ドイツ 大型軍用乗用車 ホルヒ タイプ1a
「ドイツ 大型軍用乗用車 ホルヒ タイプ1a (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.052 )」です
●第2次世界大戦時におけるドイツ軍の重統制型兵員車「ホルヒ 108 タイプ1a」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立てキット
●大戦初期を中心にドイツ軍の足となって活躍した重統制型兵員車「ホルヒ 108 タイプ1a」を再現、角張ったボディに、如何にもドイツ車両を印象付けるフロントグリル形状やボンネットのルーバーなど、同車の特徴的なフォルムが表現されています【 「ホルヒ 108 タイプ1a」について 】
●ドイツは第1次世界大戦の敗戦の結果、ベルサイユ条約によって軍備が大幅に縮小、更に賠償金の支払いにより軍備費自体も大きな圧迫を受けることのなりました
●このため、軍用車両の開発も停滞し、それを受けて民間用の車両を転用するという方式が採られます
●このような民間転用車両の中で最もオーソドックスな形態となったのが、民間用の自動車のシャーシを利用し、簡単なオープンボディーを載せた「キューベルジッツァー」と呼ばれる軍用自動車で、安価な上に機動性が高いのが特徴でした
●このスタイルの軍用自動車はドイツ軍車両の定番となり、兵員車として第2次世界大戦時において全軍で広く運用されました
●1933年、ヒトラーが政権を掌握、本格的な再軍備化の準備が開始されます
●この際に問題となったのが、従来の民間転用車両の使用であり、様々なタイプの車両が混在していたことから、整備性やパーツの供給などに支障が発生していました
●1935年、このような民間転用車両の問題を解決する「アインハイツ計画」が立案、この計画では各車両を車種別に区分、それぞれを更に「軽」「中」「重」のクラスに分け、各規格に沿って開発と整備を行うというものでした
●この「アインハイツ計画」によって登場した車両は統制型車両と呼ばれ、軍用車両のスタンダードとなります
●「ホルヒ 108」は、この「アインハイツ計画」に基づいて1938年に「ホルヒ」社で開発された重統制型兵員車で、オープントップ式のボディに3.8リッター80馬力のガソリンエンジンを搭載、最大乗車兵員数8名というものでした
●同車は、4輪駆動式で、サスペンションは地形への追従性能が高いダブルウイッシュボーンサスペンションを採用、高い起動性能を誇ります
●車体中央部には露出式に予備タイヤを装備、これは回転するように取り付けられており、不整地での走行時において機動性を補助する役割を持っていました
●同車は、当初4輪操向装置を装備した「タイプ1a」が生産、ただしこの4輪式の操向装置は実用性に乏しいとして前輪2輪のみへと変更した「タイプ1b」に生産が移行します
●この「ホルヒ 108」は、「ホルヒ」社だけではなく「ドイツ・フォード」でも生産が行われ、1940年には後期生産型として予備タイヤを省いた簡易タイプ「ホルヒ・タイプ40」が登場、各型合計3000両弱が生産されています
●「アインハイツ計画」は、優れた車両整備計画でしたが、あくまでも平時に立案された計画で、誕生した車両は性能は優れていたものの、戦時としては造りが贅沢であり、より低コストと生産性の向上を図った「シェル計画」が1941年に立案されます
●この計画により、「ホルヒ108」並びに「ホルヒ・タイプ40」は生産の中止が決定、重統制型兵員車の車両は「シュタイヤー1500A」などに絞られました
●ただし、既存の「ホルヒ108」はそのまま継続使用されており、第2次世界大戦前期を中心としてドイツ軍の兵員輸送、牽引、砲の搭載など、様々な任務で活躍しています
【 「ドイツ 大型軍用乗用車 ホルヒ タイプ1a」のキット内容について 】
●このドイツ軍の重統制型兵員車「ホルヒ108タイプ1a」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●1975年製キットながら、タミヤMMシリーズ中の傑作キットのひとつであり、実車のポイントを捉えながらパーツ数は抑えられ、同社らしい確かな造形とシャープなモールドにより「ホルヒ 108 タイプ1a」の特徴とディテールを表現した内容となっています
・ 最近のキットは、パーツ数が多くなっており、キットを作製するだけでもかなりの時間を必要としますが、同キットはミリタリーモデル初心者から、ベテランモデラーまで広くお薦めできる逸品です
●「ホルヒ 108 タイプ1a」の特徴であるボンネット各面に存在するルーバーやフロントグリル部、そして複雑な足周りが表現されており、典型的なドイツ的フォルム持つ同車の魅力を感じ取ることができます
●兵員室への機関銃の装着の有無が選択できます
●「ホルヒ 108 タイプ1a」は、「車体下部」「キャビン」「ボンネット」「幌部」の4ブロックで構成されています
【 車体下部 】
●複雑な足周りを持つシャーシ部分を、実車構造を踏まえてその特徴を演出しながらパーツ数を抑えて再現、ポイントとなるダブルウッシュボーン・サスペンションや4輪駆動式の動力系がタミヤらしいモールドにより豊かに表現されています
●車体下部は、ボディ部の床面、フェンダー、シャーシを含めて一体成型されています
・ バンパー部と燃料タンク類は別パーツにて再現
・ 前後のディファレンシャルは車軸、ドライブシャフトを含めて一体成型となっています
・ ダブルウィシュボーンサスペンションは、上下分割式でコイルスプリングは別パーツ、車軸部を挟むようにして取り付けます
・ ステアリングは固定式です
●タイヤは、本体部分と裏面内側、回転部の3分割式です
・ タイヤは回転可動式です
●フェンダー部分に装備される、前照灯、ノテックライト、車幅ポールなどがパーツ化されています
・ 前照灯は前後分割式で、管制カバー付きを再現
【 キャビン 】
●ドイツ軍の兵員車の共通デザインとなる角張った形状のキャビン部を再現、表面上の細かなリベットや特徴的なドアノブなどが表現されています
●キャビンは、各パネルを貼り合せる箱組み方式となっています
・ 側面の各ドアは別パーツで、開閉状態を選択できます
・ フロントシートは、フレームとクッション部との4分割式で、後部のベンチシートは各1パーツで再現
・ 運転席の各メーターはモールドにて再現
・ 運転席の各種のレバーがパーツ化
●フロントウィンドーは、クリアーパーツとキャンバスカバー付きのタイプとが選択できます
・ クリアーパーツには窓枠とワイパーとがモールドされています
・ クリアーパーツは起倒が可動式となります
●後部の兵員室に装備される機銃架、及び「MG34機関銃」が付属しています
・ 機銃架の取り付けの有無が選択できます
・ 「MG34機関銃」は上下に可動します
【 ボンネット 】
●ボンネットは、特徴的な各面のルーバーがシャープに再現され、フロントグリルのルーバーは実車の構造に従って、上部と下部とでルーバーの角度が変化しています
●ボンネットは、各パネルを貼り合せる箱組み方式です
・ ボンネットと後部のボディとのジョイント部分にはキャンバス地が再現
【 幌部 】
●幌は展開した状態と、折り畳んだ状態のパーツが付属しており、選択して使用します
●展開した状態の幌は一体成型となっており、サイドウィンドーと後部側面は別パーツです
・ サイドウィンドーは前端部から後端部まで一体成型で、窓枠部分がモールドされています
●畳んだ状態の幌は、幌本体と左右の幌枠との3分割式です
【 フィギュア 】
●ドライバーのフィギュアが1体付属、顔の表情、ポージング、デッサン、ディテール表現など、フィギュアモデルとして現在においても充分通用する造形となっています
●フィギュアの内容
・ フィギュアは、運転席に座り、片手でハンドルを握っているポーズです
・ フィギュアは、武装親衛隊の兵士が再現されており、迷彩スモックに迷彩カバー付きのヘルメットを着用、ブーツを履いた姿です(この服装は大戦を通じて使用されています)
・ 服の皺の表現はスケールに沿っており、迷彩カバーやスモックの縫い目などがシャープに彫刻されています
・ フィギュアは、上半身、下半身、両腕のパーツ構成です
【 塗装とマーキング 】
●「ホルヒ108タイプ1a」のマーキングとして、ドイツ軍仕様となる2種類の塗装例が説明書に掲載されており、国籍マーク、師団マーク、戦術マーク、ナンバープレートなどを再現したデカールが付属しています
●1975年 完全新金型
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【 「ドイツ 大型軍用乗用車 ホルヒ タイプ1a」のワンポイント 】
●2010年代に続出したWW2時のソフトスキン車輌のニューキットは、車体細部構造を細分化したパーツ構成で再現しているキットが多く、パッケージの内容は戦車モデルに匹敵するようなパーツ数となっています
●このような細部再現は模型としての一つの楽しみと言えるものですが、そのパーツ数の多さは必然的に多くの製作時間を必要とし、製作に着手する際もそれなりの覚悟が要ります
●本キットは、タミヤMMシリーズが最初の全盛期を迎えた1970年代の製品であり、部分的には若干の古さは否めませんが、かっちりとしたモールドと表現の豊かさ、そして抑えたパーツ構成により、ドイツ軍の代表的な兵員車の一つである「ホルヒ 108 タイプ1a」の姿を気軽に楽しむことができる内容となっています
●タミヤらしく、ディテールに関してもそのツボをしっかりと押さえており、フロントグリルの形状などはニューキットと変わらない彫刻と実感で、現在においても全く色褪せていないキット内容です
●パーツ数が抑えられていますから、単品作品だけではなく、戦車やフィギュアなどとの組み合わせやジオラマ展開など、タミヤMMシリーズが目指した様々な楽しさを想定することができるでしょう
●最近のソフトスキン車両のキットに挫折した人、そして初心者からベテランモデラーまで広くお勧めするキットです