ソビエト T-10M 重戦車
「ソビエト T-10M 重戦車 (プラモデル) (トランペッター 1/35 AFVシリーズ No.05546 )」です
●1950年代後半に登場したソ連軍の重戦車「T-10M」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●重戦車「JS」シリーズの最終発展型となる「T-10M」を再現、「JS」の基本コンセプトを継承し、避弾経始を重視したデザインに長大な主砲を搭載した、先鋭的かつ迫力あるフォルムを再現した内容となっています
【 「T-10M 重戦車」について 】
●第2次世界大戦後期、ソ連軍は重戦車を「KV」シリーズから「JS」シリーズへと変更します
●最初の「JS」として登場した「JS-1」は火力不足で、122mm砲を搭載した「JS-2」が「JS」シリーズの代表となりました
●この「JS-2」とは別設計となる「JS-3」が大戦末期に登場、この「JS-3」は実戦には間に合いませんでしたが、ドイツ敗戦直後に実施された連合軍の戦勝パレードに参加して西側に強烈なインパクトを与え、これが戦後の各国の重戦車開発に大きな影響を与えています
●しかし、「JS-3」はインパクトの強い姿とは裏腹に、戦車としては成功作とは言い難く、乗員の居住性を中心に様々な問題点を抱えていました
●そこで、ソ連軍は「JS-2」をベースに後継の重戦車「JS-4」を開発、そしてさらにより強力な重戦車として「JS-7」を開発します
●ただ、この「JS-7」には新機能を盛り込み過ぎたために実用化には向かず、1948年に新たな重戦車として開発が始まったのが「JS-8」です
●「JS-8」は1953年に登場、しかしこの頃にはソ連の指導者が「フルシチョフ」へと交代したことから、「スターリン」の頭文字を取った「JS」という名称は使えなくなり、「JS-8」は「T-10」へと名称を変更しています
・ 「T-10」は、「JS」シリーズを継承し、避弾経始を重要視したデザインを採用、主砲も「JS-2」の「122mm戦車砲 D25-T」を改良した「122mm戦車砲 DT-25TA」を搭載していました
●「T-10」は登場後の戦車技術の発達により順次改良が行われ、1956年には主砲に1軸式のスタビライザーを装備した「T-10A」、1957年には2軸式のスタビライザーへと変更した「T-10B」が登場しています
●そして、「T-10」の本格的な改良型として1957年に登場したのが「T-10M」です
・ 「T-10M」では主砲を「122mm戦車砲 M-62-T2」へと変更、従来の「122mm戦車砲 DT-25TA」のマズルブレーキがダブルバッフル型なのに対して、この「122mm戦車砲 M-62-T2」は多孔式となっているのが特徴です
・ 主砲には新たに装填補助装置を装備、これにより装填手の負担は低減しています
・ 同軸機銃と対空機銃は従来よりも口径が大きい「14.5mm重機関銃 KPVT」へと変更しており、主砲の換装も相まって高い攻撃力を有しています
・ 赤外線暗視装置と赤外線投光器が標準装備となり、夜間における戦闘能力も持つようになりました
・ 砲塔の前面装甲厚は、従来の「200mm厚」から「250mm厚」へと増加し、防御力も大きく向上、NBC防護能力も追加装備しています
●「T-10M」はソ連軍の最強戦車として西側から恐れられる存在となりましたが、APDSやAPFSDSなどの戦車砲の砲弾の弾種改良や、対戦車ミサイルなどの発達により、分厚い装甲を持つ「T-10M」を持ってしても充分な防御力とは言えなくなりました
●また、機動力の低い重戦車は回避行動を十分にとることができず、大重量の重戦車の運用自体も難しいものでした
●1960年代後半から戦車は従来の「重戦車」「中戦車」「軽戦車」というようなカテゴリー分けではなく、「火力」「防御力」「機動力」のバランスが優れた「主力戦車」へと一元化するようになります
●このような時代の流れから「T-10M」は活躍の場を失い、1970年代から徐々に第一線を退きはじめ、1980年に入ると全車退役しています
●「T-10M」は第2次世界大戦時に登場したモンスターとも言える重戦車の血を引き継ぎいだ戦車でしたが、より強力な現代版のモンスターである戦後第3世代戦車の登場によってその命運は絶たれ、現在では博物館などで一時代を象徴する存在として余生を過ごしているのです
【 「ソビエト T-10M 重戦車」のキット内容について 】
●このソ連軍の重戦車「T-10M」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●車体、エンジンデッキ、砲塔などの車体の基本構造は一体成型のパーツで再現しながら、ディテール表現のために車体各所を細分化したパーツ構成とエッチングパーツとを交えて「T-10M」を再現、砲塔の鋳造肌、フェンダーや収納箱のプレスライン、そして各部の溶接跡などの表面上のディテールは強弱を付けたモールドにより再現した内容となっています
●「T-10M」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成しています
【 砲 塔 】
●砲塔は、半球状のようなデザインの「T-10M」の砲塔形状を再現、砲塔や防盾には鋳造肌を凹凸のあるモールドで再現しています
●「122mm戦車砲 M-62-T2」の砲身は、マズルブレーキを含めて左右に分割したパーツで再現
・ 防盾は一体成型のパーツで再現、同軸機銃は別パーツ化しています
・ 防盾は、完成後も上下に可動させることができます
●砲塔は上下に分割したパーツで再現
・ 「照準サイト」「吊り下げフック」「後方灯」「手摺り」などを別パーツ化して再現
・ 後部の「雑具箱」は前後に分割したパーツで再現、「蓋」は別パーツしています
●車長キューポラと装填手の機銃ターレットはそれぞれ一体成型のパーツで再現
・ 各「ハッチ」は別パーツ化して再現、開閉状態を選択することができます
・ 車長キューポラの「ペリスコープ」は個別にパーツ化、「ペリスコープガード」は一体成型のパーツで再現しています
・ 「サーチライト」は前後に分割したパーツで再現、取り付けステーは付属のエッチングで再現しています
●機銃ターレットに装備する「14.5mm重機関銃 KPVT」が付属しています
・ 機銃は、「銃身部」は一体成型のパーツ、「機関部」は左右に分割したパーツで再現
・ 銃身の銃口は開口した状態となっています
・ 「銃架」は左右に分割したパーツで構成、操作ハンドルなどを別パーツ化しています
・ 「弾薬箱」はプラスチックパーツ製とエッチング製の2種をセット、選択して使用することができます
【 車体上部 】
●前部が鋭角となり全体に傾斜が付いた「T-10M」の車体上部形状を再現、特徴的なフェンダーのプレスパターン、各部の溶接跡、エンジンデッキのパネルラインなどを繊細なモールドで再現しています
●車体上部は、フェンダーを含めて一体成型となったパーツで再現、後部パネルは別パーツとなっています
・ 「操縦手ハッチ」は別パーツ化、開閉状態を選択することができます
・ フェンダーの「マッドガード」は付属のエッチングで再現しています
・ 「前照灯」は前後に分割したパーツで再現しています
・ 左側の「ライトガード」は前後に分割したパーツ、右側のライトガードは左右方向に3分割したパーツで再現
・ エンジングリル部のスリットはモールドで再現しており、これにグリルガード(メッシュ)を再現したエッチングパーツを貼り付けて作製します
・ 車体各部の「収納箱」は上下に分割したパーツで再現、固定バンドは付属のエッチングで再現します
・ 「牽引ワイヤー」はアイの部分をプラスチック製パーツ、ワイヤー本体は付属の金属製ワイヤーで再現しています
・ 車体側面に取り付ける軟弱地脱出用の「丸太」が付属しています
●車体後部パネルは一体成型のパーツで再現
・ 後部の「発煙装置」は本体と蓋との2パーツで再現、固定バンドは付属のエッチングで再現しています
・ 「トラベリングロック」は1パーツにて再現
【 車体下部 】
●車体下部は、バスタブ状に一体成型となったパーツで再現
・ 「サスペンションアーム」は別パーツ化して再現
・ 「起動輪」は前後に分割したパーツで再現
・ 「転輪」「誘導輪」は前後に分割したパーツで再現、「ハブキャップ」を別パーツ化して再現しています
【 履 帯 】
●裏面にセンターガイドが付いた「T-10」用のシングルピン式履帯を再現しています
・ 履板を1枚ずつに分割した接着連結式履帯がとなっています
●エンジングリルガード(メッシュ)、収納箱の固定バンド、マッドフラップなどを再現するエッチングパーツが付属しています
【 「T-10M 重戦車」の塗装とマーキング 】
●「T-10M重戦車」のマーキングとして、ソ連軍仕様となる3種類の塗装例がカラー塗装図に記載されており、親衛マーク、車体番号などを再現したデカールが付属しています
●「ソビエト T-10M 重戦車」の完成時のサイズ
・ 全長 : 269mm
・ 全幅 : 100mm
●パーツ数 : 310点
【 「ソビエト T-10M 重戦車」のパッケージ内容 】
・ T-10M 重戦車 ×1
・ エッチングシート ×3
・ 銅製ワイヤー ×1
・ デカールシート ×1
・ 組立て説明書 ×1
・ カラー塗装図 ×1
●2015年 完全新金型