T-34/76 1943年 初期型
「T-34/76 1943年 初期型 (プラモデル) (ICM 1/35 ミリタリービークル・フィギュア No.35365 )」です
●第2次世界大戦時におけるソ連軍の中戦車「T-34/76 1943年型」の「初期型」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●クルスク戦時など大戦中期におけるソ連軍の戦車部隊の主力となった「T-34/76 1943年型」の「初期型」を再現、砲塔前面部に独特の膨らみを持つ6角形の砲塔を装備した、特徴的なフォルムを再現した内容となっています
●本キットでは
・ 6角形の鋳造砲塔
・ 砲塔上部のハッチが円形タイプ2個 (ミッキーマウスハッチ)
・ 主砲は長砲身の「41.5口径 76.2mm戦車砲 F-34」
・ 前方機銃に防盾を装備
した「T-34/76」を再現しています(いわゆる「T-34/76 1943年型 初期型」)
【 「T-34/76 1943年型」について 】
●「T-34」は、軽戦車である「BT戦車」シリーズの防御力向上型として開発が進み、避弾経始に優れた傾斜装甲を大幅に採り入れた戦車として1940年に登場しました
●「T-34」は画期的な戦車で、エンジンだけではなくトランスミッションも搭載、このレイアウトにより重量配分から前面装甲を厚くすることができ、防御上の弱点となるトランスミッションの点検ハッチを後部へと設けることができました
・ 当時の戦車の最大装甲は30mm程度だったのに対して、「T-34」では45mm厚を誇り、その装甲も傾斜していたことから高い防御力を持っていました
・ 主砲も、当時の戦車が37mmクラスだったのに対して、大口径砲となる「30.5口径 76.2mm戦車砲 L-11」を装備していました
・ また、エンジンは燃費に優れたディーゼルエンジンを搭載、地形への追従能力が高いクリスティーサスペンションと幅の広い履帯により極めて優れた機動性能を持ち、「走」「攻」「守」に優れた戦車でした
●この「T-34」は76mm砲を装備した「T-34/76」と、85mm砲を装備した「T-34/85」に区分を行い、「T-34/76」も仕様変更の違いで「1940年型」「1941年型」「1942年型」「1943年型」の4つの型式に分けられています
●「T-34/76 1943年型」は、6角形状となる新型砲塔へ換装、従来の型式では上部ハッチは大型ハッチが1つとなっていましたが、小型のハッチ2つに変更されています
・ 「1941年型」から主砲は「41.5口径 76.2mm戦車砲 F-34」へと変更、「1943年型」も同砲を装備しています
・ この「T-34/76 1943年型」は、上部のハッチを開放すると耳のように見えることから、ドイツ軍将兵からは「ミッキーマウス」と呼ばれていました
●ソ連軍戦車は視察口が少なく、光学機器の精度も悪く、さらに戦闘中にはハッチを必ず閉めるという傾向が強かったため、視認能力が低く、これはドイツ戦車に苦杯を舐める要因ともなっていました
●そこで、「T-34/76 1943年型」の「後期型」から車長キューポラを装備するようになり、これが登場する前の「1943年型」車両は「初期型」と呼ばれています
【 「ソビエト T-34/76 1943 初期型」のキット内容について 】
●このソ連軍の中戦車「T-34/76 1943年型」の「初期型」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●トラックやスタッフカーなどのソフトスキン車両をキット化してきたICM社の造形技術を下敷きに、「T-34/76 1943年型 初期型」を再現、オーソドックスなパーツ分割と、繊細なモールドで「T-34/76」のディテールを再現した内容となっています
●「T-34/76 1943年型 初期型」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成しています
【 砲 塔 】
●「1943年型」の特徴となる6角形の形状を再現、鋳造肌と溶接跡を繊細なモールドで再現しています
●「41.5口径 76.2mm戦車砲 F-34」の砲身は左右に分割したパーツで再現
・ 防盾は一体成型のパーツで再現、同軸機銃は別パーツ化しています
・ 砲身基部の装甲スリーブ部は、左右及び前面の3パーツに分割した構成
・ 防盾は、上下に可動させることができます
・ 砲尾も再現、3パーツの構成となる砲尾に、照準器、同軸機銃などを取り付けて作製します
●砲塔は上下に分割したパーツで再現、前部の膨らんだ部分は別パーツ化しています
・ 上部のハッチは別パーツ化、開閉状態を選択して組み立てることができます
・ ペリスコープ、ベンチレーター、吊り下げフック、側面の視察口、手摺りは別パーツ化して再現
【 車体上部 】
●傾斜装甲で構成した車体上面部にエンジンデッキが張り出した形状となる「T-34」の車体レイアウトを再現、各部の溶接跡やボルトなどを繊細なモールドで再現しています
●車体上部は、前部フェンダーを含めた一体成型のパーツで再現、後部パネルは別パーツとなっています
・ エンジンデッキは4つのブロックに分割しており、スリット部は開口されており、メッシュはモールドで再現しています
・ 前方機銃のマウントは、装甲カバーとマウントの2パーツで構成、これに機銃本体と防盾を取り付けて作製します
・ 操縦手ハッチは前後に分割したパーツで構成、開閉状態を選択することができます
・ 操縦手ハッチ上部の視察カバーは別パーツ化、閉じた状態となっています
・ 前照灯、ホーン、牽引フック、アンテナマウントが別パーツ化、前照灯は前後に分割したパーツで再現しています
・ 側面の取り付けるノコギリをパーツ化、固定具をパーツとともに一体成型した状態となっています
・ フェンダー上の雑具箱はそれぞれ一体成型のパーツで再現
・ 牽引ワイヤーはアイの部分がプラパーツ、ワイヤー本体は軟質素材製パーツとなります
●車体後部パネルは一体成型のパーツで再現、トランスミッション点検ハッチはモールドで再現しています
・ 排気管は、排気管本体と装甲カバーの2パーツで再現、排気管本体の先端部は開口した状態となっています
・ 車体後部に装備する角型の予備燃料タンク(×2)もセットしています
【 車体下部 】
●車体下部は、サイドフェンダーを含めてバスタブ状となった一体成型のパーツで再現
・ クリスティーサスペンション部分は、側面の開口部に合わせてバネを彫刻した内壁パーツを取り付けて再現します
・ サスペンションアームは別パーツとなっています
・ 転輪は、ゴム付き転輪(×4)、鋼製転輪(×6)が付属、余剰パーツとしてゴム付き転輪(×6)も付属しており、全てゴム付き転輪とすることもできます(ただし、「1943年型」では中央部の転輪を鋼製転輪とした状態が一般的です)
・ 起動輪、誘導輪、転輪は前後に分割したパーツで再現
●車体内部の操縦席部分を再現、以下のパーツで構成しています
・ 操縦席、前方機銃手席
・ 操行レバー
【 履 帯 】
●履帯は、接着が可能な軟質素材によるベルト式履帯が付属しています
・ 履帯は、表面部分にワッフル状の滑り止めパターンを刻んだ500mm幅の「M42」履帯を再現しており、モデルカステン製「T34用履帯 M42型 (可動式)」がこれに対応しています
【 アクセサリーパーツ 】
●アクセサリーパーツが付属しています
・ 折り畳まれた毛布 ×1
【 「T-34/76 1943 初期型」の塗装とマーキング 】
●「T-34/76 1943 初期型」のマーキングとして、ソ連軍仕様となる6種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 第1レニングラード方面軍 (1944年夏)
・ 第1レニングラード方面軍 (1943年~1944年冬)
・ パーソナルネーム 「Revolutionary Mongolia」 (1943年~1944年冬)
・ パーソナルネーム 「Komsomles Severomorerts」 (1942年~1943年冬)
・ スターリングラード方面軍 (1942年~1943年冬)
・ 第5親衛戦車軍団 (クルスク戦 / 1943年7月)
●説明書の塗装例に基づく、車体番号、スローガンなどを再現したデカールが付属しています
【 「ソビエト T-34/76 1943 初期型」のパッケージ内容 】
・ T-34/76 1943年型 初期型 ×1
・ デカールシート ×1
・ 組立て説明書 ×1
●2015年 完全新金型
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【 「ソビエト T-34/76 1943 初期型」のワンポイント 】
●「T-34/76」の「1943年型」は、「T-34/76」を代表する型式の一つとして、各社からキット化され、ICM社製のこのキットは、ウクライナという当時ソ連の一部であった国柄と、同社としては久しぶりの戦闘車両のキットであるためちょっと気になる存在であり、この特徴を軽く解説します
●「T-34/76」の「1943年型」は、タミヤの「ソビエト T34/76戦車 1943年型」が不朽の名作キットとして、現在も君臨する立場にあります
●これに対し、ドラゴン社は「T-34/76 中戦車 1943年型 第112工場製 キューポラ付」など、細分化したパーツ構成でディテール表現を重視したキットを発売しました(ただし、ドイツ戦車のキットよりはパーツ数はかなり抑えています)
●このICM社のキットは、タミヤのキットとドラゴンのキットの中間的なパーツ構成となっています
●また、同社のソフトスキン車両のキットの繊細さをそのまま継承しており、表面のモールドは全体的に控えめで、若干線の細い「T-34」というイメージとなるものと思います
●このように、同じ「T-34/76 1943年型」ながらそれぞれのメーカーの特徴が出てるプラモデルは魅力的であり、作り比べるとそれぞれの良さを味わうことができるでしょう
【 「T-34」の分類について 】
●ソ連軍の「T-34」は、アメリカ軍の「M4中戦車」と並んで、マスプロ的な大量生産を行った戦車であり、一般的には生産時期の違いによる仕様変更で区分を行っています
●当初、この「T-34」は、ドイツ軍の区分に従って「A型」~「C型」と言われていましたが、その後の研究によって「~年型」と変更、この「~年型」はタミヤなどが従って名称を付けている一般的なものであり、ここにその主なタイプの違いを表記しておきます(他に生産工場による違いもあります)
●「T-34/76 1940年型」
・ 最初に量産したタイプで、主砲には短砲身となる「30.5口径 76.2mm戦車砲 L-11」を装備、砲身基部の装甲スリーブにコブのような膨らみがあります
・ 車体前面には前照灯を2基装備、前方機銃には防盾が付いておらず、操縦手ハッチの上部には大型の視察装置が付いています
・ 転輪は全てゴム付きタイプとなります
●「T-34/76 1941年型」
・ 「T-34/76 1940年型」をベースとした改良型で、主砲を長砲身「41.5口径 76.2mm戦車砲 F-34」へと換装、装甲スリーブ部もスッキリとしたデザインになりました
・ 前照灯は2基、前方機銃に防盾が付いておらず、操縦手ハッチの上部に大型の視察装置が付き、車体自体は「T-34/76 1940年型」と大きな変化がないのが特徴です
・ 転輪は全てゴム付きタイプとなります
●「T-34/76 1942年型」
・ 1941年の後半頃から生産が行われたタイプで、外観上では「T-34/76 1941年型」とあまり変化はありませんが、主砲は長砲身「41.5口径 76.2mm戦車砲 F-34」を搭載しています
・ 前照灯は1基に変更、操縦手ハッチはハッチ部分に視察装置を付けた新型となり、前方機銃に防盾が付くようになったのが最大の特徴です
・ 転輪は一応ゴム付きタイプが主流ですが、このタイプからは鋼製転輪を装着した車両が登場しています
●「T-34/76 1943年型 初期型」
・ 1942年後期から生産が行われたタイプで、砲塔が6角形となったのが最大の特徴です
・ 砲塔上のハッチは、従来の大型ハッチ1個から、円形の小型ハッチ2個に変更しています
・ 主砲は長砲身「41.5口径 76.2mm戦車砲 F-34」、車体は基本的に「T-34/76 1942年型」と変化はありません
・ 転輪は前後の4組がゴム付き転輪で、中央の6組が鋼製転輪となるのが一般的ですが、全てを鋼製転輪とした車両も見ることができます
●「T-34/76 1943年型 後期型」
・ 1943年から生産が行われた「T-34/76」としての最終型で、砲塔上部に車長キューポラを装備しているのが最大の特徴です
・ その他の仕様は「T-34/76 1943年型 初期型」と同じとなります
【 「T-34」の新分類について 】
●上記を読んで分かるように、この「~年型」の分類は生産時期と正確に一致していません
●そこで、最新の資料(ロシアの研究者からの資料)では、生産時期に合わせた表記も見られ、「T-34/76 1942年型」は「T-34/76 1941年 戦時簡易型」、「T-34/76 1943年型 初期型」は「T-34/76 1942年型」、「T-34/76 1943年型 後期型」は「T-34/76 1943年型」と分類しています
●ただし、両方の型式分類共に、戦後の研究者が付けたもので、大戦時には明確な区分は行われておらず、どちらも正解とは言い難いものがあります
●今後の研究によっては変更となる可能性もありますのでご注意下さい