3号突撃砲 G型 フィンランド軍
「3号突撃砲 G型 フィンランド軍 (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.310 )」です
●「3号突撃砲G型 フィンランド軍」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●ドイツの軍事同盟国としてソ連軍と戦ったフィンランド、そのフィンランド軍が対戦車戦闘の要としてドイツより購入し、自国の事情に合わせて独自に改造した「3号突撃砲G型」を再現したキットです
●同社「ドイツ 3号突撃砲G型(初期型)」のバリエーションキットで、同キットをベースに「フィンランド軍仕様」として前面のコンクリート装甲、側面の丸太、車体後部の大型雑具箱、車上の機銃及び防盾などのパーツが追加された内容となっています
●キットは、タミヤテイストである精密感と組み易さが両立されており、パーツ数は抑え目でありながら、ポイントとなるディテール表現はしっかりと押さえられています
●また、一体化が進められた車体のパーツ構成により、全体形の歪みなどが発生することが無く、「3号突撃砲G型」のフォルムと雰囲気をビギナーからベテランモデラーまで幅広く楽しめるキットとなっています
●フィンランドは「森と湖の国」と呼ばれ、日本では「オーロラ」や「サンタクロース」などのイメージしか持たない北欧の小国ですが、第2次大戦においては強大なソ連軍相手に粘り強い戦いを繰り広げました
●もともとフィンランドは、スウェーデンの一部でしたが、ナポレオン戦争によってロシア領となりました
●ロシアは、当時同様な運命であったバルト3国、ポーランドなどと同様に、強圧的な支配政治により民衆を弾圧、人々の中には反ロシアの機運が高まります
●ロシア国内は1917年の「ロシア革命」により内戦状態に突入、その混乱に乗じてフィンランドはようやく独立を果たしました
●しかし、ロシアが「ソ連邦」として国内の安定化が進むと、事有るごとにフィンランド内政に干渉、フィンランドに揺さぶりを掛け続けました
●果たして、第2次大戦が勃発すると、ソ連の指導者の「スターリン」は旧ロシアの領土回復を図り、フィンランドに矛先を向け、ついに1939年11月にフィンランドへ軍事侵攻が始まります
●一方、フィンランド軍は独立前後から国軍の育成と軍備の整備が進められ、常にソ連の脅威が感じられる中、軍事大国であったドイツと水面下で軍事的な繋がりを保ち続けました
●ソ連軍の軍事侵攻が始まると、フィンランド軍は森林に覆われた同国の地理と厳冬期の気候を利用して強大なソ連軍相手に粘り強い抵抗を実施、特に短機関銃を装備した「スキー猟兵」は、ソ連軍の陣地の背後に侵入して敵を孤立化、最終的に包囲撃滅を行い、ソ連軍に大損害を与えたのでした
●ただ、兵力で圧してくるソ連軍には如何とも従わず、領土を失いながらも何とか「休戦」に持ち込み、独立を守り切りました
●そして、1941年に独ソ戦が開始されると、フィンランド軍は失った領土を取り返すべく、ドイツ側に立ってソ連軍に攻勢を行います
●ドイツ軍の緒戦における勝利により、弱体化したソ連軍の前線は崩壊、程無くしてフィンランド軍は旧領土を奪還、次いで戦略上の要衝である「ムルマンスク」に連絡する鉄道線を分断する為に、ドイツ軍と共同で戦いを継続しました
●大戦も中半に突入すると、それまで守勢であったソ連軍は各方面で攻勢に転じました
●フィンランド方面の戦線は、比較的穏やかでしたが、戦況が楽観視できないと感じたフィンランド軍は、来るべきソ連軍の攻勢に対し軍備の増強を画策、それまでソ連軍からの捕獲戦車を中心として編成されていた機甲部隊にドイツの戦闘車両を充てる事となりました
●この車両が「3号突撃砲G型」で、1943年の夏に30両が購入されて「突撃砲大隊」を編成、それまでのフィンランド軍の装備する「T-26」や「BT-42」などの装甲車両とは段違いの能力を持つ同車は将兵に歓迎され、多くの車両はパーソナルネームを持ち、大切に扱われました
●なお、ソ連軍との激闘が繰り広げられた1944年6月から8月にかけて新たに29両が購入されましたが、更に追加の15両は、フィンランドとソ連との休戦が明らかだったためにドイツ側にキャンセルされています
●1944年6月、ソ連軍はフィンランドの枢軸国同盟からの離脱を図り、対独戦を有利に行う為に大攻勢を実施、膨大な兵力を投入しフィンランド軍に襲いかかります
●「3号突撃砲G型」は、攻撃を繰り返すソ連戦車に奮戦、大戦果を上げますが、圧倒的な戦力差により徐々に後退、最後まで強力な抵抗を継続し、休戦協定が実行されるまでの貴重な時間を作り上げたのでした
「3号突撃砲G型のフィンランド軍仕様」について
●フィンランド軍は購入した「3号突撃砲G型」に、兵器の装備体系や防御力の強化の為に、自軍独自の改造を施しました
●戦闘室上部の装填手用の機銃は、「3号突撃砲G型」オリジナルの「MG-34 機関銃」から「デクチャレフDT 機関銃」に変更されました
・ これは、フィンランド軍ではソ連軍から捕獲した「デクチャレフDT 機関銃」を多数装備しており、この機関銃用の弾薬がフィンランドの工場で生産されている為に、弾薬供給の観点からこの機関銃に替えられたと思われます
●車体後部に大型の雑具箱を追加
●1944年7月になると更に以下の改造が加えられます
・ 車体前部に予備キャタピラの取り付け
・ 車体側面下部に追加装甲をボルト付け
・ 戦闘室前面にコンクリートによる増加装甲
・ 操縦手バイザー部分に装甲板の「ひさし」が追加
・ 戦闘室側面に丸太を装着し、防御力を増強
●この「3号突撃砲G型 フィンランド軍仕様車両」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●キットは、「3号突撃砲G型」の1943年の夏に受領された最初の30両を再現したもので、フィンランド軍仕様として改造された状態(キット表示は前期改修型)と、ソ連軍との戦闘が激化した1944年7月以降に更に改造された状態(キット表示は後期改修型)とを、選択して製作できるようになっています
●「フィンランド軍仕様車両」独自の戦闘室前面のコンクリートブロックには、コンクリート製と分かる粒子を感じる細かなモールド、戦闘室側面に装備された丸太には針葉樹の木を表現した彫りの深い表皮がタミヤの誇る高い彫刻技術によって再現されています
●砲身は左右分割式で、この「フィンランド軍仕様」用にエラの張ったマズルブレーキ(3号突撃砲G型中期型以降のタイプ)が再現されています
・ 従来のエラの無い前期型のマズルブレーキタイプの砲身も付属
・ 砲身は上下、左右に可動します
・ 砲身基部は、防盾裏側の部分まで再現され、砲身基部を含めた砲架部は、車体上部と下部を接着した後に取り付けるようになっています
・ 防盾部は箱型防盾を再現したパーツがセットされています
●車長用キューポラは上下2分割となっています
・ 砲隊鏡のパーツが付属しており、取り付けの選択が可能となっています
●車長ハッチは砲隊鏡用の前部ハッチとの2分割式で、それぞれ開閉を選択して作製可能です
・ ハッチ裏側の車長頭部保護パッドは別パーツで立体感在る仕上がりです
●装填手ハッチは別パーツ化され、開閉状態が選択できるようになっています
●機関銃用の防盾は、別パーツとなっています
・ 説明書には記載されていませんが、機関銃を付けないで防盾を倒した状態にもでき、その場合は前後どちらの方向でも良いようです(実車写真では圧倒的に前に倒している例が多いようです)
・ また、防盾は構造上、装填手ハッチ前側を開けることで立てた状態へとロックされる仕組みとなっています
●車体上部は、戦闘室天板を除き一体成型、左右のフェンダーも車体上部と一体となっています
・ 車体前面のトランスミッション点検ハッチ、エンジンルーム上の点検ハッチは別パーツです
・ エンジン吸気グリルの出っ張り部分は別パーツとなっています
●車体下部は、後面を除きバスタブ式の一体成型、サスペンションアームは別パーツとなっています
・ サスペンションアームの固定ピンを切り取ると、地形により動いた状態のサスペンションアームが再現可能です
●キャタピラは、接着、塗装が可能な素材によるベルト式タイプが付属しています
「フィンランド仕様」用パーツについて
●戦闘室上部の「デクチャレフDT機関銃」用の開口部が大型化された防盾パーツが用意
・ 「デクチャレフDT機関銃」は、本体と弾倉の2パーツで構成
●車体後部の大型の雑具箱は、主要5パーツによる箱組み方式となっています
●1944年7月までの車両を再現するには他に以下のパーツを使用します
・ 戦闘室側面に取り付ける予備転輪と、そのホールド
・ 大型のC型牽引シャックル ×2
●1944年7月以降の車両を再現するには他に以下のパーツを使用します
・ 車体前面には、一体成型された予備キャタピラと、そのラック
・ 操縦手用装甲バイザー部には、装甲板の「ひさし」を再現した追加パーツ
・ 戦闘室前面にコンクリートブロックの増加装甲
・ 戦闘室側面には、それぞれ3つのパーツで構成された丸太のパーツ
・ 車体側面下部にボルト留めされた増加装甲パーツ
●フィンランド軍の車長を再現した半身像のフィギュアが1体付属しています
・ 服の皺のモールドはスケールに沿ったものとなっており、ベルトのバックル、フィンランド軍独自のサスペンダー、ポケットの縫い目など、シャープなモールドが施されています(新金型)
●「ドイツ 3号突撃砲G型(初期型)」キットオリジナルの2体のフィギュアも付属
・ 子犬を抱く装填手と、その子犬に餌を与える車長が再現されています
●マーキングは、1種類の塗装例が説明書に記載されており、以下の車体番号の車両が再現できるようになっています
・ Ps531-12 (ベア)
・ Ps531-19 (マルヤッタ)
・ Ps531-20 (メーリ)
・ Ps531-22
●説明書に記載された塗装例に基づく、国籍マーク、パーソナルネーム、車体番号などが再現されたデカールが付属しています
●組立説明書のほかに、フィンランド軍使用の「3号突撃砲」について解説したリーフレットが付属
●2010年 一部新金型