アメリカ M4 シャーマン戦車 初期型
「アメリカ M4 シャーマン戦車 初期型 (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.190 )」です
●「アメリカ M4 シャーマン戦車 初期型」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●第2次世界大戦時におけるアメリカ陸軍の主力中戦車である「M4」中戦車の「初期型」を再現したキットです
●溶接型車体に「75mm砲」砲塔を搭載したタイプである「M4 初期型」を再現、角張った車体に丸い形状の砲塔を持つ「シャーマン戦車」の形式の1つの姿を楽しむことができる内容となっています【 「M4 初期型」について 】
●第2次世界大戦前の時代、アメリカ軍は世界恐慌の余波や孤立主義の台頭などで軍備は縮小され、特に戦車の開発に関しては、世界的にも遅れていました
●しかし、第2次世界大戦が勃発すると、戦車の開発は、極めて高い工業生産力を背景に急ピッチで進められます
●中戦車としては多砲塔型の「M2A1」中戦車が存在していましたが、量産の途中でキャンセルされ、直ちに「M3」中戦車の生産が行なわれます
●この「M3」中戦車は、設計短縮のために「M2A1」中戦車のコンポーネントを利用し、スポンソン部に「75mm砲」を搭載するという苦肉の手段が採られました
●ただ、この方法はあくまでも大型の砲塔を持つ次期中戦車の登場までの「繋ぎ」としての役割で、「M3」中戦車の開発が一段落すると、直ちに「M4」中戦車の開発が開始されます
●この「M4」中戦車は、「M3」中戦車の開発で培ってきたノウハウが活かされ、開発のスピードを上げるために部品等も極力共通化が図られました
●また、「M4」中戦車は、主力中戦車として大量生産体制が採られ、エンジンの供給率を上げるために4種のエンジンを用意、それぞれのエンジンに合わせて専用の車体が作られ、「M4」、「M4A1」、「M4A2」、「M4A3」、「M4A4」の5種類の形式が生まれました
・ 「M4」と「M4A1」とは同じエンジンで、溶接車体の「M4」に対して、高い溶接技術を持たない工場向けに鋳造の車体としたのが「M4A1」です
・ 「M4A5」はカナダの「ラム戦車」に与えられた番号で、「M4A6」は少数生産の実験車輌です
●「M4」中戦車は、「M4 中戦車」シリーズの中では最っとも遅い1942年7月から生産が開始されました
●当初「M4」は、他の「M4 中戦車」シリーズと同様に、車体前面に直視バイザーが設けられていましたが、防御力の観点から生産開始後しばらくして廃止されます
●また、同様に砲塔の防盾は狭小タイプが使用されましたが、これも幅広の「M34A1」防盾に変更されています
●「M4 中戦車」は、車体のスポンソン部に弾薬を搭載していましたが、この部分の側面装甲は垂直に切り立っており、防御上の弱点となっていました
●特に、被弾時において誘爆により火災が発生する事案が多発、このことにより多くの被害が生じました
●そこで、「M4 中戦車」シリーズ全体で増加装甲を取り付けられることなり、「M4A1 初期型車体後期型」にも弾薬庫に合わせた増加装甲「アップリケアーマー」が装着され、砲塔の砲手席の部分にも防御上の観点から同様の装甲が施されました
●「M4」中戦車は、チュニジア戦から実戦に参加、アメリカ軍を始めとする連合軍の主力戦車として活躍しました
●また、損傷もしくは故障により使用できなくなるまで使われ続けたため、「M4 中戦車」シリーズの新型車両が登場した大戦後期においても、その姿が見られます
●1943年の中頃から「M4 中戦車」シリーズは防御力が向上した後期型車体へと移行、「M4」中戦車の後期型車体は、車体前面が鋳造、車体後部が溶接型の「コンポジットハル」型となっています(「105mm砲」型を除く)
【 「アメリカ M4 シャーマン戦車 初期型」のキット内容について 】
●この「M4」中戦車の「初期型」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●キットは、砲塔後部が傾斜したタイプの「初期型砲塔」に「75mm砲」を搭載、防盾部は「M34A1型砲架(幅広型防盾)」、車体部は「溶接車体」の初期型、ギアハウジングは「3ピース型」、「VVSSサスペンション」を装備した「M4 初期型」を再現した内容となっています
・ 履帯はラバータイプの「T48」履帯がセットされています
●キットは、タミヤのMMシリーズの特徴が凝縮されており、シャープな彫刻、表情豊かな鋳造表現、車体の装甲板の素材感、そしてセンスの有るディテール表現に仕上がっています
●また、パーツ数は抑えられており、パーツ同士の合いも良好で組み立て易く、様々なユーザーにお勧めできるキットとなっています
●そして、戦車兵のフィギュアや、豊富なアクセサリー類がセットされており、単体で「シャーマン戦車」らしい演出を行なったり、ジオラマ展開を楽しんだりと、いろいろな演出が想像できることでしょう
●「75mm砲」の砲身は一体成型で、砲身先端部は別パーツとなっています
・ 砲尾部分が別パーツで再現され、砲尾の他に防危ガードなども表現されています
●防盾は1パーツで構成され、ボルト穴などが再現されています
・ 防盾(砲身)は、上下可動式です
●砲塔は、上下2分割式となっています
・ アメリカ戦車の持つ比較的滑らかな鋳造表現が彫刻されています
・ 排莢ハッチ部は別パーツとなっています
・ 車長用の直接照準器もパーツ化
・ 車長キューポラは、別パーツで取り付け位置を自由に選択できます
・ 車長ハッチは開閉状態が選択できます
・ 増加装甲のパーツが付属、装着の有無を選択できます
・ 砲塔内部の無線器がパーツ化されています
・ 砲塔は左右旋回可能
●「12.7mm M2重機関銃」は、本体部分が一体成型で、グリップ部が別パーツとなっています
・ 銃身基部の放熱口は正確な位置でモールドされています
・ 機関銃は上下方向に可動します
●「M4シャーマン初期型」の車体上部は、エンジングリル部と後部パネル以外が一体成型されています
・ 操縦手ハッチ、前方機銃手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 前方機銃は、機銃本体とマウント部とが一体成型されています
・ ベンチレーター、尾灯などが別パーツとなっており、ライトガードはプラパーツにて表現
・ 各種車外工具類は別パーツ化、固定具は工具パーツにモールド再現されています
・ 車体前部と側面の増加装甲のパーツが付属、装着の有無を選択できます
●ギアハウジング(デファレンシャルカバー)は、3ピース型と、先鋭タイプの1ピース型が付属、選択して作製します
●車体下部は、側面板と底板とが一体成型されています
・ サスペンションは、リターンローラーの支持架が斜めとなった「VVSSサスペンション」の「後期型」が表現されています
・ VVSSサスペンションは左右分割式で、内部のスプリング部は別パーツとなっています
・ 下部転輪とリターンローラーは一体成型となっており、起動輪は左右分割式です
・ 起動輪は、肉抜き穴が斜めに付いている「クライスラー型」、そして肉抜き穴の無い「後期型」の2タイプが付属しています
・ 誘導輪及び転輪は、前期のスポークタイプと、後期のプレスタイプとが付属しており、選択して使用します
・ 起動輪と誘導輪は、内蔵させるポリキャップにより可動します
●履帯は、ラバー製のバルト式履帯が付属しています
・ ラバーシェブロン型の「T48」履帯が再現されています
●車体側面のサンドシールドを再現したパーツが付属しています
・ サンドシールドは、アメリカ軍では使用例が少なく、北アフリカ及びシシリー戦域でのイギリス連邦軍の車両に装着している場合が多いようです
●戦車兵のフィギュアが5体付属しています
・ フィギュアの内容は、車長ハッチから胸部から上を出している車長のフィギュアが1体、ハッチから上半身を出した状態に車長フィギュアが1体、前方のハッチから顔を出している操縦手もしくは前方機銃手が3体となっています
・ 車長のフィギュア1体と、操縦手フィギュア1体は、キットのベースとなった同社旧「アメリカ M4A3 シャーマン戦車」のパーツに付属しているものです
・ フィギュアの服装は、シャツを着用し、戦車ヘルメットを被った状態、旧キットに付属しているフィギュアは、タンカーズジャケットに戦車ヘルメットを被った状態となっています
●アクセサリーパーツが付属しています
・ ジェリカン ×2
・ オイルタンク ×2
・ ヘルメット ×4
・ 予備履帯(4つが繋がっている状態) ×4
・ 予備転輪(スポークタイプ) ×2
・ 雑嚢 ×6
・ 予備弾倉入れ ×4
など
●マーキングは、3種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 所属不明 (フランス / 1944年夏)
・ 第5軍 756戦車大隊 C中隊 (イタリア / 1944年2月)
・ 第2機甲師団 第66戦車連隊 H中隊 (ノルマンディ / 1944年8月)
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、部隊表記、車台番号などを再現したデカールが付属しています
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【 「アメリカ M4 シャーマン戦車 初期型」のキットのワンポイント 】
・ キットには、「VVSSサスペンション」の「後期型」が付属していますが、「M4 初期型」ではリターンローラーの支持架が水平のタイプの使用例が多いようです(キットの状態でも間違いではありません)
・ このタイプのサスペンションを再現したキットとしては、タスカ社の「M4シャーマン 垂直懸架 サスペンションセット A (初期型)」などが存在しますから、流用しても良いでしょう