イスラエル軍戦車 ティラン 5
「イスラエル軍戦車 ティラン 5 (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.328 )」です
●1970年代から1980年代におけるイスラエル軍の戦車「ティラン 5」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●鹵獲した「T-55」をベースとしたイスラエル軍の改修版である「ティラン 5」を再現、同軍独自の改良により実戦に即した多くの装備を取り付け、オリジナルの「T-55」とは大きく印象を変化させたイスラエル軍独特のスタイルが表現されています
●タミヤ社製「ソビエト戦車 T-55A」をベースとして、「ティラン 5」を再現するために車体上部、砲塔、主砲を新規パーツへと変更、各種装備品類、フィギュアを追加したバリエーションキットとなります
【 イスラエル軍の「ティラン 5 戦車」について 】
●近代戦争において鹵獲した車両や火砲などを自軍の装備として活用することは、戦争当事国各国でよく行われています
●鹵獲によりむざむざと敵軍に戦力を譲ってしまうこと避けるため、やむなく車両や火砲類を放棄する場合には自身で破壊することが基本となっていましたが、戦場においてはその余裕が無い場合が多く、特に基本的構造が強固な戦車については修理不可能なまでに破壊することは困難でした
●ただし、このような鹵獲装備品は、パーツや弾薬の供給の点から大量かつ継続的に使用することが難しく、フィンランドなどの中小国での例を除いて限定的なものとなっているのも事実です
●イスラエル軍は、国家が存在する地域の関係から戦車戦力を重要視しており、4度に渡る中東戦争と数多くの国境地域での紛争において戦車を極めて有効に運用しています
●しかし、戦車を生産できる世界の列強国は、周辺のアラブ国家への配慮からイスラエルが要求するほどの数の戦車を売却することを躊躇したため、イスラエル軍は常に戦車不足だったことも確かです
●イスラエル軍は1967年の第3次中東戦争において大勝利を収め、アラブ各国軍の戦車を数多く撃破、戦場となった地域には撃破された戦車が多く残されました
●戦車不足という現実からイスラエル軍はこれらの撃破車両を修理して自軍の装備とすることを決定、「T-54」「T-55」「T-62」をそれぞれ「ティラン 1」「ティラン 2」「ティラン 3」という名称を付けて使用していました
●ただし、各戦車に供給する砲弾は捕獲時に収集した分のみであり、このような捕獲戦車を継続して使用することは難しく、イスラエル軍独自の改修が行われることとなります
●このイスラエル軍が改修した「T-54」「T-55」「T-62」は、先程の名称の続きとして「ティラン 4」「ティラン 5」「ティラン 6」と名称が付けられ、イスラエル軍戦車らしい風貌へと変化しています
・ 「スーパーシャーマン」や「センチュリオン」などの経験により、イスラエルの戦車の整備及び改修能力は極めて高く、このような「T-55」などへの改修作業は造作も無いことだったようで、さらにはこのような経験が国産戦車「メルカバ」の登場に至っています
●「ティラン 5」は「T-55」をベースとしてイスラエル軍仕様に改修したタイプであり、当初は搭載機関銃を「M1919A4機関銃」へと変更して自軍装備と統一、後部の予備燃料タンク部分を荷物ラックとし、フェンダー前部の形状も変更されています
●さらに主砲をNATO軍共通となる「105mm戦車砲 L7」への換装、砲塔上部の機銃の増設、「60mm迫撃砲」の搭載や、主砲上部の同軸に「M2重機関銃」も装備、収納箱なども増やされ、オリジナルの「T-55」とはかなり異なる印象へと変化して行きました
・ 「ティラン 4」と「ティラン 5」は、原型車両がほぼ同一に近くて判別が困難なので、総称として「Ti-67」と呼ばれています
●「ティラン 5」の本格的な実戦参加は1973年に発生した第4次中東戦争で、シナイ半島方面に配備された機甲旅団の1つが「ティラン 5」を装備しており、戦争が開戦すると同半島に進出してきたエジプト軍戦車部隊と激闘を繰り広げます
●エジプト軍は、1000両に上る戦車を前面に押し出しイスラエル軍を圧迫、対するイスラエル軍はシリア軍などのゴラン高原方面への戦闘から、多方面での防御戦となり、苦戦を強いられました
●「ティラン 5」装備部隊を始めとするシナイ半島のイスラエル軍の戦車部隊は、練度の高さと実戦経験の豊富さ、そして戦車の基本性能に違いなどによりエジプト軍に多大な損害を与え、自身も損害を受けながらも同半島を守り抜きます
●これまでの戦闘の結果と、イスラエル軍の増援部隊の到着により形勢は逆転、シナイ半島に進出したエジプト軍を撃破し、スエズ運河を渡河してエジプト領内に進撃しました
●その後、米ソの仲介によって休戦、結果的にはイスラエル軍の勝利となっています
●このように第4次中東戦争において活躍を見せた「ティラン 5」ですが、1977年には国産戦車「メルカバ」が登場、順調にその生産が進むと「ティラン 5」は第1線部隊から引き揚げられ、予備役用もしくは訓練用の戦車として運用されました
●1980年代中頃にはその任務も解かれ、イスラエルと利害関係が一致する周辺国に売却されるようになり、残存車両も装甲兵員輸送車へと改造、防御力に優れた「アチザリット装甲兵員輸送車」として運用されています
【 イスラエル軍戦車 ティラン 5 (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.328) プラモデルの内容 】
●このイスラエル軍の戦車「ティラン5」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●「T-55」の一種の派生車両として最も存在感のあるイスラエル軍の「ティラン 5」を再現、ベースである「T-55」としての確実な造形を踏まえながら、各種装備で覆われた同車のフォルムと.、仕様変更が行われた細部の違いが表現されています
●タミヤ社製「ソビエト戦車 T-55A」をベースしたバリエーションキットながら、従来のパーツの流用部分は車体下部が中心で、砲塔と車体上部は新規に作り起こされ、フェンダーの造りの変更などの「T-55」との違いを明確化、バリエーションキットに多いダボ穴の開口などの追加工作もなく、「ティラン 5」の魅力を気軽に楽しむことができる内容となっています
●また、タミヤMMシリーズの傑作キットとして名高い「ソビエト戦車 T-55A」の血もしっかりと引き継いでおり、砲塔の鋳造表現や「M2重機関銃」の装備により皺が変化した防塵カバーの様子、燃料タンクのプレス構造や細部のディテールなど、ディテールの細部に渡りタミヤタッチの表現力が行き届いています
●そして、雰囲気あるイスラエル戦車兵のフィギュアも付属、戦車としての「ティラン 5」のみならず、多くの戦いを克服したイスラエル戦車部隊の一員であった同車の魅力を楽しむことができるでしょう
●「ティラン5」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成されています
【 砲 塔 】
●砲塔は、新金型により「T-55」の特徴的な砲塔形状と鋳造の荒さを再現、「ティラン5」としての様々な装備品類が豊かに表現されています
●「105mm戦車砲 L7」の砲身は、左右分割式で、砲口部分は別パーツとなっています
・ 防盾は、防塵カバーが装着された状態と防塵カバーなしの状態の2種類が用意されており、選択して使用します
・ 砲身は、砲身の取り付け基部に装着するポリキャップにより上下可動します(防塵カバー付きの場合は可動しません)
●砲塔は上下分割式です
・ 前部の照準口、機銃口部分は別パーツです(照準口はカバーなしの状態)
・ 砲塔表面には独特の鋳造肌が表現されています
・ 車長キューポラは別パーツです
・ 車長ハッチは別パーツで、開閉可動式です
・ 装填手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ アンテナベースは上下分割式で、アンテナ基部がパーツ化
・ 後部のバスケット及び側面の雑具箱は各パネルを貼り合せる箱組み方式です
・ 砲塔に装備される「60mm迫撃砲」、水タンクラック、暗視スコープ収納箱などが個別にパーツ化されています
●砲塔上に装備される「M2重機関銃」(×1)、「M1919A4機関銃」(×2)が付属しています
●「M2重機関銃」は、銃架も含めて一体成型され、機関部左側面、グリップ部が別パーツとなっています
・ 弾薬箱は上下分割式で、銃弾が充填されている状態を再現
●「M1919A4機関銃」は、下部の揺架も含めて一体成型されており、銃架は別パーツで、機関銃本体は上下可動します
・ 弾薬箱及び弾薬架は前後分割式で、蓋の部分は別パーツです
【 車体上部 】
●車体上部は、新金型により「ティラン5」の独特のフェンダー形状を再現、独特の前部のマッドフラップの素材感、「T-55」としての燃料タンクの質感、エンジングリルのルーバーの表現など、同車の特徴が表現されています
●車体上部は、フェンダーも含めて一体成型されています
・ フェンダー支持架の一部は別パーツとなっています
・ 「ティラン5」オリジナルとなるライトガードは、前部のカバーを下ろした状態です
・ 前部と後部の車両表示灯は別パーツです
・ 操縦手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ ペリスコープのカバー部は別パーツです
・ 排気口部分の先端部は別パーツとなっています
・ エンジングリル部のメッシュを再現するラバー製のメッシュが付属しています
・ 各雑具箱は箱組み方式、燃料タンクは1パーツで構成されています
【 車体下部 】
●車体下部は、パーツ数を抑えながら確かな造形により足周りを再現、転輪のゴムの部分に付く特徴的な放射状パターンも表現されています
●車体下部はバスタブ式に一体成型され、これに前面と後面パネルを接着する構成となっています
・ サスペンションアームは別パーツです
・ 各転輪類は内蔵させるポリキャップにより可動します
・ 車体後部のバスケットは、各パネルを貼り合せる箱組み方式です
【 履 帯 】
●履帯は、接着及び塗装が可能な素材によるベルト式履帯が付属しています
・ 履帯は、表面部に深い滑り止めパターンが付いた「T-55」の標準型履帯が再現されており、モデルカステン製「T55戦車用履帯 (可動式)ソビエト戦車 T-55A」がこれに対応しています
【 フィギュア 】
●車長と装填手を再現した半身像のフィギュアが2体付属しています
・ 車長のフィギュアは車長キューポラから上半身を出してマイクを持って通話しているポーズ
・ 装填手のフィギュアは、ハッチから上半身を出して片腕をハッチ部分に置いているポーズです
・ フィギュアの服装は、車長は野戦用のシャツ姿、装填手は戦車兵用のツナギを着用、両フィギュア共に戦車ヘルメットを被っています
・ 車長のフィギュアは、サングラスを着用しており、顔の部分にモールドされています
・ 服の皺の表現はスケールに沿っており、ポケットやベルトなどの細部は立体的かつシャープにモールドされています
・ フィギュアは、頭部、胴体、両腕のパーツ構成です
●キットのベースとなった「ソビエト戦車 T-55A」のオリジナルフィギュア1体も付属しています
・ 同フィギュアの詳細は、個別ページを参照して下さい
【 イスラエル軍戦車 ティラン 5 (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.328) 塗装とマーキング 】
●「ティラン5」のマーキングとして、イスラエル軍仕様となる1種類の塗装例が説明書に記載されています
・ イスラエル軍所属車両 (シナイグレー塗装 / ネゲブ砂漠 / 1980年代中頃)
●説明書の塗装例に基づく、砲身の識別帯、シェブロンマーク、車両番号、車台番号などを再現したデカールが付属しています
●実車の解説が書かれたリーフレットが付属
●2013年 一部新金型
【 イスラエル軍戦車 ティラン 5 (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.328) パッケージ内容 】
・ ティラン 5 戦車 ×1
・ イスラエル陸軍 戦車兵 (半身) ×2
・ ロシア軍 戦車兵 ×1
・ デカールシート ×1
・ 組立説明書 ×1
・ 実車解説リーフレット ×1