ソビエト軍 KV-85 重戦車
「ソビエト軍 KV-85 重戦車 (プラモデル) (トランペッター 1/35 AFVシリーズ No.01569 )」です
●第2次世界大戦中期におけるソ連軍の重戦車「KV-85」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●「KV-1」シリーズとしての最終進化形となる「KV-85」を再現、大型の砲塔に長砲身の「85mm砲」を搭載し、従来の「KV-1」系列とは異なる均整の取れたスタイルを再現した内容となっています
●トランペッター社製「ソビエト KV-1S 重戦車 スコロツノイ」をベースとして、「KV-85」を再現するために、砲塔、車体上部の一部、フェンダーなどを新規パーツに変更したバリエーションキットとなります【 「KV-85」について 】
●ソ連軍は1939年に重戦車「KV-1」を開発、この戦車は当時としては極めて強力な装甲を持ち、主砲も「76.2mm砲」を装備し、他国の重戦車を凌駕する性能を誇りました
●この「KV-1」は、独ソ戦においてドイツ軍の「3号戦車」「4号戦車」をものともしない強靭さを示し、同車を撃破するには航空支援か「88mm高射砲」に頼らなくてはなりませんでした
●「KV-1」は、その無敵振りからドイツ軍を恐れさせましたが、後輪駆動式としてトランスミッションを後部に配置している関係から、走行時の変速作業は至難の業であり、実際での機動性能はカタログスペック(路上での最高速度35km/h)を大きく下回りました
・ この配置は防御力を重視したためで、重量の大きなクラッチ、トランスミッションを後部に置いた分、重量配分の関係から前部の装甲を厚くすることが可能となり、前部に点検ハッチを設ける必要も無いことから防御面では有利となりました
●また、その大重量の負担がこのトランスミッションなどの駆動系に負荷を掛けることになり、「KV-1」は戦闘による損失よりも、機械的故障により放棄される車輌の方が多いという結果となります
●独ソ戦の初期では、ソ連軍は防戦一方であり、その事実を精査する余裕も有りませんでしたが、戦況が落ち着くと「KV-1」の欠点が槍玉に挙がりました
●その結果、「KV-1」は軽量化が行われることとなり、装甲を削減し、各部のスペースを削った「KV-1S」が1942年8月に登場します
●この「KV-1S」は、「KV-1」と比べて機動性が向上、軽重量化により故障率も下がり、重戦車部隊の将兵からは歓迎されました
●一方で、装甲が薄くなった分、「KV-1」が本来持っていた強靭さは薄れてしまい、ドイツ軍の火力の増強も相まって、「「T-34」と比べると装甲は厚いものの同じ火力しか持たず、機動性能は大きく劣る」ということがクローズアップされてしまい、ソ連軍首脳部からは重戦車不要論が噴出しました
●そこで、「KV-1」シリーズの開発陣は、「KV-1S」をベースとして「85mm戦車砲 D-5T」を搭載した車輌を製作、当初は「KV-1S」の砲塔に搭載されましたが、さすがに容量が小さく、大型化した砲塔(「JS-1」用の砲塔)に同砲を搭載したタイプへと変更、「KV-85」として制式化され、1943年9月から生産が行われました
●しかし、同車が部隊に配備された頃には、ドイツ軍は「タイガー1」「パンター」を投入しており、ドイツの88mm砲と比べて威力が劣る「85mm戦車砲 D-5T」を装備した「KV-85」は、これらの戦車からアウトレンジで撃破されてしまう結果となり、大きな損害を出してしまいます
●そして、「T-34」にも「85mm戦車砲」が装備されるようになり、「KV-85」の存在意義は薄れ、結果的には同車の生産は143両で終了しています
・ 143両の生産数の割りには、ドイツ軍側の戦闘記録にこの「KV-85」の記述が多く残されています
●ただし、同車の開発の経験は後の重戦車「JS」シリーズへと繋がっており、「JS」登場までのストップギャップの役割を果たしたのでした【 「ソビエト軍 KV-85 重戦車」のキット内容について 】
●このソ連軍の重戦車「KV-85」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●トランペッター社の「KV-1」シリーズのフォーマットに沿って「KV-85」を再現、比較的パーツ数を抑えた構成により、同車の魅力が表現されています
●同社の「KV-1」シリーズは、ディテール表現、作り易さ、雰囲気など、同社のキットの中でも最良なものですが、当キットもその流れを汲んだものとなっています
●「KV-85」は、「砲塔」「車体」、左右の「フェンダー」の4ブロックで構成されています
●砲身は、プラパーツと金属パーツが付属しており、選択して使用します
・ プラパーツは一体成型で、スライド式金型により砲口が開口処理されています
・ 防盾は1パーツで構成され、独特のボルト穴も再現
・ 防盾は上下に可動します
●砲塔は上下分割式で、車長キュープラは別パーツとなっています
・ 砲塔周囲には特徴的な溶接跡と湯口が表現されています
・ 車長ハッチ、装填手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ ペリスコープ、ベンチレーター、ピストルポート栓がパーツ化
・ 後部機銃は、機銃銃身、防盾、マウント部で構成
●車体は、バスタブ式に成型された車体下部パーツに、各パネルを貼り付ける構成となっています
・ サスペンションアーム、ダンパーは別パーツです
・ 後部の整風板は、プラパーツとエッチングパーツとを選択できます
・ 後部の吸気グリル部のメッシュを再現するエッチングパーツが付属しています
・ 操縦手ハッチ、後部のエンジン点検ハッチは別パーツです
・ 排気マフラーは、先端部が開口処理されています
●履帯は、1枚ずつが分割された接着連結式履帯が付属しています
●フェンダーは一体成型され、前部のマッドフラップ、上部のフェンダー支持架は別パーツとなっています
・ フェンダー部分に存在する車体中央部の張り出し部は上下分割式です
・ 後部の予備燃料タンクは各4パーツで構成、雑具箱は1パーツで構成されています
●砲塔及び車体に設けられた手摺りがパーツ化されています
●牽引ワイヤーは、アイの部分がプラパーツ、ワイヤー本体は付属の銅製ワイヤー使用します
●前照灯のガラス部、尾灯を再現するクリアーパーツが付属
●車体後部の整風板、吸気グリルのメッシュを再現するエッチングパーツが付属しています
●「KV-85」のマーキングとして、ソ連軍の4種類の塗装例が説明書に記載されており、塗装例に基づく車体番号、スローガンなどを再現したデカールが付属しています
●2012年 一部新金型