日本戦艦 大和
「日本戦艦 大和 (プラモデル) (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.025 )」です
●太平洋戦争時における帝国海軍の新鋭戦艦「大和」を1/350スケールで再現したプラスチックモデル組立キット、1945年4月の「天一号作戦」時の状態が表現されています
●キットは、戦艦「大和」をタミヤタッチにシャープ且つ繊細に再現、均整の取れたプロポーション、迫力在る船体や主砲、端正な艦橋、ハリネズミのように増設された機銃など、悲運を背負った同艦の魅力が表現された逸品です
●キットは、世界のトップメーカーであるタミヤが開発した渾身の一作であり、これまでに培われてきた同社の模型技術の粋を結集したもので、充分な精密感を擁しながらも、過度にディテールのみを追及するのではなく、模型としての作り易さや、模型作りの楽しさを感じることができるフラッグシップモデルに相応しい内容となっています
●謎が多かった「大和」を、最新の考証をもとに再現しており、増設された機銃の配置、上部構造物の詳細な細部、そして砲塔の下部構造も実物同様に表現されています
●基本躯体はビス止めが多用されており、ビッグスケールモデルとしての強度確保や、各部の塗り分けが行い易いように考慮されています
●主要な武装類、指揮所などは左右旋回が可能となっています
●喫水線以下を省いたウォーターラインモデルと、フルハルモデルとを選択できます
【 日本戦艦 大和 (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.25) プラモデルの内容 】
●「日本戦艦 大和」は、船体上部、上甲板部、艦底部の3ブロックで構成されています
●船体上部は、前部、両側面部の3パーツで構成されています
・ 船体側面には、鋼板継ぎ目が繊細な彫刻で再現、ホースパイプ、舷窓、閉塞された舷窓、梯子などがモールドされています
・ 側面の塵捨て管などは別パーツとなっています
●ウォーターラインモデルとして艦底部を塞ぐ平らな艦底パーツが付属(ビス止め)、フルハルモデルとする場合も、補強用として取り付けます
●上甲板は、艦首、中央部、中央部両側部、飛行甲板、後部甲板(艦載艇格納庫含む)の6パーツで構成されています
・ 艦載機格納甲板は別パーツで、ハンガードアは開閉状態が選択できます
●艦底部は前後分割式で、艦尾のデッドウッド部は左右分割式です
・ 艦底部には鋼板継ぎ目が繊細な彫刻で再現
・ 内部に取り付ける変形防止用の桁のパーツが付属(5個)
・ 主舵と副舵は左右分割式、デッドウッド部に内蔵させるポリパーツによる可動式となっています
・ 艦底部の推進軸、軸受け、スクリューが再現、推進軸は金属シャフト製です
【 日本戦艦 大和 の上甲板上の細部について 】
「艦首甲板」
●艦首甲板には、滑り止めパターンとアンカー導板、ホースパイプがモールドされています
・ 前部フェアリーダーは3分割式、菊花紋章は別パーツです
・ 側部のフェアリーダーは、各1パーツで構成
・ ボラードは1本ずつパーツ化されています
・ 中央のキャプスタンは上下分割式です
・ ケーブルホルダーは別パーツとなっています
・ アンカーチェーンは付属の金属製チェーンで再現、錨は付属のエッチングパーツでチェーンで繋ぎ、実艦通りにホースパイプを通して取り付けます
「中央及び中央側部甲板」
●中央及び中央側部甲板には、木甲板表現(縦横方向)がモールドされ、甲板上の細かな構造物は全て別パーツとなっています
・ 前部の波切り板は3パーツで構成、側部の開口部も表現されています
・ 天窓、昇降口は各1パーツで再現
・ リールは、リール中央部がプラパーツで、側面部と架台部とがエッチングパーツとなっています
・ ボラードは1本ずつパーツ化されており、前後の違いも表現
・ 増設された機銃用の土嚢がパーツ化され、1段式と2段式とを選択できます
・ 機銃のブルワーク、機銃座は各個ごとにパーツ化
「飛行甲板」
●飛行甲板上には、側部及び航空機軌条周囲の滑り止めパターン、航空機軌条がモールドされています
・ 飛行甲板側面部の開口部のメッシュを再現するエッチングパーツが付属
・ 側面下部の細かな支柱は、ブロックごとにエッチングパーツで再現します
・ 側面下部のメイン支柱は左右各1パーツで構成
・ 航空機用のターンテーブル部は別パーツです
・ 各機銃のブルワーク、機銃座は各個ごとにパーツ化されています
「後部甲板」
●後部甲板には、滑り止めパターン、ボート用軌条がモールドされています
・ 後部フェアリーダー、側部フェアリーダーは、各1パーツで構成
・ ボラードは1本ずつパーツ化
・ 側部の短艇格納庫の扉は、開閉状態が選択できます
【 日本戦艦 大和 (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.25) 甲板上の構造物 】
「艦橋」
●艦橋は内装部と外装部、防空指揮所、15m測距儀、射撃指揮所とで構成されています
●艦橋の内装部は、各艦橋内部の構造を再現するために3層構造となっています
・ 戦闘艦橋内部には10個の双眼鏡パーツが用意されています
●艦橋の外装部は、面の構成に沿って縦方向に5分割されています
・ 舷窓、扉、梯子などがモールド再現されています
・ 各艦橋の窓は、ブロックごとにパーツ化され、それぞれクリアーパーツとなっています
・ 遮風板、各管制器などの台座部分は別パーツとなっています
●防空指揮所は、本体部分と後部のヤード部の2分割式です
・ 指揮所内側の補強板が再現されています
・ 防空指揮所に配置される双眼鏡(×14)、測距儀(×2)、信号灯(×2)が付属しています
●15m測距儀は、7パーツで構成され、複雑な桁構造物はブロックごとにエッチングパーツで再現します
・ 内蔵させるポリキャップで、測距儀は旋回可能です
・ 側部の電探はエッチングパーツにて再現
●射撃指揮所は、8パーツで構成され、後部の信号灯支柱は前後2分割式です
・ 上部の方位測定器はエッチングパーツで再現します
●艦橋に装備される、機銃射撃装置(×2)、探照灯管制器2種(各6)、22号電探(×2)、25mm連装機銃(×2)、60cm信号灯(×2)、双眼鏡(×4)などが各個にパーツ化されています
・ 射撃装置、管制器などはポリキャップにより旋回可動式です
・ 信号灯はクリアーパーツとなっています
●艦橋各所に設置されているラッタル、梯子はエッチングパーツにて再現します
「煙突」
●煙突は上下にブロック化され、上下のブロックは左右分割式です
・ 上部の雨水カバー金網、中央部のリング部は別パーツです
・ 煙突内部の整風板は、エッチングパーツで構成されています
・ 周囲の各管は別パーツとなっています
・ 前部の梯子はエッチングパーツです
●煙突下部の探照灯台座は、外装部と内装部の2分割式で、後部の通気口は別パーツです
・ 機銃射撃装置は別パーツで、ポリキャップにより旋回可動します
「中央構造物」
●中央構造物は、一体成型となっており、前部の司令塔の窓、通風口、舷窓、扉、梯子などがモールドされています
・ 後部の機銃座の前面パネルと後面パネルは別パーツで、窓の部分はクリアーパーツとなっています
・ 各機銃、射撃指揮装置の台座部分は、各個のパーツ化されています
・ 高角砲台座は各3パーツで構成、内側の滑り止め、ブルワークの補強板が表現されています
・ 側面に追加された高角砲台座部分は、一体で成型され、側面板は別パーツとなっています
・ 高角砲の各台座部分に付けられる射撃防止ガードは、左右各1パーツで構成されています
「マスト」
●マストは前後分割式で、トラス構造の上部が別パーツとなっています
・ 信号灯台座は別パーツで、信号灯(×2)が付属しています
・ 「13号電探」はエッチングパーツとなっており、3角状のトラスに横方向のアンテナ部を取り付けます
「後部艦橋」
●後部艦橋は、上部と下部、10m測距儀、後部射撃指揮所の各ブロックで構成されています
●後部艦橋上部は、5パーツで構成されています
●後部艦橋下部は、2パーツで構成、機銃射撃装置台座、通風口は別パーツです
・ 機銃射撃装置は、ポリキャップにより可動します
●10m測距儀は、5パーツで構成、測距儀のアーム部分のディテールはエッチングパーツで再現します
・ 測距儀は、 内蔵させるポリキャップで旋回可能です
●射撃指揮所は、8パーツで構成されています
【 日本戦艦 大和 (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.25) 武装、艤装類について 】
「主砲」
●主砲の砲身は、一体成型され、砲口部分は別パーツです
・ 砲身基部のキャンバス部は2種類用意されており、水平状態と仰角を付けた状態とを選択できます
・ 砲身基部のキャンバス受けはエッチングパーツとなっています
●砲塔の本体部分は上下分割式で、上部には繊細な彫刻でボルト状の模様が表現されています
・ 各砲身の砲尾部分が表現されています
・ 砲尾部分にはポリキャップが内蔵され、砲身を差し込む方式となっています
・ 側面の測距儀は3パーツで構成、細部はエッチングパーツにて再現
・ 機銃座は各1パーツで構成されています
・ 梯子はエッチングパーツを使用します
・ 砲塔は左右旋回可能です
●フルハルモデル用として、主砲塔下部の構造物(弾薬庫)が用意されています
「副砲」
●副砲の砲身は基部のキャンバス部も含めて一体成型されています
・ 砲身の基部のキャンバスは、水平状態と仰角を付けた状態の2種類が用意され、選択して使用します
●副砲塔は上下分割式で、前部は別パーツです
・ 上部の梯子が彫刻されています
・ 前後、側部の梯子と、キャンバスのガード部分、後部の張り出し部と手摺りはエッチングパーツとなっています
・ 副砲上部の通信線支柱は2分割式にて再現
・ 砲塔は左右旋回可能です
●副砲基部は7パーツで構成され、搭載されるパラベーンは別パーツです
「12.7cm連装高角砲(風防付き)」
●砲身は連装式に一体成型され、防盾は別パーツ、シールド部は上下2分割式となっています
・ 砲身は上下に可動、高角砲はポリキャップにより左右旋回可能です
「12.7cm連装高角砲(風防無し)」
●砲身は連装式に一体成型され、これに駐退器などが一体成型された上部構造物と防盾を取り付けます
●下部のシールド部は、本体と側面板の2分割式です
「25mm 3連装機銃(風防付き)」
●機銃部分は3連装式に一体成型され、これを風防パーツに取り付けます
・ 機銃パーツは接着する面により、水平状態と仰角を付けた状態とを選択できます
「25mm 3連装機銃(風防無し)」
●機銃部分は3連装式に一体成型され、これを架台部に取り付けます
「25mm単装機銃」
●機銃は、架台部も含めて一体成型されています
「110cm探照灯」
●探照灯は4パーツで構成され、前部のガラス部はクリアーパーツ、その前に付くガード部はエッチングパーツとなっています
「クレーン」
●クレーンは前後分割式で、前部はエッチングパーツ、後部はプラパーツとなっています
・ 滑車、ワイヤーを再現したエッチングパーツが付属
・ 架台はプラパーツによる上下2分割式です
「後部空中線支柱」
●支柱は一体成型されたエッチングパーツを折り曲げて作製します
・ 作製のための治具が付属しています
・ 「天一号作戦」時には取外されていました
「カタパルト」
●カタパルトは、左右トラス構造、架台、前部滑車、上部の5分割式です
・ 上部はエッチングパーツとなっています
・ カタパルトは、台座部分に内蔵させるポリキャップにより旋回可能です
「艦載機」
●零式3座水上偵察機(×2)、零式水上観察機(×2)が付属しています
・ 胴体、主翼、副翼、水平尾翼、プロペラ、スピナー、フロートのパーツ構成です
・ プロペラはエッチングパーツ製です
・ 各艦載機用の射出用台座(×2)、飛行機運搬台車(×2)が付属
「艦載艇」
●「12mカッター」(×2)、「9mカッター」(×1)、「6m通船」(×1)が付属しています
・ 「12mカッター」と「9mカッター」は上下分割式、「6m通船」は一体成型となっています
・ 架台はエッチングパーツです
【 日本戦艦 大和 (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.25) ディスプレイ 】
●フルハルモデル用の展示スタンドが付属しています
・ 船体を展示台に固定式(ビスとナットによる固定)と、固定としない方式とを選択できます
・ ネームプレート用のエッチングパーツが付属、日本語表記と英語表記とを選択可能です
【 日本戦艦 大和 (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.25) 塗装とマーキング 】
●艦尾の軍艦旗(直線タイプとなびいている状態の2種)、前部の日章旗、マストの軍艦旗(直線タイプとなびいている状態の2種)、マスト上部の少将旗(直線タイプとなびいている状態の2種)、幟、煙突部の菊水マーク、艦載機の日の丸マーク、識別帯、偏流測定線を再現したデカールが付属しています
●説明書にはタミヤ製「ハンドレールセット A」を使用する際の取り付け箇所の解説図が記載されています
●2011年 完全新金型
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●製作にあたっては、ニッパーや接着剤、瞬間接着剤などの通常の模型製作に必要な工具類の他に、0.3mm、0.6mm、0.8mm、1mm、1.2mm、1.5mm、2.5mm、3mm径のドリル刃と、その径に合ったピンバイスが必要となります
【 日本海軍 戦艦 大和 について 】
●帝国海軍の空母機動部隊による真珠湾攻撃によって太平洋戦争は開戦しましたが、この攻撃の以前には戦艦での砲撃戦が海戦の決着を付けるものと、各国の海軍で認識されていました
●帝国海軍は、1920年代においてワシントン軍縮会議、ロンドン軍縮会議にて艦船の保有制限が決められたために、将来的な仮想敵国であるアメリカ、イギリスと比べて劣勢となっていました
・ もっとも、条約締結以前の帝国海軍の建造計画は国力を無視したもので、これが実現されれば国家は破綻していたとされています
●このため、帝国海軍は個艦の能力を極限まで高めることに全力を尽くし、これにより数的劣勢を補うこととしました
●この計画に沿って最初に誕生したのが軽巡洋艦「夕張」と「妙高型」重巡洋艦で、船体の極限にまで武装を搭載した結果、列強の海軍関係者から「飢えた狼」と揶揄される程でした
●また、既存の艦艇の近代化改装が行なわれ、戦艦も1930年代に大規模な改装が実施されています
●1936年、軍縮会議による条約が期限切れとなり失効、これにより自由に建造を行なえることになった帝国海軍は、従来の戦艦よりも遥かに強力能力を持つ新型戦艦の建造計画を建てます
●この新型戦艦の設計に当たっては、当時の日本の造船技術の粋を結集し、従来の艦での反省点を踏まえ、革新的な技術が取り入れられました
●主砲は新設計の46cm砲を搭載、この砲の威力は当時の各国の新鋭戦艦が搭載する40cm砲よりも破格の破壊力を持ち、新型の被帽付き徹甲弾の採用により、船体部分の水面下の部分に重大な損害を与えることも可能でした
●弾薬庫、機関部などの重要部には厚い装甲板で重点防御が施され、同艦が装備する46cm砲にも耐え得る能力を持っています
●艦首下部には波浪性の高い球状船首「バルバス・バウ」を採用、これは戦後の造船技術にも生かされました
●この新型戦艦「大和」、「武蔵」は、アメリカの「アイオワ」級やイギリスの「キング・ジョージ5世」、「ネルソン」などの各国の新鋭戦艦を凌駕する性能を持ち、第2次世界大戦に登場した戦艦では最強であり、同大戦の終了により実質的に絶滅してしまった「戦艦」という艦種の、頂点に立つ存在でした
●新型戦艦の1番艦となる「大和」は1937年に建造が開始、建造については極秘扱いとされ、建造ドックは覆いに囲まれて隔離、関係者にも緘口令が下されて、国民のほとんどはその存在を知りませんでした
・ 搭載する46cm砲は秘匿のため、「94式40cm砲」と命名されていました
●「大和」は、太平洋戦争が開戦した直後の1941年12月に竣工、翌1942年2月には連合艦隊旗艦に命ぜられます
●1942年6月に開始された「ミッドウェー海戦」では、連合艦隊司令長官「山本五十六」が座上し、艦隊決戦用の主力艦隊の中核として参加します
●しかし、前衛部隊としてミッドウェー海域の制空権を確保するための空母機動部隊が、アメリカ軍の艦載機によって壊滅、遥か後方に存在した主力艦隊は戦いに寄与することはなく、作戦失敗により帰投しました
●1942年8月、アメリカ軍がガダルカナル島に上陸、日米の戦いはこの島を中心として展開され、連合艦隊とアメリカ艦隊との間で死闘が繰り広げられました
●「大和」は、その戦いを睨み後方のトラック島に進出、しかし、海軍の中枢では将来起こりうると予測される艦隊決戦に向けて温存する意見が強く、再前線であるソロモン海域に出ることは有りませんでした
・ 冷房が完備された「大和」の居住性と、前線に出ない行動から、現地の将兵からは「大和ホテル」と呼ばれました
・ また、「大和」の広い浴室は、しばしば駆逐艦などの小型艦艇の乗務員に利用されています
●ガダルカナル島での戦いは、日米双方の消耗戦となり、航空兵力の減少から戦力を集中できない日本軍側は1943年2月に撤退を開始し、結局「大和」は戦局に寄与することなく戦線を後にします
●航空戦力を蓄えていた連合艦隊は1944年6月、マリアナ諸島に侵攻してきたアメリカ艦隊に対し総力を挙げて一大決戦を挑み、「大和」も出撃、対空射撃としてその主砲が始めて敵に向かって火を吹きました(「マリアナ沖海戦」)
●しかし、作戦自体は、練度の低い日本の航空機搭乗員、アメリカ軍の入念な迎撃態勢、新兵器である近接信管(「VT信管」)などによって日本軍側の完全な敗北となり、連合艦隊は敗退してしまいます
●1944年10月、アメリカ軍はフィリピン東部のレイテ島へ上陸、フィリピンを失うことは、太平洋戦争開戦時の目的であった南方資源への補給路を絶たれることを意味しており、これは日本の戦争遂行能力を奪うことにもなり、連合艦隊は再び総力を挙げて迎撃に向かいます
●ただ、「マリアナ沖海戦」の結果、連合艦隊は航空戦力では太刀打ちすることができず、苦肉の策として残存する空母機動部隊をフィリピン北方へ展開、これを追うアメリカの機動部隊の隙を突いて戦艦を中心とする砲戦隊がレイテ沖に突入、輸送艦隊とその護衛艦隊とを撃滅してアメリカ軍に大打撃を与える作戦を採りました
●「大和」は砲戦隊の主力である「栗田艦隊」に、僚艦「武蔵」と共に配属、この艦隊は戦艦5隻、重巡洋艦10隻が基幹となる堂々の戦力でしたが、フィリピンに辿り付くまでに潜水艦の攻撃により、重巡3隻が脱落します
●そして、フィリピン中部のシブヤン海では航空機の攻撃が「武蔵」に集中、魚雷20発、爆弾17発という尋常では無い量の直撃弾を受け、同艦は失われてしまいました
●「武蔵」は、「大和」型戦艦の2番艦であり、その防御力は「大和」と同一の能力を持ち、不沈艦として認識されていた存在の喪失は、海軍内に大きく衝撃を与えました
●このような損害を受けながらも「栗田艦隊」はレイテ沖に到達、ここで護衛空母を中心に編成されているアメリカの空母艦隊に遭遇し、散々に逃げるアメリカ空母と、捨て身の防御戦闘を行なうその護衛艦、空母から緊急発進した航空機を交えて大混戦が展開されます
●「大和」は、敵艦艇に向けて初めて主砲を射撃、他艦と共同で護衛空母「ガンビア・ベイ」を撃沈しますが、敵駆逐艦から発射された魚雷によって進路を妨げられ、スコールと煙幕によって充分な追撃が阻止されます
●また、「栗田艦隊」の巡洋艦は航空機攻撃によって重大な損害を受けてしまいます
●結局、「栗田艦隊」は、それ以上のレイテ沖突入は諦め、Uターンして帰投、輸送船団へ打撃を与えるというチャンスは失われました
・ この転進は「謎のUターン」と呼ばれ、はっきりとした理由は判明していません
●内地へ帰投した「大和」ですが、フィリピンを失った関係で日本国内では燃料事情が急速に悪化、残存艦の殆どが浮き砲台として繋留されてしまいます
●1945年3月、アメリカ軍は沖縄に上陸、日本の国土が戦場となり、日本側は陸軍、海軍の総力を結集して決死の反撃を敢行、特に劣勢な戦力の下で敵に損害を与えるようにと、航空隊は体当たり攻撃を行い続けました
●このような全軍挙げての反撃に呼応して、「大和」は連合艦隊を象徴する艦として沖縄に突入し、同島において不沈艦として浮き砲台代わりとなり、敵艦艇を1隻でも多く撃破させるという「天一号作戦」が発動されます
●ただ、燃料の不足により「大和」を護衛する艦は、軽巡洋艦1隻と駆逐艦8隻を随伴させるだけに過ぎませんでした
●1945年4月6日、「大和」を中心とする艦隊は山口県を出航、翌4月7日にアメリカ艦載機の波状攻撃を受けます
●この攻撃は、延べ1000機に上る壮絶なもので、「大和」は対空射撃に奮戦するも、被弾により徐々に戦闘能力を喪失して行きます
●「大和」は不沈艦として粘り強く耐えていましたが、アメリカ軍機の攻撃は凄まじく、多数の命中弾により、攻撃開始から2時間後「大和」は息絶え、鹿児島と沖縄の中間地点においてその栄光の生涯を終えたのでした