日本海軍 駆逐艦 陽炎
「日本海軍 駆逐艦 陽炎 (プラモデル) (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.032 )」です
●太平洋戦争時における日本海軍の「陽炎型駆逐艦」の1番艦「陽炎」を1/350スケールで再現したプラスチックモデル組立てキット。
●日本海軍が駆逐艦の理想形として建造した「陽炎型駆逐艦」のネームシップとなる駆逐艦「陽炎」を再現、背負い式に主砲塔を装備、船体中央部分に強力な魚雷兵装を備えた、均整の取れたシルエットを再現した内容となっています。
●タミヤ社製「日本駆逐艦 雪風」をベースとして、駆逐艦「陽炎」を再現するために、マスト、カッター、対潜兵装、エッチングパーツなどを新規パーツへと変更したバリエーションキットです。
【 日本海軍 駆逐艦 陽炎 (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.032) プラモデル内容 】
●日本海軍の駆逐艦「陽炎」を再現したプラスチックモデル組立てキットです。
●タミヤスタンダードな表現力と、キレのある彫刻により駆逐艦「陽炎」を再現、タミヤ伝統の高い精度で成型されたパーツで構成、艦の特徴を1/350スケールのサイズに反映させたパーツ分割やメリハリのあるモールドで、駆逐艦「陽炎」のフォルムとディテールとを高いレベルで再現した内容となっています。
●1/350スケールの艦船モデルのディテールを追求したエッチングパーツを含みながら、その使用箇所を絞ることで最大限の効果を演出、組立てと保管時に破損しやすい部分にはABS素材を採用しており、タミヤ製キットとして精密さと作りやすさとを両立した内容となっています。
●また、船体部分の鋼板の継ぎ目などの部分は繊細なタミヤタッチの彫刻で再現し、完成後の見栄えを考慮した造型となっていますので、同スケールならではの艦船モデルの表現力を楽しむことができるでしょう。
●「陽炎型駆逐艦」は、太平洋戦争開戦後、対空兵装の増強が繰り返し行われており、キットは対空兵装が強化される前の1943年までの姿を再現しています。
●喫水線以下も再現した「フルハルモデル」と、喫水線以上の部分を再現する「洋上モデル」とを選択して作製することが可能です。
●前後マストや旗竿などの繊細なパーツは、破損し難いABS樹脂製となっています。
・ 三脚状のマストを歪みなく簡単に組み立てられる治具も付属しています。
・ ABS製パーツの接着には、タミヤ社製「タミヤセメント (ABS用)」などのABS用接着剤をご使用下さい。
●「陽炎」は、「船体」「上甲板」「艦橋などの上部構造物」「主砲などの艤装類」の各ブロックごとに分割した構成となっています。
●各ブロックをそれぞれ個別に組み立てて、上甲板、構造物と艤装類を船体ブロックへと取り付けて完成させます。
●船体は左右に分割したパーツで構成。
・ 左右の舷側を合わせる際に船体に歪が生じないよう、間に「桁」を挟み込んで組み立てます。
・ 船体には、「フェアリーダー」「舷外電路」「舷窓」「梯子」などのディテールをモールドで再現しています。
・ 舷側部には、鋼板のパネルの段差を繊細な凹凸あるモールドで再現。
・ 船首の「フェアリーダー」は別パーツ化しています。
●船底部は、洋上モデルとしての船体下を塞ぐ平らな船底パーツとフルハルモデル用の船底部が付属、選択して使用します。
・ フルハルモデル用の、「スクリュー」(×2)、「舵」(×1)、「推進軸」(×2)などを別パーツ化、推進軸は金属製シャフトとなっています。
●上甲板は船首楼甲板と中央甲板、後部甲板とに分割しています。
・ 甲板上には、リノリウム押さえ、滑り止め、魚雷運搬用軌条などの基本躯体の他、「ボラード」「リール」「アンカー導板」などのディテールをモールドで再現。
・ 「アンカーチェーン」は、付属の金属製チェーンを使用して再現します。
「陽炎」の艦上の構造物は下記のようなパーツで構成しています
■ 艦 橋
●艦橋は、上下のブロックに分割しています。
●艦橋上部は2層のパーツで再現、トップの「測距儀」「94式方位盤」は別パーツとなっています。
・ 「艦橋窓枠」はクリアパーツで再現、窓の部分は一段凹んだ状態で再現し立体感を演出しています。
・ 艦橋内部の滑り止めなどの内部構造を再現、「双眼鏡」(×4)を別パーツ化しています。
・ 艦橋から伸びる「艦橋甲板」は、表面のリノリウム貼り表現と滑り止めを付属のエッチングパーツで再現。
・ 「94式方位盤」は艦橋部分に内蔵するポリキャップにより旋回させることができます。
●艦橋下部は、各パネルを箱組み状に貼り合わせて作製します。
・ 「窓」「扉」「梯子」などをモールドで再現。
・ 側面の支柱は付属のエッチングパーツで再現。
■メインマスト、後檣
●メインマストは前部に分割したパーツで再現 (ABS樹脂製パーツ)。
・ メインマストの「見張り所」を別パーツ化して再現しています。
●後檣は前後に分割したパーツで構成 (ABS樹脂製パーツ)
・ 後檣に装備する「表示灯」を別パーツ化して再現しています。
■第1煙突・第2煙突
●煙突本体は左右に分割したパーツで再現、トップは別パーツとなっています。
・ 各副管は別パーツ化。
・ トップの雨水カバー金網はヌケた状態で開口しています。
●煙突のベース部分となる中央構造物は一体成型のパーツで再現。
・ 中央構造物の側面は別パーツ化し、窓などのディテールを再現しています。
・ 前部の「通気筒」は左右に分割したパーツで構成、メッシュ部分は付属のエッチングパーツで再現します。
・ 煙突部の機銃座は一体成型のパーツで再現、滑り止めパターンや下部のステーをモールドで再現しています。
■探照灯台
●探照灯台は下部構造物を煙突部分に一体成型化、上部構造は左右に分割したパーツ構成となっています。
・ブルワークは一体成型のパーツで再現しています。
・ 「探照灯」は本体とレンズ部との2パーツで構成、レンズ部はクリアパーツで再現しています。
・ 探照灯台に装備する「方位測定器」は付属のエッチングパーツで再現。
■後部構造物
●後部構造物は、各パネルを箱組み状に貼り合せて作製します。
・ 構造物上部の「通気筒」を別パーツ化して再現。
・ 後部構造物に装備する、「測距儀」(×1)を別パーツ化。
■ 主 砲
●主砲塔部「50口径 3年式 12.7cm連装砲 C型」 ×3
・ 「砲塔」は上下及び左右の4パーツで構成
・ 「砲塔」の「フレーム」「窓」「照準口」などはパーツ上のモールドで再現しています
・ 「砲身」は1本ずつ分割したパーツで再現、砲身基部にはキャンバスカバーを再現しています
・ 「砲身」は、水平状態と仰角を付けた状態の2種をセット、選択して使用することができます
・ 「砲塔」は船体部に内蔵するポリキャップにより左右に旋回させることができます
■魚雷発射管
●「92式 61cm 4連装魚雷発射管 2型」 ×2
・ 魚雷発射管は、4連装状に一体成型となった発射管と下部の魚雷、そして3分割となったシールド部で構成しています
・ シールド部には、「フレーム」「窓」「扉」「通気口」などをモールドで再現
・ 発射管は船体部に内蔵するポリキャップにより左右旋回を可動とすることができます
■対空兵装
●「25mm連装機銃」 ×2
・ 機銃は、連装状に一体成型となった銃身部と銃架の2パーツで構成
・ 銃身部の上部には弾倉、銃架部には側部の照準席などを再現しています
・ 機銃を装備する機銃座には、滑り止めパターンや弾薬箱をモールドで再現しています
■対潜兵装
●「爆雷装填台 3型」 ×1
・ 爆雷装填台は前後に分割したパーツで再現、フレーム形状や詰まった状態の爆雷を再現しています
●爆雷発射機 「Y砲」 ×1
・ 爆雷発射機は一体成型のパーツで再現
●「爆雷投下機」 ×2
・ 爆雷投下機はエッチングパーツで再現、爆雷のパーツを取り付けて作製します
●内火艇、カッター及びボートダビッド
・ 7.5m内火艇 ×2
・ 7mカッター ×2
●その他の艤装を再現したパーツとして
・ 艦首、艦尾旗竿
・ 錨
・ リール
・ ラッタル (エッチングパーツ)
・ スキッドビーム
・ ダビッド
・ パラベーン
・ パラベーン落下機 (エッチングパーツ)
・ 通気口
・ プロペラガード (エッチングパーツ)
などをセットしています
●船体側面と艦尾の艦名表記、艦首及び舷側の喫水表記、カッター類の艦名表記、艦尾の旗竿に掲げられる軍艦旗などを再現したデカールが付属しています。
●フルハルモデル用のディスプレイスタンドが付属しています。
・ 船体とディスプレイスタンドとは付属の金属ビスとナットで固定します
・ ディスプレイスタンド用のネームプレートのシールが付属
【 日本海軍 駆逐艦 陽炎 (タミヤ 1/350 艦船シリーズ No.032) パッケージ内容 】
・ 駆逐艦 陽炎(フルハルモデルと洋上モデルとを選択可能) ×1
・ エッチングシート ×1
・ ディスプレイスタンド ×1
・ 金属製チェーン ×1
・ 金属ビス ×2
・ 金属ナット ×2
・ デカールシート ×1
・ シールシート×1
・ 組立て説明書 ×1
●2015年 一部新金型
【 日本海軍 陽炎型駆逐艦」について 】
●1920年代初頭、日本海軍はそれまでのイギリスから導入した小型駆逐艦に代わり、航洋型の駆逐艦「峯風型」を建造、この「峯風型」をベースとして「神風型」「睦月型」を次々と建造します
●更に、日本海軍は艦隊型の1600tクラスの駆逐艦「特型」を1928年に竣工、同艦は「睦月型駆逐艦」の1.5倍もの攻撃力を誇り、その艦形と武装配置は以後の駆逐艦のスタンダードとなりました
●しかし、ロンドン軍縮会議により駆逐艦のような補助艦艇の保有にも制限が加えられるようになり、「特型」以後の「初春型」「白露型」などは排水量を減らして小型化、これに過大な武装を装備した結果、建造後に欠点が発見されてしまうような事態となってしまいます
●1936年、日本は軍縮条約から脱退、これにより排水量の制限を受けずに艦の建造ができるようになり、2000tクラスの駆逐艦である「陽炎型」を建造することになります
●「陽炎型」は、その前の型式の駆逐艦「朝潮型」と同じ武装を装備しながら、船体強度を充分に確保しており、航続距離も増大し、日本海軍が望んだ理想的性能を持つ艦隊型駆逐艦となりました
●「陽炎型駆逐艦」は、「12.7cm 連装砲」を3基搭載、魚雷兵装は「4連装式 61cm 魚雷発射管」を2基搭載、また魚雷の次発装填装置も装備しており、魚雷を2装射する能力を持っているのが特徴でした
・ 他国の駆逐艦は、装填している魚雷を発射するのみで、戦闘中に次発装填はできませんでした
●この「61cm 魚雷発射管」は、長射程、大威力の「酸素魚雷」を装備し、駆逐艦で構成される水雷戦隊による魚雷の一斉装射は、敵の艦隊に対して極めて脅威となるものと思われました
・ 実際、ソロモン海での夜戦において、アメリカの巡洋艦は「酸素魚雷」を1発被弾しただけで戦闘不能となるダメージを受けています
●「陽炎型駆逐艦」は、1939年に1番艦の「陽炎」が竣工、最終艦となる「秋雲」が1941に竣工するまでに合計19隻を建造しています
●「陽炎型駆逐艦」は、太平洋戦争では最新鋭の駆逐艦として常に最前線に投入、連合軍艦艇と交戦し、特にガダルカナル島沖で行なわれたソロモン海の戦いではその性能を発揮して多くの敵艦を撃破もしくは撃沈しました
●しかし、その分「陽炎型駆逐艦」の損害も大きく、19隻中、終戦時まで生き残ったのは8番艦の「雪風」ただ1隻のみでした
【 「駆逐艦 陽炎」について 】
●「陽炎」は「陽炎型駆逐艦」の1番艦として1939年11月に竣工しました
●「陽炎」は、駆逐艦3隻と共に「第18駆逐隊」を編成、新鋭艦として「第1航空艦隊」の直衛任務に就き、「真珠湾攻撃」に参加、その後「ポートダーウィン攻撃」「セイロン沖海戦」など転戦します
●「ミッドウェー海戦」では「第1航空艦隊」から外れて攻略部隊に編入、同海戦終了後内地へと帰還します
●1942年7月、「第18駆逐隊」はアリューシャン方面に投入されますが、「陽炎」のみは内地に留まります
●しかし、「第18駆逐隊」はキスカ島沖においてアメリカ潜水艦の攻撃を受けて壊滅状態となり、「陽炎」は代わって「第15駆逐隊」に編入されました
●1942年8月、日米の戦いの焦点がソロモン海域へと移ると、「陽炎」は同海域へと移動、ガダルカナル島への輸送任務や護衛任務に従事します
●1942年11月、「陽炎」を含む駆逐艦8隻は輸送任務を帯びた駆逐艦を護衛してガダルカナル島に突入、これを待ち構えていたアメリカ艦隊との間で「ルンガ沖海戦」が発生します
●アメリカ艦隊は重巡洋艦を中心とした強力な陣容でしたが、「陽炎」を含む護衛の駆逐艦はこれに接近して魚雷を発射、重巡洋艦1隻撃沈、3隻を大破させるという大戦果を挙げ、アメリカ艦隊を撃破することに成功しました
●その後「陽炎」は、ガダルカナル島への輸送任務を続けますが、戦況は不利になるばかりで1943年1月からはガダルカナル撤収作戦に参加しています
●1943年5月、「陽炎」はムンダへの輸送作戦中に触雷、その後アメリカ軍機の空襲を受けます
●空襲自体の損害は小さかったものの、浸水は止めることができない状態となり、乗組員は退艦、歴戦の「陽炎」はその身を波間に消したのでした