潜水空母 伊号第14潜水艦 パナマ運河攻撃と彩雲輸送光作戦
「潜水空母 伊号第14潜水艦 パナマ運河攻撃と彩雲輸送光作戦 (本) (大日本絵画 船舶関連書籍 No.23156-5 )」です
●太平洋戦争時における日本海軍の潜水艦「伊14」のパナマ運河攻撃とウルシー環礁攻撃の両作戦を中心に、日本海軍の潜水艦の活動を描いた戦記本となっています
【 「潜水空母 伊号第14潜水艦 パナマ運河攻撃と彩雲輸送 光作戦」の概要 】
●第1次世界大戦において実戦兵器として実用化された潜水艦は、ドイツ海軍の手により通商破壊活動に猛威を奮い、その勢いはイギリスの商船団を壊滅寸前まで追い込みました
●このドイツ海軍の潜水艦の活躍から、各国の海軍では潜水艦は通商破壊戦を任務の中心と考えていました
●日本海軍は、強大な海軍力を誇るアメリカ、イギリスと対峙していたため、潜水艦を通常戦力に据え、艦隊決戦の前に敵艦隊に打撃を与えるための兵器として戦力化を行い、太平洋戦争前には世界有数の潜水艦戦力を持つに至ります
・ 日本海軍の潜水艦は、水上艦隊の前に展開する必要があるため大型で航続距離が長く、戦闘艦艇を攻撃するため水中での機動性能を高く、魚雷発射管も多く装備していたのが特徴でした
●一方、ヨーロッパ海域においてドイツ海軍の潜水艦と熾烈な戦いを展開していたイギリス海軍は、その戦の経験から対潜能力を向上、アメリカ海軍も技術供与を受け、ソナー、爆雷の能力をはじめ、実際の戦術など、対潜能力を上げており、日本海軍の潜水艦は不利な戦いを強いられてしまいます
●また、島嶼を巡る戦いにで制海権、制空権をアメリカ軍側に掌握された日本海軍は苦肉の策として潜水艦を陸上部隊向けの輸送任務に当てることを決断、このため日本の潜水艦は、潜水艦本来の作戦行動が行えない状況となってしまいます
●この隠密裏に行うはずの輸送任務においても、アメリカ海軍が展開した多数の駆逐艦などにより戦没する潜水艦が続出、往事にはその戦力を誇った日本海軍の潜水艦隊も日々やせ細ってしまいます
●戦争後期、不利に立たされた日本海軍は起死回生の策として、潜水艦を秘密兵器として有効活用する計画を立案、潜水艦技術の粋を結集して、特殊攻撃機を複数搭載する潜水空母として「伊400号型」を建造、さらに既存の潜水艦を改装する形で「伊13号型」も開発しました
●この「伊13号型」と「伊400号型」は、長大な航続距離と搭載する攻撃機によってアメリカ本土などへの直接攻撃を行うことができ、1945年にはこの能力を活かして、大西洋と太平洋とを繋ぐパナマ運河攻撃を立案します
●しかし、「伊13号型」と「伊400号型」が一定数揃ったのは1945年の中頃であり、その頃には沖縄は既にアメリカ軍が占領するところとなっており、差し迫った戦況に対する有効策として、アメリカ海軍艦艇の集結地であるウルシー環礁への攻撃へと作戦を変更したのです
●本書「潜水空母 伊号第14潜水艦 パナマ運河攻撃と彩雲輸送 光作戦」は、この「伊13号型」の2番艦である「伊14」を中心にして、パナマ運河攻撃とウルシー環礁攻撃の両作戦を描いたノンフィクションの戦記本です
●「伊14」の乗員などの証言を元にして、その作戦行動や艦内の様子、潜水艦の機能などが鮮明に写し出されています
●また、「伊14」などに搭載した特殊攻撃機「晴嵐」の運用部隊「第631航空隊」についても詳細に紹介、「晴嵐」についてもその開発と運用状況、艦内への収納方法など詳しく解説します
●そして、日本海軍の潜水艦の運用や型式の違い、そして構造なども詳細に解説、世界有数の戦力を誇りながらも、その実像が分かり難かった日本の潜水艦に実像に迫ります
●プライベート写真を含めて未発表の写真を多く掲載、乗員を撮影するために艦に近づいて撮った写真は、これまでの潜水艦の写真とは異なり、艦のディテールを詳細に知ることができます
●更に、飾らない乗員の表情は、日常として潜水艦に乗務する乗員のありのままの姿を捉えたものとして、一見の価値があります
●巻頭には日本陸海軍のメカニックに関して、ネジ1本の再現にこだわることで有名な研究家である佐藤邦彦氏の書き下ろしカラーイラストも多数収録
●日本海軍の潜水艦と、それを動かした潜水艦乗りの実像を捉えた屈指の一冊となっています
【 「潜水空母 伊号第14潜水艦 パナマ運河攻撃と彩雲輸送 光作戦」の内容目次 】
●幻の潜水空母「伊14」を検証する
●潜水空母「伊14」 搭載機「晴嵐」と「彩雲」の塗装とマーキング
●「伊14」と日本海軍潜水艦の形見
●プロローグ 彩雲、北へ飛ぶ
●第1章 「伊14」潜水艦の建造
・ 日本海軍の主力潜水艦「巡潜型」
・ 甲型潜水艦の血統
・ 特型の出現
・ 甲型改2型の建造
・ 「伊14」艤装員の着任は機関科から
・ 兵科の艤装員も集まる
・ 名和航海長と「伊8」
・ 「伊14」艦長、清水鶴造中佐着任
・ 第1潜水隊の編成と第1潜水戦隊編成準備
・ 古武士たちの戦歴
・ パナマ運河攻撃はあとづけ?
・ 搭載機「晴嵐」の開発状況
・ 横空「晴嵐」隊の発足
・ 第631海軍航空隊の編成
・ 「伊14」艤装中の訓練
・ 機関長、航海長、勤務願い下げ運動
・ 神戸の町並み
●第2章臥龍潜伏
・ 幸運艦の片鱗
・ 伊予灘での訓練
・ 艦内ガス爆発事故
・ 新たな乗員の配属
・ シュノーケルを搭載する
・ 去り行く人々
・ 安息の訓練地を求めて
・ 艦上ドンチャン騒ぎ、そして鎮海へ
・ 七尾入泊、「晴嵐」初見参
・ 「晴嵐」発進要領
・ 日本海に敵潜水艦出現
・ さらば七尾湾
・ 新たな任務、嵐作戦と光作戦
・ 困難なトラック島への「彩雲」進出
・ 舞鶴の日々
・ 老兵「伊165」の最後
・ 軸管焼きつき事件
・ 出撃を前に
●第3章光作戦発動
・ 出撃、針路SE宜候
・ 早くも敵と遭遇
・ 機関故障もなんのその
・ あわや海底へ急降下
・ ピンチ到来
・ トラック入港
・ 「彩雲」陸揚げ
・ 次期作戦指令
●第4章 合戦要具収め
・ 終戦の詔勅
・ トラック出港
・ ついに米艦に捕捉さる
・ 潜航離脱計画
・ 米艦に乗り込む
・ 「伊14」横須賀入港
・ 嵐作戦の顛末
・ 「伊13」帰還せず
・ 冠たり「伊14」
・ 戦後が始まった
●補遺
・ 佐世保への回航
・ ハワイにて
・ 631空の終戦と残存「晴嵐」
・ ハワイ沖に眠る「伊14」
●エピローグ 「伊14」潜水艦の絆
●巻末資料
・ 「伊14」潜水艦乗員名簿
・ 「伊13」潜水艦乗員名簿
・ 「伊14」潜水艦内規
【 「潜水空母 伊号第14潜水艦 パナマ運河攻撃と彩雲輸送 光作戦」奥付 】
●版型 : AB版 / ソフトカバー
●全240ページ / モノクロ写真139点収録
●著者 : 吉野泰貴
●発行日 : 2015年4月5日
●ISBNコード : 9784499231565