イギリス ファイアフライ 1c 溶接車体
「イギリス ファイアフライ 1c 溶接車体 (プラモデル) (サイバーホビー 1/35 AFV シリーズ ('39~'45 シリーズ) No.6568 )」です
●第2次世界大戦後期におけるイギリス軍の攻撃力強化型戦車「ファイアフライ」を再現したキットで、「M4 中戦車」前期型車体ベースの「1c」を再現した内容となっています
●追加装甲を取り付けた「M4」前期型車体に「17ポンド砲」を装備した「ファイアーフライ」を再現、角張った車体に長砲身砲を搭載したフォルムが表現されています【 「ファイアーフライ」について 】
●イギリス軍の大戦初期における主力の対戦車砲は「2ポンド対戦車砲 (口径40mm)」で、この砲はドイツ戦車に対して非力さが目立ったために、代わって「6ポンド対戦車砲 (口径57mm)」が配備されるようになります
●しかしながら、将来的には、この「6ポンド対戦車砲」を以てしても、撃破出来ない敵戦車が登場することが予想され、より大型の対戦車砲を開発することが1941年から進められました
●その結果、1942年8月に完成したのが「17ポンド砲 (口径76.2mm)」で、この砲は高い装甲貫通能力を誇りました
●また、更に高い威力を発揮する為に高性能の砲弾も開発され、「APCBC(被帽式高速徹甲弾)」では1000mの距離で140mm厚の装甲板、更には1944年の夏頃に登場した「APDS(装弾筒付き徹甲弾)」においては、同距離にて195mm厚の装甲板を貫通する能力を誇り、ドイツ軍の「88mm対戦車砲」(71口径型)に匹敵する程の高い貫通能力を示しました
●「17ポンド砲」は車載化も考慮された設計で、威力の割りにはコンパクトな砲となっており、早速戦車に搭載する計画が進められましたが、肝心のイギリス戦車の中ではターレットリング径の関係から搭載できる戦車は在りませんでした
●そこで、目を付けられたのが、武器供与としてイギリス軍で使われ始めたアメリカの中戦車「M4」で、この戦車は開発当初から将来の搭載砲の大型化を考慮してターレットリングが大きいのが特徴でした
●この「17ポンド砲」を搭載した「M4 中戦車」シリーズは「シャーマン ファイアーフライ」(もしくは「ファイアーフライ」)と呼ばれ、「ノルマンディ戦」から実戦参加、ドイツ軍の「パンター中戦車」や「タイガー重戦車」の正面装甲を突き破ることができる当時では唯一の連合軍戦車でした
●同車は対戦車戦闘の切り札として活躍、逆にその存在を脅威に感じたドイツ軍は、最優先目標として真っ先に撃破するものとしています
●「シャーマン ファイアーフライ」は「ノルマンディ戦」においては、まだ配備数が少なく、1個小隊(5両)に1両程度の割合であり、小隊の通常型の「シャーマン」が先行して敵戦車を発見、後続する「シャーマン ファイアーフライ」がその砲火力によって撃破する戦術が取られました
●ノルマンディ戦」以降は、その配備数は順調に増え、1945年2月までに合計2139両が生産されています
●イギリス軍は、供与された「M4 中戦車」シリーズに名称を付けており、「M4」は「シャーマン 1」、「M4A1」は「シャーマン 2」、「M4A2」は「シャーマン 3」、「M4A3」は「シャーマン 4」(極少数しか供与されず)、「M4A4」は「シャーマン 5」となります
●また、搭載砲でも区分しており、「76mm砲」搭載型が「A」、「105mm砲」搭載型が「B」、「17ポンド砲」搭載型は「C」と表され、前述の数字の次に表記されます
・ 「M4」ベースの「17ポンド砲」搭載型は「シャーマン 1C」となりますが、通常は「ファイアーフライ 1C」と呼ばれることが多いようです
●一方、「M4 中戦車」シリーズは、1943年中頃から前部ハッチが斜めに付けられた後期型車体へと生産が移行、「M4」の後期型車体では車体前部が「M4A1」と同じ鋳造式となり、これは別名「コンポジット・ハル」とも呼ばれています
・ 従来と同じ全溶接式の「M4」後期型車体は、「105mm砲」搭載型のみが存在します
●「ファイアーフライ」は延長車体の「M4A4」ベースというイメージが強いのですが、 供与用として作られていた「M4A4」は前期型車体のみで生産を終了、そのため「ファイアーフライ」はこの「コンポジット・ハル」型の割合いが徐々に多くなりました
・ 「ファイアーフライ」としては、「M4」の「コンポジット・ハル」車体と「M4A4」車体ベースが多く、その他の車体は比較的少数のようです
【 「イギリス ファイアフライ 1c 溶接車体」のキット内容について 】
●このイギリス軍の「M4」前期型車体ベースの「ファイアーフライ」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●ドラゴン社によるディテール表現力により、「M4」前期型車体の「ファイアーフライ」を再現した内容となっています
●「ファイアーフライ 1C」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成されています
●「17ポンド砲」の砲身は一体成型となっており、先端のマズルブレーキ部が左右分割されています
・ 砲身は上下に可動式です
●砲塔は、上下分割式となっています
・ 装填手ハッチ、排莢ハッチは別パーツで、開閉状態が選択可能
・ アンテナ基部はエッチングパーツにて再現
・ 砲塔は左右旋回ができます
●ペリスコープ部は、基部、ペリスコープ本体、蓋、ペリスコープガードの4分割式となっています
・ ペリスコープ本体はクリアーパーツが付属
・ ペリスコープガードはプラパーツとなっています
●車長キューポラは、ビジョンブロック無いタイプと、イギリス軍独自のペリスコープ装着型とを選択できます
・ 車長ハッチは別パーツで、開閉状態が選択可能です
●「M2 重機関銃」は、放熱口の位置が正確にモールドされ、スライド式金型により銃口も開口処理されています
・ ペリスコープ装着型の場合には同機関銃は装備しません(「ファイアーフライ」は、通常のキューポラでも「M2 重機関銃」を外している場合が多いようです)
●車体上部は、エンジンルーム上部を除き一体成型となっています
・ 操縦手及び前方機関銃手のハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 前照灯及び尾灯は、クリアーパーツが用意されています
・ ライトガードは、プラパーツとエッチングパーツとの選択式です
・ 前部フェンダー、及びサイドフェンダーの取り付け金具はエッチングパーツとなっています
・ 各給油口は別パーツです
・ 車体後部の吸気口のメッシュを再現するエッチングパーツが付属
●各種工具類は、固定具も一体成型されています
・ 固定具を再現するエッチングパーツも付属しており、これを使用する際には固定具のモールドを削り取ります
●車体下部は、側面と底面とが一体成型され、これにデフェレンシャルカバーと後部パネルを貼り付ける構成となっています
●「VVSS」サスペンションは左右2分割式で、これにボギー部と垂直式ばね、サポートローラーを挟み込む構成となっています
・ サポートローラーの支持架が水平の初期型と、斜め形状の後期型とを選択できます(「M4」の前期型車体の生産時期の関係から、多くが水平の初期型を使用していると思われます)
・ 起動輪は「後期型」と、肉抜き穴が斜めに削がれた「クライスラー型」とが付属しています(これは、「後期型」の使用例が多く見られます)
●履帯は、接着及び塗装が可能なDS素材によるベルト式となっています
・ 履帯は、ラバーシェブロンタイプの「T48」履帯が再現されています
●前照灯やペリスコープなどを再現するクリアーパーツが付属
●フェンダー、ライトガード、工具の固定バンドなどを再現するエッチングパーツが付属しています
●マーキングは、イギリス連邦軍の1種類の塗装例が説明書に記載されています
・ ポーランド第1機甲師団 第2機甲連隊 (ノルマンディ / 1944年)
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、部隊表記、車台番号などを再現したデカールが付属しています
・ デカールのプリントはカルトグラフ社製
●2012年 一部新金型