M3 グラント中戦車
「M3 グラント中戦車 (プラモデル) (アカデミー 1/35 Armors No.13212 )」です
●「M3 グラント 中戦車」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●同社「M3 リー 中戦車」のバリエーションキットです
●キットは、北アフリカ戦後期で活躍した「M3 中戦車 グラント」を再現、その特異でユニークな全体形状、鋳造で作られた砲塔、多くのリベットが存在する直線的デザインの車体など、本車の魅力を味わえる内容となっています
●また、キットには内部を再現するパーツが用意されており、「M3 中戦車 グラント」の特徴有る内部構造を楽しむことができるようになっています
●第2次大戦の戦前の時期、アメリカ陸軍は国内の「孤立主義」(国内政策に重点を置き、対外的には中立を保つという方針)に基づき、軍隊の兵員数及びその装備は必要最小限の程度しか保有していませんでした
●特に、「戦車」などの装甲戦闘車両に関しては完全に後進国で、「中戦車」は多砲塔型の「M2 中戦車」が極少数存在するだけと、多の列強国と比べて貧弱極まりないものでした
●大戦が勃発し、アメリカも大戦に巻き込まれる機運が高まると、アメリカ陸軍は急速に軍備の増強を図ることとなります
●戦車部隊の骨格となる「中戦車」に関しては、未だに量産が継続中であった「M2 中戦車」を生産中止、1940年6月に新「中戦車」として「M3 中戦車」の開発が開始されました
●この「M3 中戦車」は、戦力化が急がれた為、「M2中戦車」のコンポーネントが極力流用されることとなりました
●主砲である「M2 75mm戦車砲」は、まだ動力で動かす大型砲塔を作る技術が確立されていなかったので、右側スポンソン部に半固定式で搭載、これを補完する為に戦闘室上部に「M5 37mm戦車砲」を装備した小型砲塔を載せていました
●生産の過程において、「M3 中戦車」は武装システムの変更が行われており、砲にスタビライザーを装備し、行進間射撃の精度を上げたタイプ(重量バランスの関係から砲口部にカウンターウェイトが付く)、長砲身の「M3 75mm戦車砲」を装備したタイプへと変化して行きました
●「M3 中戦車」は、1941年夏から量産が開始、5000両弱を生産され、初期のアメリカ陸軍の主力戦車、或いはレンドリース車両として、イギリス連邦国、ソ連などにも供与されています
●一方、イギリス軍は独仏戦において、「ヨーロッパ派遣軍」として陸軍の主力をフランスに派遣しましたが、ドイツ軍の電撃戦により敗退、その装備のほとんどを放棄し、ダンケルクから撤退します
●その結果、イギリス軍は戦車を中心とする戦闘車両が不足し、アメリカから購入することとなりました
●「M3 中戦車」は、その大火力(当時のイギリス戦車の主力戦車砲は口径40mmの「2ポンド砲」)に注目、早速購入し、自軍に編入されました
●また、イギリス軍は、「M3 中戦車」には無線機を砲塔に積む余裕が無く、そのスペースを確保したタイプの生産を要求、「M3 中戦車」に装備していた車長用の銃塔は、その必要性が疑問として撤去されています
●イギリス将兵からは、ノーマルの「M3 中戦車」は「リー」、砲塔後部に張り出しが在るタイプが「グラント」と呼ばれ、イギリス軍の主力戦車として活躍、北アフリカ戦においては「エルアラメイン戦」の時期から参戦し、連合軍の反攻の主軸となりました
●ただ、後継車両である「M4 中戦車」が早々に戦力化が進み、主力戦車としての「M3 中戦車」は短命で、活躍の場は北アフリカ戦迄となりました
●もっとも、太平洋戦域では、日本軍の対戦車火力の貧弱さや、装備する機銃の多さなどから終戦時まで使用されています
●この「M3 中戦車 グラント」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●キットは、複雑な面構成の車体をパーツ分割で再現、サスペンションは可動とすることができ、各ハッチは開閉選択式なので、動きのある「M3 中戦車 グラント」を表現できる内容となっています
●「M3 中戦車 グラント」が活躍した北アフリカ仕様を再現するサイドスカートなどが含まれています
●主砲の「75mm戦車砲」は、短砲身、カウンターウェイト付き短砲身、長砲身とを選択できるようになっています
・ 当初、砲身は短砲身型で、後にジャイロスタビライザー(現在のものと異なり上下方向のみの装置)の装備によるカウンターウェイト付き短砲身、そして後期になると長砲身型(砲身の重さによりカウンターウェイトは必要としない)となります
●砲塔は、上部が一体成型で、これに防盾部と底部を取り付けるパーツ構成となっています
・ 砲塔部は、細かなモールドによる鋳造肌が再現されています
・ 側面の視察口は別パーツです
・ 砲塔ハッチは、別パーツとなっており開閉状態が選択できます
●砲身は、一体成型されたパーツで、スライド金型により砲口が開口処理されています
・ 砲身は上下方向に可動することが可能となっています
●車体上部は、各装甲板を組み合わせるパーツ構成となっています
・ 車体側面及び上面のハッチは別パーツとなっており、開閉状態が選択できます
・ 車体前部と側面の視察口は別パーツで、開閉状態が選択して作製できます
●主砲の砲身は、一体成型されたパーツで、スライド金型により砲口が開口処理されています
・ キットには、短砲身、カウンターウェイト付き短砲身、長砲身のパーツが付属しています
・ 主砲は、上下及び左右に可動させることが可能です
●車体下部は、底部、側面が一体成型されています
●サスペンション部は、転輪も含めて10パーツで構成され、ボギー部は可動式として組むことができます
・ キャタピラは、ラバー製のベルト式です(T41 履帯)
・ キットには、ディッシュ型と呼ばれる穴が空いていないタイプの転輪が含まれていますが、これは「M4 中戦車」用のパーツで、本車には使用しません
●サイドフェンダーは、車体とは別パーツとなっており、サイドスカートの前側が一体成型されています
●「北アフリカ戦」仕様としてサイドスカート、車体側面の荷物ラックが付属しています
●予備キャタピラは、「WE210 ゴムブロック 履帯 (王の字を横向きにしたような形状)」のタイプが9個付属しています
「内部再現」について
●砲塔内部は、砲塔バスケットが再現されています
・ 砲塔バスケットは5個のパーツで構成され、周囲に配置された「37mm砲弾」、砲手席、装填手席などのパーツが付属しています
・ 「37mm戦車砲」と「M1919A4機関銃」は砲尾及び機関部が再現されています
●車体内部は、車体前部と戦闘室内部が再現されています
・車体内部は、操縦手席がトランスミッション部の上に配置された「M3 中戦車」の特徴在る構造が分かるようになっています
・ トランスミッション、プロペラシャフト、操縦手席、無線機、弾薬箱などのパーツが付属し、主砲の砲尾や砲手席も再現されています
・ 操縦手が操作する固定式の前方機銃「M1919A4機関銃」も2丁付属しています
●マーキングは、2種類の塗装例が説明書に記載されています
・ イギリス陸軍 (北アフリカ / 1943年) 「アトランタ II」
・ イギリス第8軍 (エルアラメイン / 1942年)
●説明書の塗装例に基づく部隊マーク、ニックネーム、車台番号などを再現したデカールが付属
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●ワンポイント
・車体内部を作製する際、そのまま組むと車体の隔壁に存在する砲弾パーツと、砲塔バスケットが干渉してしまう可能性が有るので、この部分は慎重に組むようにしましょう