陸上自衛隊 61式戦車
「陸上自衛隊 61式戦車 (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.163 )」です
●第2次大戦後、初の国産戦車として誕生した「61式戦車」を再現しています
●戦後のアメリカの戦車を参考に、日本に合った戦車として開発された「61式戦車」、キットは、武骨で質実剛健といった印象のフォルムを持つ同車を再現、傾斜装甲のコンパクトな車体に鋳造式の砲塔、そして銃搭を装備した姿が表現された内容となっています
【 「陸上自衛隊 61式戦車」について 】
●陸上自衛隊は、創隊時からアメリカ製の「M24 チャーフィー」、「M4A3E8 シャーマン」を使用していましたが、当時、東側諸国ではソ連製の「T54/55」が大量に配備されるようになり、今まで運用されてきた「M24」などの戦車の能力では、東側諸国の主力戦車には対抗できないと想定されていました
●そこで、次期主力戦車として「M47」や「M48」の採用が検討されましたが、この戦車はアメリカ戦車らしく大型の車体を持っていたため、日本の国情や日本人の体形に合わず、また、当時は現在のように道路網が整備されていなかったため、鉄道による輸送が前提となっており、「M47」や「M48」は車幅が広くて貨車に積載することが不可能であるとの理由から、戦車の国産化が決定されることになります
●戦後初めての国産戦車ということもあり、その開発は難航、前述の装備する戦車や「M47」、「M48」を参考にしながら数度の試作(「STA-1」~「STA-4」)を重ね、1961年に「61式戦車」として制式採用されました
●この「61式戦車」は「54口径 90mm戦車砲」を装備、570馬力のエンジンを搭載し、路上での最高速度は45km/h、鉄道輸送の関係から全幅は2.96mに抑えられたコンパクトな車体となっています
●しかし、我が国の戦車を製造する技術はまだ未成熟な状態であったため、トランスミッションを前方に配置する前輪駆動式を採用したことにより、ミッションの点検パネルが車体前面板を兼ねてしまうという防御上の欠点を抱えていました
●また、同車が採用した機械式変速機は、オートマチックトランスミッションと比べてパワーロスが少ないという長所があるものの、変速にはかなりの習熟が必要で、操縦手の負担は大きかったといわれています
●この「61式戦車」は、戦後初の国産戦車として各戦車部隊から歓迎され、富士の戦車教導団を皮切りに重点防御地域であった北海道へ、そして順次本土地域へと配備されます
●「61式戦車」は560両が生産され、永らく「陸上自衛隊」の主力戦車としての地位を占めていましたが、時代が進み後継車両である「74式戦車」の量産が開始されると、2戦級兵器としての扱いとなります
●また、車体がコンパクトである反面、アップデートを行なう空間的余裕がないため、改良案の計画も行なわれることがなく、「90式戦車」の制式化に伴い序々に退役が進み、2000年度には全車が部隊配備を解かれています
【 「陸上自衛隊 61式戦車」のキット内容について 】
●この我が国「陸上自衛隊 61式戦車」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●キットの基本部分は1970年に発売されたモーターライズキットで、現在の目から見ると工具類のディテールなどには物足りなさを感じますが、タミヤらしく基本はしっかり捉えられており、細部の彫刻、溶接跡の表現など、戦後初の国産戦車の再現に力を込めた当時の製品開発スタッフの熱い思いが伝わる内容となっています
●また、MMシリーズへの編入に伴い追加されたパーツは、防盾部のカバーなど同社らしい質感が重視された表現が施され、「61式戦車」の魅力が更に引き出されています
●キットは、最近のニューキットと比べてパーツ数が少なめですので、手軽に「61式戦車」の姿を再現したり、自分なりのディテールアップを工夫したりするなど模型としての楽しさを味わうことができるでしょう
●砲身は、先端部のマズルブレーキを含めて左右分割式となっています
●防盾部分は、防塵カバー付きと、カバー無しのパーツが付属、選択して使用できます
・ 防塵カバーが無い場合は、砲身は上下方向に可動できます
●砲塔部は上下2分割式で、側面の手摺りは別パーツとなっています
・ スモークディスチャージャーのパーツが付属しています
●銃搭は一体成型となっており、測距儀カバー先端部が別パーツです
・ 銃搭ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 「12.7mm 重機関銃」には弾薬箱、排莢カバーがパーツ化されています
・ 「12.7mm 重機関銃」は、上下方向に可動します
●車体上部は一体成型となっており、後部パネルが別パーツ化されています
・ 側面のマフラーカバーはプラパーツで再現
・ 前照灯、管制灯、ホーン、工具箱、車載工具類、尾灯などがパーツ化されています
・ 車体後部のトラベリングロックは5分割化され、可動式となっています
・ 牽引ワイヤーを再現する化繊糸が付属
●車体下部は、バスタブ式となっており、 サスペンションアームも一体成型されています
・ 下部転輪、起動輪、誘導輪はポリキャップにより可動します
・ 履帯は、ラバー製のベルト式となっています
●戦車隊員を再現したフィギュアが1体付属しています
●フィギュアは、銃搭ハッチに寄り掛かったポーズが再現されており、服装は旧型の迷彩服に戦車ヘルメット、戦車手袋に戦車靴を着用している姿となっています
・ 旧型の迷彩服は通常の作業服と同じデザインであり、作業服姿としてオリーブドラブ色単色とすることも可能です
・ フィギュアは、頭部を含めた胴体、下半身、両腕のパーツ構成です
・ フィギュアの顔は非常に優れた造形となっており、いかにも日本人といった顔の作りが表現されています
●マーキングは、5種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 第8戦車大隊第2中隊
・ 第4戦車大隊第1中隊
・ 第4戦車大隊第3中隊
・ 第3戦車大隊第2中隊
・ 第10戦車大隊第2中隊
●説明書のマーキング指示に基づく、部隊マーク、自衛隊マーク、所属表記、車両番号などを再現したデカールが付属しています
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●ワンポイント
・ キットは、防盾部の防塵カバーの有無が選択できますが、このカバーは整備中以外は取り付けられた状態となっていました
・ スモークディスチャージャーは、全ての車両には付いておらず、この装備を付けていない車両は、砲塔上面に存在する砲塔工具箱が砲塔側面に取り付けられていました