特殊潜航艇搭載母艦 日進
「特殊潜航艇搭載母艦 日進 (プラモデル) (アオシマ 1/700 ウォーターラインシリーズ No.555 )」です
●太平洋戦争時における帝国海軍の「特殊潜航艇母艦 日進」を1/700スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●「水上機母艦 千歳型」の準同型艦となる「特殊潜航艇母艦 日進」を再現、航空機作業甲板の大型天蓋がなく、艦首の兵装を高角砲2基から連装砲3基へと変更した独特のシルエットを再現した内容となっています
【 「特殊潜航艇母艦 日進」について 】
●帝国海軍では1934年に第2次海軍軍備補充計画(通称マル2計画と呼ばれる)を策定、これによりそれまで改造式から新造式となる水上機母艦「千歳型」(「千歳」「千代田」)を建造し、引き続きほぼ同型艦で主機をディーゼルエンジンとした「瑞穂」も建造されました
●続いて1937年の第3次海軍軍備補充計画により、この「千歳型」をベースとした機雷敷設艦「日進」が計画され、1938年に建造が始まります
●この「日進」は、比較的単独で行動する機会が多い敷設艦という任務のため、「千歳型」の備砲が高角砲だったのに対して通常砲である14cm連装砲を3基装備していました
●「日進」は、「千歳型」よりも「瑞穂」の設計が色濃く反映されており、主機はディーゼルエンジンを装備、「千歳型」では航空機作業甲板上に大型の天蓋が設けられていましたが、「日進」では「瑞穂」と同様に小型化されたものとなっています
●ところが、建造が開始されると「日進」は敷設艦から水上機母艦へと変更され、進水状態まで建造が進みます
●一方、帝国海軍では2人乗りの小型潜水艦となる特殊潜航艇「甲標的」(この「甲標的」という名称は本来の目的を隠すための秘匿名称です)を開発、戦争への気運が高まる中、この「甲標的」は港湾に停泊中の艦艇に損害を与えるための秘密兵器として大きな期待が掛けられます
●これを受けて帝国海軍では「甲標的」を搭載する母艦を建造、これは主に既存の艦艇からの改造によって実施されることとなり、水上機母艦では「千代田」と「日進」が選ばれています
●前述のように、「日進」は水上機母艦として建造は進水状態まで至るまで進んでいましたが、この時点で特殊潜航艇母艦へと改造が開始、1942年2月に竣工しました
・ 特殊潜航艇を秘匿するために、水上機母艦としての航空用設備と機能は残されており、「甲標的」は船体内部に収納されていました
●しかし、「日進」が竣工、そして出撃可能となった時期は特殊潜航艇で奇襲攻撃を行うという機会はなく、「日進」はその収容能力を活かして高速輸送艦として運用、特にガダルカナル島への輸送任務ではその速度と積載能力により、火砲などの重量物資の輸送に活躍します
●ガダルカナル戦の後、「日進」は内地から南方、そしてアリューシャン方面などへの輸送任務に従事、1943年中頃には再びソロモン海域へと進出して輸送任務に就きます
●1943年7月、ブーゲンビル島への輸送任務中に「日進」はアメリカ軍機の攻撃を受け被弾、その姿を波間に消したのでした
【 特殊潜航艇搭載母艦 日進 プラモデルの内容 】
●この帝国海軍の特殊潜航艇母艦「日進」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●アオシマ社のウォーターラインシリーズのフォーマットに則り、艦特有の細かな造りをパーツの細分化により再現しながらも作り易さも考慮、エッジの立ったシャープなモールドにより「日進」が持つシルエットとディテールを再現した内容となっています
●アオシマ社製「特殊潜航艇母艦 千代田」をベースに、上甲板部、艦橋構造物、後部構造物、主砲塔などを「日進」用のパーツへと変更したバリエーションキットとなります
●艦体喫水線までが再現されたウォーターラインモデルです
●「特殊潜航艇母艦 日進」は、上甲板及び船体部の上下分割のパーツで構成されています
・ 艦体部は一体成型のパーツで構成され、下部のバルジ、舷側の舷窓、フェアリーダー、梯子などが再現されています
・ 艦尾部分の特殊潜航艇発進用の扉は別パーツで再現されており、開閉状態が選択できます
・ ウォーターラインモデルに欠かせない船体下を塞ぐ平らな船底パーツが付属、オモリとなるバラストも付属しています
●上甲板は、甲板上の滑り止め、リノリウム貼りの境界に合わせて前後方向に5分割式となっています
・ 甲板上には、アンカーチェーン、リノリウム押さえ表現、滑り止め、航空機軌条、カタパルト台座、リール、ボラードなどがモールドで再現されています
・ 船体後部の雛壇式の航空機軌条部分は別パーツです
●船体内部の特殊潜航艇用の格納庫が再現されています
・ 格納庫の扉は別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 格納庫は、特殊潜航艇用の軌条が再現
・ 格納庫に収納される「甲標的」(×12)が付属
●上甲板上の構築物となる「艦橋部」「高角砲部」「カタパルト部」「煙突部」「天蓋部」「エレベーター部」などを個別にブロック化して構成、それぞれを甲板上に取り付けて完成させます
特殊潜航艇母艦「日進」の艦上の構造物は下記のようなパーツで構成されています
●艦橋
・ 艦橋は5層で構成されています
・ トップの測距儀は別パーツにて再現
・ 上部の防空指揮所は細かく再現され、双眼鏡(×6)、探照灯(×2)がパーツ化
・ 艦橋構造物には、舷窓、扉などが彫刻されています
・ 艦橋甲板にはリノリウム押さえのモールドが再現
・ 艦橋の窓はクリアーパーツとなっています
・ 艦橋部分を構成する、「25mm3連装機銃」(×2)、パラベーン(×2)、1.5m測距儀(×2)などがパーツ化されています
●メインマスト
・ メインマストは三脚檣型で、戦後分割式となっています
・ 後部のトラス構造は開口処理、側面のトラス部分は左右各3パーツのパーツ分割により再現されています
●後檣
・ 後檣は三脚檣型で、前後分割式です
・ 後檣下部にはトラス構造を再現
●天蓋
・ 前後の天蓋は上下分割式で、上部には機銃座及び探照灯台座が一体成型されています
・ 天蓋の方位測定器(×1)、「25mm3連装機銃」(×2)、探照灯(×2)がパーツ化、探照灯はクリアーパーツです
●クレーン
・ 天蓋の支柱を兼ねるクレーンの基部は、左右分割式となっています
・ クレーンは、側面のトラス構造だけではなく、スライド金型により上面のトラス構造も再現
●カタパルト 「1式2号10型 射出機」 ×2
・ カタパルトはスライド式金型による一体成型となっており、カタパルト側面のトラス構造、上部のディテールなどが再現されています
●主砲塔 「50口径 14cm連装砲」 ×3
・ 主砲塔は、個別にパーツ化された砲身と砲塔との3パーツで構成
・砲身基部には防水布が再現されています
●対空機銃 「25mm 3連装機銃」 ×8
・ 機銃は一体成型となっています
●艦載機
・ 「零式3座水上偵察機」「零式水上観測機」「95式水上偵察機」が各1機付属しています
・ 各艦載機は、翼を折り畳んだ状態を再現
・ 「零式3座水上偵察機」は、胴体、主翼先端部、フロートのパーツ構成
・ 他の2機種は、胴体は左右分割式で、上下の主翼、主翼桁、水平尾翼、フロートのパーツ構成です
●艦載機 (静岡模型教材協同組合「大型艦兵装セット」に含まれているパーツ)
・ 「零式3座水上偵察機」「零式水上観測機」「94式水上偵察機」「95式水上偵察機」が各2機付属しています
●内火艇、カッター及びボートダビッド
・ 11m内火艇 ×2
・ 12m内火ランチ ×2
・ 9mカッター ×2
●その他の艤装を再現したパーツとして
・ 艦首、艦尾旗竿
・ 主錨
・ 菊花紋章
・ 機銃用スポンソン
・ 塵捨て管
・ パラベーン
・ ダビッド
などがセットされています
●静岡模型教材協同組合「大型艦兵装セット」のランナーが2枚付属しており、艦載機の一部、対空機銃、カッター類などは同ランナーのパーツを使用します
●艦尾の軍艦旗(直線タイプと、なびいているタイプの2種)、艦載機の日の丸マーク、天蓋部の大型の国籍マークなどを再現したデカールが付属しています
●2014年 ウォーターラインシリーズ 通常版への編入
・ アオシマ社製「特殊潜航艇搭載母艦 日進 スーパーディテール」をベースに、エッチングパーツを省きウォーターラインシリーズへの定番化