ソビエト T-28 中戦車 (溶接型)
「ソビエト T-28 中戦車 (溶接型) (プラモデル) (ホビーボス 1/35 ファイティングビークル シリーズ No.83852 )」です
●第2次世界大戦初期におけるソ連軍の多砲塔中戦車「T-28」の「初期型(1934年型)」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●多砲塔重戦車「T-35」のコンパクト版として開発された中戦車「T-28」を再現、短砲身の主砲を搭載し、砲塔の前部に銃塔を並列配置した特異なフォルムを再現した内容となっています
●ホビーボス社製「ソビエト T-28 中戦車 (リベット接合型)」をベースに、長砲身の主砲などを省き、車体前面の接合プレートなどを新規パーツへと変更したバリエーションキットです
・ 「ソビエト T-28 中戦車 (リベット接合型)」との主な違いは、「T-28 中戦車 (リベット接合型)」では車体前面の接合プレートがリベット止めなのに対して、本キットでは溶接止めとなっている点です
【 「中戦車 T-28」について 】
●第1次世界大戦後から1930年までの戦車開発は、主に菱形戦車「Mk.1」を始祖とした陸上軍艦型の重戦車と小型の軽戦車という2つのカテゴリーに分けられていました
●重戦車開発の頂点として1925年に登場したのがイギリスの重戦車「A1E1 インディペンデント」で、この多砲塔戦車は巨大な車体に5つの砲塔を持ち、展示演習において軽戦車を従えるように突き進む姿は各国の軍関係者に大きなインパクトを与えました
●ちょうどその頃、ソ連では革命の混乱期を脱して軍の近代化を進めていた時期であり、「A1E1 インディペンデント」に深い感銘を受けた首脳部はその購入を打診、しかし、イギリスから断られてしまいます
●やむなく、ソ連軍では自国での多砲塔戦車の開発を開始、「A1E1 インディペンデント」を模した5つの砲塔を持つ重戦車「T-35」と、それよりもコンパクトな車体の中戦車「T-28」の開発を同時進行で進めました
●「T-28」と「T-35」は、効率化を図るために部品などを極力共通化して開発を進め、主砲塔と銃塔には同じものが使用されました
●また、車体がコンパクトな分、「T-28」の開発の方が若干早く進行し、1932年に試作車が完成、1933年の展示パレードには「T-35」が1両もしくは2両が参加したのに対して、「T-28」は10両が参加しています
●「T-28」は1933年に制式化、年間50両~100両程度を量産し、1940年までに多砲塔戦車の中では最多となる503両を生産しています
●「T-28」は、車体中央部に「主砲塔」を配置、その前方に「銃塔」を2基並列配置するというレイアウトを採用し、その銃塔の間に操縦席が設けらていました
●「主砲塔」には3名の乗員を配置し、操縦席と各銃塔には乗員が1名ずつ搭乗、合計6名の乗員により運用が行われました
●「T-28」は、試作中戦車「T-24」から大きな影響を受けたため、各転輪は垂直に立てられたサスペンションアームで固定するという独特の足周りを持ち、外側部分には装甲スカートが付けられ、この足周りを防御するという構造となっています
●防御力は、最大装甲30mm厚と、当時としては標準的な防御力を持ちましたが、これは戦訓によって徐々に強化が行われることになります
●「T-28」は、1939年のフィンランド戦に参加、この戦闘の際、対戦車砲などにより多くの「T-28」が撃破されてしまい、装甲の脆弱さを露呈してしまい、これが装甲の強化へと繋がります
●1941年独ソ戦が開始、装甲を強化した「T-28」は奮戦をしますが、緒戦におけるソ連軍の稚拙な作戦や補給状態の劣悪さもあって、「T-28」の多くが撃破されました
●そして、同時に多砲塔式による運用の不都合も露呈、車長は主砲塔と操縦手への指揮に手一杯の状態となり、実質的に前部の銃塔への指揮は困難でした
●また、銃塔は全周射撃ができず、片方の銃塔が無駄になる場合も多く、さらにボールマウント方式の機銃は有効射程が短いことから、このような銃塔を持つ多砲塔式は兵器としての有効性に欠けるということが判明するようになります
●このため、「T-34」の配備が進むと徐々に「T-28」は姿を消して行きましたが、1943年頃まで運用が続けられ、ソ連軍の反攻までの貴重な時間を稼いだのでした
【 「ソビエト T-28 中戦車 (溶接型)」のキット内容について 】
●このソ連軍の多砲塔中戦車「T-28」の「初期型(1934年型)」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●車体や砲塔の主要部はスライド金型を多用した一体成型のパーツを中心としながら、車体上のディテール部分については細分化したパーツとエッチングパーツで構成、「T-28 初期型」の細部再現に重きを置いた内容となっています
●「T-28 初期型」は、「主砲塔」、「銃塔」(×2)、「車体」の4ブロックで構成しています
【 主砲塔 】
●天板部に星のマークを加工した「T-35」と共通となる「T-28」の特徴的な丸みを帯びた砲塔を再現、視察口、リベットなどのディテールを繊細なモールドで再現しています
●「16.5口径 76.2mm戦車砲 KT-28」の砲身は一体成型のパーツで再現、砲口部分は開口した状態となっています
・ 「揺架」と「防盾」は、それぞれ一体成型のパーツで再現しています
・ 「砲塔」の「装甲カラー」も一体成型のパーツで再現
・ 「防盾」は上部に可動させることができます
●「砲塔」は、床面、中央部、天板部の3層のパーツで再現、中央部にはスライド金型を使用して視察口、ピストルポート、リベットをモールドで再現しています
・ 「車長ハッチ」「装填手ハッチ」は別パーツ化、開閉状態を選択できます
・ 天板の「ペリスコープ」も別パーツ化しています
・ 「前方機銃」は機関部も含めて一体成型のパーツで再現、上部のドラム式弾倉は別パーツ化しています
・ 機銃の「ボールマウント」は、内部のボール部分を前後に分割したマウントで挟み込むことにより、回転させることができます
・ 「鉢巻式アンテナ」は、基部も含めて一体成型のパーツで再現、アンテナ引き込み部は別パーツ化しています
●「対空機銃」と「機銃架」が付属しています
・ 「対空機銃」は、機銃本体、弾倉、対空照門の3パーツで構成、対空照門は付属のエッチングパーツで再現しています
・ 「機銃架」は、プラスチック製パーツによるアーム部と、エッチングのステーとで構成、操作ハンドルなどはプラスチック製のパーツで別パーツ化しています
【 銃 塔 】
●1人用の「銃塔」は左右非対称の形状を再現、側面の「視察口」「リベット」などをモールドで再現しています
●「銃塔」は、上下に分割したパーツで構成、前面パネルは別パーツ化しています
・ 「上部ハッチ」は別パーツ化、開閉状態を選択することができます
・ 「銃塔」の「吊り下げフック」は別パーツ化して再現
・ 「機銃」は機関部も含めて一体成型のパーツで再現、上部のドラム式弾倉は別パーツ化しています
・ 「機銃」のボールマウントは、内部のボール部分を前後に分割したマウントで挟み込むことにより、回転可動します
【 車 体 】
●車体は、上下に分割したパーツで構成、これに「フェンダー」「装甲スカート」「エンジンデッキ」などを取り付けます
・ 操縦手の「前面ハッチ」は別パーツ化、開閉状態を選択することができます
・ 「前照灯」は、前照灯本体、ガラス部、前照灯カバーで構成、ガラス部はクリアパーツで再現しています
・ エンジンの「点検ハッチ」は別パーツ化して再現しています
・ 「排気管」は上下及び左右に4分割したパーツで再現、先端部は開口した状態となっています
・ エンジンの吸気口部分は個別にパーツ化され、「吸気グリル」は付属のエッチングで再現しています
・ 車載工具類は個別にパーツ化、それぞれ固定具をパーツとともに一体成型した状態となっています
・ 「牽引ワイヤー」は、アイの部分がプラパーツ、ワイヤー本体は付属の金属製のワイヤーで作製します
●「フェンダー」は、左右それぞれ一体成型のパーツで再現、フェンダー支持架は付属のエッチングで再現しています
・ フェンダー上のボックスは、左右に分割したパーツで再現
●「装甲スカート」はステー部分を各ブロックごとにパーツ化、これに上部と側面とをそれぞれ一体成型で再現したスカート本体を取り付けます
●「エンジンデッキ」は、ルーバーが縦のラインとなるタイプと、横のラインとなるタイプの2種をセット、選択して作製することができます
・ 「エンジンデッキ」によって隠れてしまう車体側のディテールやファンも再現しています
●「サスペンションユニット」は、2組の「転輪」とそれを支える「ボギー」、そして垂直に立てる「サスペンションアーム」で構成しています(全12ユニット)
・ 「サスペンションアーム」から上部で繋がる緩衝装置は、フレームとサスペンションアーム上部とで構成しています
・ 「誘導輪」「上部転輪」は前後に分割したパーツで再現
・ 「起動輪」は前後方向に4分割したパーツで再現しています
【 履 帯 】
●中央部にガイドが付いた「T-28」用のシングルピン式履帯を再現しています
・ 履板を1枚ずつ分割した接着連結式履帯で再現
・ より精密で立体感ある履帯に交換したい場合には、「T28(ソ連)戦車用履帯」が対応しています
●前照灯のガラス部を再現するクリアパーツが付属
●吸気口のメッシュ、フェンダー支持架、各部のディテールなどを再現するエッチングパーツが付属しています
【 「T-28 中戦車 初期型」の塗装とマーキング 】
●「T-28 中戦車 初期型」のマーキングとして、ソ連軍仕様となる2種類の塗装例がカラー塗装図に記載されており、国籍マーク、車体番号、砲塔上部の帯などを再現したデカールが付属しています
●「ソビエト T-28 中戦車 (溶接型)」の完成時のサイズ
・ 全長 : 214mm
・ 全幅 : 82mm
●パーツ数 : 800点以上
【 「ソビエト T-28 中戦車 (溶接型)」のパッケージ内容 】
・ T-28 中戦車 初期型 (1934年型) ×1
・ エッチングシート ×2
・ 金属製ワイヤー ×1
・ デカールシート ×1
・ 組立て説明書 ×1
・ カラー塗装図 ×1
●2015年 一部新金型