ソビエト KV-122 重戦車
「ソビエト KV-122 重戦車 (プラモデル) (トランペッター 1/35 AFVシリーズ No.01570 )」です
●第2次世界大戦時におけるソ連軍の「試作重戦車 KV-122」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●「KV-85」をベースとして122mm砲を搭載した「試作車両 KV-122」を再現、「KV戦車」と「JS戦車」の折衷案のような特異なフォルムを再現した内容となっています
●トランペッター社製「ソビエト軍 KV-85 重戦車」をベースとして、「KV-122」を再現するために、砲身、防盾を新規パーツに変更したバリエーションキットとなります【 「KV-122」について 】
●ソ連軍は1939年に「重戦車 KV-1」を開発、この戦車は当時としては極めて強力な装甲を持ち、主砲も「76.2mm砲」を装備し、他国の重戦車を凌駕する性能を誇りました
●独ソ戦においてこの「KV-1」はドイツ軍の「3号戦車」「4号戦車」などを圧倒、破格の強靭さを示し、同車を撃破するには航空支援か「88mm高射砲」に頼らなくてはなりませんでした
●「KV-1」は、その無敵振りからドイツ軍を恐れさせましたが、後輪駆動式としてトランスミッションを後部に配置している関係から、走行時の変速作業は至難の業であり、実際での機動性能はカタログスペック(路上での最高速度35km/h)を大きく下回りました
・ この配置は防御力を重視したためで、重量の大きなクラッチ、トランスミッションを後部に置いた分、重量配分の関係から前部の装甲を厚くすることが可能となり、前部に点検ハッチを設ける必要も無いことから防御面では有利となっています
●また、その大重量の負担がこのトランスミッションなどの駆動系に負荷を掛けることになり、「KV-1」は戦闘による損失よりも、機械的故障により放棄される車輌の方が多いという結果となります
●独ソ戦の初期では、ソ連軍は防戦一方であり、その事実を精査する余裕もありませんでしたが、戦況が落ち着くと「KV-1」の欠点が槍玉に挙がります
●その結果、「KV-1」は軽量化が行われることとなり、装甲を削減し、各部のスペースを削った「KV-1S」が1942年8月に登場します
●この「KV-1S」は、「KV-1」と比べて機動性が向上、軽重量化により故障率も下がり、重戦車部隊の将兵からは歓迎されました
●一方で、装甲が薄くなった分、「KV-1」が本来持っていた強靭さは薄れてしまい、ドイツ軍の火力の増強も相まって、「T-34」と比べると装甲は厚いものの同じ火力しか持たず、機動性能は大きく劣る」ということがクローズアップされてしまい、ソ連軍首脳部からは重戦車不要論が噴出しました
●そこで、「KV-1」シリーズの開発陣は、「KV-1S」をベースとして「85mm戦車砲 D-5T」を搭載した車輌「KV-85」を製作、平行して汎用戦車として開発されていた「KV-13」を発展させ、同じ「85mm戦車砲 D-5T」を搭載した「JS-1」も作られました
●この「KV-85」と「JS-1」は量産が行われ、早速実践テストとして戦場に投入されましたが、装甲自体は「KV-1S」と同等で、「85mm戦車砲 D-5T」はドイツ軍の88mm砲を比べて威力に劣り、結果的に「タイガー1」や「パンター」などにアウトレンジで撃破されてしまう車両が続出してしまいます
●この結果、「KV-85」と「JS-1」は少数生産にとどまり、主砲の大口径化が図られることになりました
●当初は、「100mm戦車砲 S-34」の搭載が計画されましたが、弾薬の補給などの問題から野砲を転用した「122mm戦車砲 D-25T」を搭載することが決定、同砲を「JS-1」に搭載したタイプ「JS-2」が登場します
●「KV-85」にも「122mm戦車砲 D-25T」を搭載した「KV-122」が作られましたが、この頃には「KV-1S」シリーズよりも「JS」シリーズの方が優れているという判断が下されており、生産は「JS-2」に集中することが決定、「KV-122」が量産されることはありませんでした
【 「ソビエト KV-122 重戦車」の製品内容について 】
●このソ連軍の試作重戦車「KV-122」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●トランペッター社の「KV-1」シリーズのフォーマットに沿って「KV-122」を再現、比較的パーツ数を抑えた構成により、同車の魅力が表現されています
・ トランペッター社の「KV-1」シリーズは、ディテール表現、作り易さ、雰囲気など、同社のキットの中でも最良なものですが、当キットもその流れを汲んだものとなっています
●「KV-122」は、「砲塔」「車体」、左右の「フェンダー」の4ブロックで構成されています
【 砲 塔 】
●「122mm戦車砲D-25T」の砲身は、プラパーツと金属製砲身とが付属しており、選択して使用します
・ プラパーツは先端のマズルブレーキを含めて左右分割式となっています
・ 金属製砲身は、砲身本体部分のみが再現され、マズルブレーキはプラパーツのマズルブレーキ部を切り取って使用します
・ 防盾は1パーツで構成され、砲身基部部分のディテール、ボルト、そして鋳造肌が表現されています
・ 防盾は完成後も上下可動式とすることができます
●砲塔は上下分割式で、車長キューポラは別パーツとなっています
・ 砲塔周囲には特徴的な溶接跡と湯口が表現されています
・ 車長ハッチ、装填手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ ペリスコープ、ベンチレーター、ピストルポート栓がパーツ化
・ 後部機銃は、機銃銃身、防盾、マウント部で構成
・ 砲塔に付けられた手摺りがパーツ化
【 車 体 】
●車体は、バスタブ式に成型された車体下部パーツに、各パネルを貼り付ける構成となっています
・ サスペンションアーム、ダンパーは別パーツです
・ 後部の整風板は、プラパーツとエッチングパーツとを選択できます
・ 最後部の吸気グリル部のメッシュを再現するエッチングパーツが付属しています
・ 操縦手ハッチ、後部のエンジン点検ハッチは別パーツです
・ 排気マフラーは、先端部が開口処理されています
・ 車体に設けられた手摺りが各ブロックごとにパーツ化
・ 牽引ワイヤーは、アイの部分がプラパーツ、ワイヤー本体は付属の銅製ワイヤー使用します
【 履 帯 】
●履帯は、1枚ずつが分割された接着連結式履帯が付属しています
・ 履帯は、「KV-1S」用の「軽量型履帯」が再現されており、モデルカステン製「KV&JS戦車用履帯 (可動式)」がこれに対応しています
【 フェンダー 】
●フェンダーは一体成型され、前部のマッドフラップ、上部のフェンダー支持架は別パーツとなっています
・ フェンダー部分に存在する車体中央部の張り出し部は上下分割式です
・ 後部の予備燃料タンクは各4パーツで構成、雑具箱は1パーツで構成されています
●前照灯のガラス部、尾灯を再現するクリアーパーツが付属
●車体後部の整風板、最後部の吸気グリルのメッシュを再現するエッチングパーツが付属しています
【 塗装とマーキング 】
●「KV-122」のマーキングとして、ソ連軍仕様となる1種類の塗装例が説明書に記載されており、車体番号、親衛マークなどを再現したデカールが付属しています
●「KV-122 重戦車」の完成時のサイズ
・ 全長:約277mm
・ 完成全幅:約95mm
●全440パーツ
●2013年 一部新金型