イギリス 巡航戦車 Mk.4A (A13 Mk.2 前・後期型)
「イギリス 巡航戦車 Mk.4A (A13 Mk.2 前・後期型) (プラモデル) (ブロンコモデル 1/35 AFVモデル No.CB35029 )」です
●「イギリス 巡航戦車 Mk.4A (A13 Mk.2 前・後期型)」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●イギリス軍は、自国の戦車に関して、歩兵を援護する為に速度は遅いが厚い装甲を持った「歩兵戦車」と、高い機動力を重視した「巡航戦車」とに2つのカテゴリーに分けて開発を進めました
●「巡航戦車」は、「巡航戦車 Mk.1」、「巡航戦車 Mk.2」と開発され、続いてイギリス戦車として初めて「クリスティーサスペンション」を採用した「巡航戦車 Mk.3」が1938年に開発されました
●「巡航戦車 Mk.3」は、第2次大戦初期におけるイギリス軍の主力対戦車砲である「2ポンド砲」を搭載し、最大速度48km/hと当時の戦車としては軽快な機動力を発揮しましたが、最大装甲厚は14mmと、装甲は脆弱でした
●開戦を控えた1939年、「巡航戦車 Mk.3」が機動力を重視した戦車であるとは言え、「Mk.3」の持つ装甲が最大14mmでは対ドイツ軍の兵器に対する防御力に問題が有るとされ、「Mk.3」をベースに最大装甲厚を30mmに増強したタイプが作られます
●この「装甲強化型 巡航戦車 Mk.3」が「巡航戦車 Mk.4」(A13 Mk.2)として採用されることになります
●次いで、「巡航戦車 Mk.4」の砲塔の同軸機銃を従来の水冷式の「ビッカース機銃」から、より汎用性が高く堅牢な空冷式の「ベサ機銃」に換装した車両が「巡航戦車 Mk.4A」として採用、この「巡航戦車 Mk.4A」が「巡航戦車 Mk.3」「巡航戦車 Mk.4」シリーズの中で最も多く生産されました
●「巡航戦車 Mk.4A」、「巡航戦車 Mk.4」共に、「巡航戦車 Mk.3」の砲塔にスペースドアーマー方式に追加装甲を施した戦車で、砲塔の前面は、従来の装甲と追加装甲を合わせて30mmの厚さを持ちましたが、車体に関しては従来の「巡航戦車 Mk.3」の同じものでした
●「巡航戦車 Mk.4A」と、「巡航戦車 Mk.4」とは、「巡航戦車 Mk.3」と同じく「ヨーロッパ派遣軍」として独仏戦に参加、機動力を持った戦車として期待を掛けられましたが、砲塔の一部分の装甲を強化しても、車体の装甲厚がかわらないままでは防御力の増強とならず、ドイツ軍の戦車や対戦車砲などにより多数が撃破されてしまいました
●一方、北アフリカに配備された「巡航戦車 Mk.4A」は、リビアからエジプトに侵攻してきたイタリア軍相手に奮戦し、イタリア戦車の撃退に活躍しました
・ 特に、その機動力を生かし、イタリア軍の退却路に向けて長駆機動、イタリア軍に大打撃を与えた「ベダ・フォムの戦い」でのイギリス軍の主軸的な存在でした
●その後、北アフリカにドイツ軍が登場した後は、やはり装甲の薄さの弱点が露呈されましたが、新型巡航戦車として「巡航戦車 Mk.6 クルセイダー」が登場するまで、ドイツ軍と死闘を交えました
●この第2次大戦初期においての、イギリス陸軍の主力巡航戦車である「イギリス 巡航戦車 Mk.4A (A13 Mk.2 前・後期型)」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●「巡航戦車 Mk.4 (A13 Mk.2)」の防盾の違いによる「前期型」「後期型」のいずれか1種を選択して作成することができる内容となっています
●同社「イギリス 巡航戦車 Mk.3」をベースに、新金型の防盾パーツ、砲塔部のスペースドアーマーやキャタピラパーツもセットしたバリエーションキットとなります
●キットは、実車の複雑な面構造を巧みなパーツ構成により再現
●先進的「クリスティーサスペンション」を配した足周りに対し、リベットを多用した古風な風貌が余すことなく再現され、キットの繊細なモールドは、実車の持つ華奢な雰囲気を良く表現した内容となっています
●キットのパーツの「合い」は良好で、キットを構成するパーツは決して少なくないですが、各パーツ同士の接着は、比較的ストレス無く組んで行くことができます
●キットは、「クリスティーサスペンション」の特徴である側面装甲板の2重構造、サスペンションを支える長大なバネも再現されています
●車体上部は、フェンダー部分も含めて一体成型されており、車体上部と下部を接着した後、複雑な形状の操縦席部分と車体後部とを接着して行きます
●フェンダーの前後端、サイドスカートは別パーツ化して再現、薄く成型されたプラパーツが用意されています
・ サイドスカート後部は大型のタイプも選択して使用することになります
●張り出した形状の操縦席周りに関しては、主要部分はパーツ5個で構成、複雑な配置のリベットも一部スライド金型を使用して再現されています
・ 前方のライト部分には、メッシュ状のカバーを再現したエッチングパーツが用意されています
●後方のマフラー部分は、円筒状のマフラー本体に、2本の先端部が下方に伸びている構造を再現、エッチングパーツにより細部が表現されています
・ マフラーの最先端部は、取り付け角度のガイドが在りませんが、実車でもこの部分は車両により角度が異なりますので、任意の位置で決めても良いかと思われます
●エンジングリルのメッシュや、ボルトのモールドなどを再現するエッチングパーツが付属しています
●フェンダー上の雑具箱の側面部分には、ボルトがモールドされたエッチングパーツを貼り付けるようになっています
●「巡航戦車 Mk.3」で初めて採用され、同様に「巡航戦車 Mk.4」でも引き続き使用された「クリスティーサスペンション」の特徴を精密に再現
・ 車体下部は、「クリスティーサスペンション」の内側の装甲板と合わせて一体成型され、そこにサスペンション部と外側の装甲板とを装着して行く方式となっています
・ 「クリスティーサスペンション」は、長大なバネと接続されるアーム部分とが正確に再現されています
・ 転輪は、独特な2重のタイプが再現され、中空構造で厚みの在る形状が再現されています
●キットには1枚づつ連結させるプラ製のキャタピラパーツが付属
●砲塔は、砲塔上部と側面とが一体成型され、そこに後面板と、砲身部を組み立てた前面板とを接着する構造となっています
●砲塔と車体との取り付けは、砲塔側のツメで固定するスナップ方式で、砲塔の旋回が可能となっています
●砲塔の周囲に間を開けて装着された追加装甲(スペースドアーマー)が再現され、追加装甲のパーツは実車の雰囲気を伝える薄さで再現されています
●キットは、ベサ機銃を搭載することにより、スマートな形状となった防盾パーツがセットされています
・ 防盾パーツは、平面的な形状の前期型のタイプと、先が尖った形状の後期型のタイプとが付属、選択して使用することができます
●砲身は、一体成型されたパーツで構成され、スライド金型により砲口が開口処理されています
・ 砲身は上下可動式として製作することが可能です
・ 砲身は、砲尾部分も再現されています
●車長キューポラは、4分割式で、独特な形状のバイザー部分も再現されています
●砲塔後部に存在するアンテナ基部は、実物の細かく薄い構造物を再現する為に、エッチングパーツで再現されています
●車体前面中央部のヘッドライト部、そして砲塔のサーチライト部にはレンズを表現する為のクリアーパーツがセットされています
●キットには、燃料給油口のカバーに付く蝶ネジを再現するパーツとして、同社の「連合国軍 蝶ネジセット」のWランナーが1枚付属しています
●キットには、車体後部に取り付ける、燃料等を入れる「20ガロン缶」用のラック及び「20ガロン缶」を再現したパーツが付属しています
●マーキングは、4種の塗装指示がカラーで紹介されています
・ 第7機甲師団 第7機甲旅団 第2王立戦車連隊 (1941年11月/エジプト)
・ 第2機甲師団 第3機甲旅団 第5王立戦車連隊 A中隊 (1941年/リビア)
・ 第2機甲師団 第3機甲旅団 第5王立戦車連隊 C中隊 (1941年/リビア)
・ 第1機甲師団 第3機甲旅団 第5王立戦車連隊 C中隊 (1940年/フランス)
●説明書に指示された部隊マーク、車体番号、部隊記号、重量表示などを再現したデカールが付属されています
●2010年 一部完全新金型 (後期型防盾部、20ガロン缶ラックなど)
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●製作ガイド
・ このキットは、記述に在るようにパーツの合いが良好なので、パーツの細かさに気おくれさえしなければ、比較的製作は難しくないでしょう
・ ただし、次の2点は組み立てが難しいので、これを何とか克服できれば大丈夫です
・ マフラーには、実車の構造通りにエッチングパーツにより固定バンドが再現されており、エッチングパーツの端の部分がフェンダーに接続されるように組立てる
・ エッチングパーツで構成された通信アンテナの基部
●豆知識
・ イギリス軍の「A13」系巡航戦車は以下の4タイプに分けられます
・ 「A13」が制式採用されて「巡航戦車 Mk.3」となる(「A13 Mk.2」が作られると「A13」は「A13 Mk.1」と呼ばれる)
・ 「A13」を装甲強化したのが「A13 Mk.2」で、これが制式採用され「巡航戦車 Mk.4」となる
・ 「A13 Mk.2」が作られるようになり、既存の「A13」に同様な装甲強化を施したのが「巡航戦車 Mk.3 改修型」
・ 「A13 Mk.2」の同軸機銃をビッカースの水冷式から空冷のベサ機銃に変更したタイプが「巡航戦車 Mk.4A」となります
・ 「A13」の「A~」は開発番号であり、実際に制式採用されると呼称が変わるので注意して下さい