イラク軍戦車 T-55 エニグマ
「イラク軍戦車 T-55 エニグマ (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.324 )」です
●湾岸戦争時におけるイラク軍の「T-55」の改修型「T-55 エニグマ」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●戦後のソ連のベストセラー戦車「T-55」をベースに、追加装甲を装備した「T-55 エニグマ」を再現、本来の「T-55」とは全く異なるフォルムを持つ、迫力在る姿を表現した内容となっています
【 「T-55 エニグマ」について 】
●第2次世界大戦後期、ソ連軍は「T-34」の後継車両として「T-44」を開発、この「T-44」の設計をベースとして発展させた「T-54」が1947年に誕生します
●「T-54」は、低く地を這うような車体デザインに、お椀を伏せたような形状の砲塔を装備、良好な避弾経始を持ち、高い防御力を持っています
●また、主砲には100mm砲を搭載し、小型で強力な火力を持つ同車の出現に西側諸国は驚愕し、この「T-54」の基本デザインはその後のソ連(ロシア)の戦車に脈々と受継がれています
●1958年、「T-54」の改良型である「T-55」が登場、この「T-55」は「T-54」と形状的には相違が少なく、まとめて「T-54/55」と表示される場合が多くなっています
●「T-54/55」は、戦車としての優れた基本性能と生産性の良さからソ連国内だけではなく、ポーランド、チェコスロバキアでライセンス生産が行なわれ、合計で10万両もの生産数を誇る大ベストセラー戦車となりました
●また、中国でも「59式戦車」という名称でコピー生産が行なわれており、これらの「T-54/55」系列の戦車は、ソ連、中国の友好国に大量に供給、輸出がされました
●「T-54/55」は、戦車としては最低限の装備しか無く、弾道計算機や砲安定装置などの複雑な機器は装備していません
●しかし、その分生産コストが低く、単純な機能により機械的な取扱いが容易であり、充分な整備環境や訓練を積んだ乗員を持っていなくても運用することができ、旧東側諸国では2戦級兵器となった関係上、世界中に同戦車が広がっていきました
・ ただ、機械的取扱いが容易でも、機械式のトランスミッションによる操縦手の負担は厳しいものが有ります
●イラクでは1980年代において「イラン・イラク戦争」を行なっており、イラン軍はイラン革命以前に輸入された優秀な兵器を多く持っており、イラク軍はソ連などから大量に「T54/55」戦車を購入して戦線に投入しました
●1980年代後半、国連の調停により同戦装は停戦、この戦争は両軍双方に多大な損害をもたらしましたが、軍備の増強によりイラク軍はアラブ諸国の中でもトップの軍事力を擁するようになりました
・ 戦車戦力は3000両を超えていました
●イラクはクウェートとの間に、石油利権や「イラン・イラク戦争」の戦費負担の紛争を抱えており、その解決を図るためにイラク軍はクウェートに軍事侵攻を開始、弱体な軍備力しか持たないクウェート軍を蹴散らしてクウェート全土を占領します
●このイラク軍に対し、国連決議に基づく多国籍軍が隣国サウジアラビアに展開、1991年にはクウェート開放作戦が行なわれました
●当時のイラク軍は、戦車として「T-72」、「T-62」、「T-54/55」を保有していましたが、この頃には「T-54/55」は旧式化が否めないのも事実でした
●そこで、イラク軍独自に「T-55」を改修したのが「T-55 エニグマ」です
●「T-55 エニグマ」は、前面を中心に装甲ボックスが装着され、防御力の強化が図られています
●この装甲ボックスの内部には、薄い装甲板が間隔を開けて配置され、スペースドアーマーとして成型炸薬弾に対して強力な防御力を持っています
●ただ、徹甲弾に対しては、成型炸薬弾よりも効果的では有りませんが、一定の防御効果を持っているのも確かです
・ 「T-55」から「T-55 エニグマ」への改修時期は定かでは有りません
・ また、「T-55 エニグマ」という名称は多国籍軍側が付けた名称であり、イラク軍側の名称は分かっていません
●多国籍軍によるクウェート開放作戦「砂漠の嵐」では、事前に行なわれた1ヶ月間もの空爆と物量の差によりイラク軍の苦戦を強いられます
●特に、多国籍軍側は最新鋭の第3世代戦車を多く投入、優れた照準装置と暗視装置、そして長射程で威力の高い徹甲弾により、イラク軍の戦車は次々と撃破されて行きました
●「T-55 エニグマ」は、「T-54/55」を装備する部隊の指揮戦車として用いられ、「T-54/55」よりも優れた防御力を持っていましたが、戦車としての基本性能に格段の差が有る多国籍軍の戦車に対しては蟷螂の斧であり、奮戦虚しく撃破、捕獲されています
【 「イラク軍戦車 T-55 エニグマ」のキット内容について 】
●このイラク軍の「T-55 エニグマ」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●キットは、「T-55 エニグマ」をタミヤタッチによりシャープ且つ表情豊かに再現、ベースとなった「T-55」としての鋳造、プレス表現、防塵カバーのキャンバス表現など、タミヤがMMシリーズとして培ってきた戦車模型の表現力が伝わる逸品となっています
●また、「T-55 エニグマ」としての増加装甲ボックスを始め、「T-55」本体部分は精密感を演出しながらも極力一体成型が用いられ、模型本来の楽しみである「作る楽しさ」を充分に味わうことができる内容となっています
●キットは、タミヤ社製「ソビエト戦車 T-55A」のバリエーションキットで、増加装甲、サーチライトカバーなどを新規に追加したものです
・ 砲塔、車体上部パーツは当キット用に作り起こされています
●「T-55 エニグマ」は、砲塔、車体上部、車体下部の3ブロックで構成されています
●砲身は、左右分割式で、砲口部分は別パーツとなっています
・ 防盾は、防塵カバーが装着された状態が再現されています
●砲塔は上下分割式です
・ 前部の照準口、機銃口部分は別パーツです
・ 砲塔表面には鋳造肌が表現されています
・ 後部の小フックは別パーツにて再現
・ 車長ハッチは開閉可動式です
・ 装填手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 砲塔上の対空機銃は、機銃架も含めて9パーツで構成されています
・ 右側のサーチライトカバーは1パーツ、車長用のサーチライトカバーは2パーツで構成
●砲塔の増加装甲は、前面3ブロック、後部1ブロックで構成されています
・ 前面の1ブロック(左側面の最前部)と後部ブロックは2分割式となっています
・ 前部の増加装甲の2ブロックは各パネルを貼り合わせる箱組み方式です
・ 増加装甲の支持架がパーツ化されています
●車体上部は、フェンダーも含めて一体成型されています
・ フェンダー支持架の一部は別パーツとなっています
・ 前部のライトガードは上下分割式です
・ 前部と後部の車両表示灯は別パーツです
・ 操縦手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 排気口部分の先端部は別パーツとなっています
・ エンジングリル部のメッシュを再現するラバー製のメッシュが付属しています
・ 各雑具箱は箱組み方式、フェンダー上の燃料タンクは1パーツで構成されています
●車体の増加装甲は各ブロックごとにパーツ化され、側面のブロックは2分割式、前面のブロックは各1パーツで構成されています
●車体下部はバスタブ式に一体成型され、これに前面と後面パネルを接着する構成となっています
・ サスペンションアームは別パーツです
・ 各転輪類は内蔵させるポリキャップにより可動します
・ 後部の補助燃料タンクの支持架は、上部から差し込む方式により、強度が確保されています
・ 履帯は、接着及び塗装が可能な素材によるベルト式履帯が付属しています
●車長を再現したフィギュアが付属しています
・ フィギュアは、4個という少ないパーツ数で構成されながらも、デッサン、服の皺とディテール、顔の彫刻など、フィギュア造形として非常に優れた内容となっています
・ フィギュアは、車外に立った姿勢で、両腕で双眼鏡を持っているポーズとなっています
・ 服装は、イラク軍の野戦服を着用、ソ連式の戦車ヘルメットを被っている姿です
・ 服の皺の表現は、スケールに沿っており、ポケットなどの細部は、エッジが立ったシャープ且つ繊細なモールドで彫刻されています
・ フィギュアは、頭部、胴体、両腕のパーツ構成です
●キットのベースとなった「T-55A」のキットに含まれているオリジナルの戦車兵のフィギュアも付属しています
●塗装指示は説明書内に1種、実存する車輌から車体番号などの記載は確認されておりませんので、推奨使用カラーの指示のみが記載されています
●実車解説が記載されているリーフレットが付属
●2012年 一部新金型
●使用カラー : 「ライトサンド (TS-46)」など