ドイツ超重戦車 E-100 ナハトイェーガー
「ドイツ超重戦車 E-100 ナハトイェーガー (プラモデル) (ドラゴン 1/35 '39-45' Series No.6011X )」です
●「ドイツ超重戦車 E-100 「ナハトイェーガー」」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組み立てキット
●第2次世界大戦において計画されたドイツ軍の超重戦車「E-100」を再現したキットです
●同社「ドイツ超重戦車 E-100」に「赤外線暗視装置(インフラロート)」及び「ドイツ夜間戦闘隊 (ベルリン1945)」のフィギュアをセットしたスペシャルバージョンとなっています
「E-100」について
●ドイツ軍は従来の1~6号戦車シリーズとは、異なる戦車系列である「Eシリーズ」を計画しました
●これは、転輪や部品などを極力共有化し、生産効率を向上させるのが目的で、「E-10」、「E-25」、「E-50」、「E-75」、「E-100」の5車種が計画されました
・ 「E-」の後の数字は車両の重量を示すものです
●しかし、車両の開発の現場では、既存の車両の改良や強化に手一杯の状況で、新車両の開発は遅々として進みませんでした
●結局、試作までにたどり着けたのは「E-100」のみで、その「E-100」自体も車体がほぼ完成した程度で、他の4車種は計画のみに終わりました
●「E-100」は、「タイガー2」を超える超重戦車として計画され、1943年6月から開発がスタートしました(「Eシリーズ」としての「タイガー2」の後継車は「E-75」)
●この「E-100」は、車体前面装甲200mm、側面装甲120mmと強固な装甲を誇り、更に側面には約60mm厚の装甲スカートが用意され、ドイツの超重戦車「マウス」と並ぶ当時最強の防御力を持っていました
●しかし、想定自重100tを超える同車用のエンジンの開発はなかなか進まず、そのため試作車の生産は途中で中止状態となり、その後は細々と組み立て作業が継続される程度となりました
●結局、終戦時までエンジンは完成できず、「E-100」自体も車体の主要部分が完成した状態で止まり、砲塔は未完で、その設計もされなかったようです
●ただ、計画の1つとして「マウス」用の砲塔を載せるというプランも存在し、車体側の砲塔リングもそれに合わせた寸法となっていました
●「E-100」は、完成していれば、間違いなく当時の最強戦車としての存在となっていたはずですが、当時の進んだドイツ工業技術力を持ってしても、100t以上の重量を動かすコンパクトで大出力のエンジンを製造することはできず、その夢は叶うことができませんでした
赤外線暗視装置について
●ドイツ軍は、戦局の挽回を狙い、夜間戦闘及び夜間行軍を行うことができる「赤外線を利用した装置」の開発に熱心でした
●ドイツ軍が大戦の末期に制式化したのが「インフラロート」といわれる「赤外線暗視装置」で、ベルリン戦などで少数が使用されたといわれています
●この「赤外線暗視装置」は、「照射装置」と「暗視装置」の2つのユニットで構成され、「照射装置」で赤外線を照射し、反射してくる赤外線を「暗視装置」で捉えることで、目標を捕捉する仕組みとなっています
●ただし、砲の照準装置に直結させる照準用の暗視装置は少数が「パンター」用(複眼式の照準器を持った「パンターA型」以前のタイプ用)に作られただけで、実際の運用は車長が暗視装置を見ながら砲手の照準を指示するという方式が採られました
●このドイツの超重戦車「E-100」を再現したプラスチックモデル組み立てキットで、「マウス」用の砲塔を載せた状態が表現されています
●キットは、同社初期のキットながら「E-100」の特徴と迫力が捉えられており、各部の溶接跡など、分厚い装甲を持つその姿が再現された内容となっています
●また、最近の同社のニューキットと比べてパーツ数が少なく、比較的容易に形とすることが可能です
●「ナハトイェーガー」セットとして赤外線暗視装置を再現したパーツが付属しています
●主砲身、及び副砲の砲身は左右分割式です
・ マズルブレーキも左右分割式で、側面のブラスト噴射口はエッチングパーツで再現する方式となっています
・ 砲身は上下可動式です
●防盾は、固定用のボルトも含めて一体成型されています
●砲塔は上下分割式となっています
・ 装甲板の溶接跡や、ペリスコープ用の穴を塞いだ跡などがモールドされています
・ ベンチレーター、照準装置、回転式ペリスコープなどが別パーツで再現
・ 側面に取り付けられる予定だった機銃用のボールマウントも別パーツで付属しています
・ 車長、装填手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 砲塔は旋回可能です
●車体上部は、前面、天板が一体成型されたパーツを、車体下部に取り付ける構成となっています
・ 操縦手、無線手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 前照灯の台座部分はエッチングパーツが用意されています
・ エンジングリルの点検ハッチは別パーツです
・ エンジングリル部のメッシュを再現するエッチングパーツが付属
●車体下部は、各パネルを貼り合わせる箱組み方式となっています
・ 側面パネルは、車体上部側面と一体成型されおり、装甲スカート取り付け用の台座が再現さtれています
・ サスペンションは、各転輪ユニットが2パーツの構成です
・ 起動輪、転輪は左右分割式で、誘導輪は3分割式となっています
・ 履帯は接着連結式で、上下の直線部は6枚が一体成型されたパーツと、前後の曲線部は1枚づつが分割されたパーツを使用します
●側面の装甲スカートは片側2分割式です
●エンジングリルのメッシュ、マズルブレーキ側面の穴などを再現するエッチングパーツが付属しています
●赤外線暗視装置(インフラロート)が3個付属しています
・ 操縦手席、車長ハッチ、装填手ハッチに取り付けられるように台座や支持架のパーツが用意されています
・ 暗視装置はクリアーパーツとなっています
●同社「ドイツ夜間戦闘隊 (ベルリン1945)」のフィギュアが4体付属
●第2次世界大戦末期に開発された歩兵用の夜間戦闘装置、曲射銃、対空ロケットを装備して戦う武装親衛隊の兵士4体を再現したキットです
●当時のドイツの技術の粋を集めて作られた最新式装備を持って戦う姿は、ドイツ軍の最終戦となった「ベルリン戦」でのシーンに相応しいことでしょう
・ ただし、この兵器類が実際に「ベルリン戦」で使用されたかは疑わしいので、正確を期すならば仮想上の演出とした方が無難と思われます
●ドイツは第2次大戦では敗れましたが、当時のドイツの工業技術力は他国にはかなわない程の高い水準を誇り、数々の優秀な兵器を生み出していました
●特に、大戦も後期となると起死回生を狙うために、超兵器の開発に拍車が掛かりましたが、連合軍の爆撃や、資材不足などが足枷となり、一部が実戦参加するに止まっています
各兵器について
●歩兵用の赤外線暗視装置(ヴァンピール)は1945年に実用化され、100mの有効射程を持っていました
・ 装置は、小火器上に取り付ける照射装置と、照準装置、そして兵士の背中に背負われるバッテリーなどで構成されていました
・ この暗視装置は、少数が実戦で使われたと言われています
●曲射装置は、建物の影などから敵兵を射撃するための装置として開発されました
・ その思想は、第1次世界大戦の塹壕戦の時代から有ったと言われ、物影から敵を一方的に射撃できるという利点を持ちました
・ しかし、実際の開発には曲射装置の銃身命数が非常に短いなどの障害が立ちふさがり、実用化は難航しています
・ 大戦も末期となると、ようやく生産が始まり、一部は実戦でも使われましたが、費用対効果に乏しく、また戦果の程は良く分かっていません
・ 装置は、銃身先端に取り付ける曲射アタッチメントと、その上部に存在する視察用の斜めに取り付けられた鏡で構成されています
●対空ロケット砲(フリーガーファウスト)は、制空権を失ったドイツ軍ならではの兵器です
・ 機関砲などの対空用火器は生産コストが高く、操作人員も多く必要となるなどの問題が在りました
・ そこで、開発されたのが兵士1人が携行できるような小型で軽量の対空兵器で、構造的に反動が発生しないロケット砲が選ばれました
・ このロケット砲は「フリーガーファウスト」と呼ばれ、小型のロケット弾を多連装式に装備、ロケット自体は非誘導方式で、敵機の進行方向に向かって一斉に射撃をする方法となっています
・ ただ、この兵器は、実戦での使用は定かではなく、生産も少数に止まっています
●フィギュアの服装は、「M44野戦服」に、短靴にレギンスを着用した典型的な大戦末期のドイツ軍兵士の服装となっています
・ 立膝で射撃している兵士フィギュアは、「M43野戦服」を着用しています
●フィギュアは、頭部、胴体、両足、両腕のパーツ構成となっています
・ 立ち姿のフィギュアは、胴体部分に足の上部が一体成型、レギンスから下の部分が別パーツです
●各「フィギュア」のポーズについて
・ 右手に暗視装置付きの「MP-43」を持ち、左手で上方を指差しているポーズです
・ 立ち姿で、暗視装置付きの「MP-43」を構えて射撃しているポーズ
・ 片膝を付いて、曲射装置付きの「MP-43」を射撃しているポーズ
・ 立ち姿で、「フリーガーファウスト」を上空に構えているポーズ
●付属している装備品
・ 「MP-43」突撃銃 ×2
・ 曲射装置付き「MP-43」突撃銃 ×1
・ 小火器用暗視装置 ×2
・ 暗視装置用バッテリー ×2
・ 暗視装置用ケース ×2
・ 「フィリーガーファウスト」 ×1
・ 雑嚢 ×4
・ 「M43」規格帽 ×2
・ 迷彩カバー付ヘルメット ×2
・ 「MP-43」用マガジンポーチ ×6
・ 水筒 ×4
・ 拳銃ホルスター ×1
・ 懐中電灯 ×2
・ 銃剣 ×2
・ 手榴弾 ×1
・ 飯盒 ×3
●マーキングは、1種類の塗装例が説明書に記載されており、マーキング指示に基づく、国籍マークなどを再現したデカールが付属しています
・ デカールのプリントはカルトグラフ社製
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●ワンポイント
・ パッケージには暗視装置のレンズ面が赤色となっていますが、実物の「赤外線照射装置」は黒色(レンズ奥の色)となっていますので注意して下さい
・ 「E-100」は計画戦車であり、キットには装備品類が付属していませんので、実際に実戦配備された状態として他から装備品類を流用しても面白いでしょう