップの黒い部分、探照灯のガラス部、旗竿に掲げられる軍艦旗、艦載機の日の丸マークなどを再現したシールが付属
・ 飛行甲板のシールは、甲板のラインに沿って前後に分割しており、独特の迷彩パターン、表示線、エレベーター、滑走制止装置、着艦制動装置などをプリントしています
●「日本海軍 航空母艦 雲龍 終焉時」の成型色
・ 船体、船底、飛行甲板、上甲板、スポンソンなど : ライトグリーン (外舷21号色)
・ 艦橋、煙突、スポンソンの一部 : ダークグリーン (外舷22号色)
・ 機銃、内火艇など : グレー
・ 艦載機 : 濃いグリーン
【 「日本海軍 航空母艦 雲龍 終焉時」のパッケージ内容 】
・ 航空母艦 雲龍 (最終時) ×1
・ 艦上攻撃機 天山 ×2
・ 艦上攻撃機 流星 ×2
・ 艦上偵察機 彩雲 ×2
・ 艦上戦闘機 烈風 ×2
・ シールシート ×3
・ 組立て説明書 ×1
●2016年 成型色を変更、特EASY用シールをセットしたバリエーションキット (フジミ社「特EASYシリーズ」第18弾)
【 「雲龍型航空母艦」について 】
●日本海軍は太平洋戦争の直前、世界に先駆けて空母を集中使用するという戦法を立案、当時の正規空母6隻で「第1航空艦隊」を編成します
●この「第1航空艦隊」に搭載された艦載機の合計は500機以上となり、艦載機による機動打撃力は、従来の海軍戦術を根底から覆す程のものとなりました
●一方、アメリカ海軍は1930年代末に大幅な空母の建造計画を立案し、これを実行し始めており、日本海軍は1941年に航空母艦「大鳳」の建造を開始、続いて中型空母として航空母艦「雲龍」の建造計画を進めました
・ この「雲龍」は、航空母艦「飛龍」を設計のベースとしていましたが、「飛龍」では艦橋の配置が左舷中央部だったものが、これまでの運用実績により右舷前方へと変更しています
・ また、「飛龍」の建造時から比べると、航空機の性能が発達、大型化したために3基式のエレベーターは2基へと変更、エレベーター自体は大きくなっています
●このような状況の下、「太平洋戦争」が開戦、「第1航空艦隊」は太平洋戦争の緒戦においてその威力を発揮、向かうところ敵無しの状態となります
●ところが、1942年6月の「ミッドウェー海戦」において日本海軍は「第1航空艦隊」の空母4隻を喪失してしまいます
●この空母4隻の喪失は、艦隊航空戦力の大幅な低下を意味しており、日本海軍は新たな空母建造と既存の艦の空母への転用を急ピッチで進めます
●空母の建造は、「大鳳」を改良した装甲空母型のタイプと、「雲龍」をベースにより省力化したタイプの2つのプランを実行、「雲龍」自体も「ミッドウェー海戦」直後の1942年8月から建造を開始、続いてその省力化バージョンとなる2番艦「天城」は1942年10月から、3番艦「葛城」は1942年12月から建造を始め、その後も「笠置」「阿蘇」「生駒」を起工しました
・ 「大鳳」の改良型は1944年に起工しましたが、竣工までに時間を必要とするため、結局途中で建造中止となっています
●この「雲龍型」空母は、日本海軍の艦隊航空戦力の骨格となる存在として期待され、複数の「雲龍型」空母によって空母機動部隊の主力を編成、航空決戦時には「大鳳」や「信濃」という装甲化された空母をアメリカ艦隊に向けての前線基地として展開し、後方に位置した「雲龍型」から航空機を供給して敵を撃破するという作戦方針まで立てられました
●ところが、1944年6月に発生した「マリアナ沖海戦」において、日本海軍はその艦隊航空戦力の全てを投入してアメリカ機動部隊に一大決戦を挑みますが、それまでの消耗戦による日本軍側の航空機搭乗員の練度の低さ、アメリカ軍側の新鋭艦載機の投入、高性能なレーダーによる迎撃態勢、そして「VT信管」という新兵器の登場により海戦は日本側の完敗に終わります
●この海戦の結果、日本海軍は多くの航空機と搭乗員を失ってしまい、逆にアメリカ軍側は豊富な航空戦力を保有し続け、事実上、以後は艦隊航空決戦が不可能となってしまいます
●「雲龍型」は、このような時期に登場した航空母艦であり、航空母艦として運用するには一定の訓練を経た搭乗員と機体が決定的に不足しており、着工していた「笠置」「阿蘇」「生駒」は建造の途中で工事が中止されました
・ 「笠置」の完成度は84%、「阿蘇」「生駒」は60%でした
●完成した「雲龍」「天城」「葛城」も搭載する航空隊は無く、輸送任務への転用や、内地にて係留され、本来の航空母艦としての任務に就くことなく、その生涯を閉じています
【 「航空母艦 雲龍」について 】
●航空母艦「雲龍」は、「雲龍型」航空母艦の1番艦として、1942年8月に建造が開始され、2年間の工期を経て1944年8月に竣工しました
●しかし、「雲龍」が竣工した頃には、ソロモン海域での消耗戦により航空隊はベテランパイロットを失っており、練度の低さは致命的で、さらに1944年6月の「マリアナ沖海戦」において大量の航空機と搭乗員を失った結果、日本海軍は空母を使用した航空戦を行う能力を喪失してしまいます
●また、搭載予定の航空隊も「台湾航空戦」に引き抜かれてしまい、「雲龍」は空母として航空機を搭載することが出来なくなってしまいます
●1944年10月の「レイテ沖海戦」の敗北により、日本海軍は組織的な抵抗を行う能力を喪失しますが、フィリピンを失うことは、戦争を継続するための石油などの戦略物資の輸送路が断たれることを意味しており、日本の陸海軍は必死の防戦に努めました
●そこで、「雲龍」は広い格納庫を利用したフィリピン方面への物資輸送という任務を受け、1944年12月に内地を出航、特攻機「桜花」や特攻艇「震洋」などを積載して同方面を目指しました
●この任務では、3隻の駆逐艦が随伴して護衛にあたっていましたが、12月19日の夕刻、アメリカ潜水艦の雷撃を受け、発射された4本の魚雷の中の1本を被雷、浸水が発生し、速度も低下します
●乗員は必死で損害の回復を図ったものの、更に魚雷を1本被雷、積載物が誘爆し始めて手を付けられない状態となり、「雲龍」はその短い生涯を閉じたのでした