アメリカ M3A2 パーソナルキャリアー
「アメリカ M3A2 パーソナルキャリアー (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.070 )」です
●「アメリカ M3A2 パーソナルキャリアー」です
●機甲師団の戦車部隊と行動を共にした「M3A1 ハーフトラック」を再現したスケールモデルキットです
●アメリカ陸軍は、世界恐慌による軍縮ムードと、アメリカ国内の孤立主義の台頭により、第2次大戦の直前まで、戦車や装甲車両の開発は非常に遅々としたものでした
●そんな中にあって、兵員を安全且つ着実に戦場に届けるという手段は着実に開発されており、1920年代から1930年代にかけてはトラックよりも不整地踏破能力の高い半装軌式トラックの研究、次いで1935年にはアメリカのハーフトラックシステムの始祖となる「T9 半装軌式トラック」が作られました
●そして1939年には騎兵科(機械化)の偵察車輌、及び砲兵の牽引用の車輌として、「M3 スカウトカー」に「T9 半装軌式トラック」の走行システムを取り入れた「半装軌式偵察車 T14」が開発されます
●また、これを見た歩兵科が歩兵用の車輌として、「半装軌式偵察車 T14」をもとに改良した「T8 兵員輸送車」を作製、後に前者が「M2 ハーフトラック」、後者が「M3 ハーフトラック」として制式化されます
●1940年の独仏戦において、ドイツ軍は機械化された機甲師団を中心とした「電撃戦」を展開、これに衝撃を受けたアメリカ陸軍は、戦車及び装甲化された車両で構成される機甲部隊を早急に増設させることとし、それに伴い「M2 ハーフトラック」と「M3 ハーフトラック」が大量に生産されて行きました
●両車の武装は、「M2 ハーフトラック」がレール式銃架、「M3 ハーフトラック」が固定式の銃架を装備していましたが、実戦で使用してみると両方共に欠点が多く、操縦手席右上方に装甲化されたリングマウント式銃架を装備する形態に変更され、それぞれ「M2A1 ハーフトラック」と「M3A1 ハーフトラック」となりました
●「M3A1 ハーフトラック」の性能は、143馬力のエンジンを搭載し、最大速度は72Km/h(路上)で、装甲厚は12.7mm~6.25mm、一応、ドイツ軍の7.92mmライフル弾を防ぐ能力を持っていましたが、近距離では損害が発生したと言われています
●「M3A1 ハーフトラック」に搭乗する「機甲歩兵」分隊は12名で、分隊長、副分隊長、小銃手9名、ドライバー1名で構成、これに機関銃やバズーカ砲を携行するものとされていました
●「M3A1 ハーフトラック」の戦闘は、最前線手前まで「機甲歩兵」を乗車させ、敵の砲火が届く前の地点で降車し、「機甲歩兵」は「戦車」の支援を受けながら前進、「M3A1 ハーフトラック」は防御力が弱いため、後方から搭載機銃を使って支援戦闘を行いました
●「M3A1 ハーフトラック」は、機甲師団内の歩兵部隊である「機甲歩兵」に配備されました
・ 戦車大隊1個と機甲歩兵大隊1個を主力として戦闘団を形成し、各機甲師団は3個戦闘団(通常はA、B、R戦闘団と呼称される)を保有し、戦闘における1単位としました
・ 戦闘団内においては、「戦車」と「機甲歩兵」とが協力し合い、お互いの欠点を補う「諸兵連合」を形成していました
●「M3 ハーフトラック」と「M3A1 ハーフトラック」は、「機甲歩兵」の足となり、北アフリカからヨーロッパへと駆け回り、連合軍の勝利の礎の元となったのです
●この「M3A1 ハーフトラック」を再現したプラスチックモデル組み立てキットです
●タミヤMMシリーズの「M3 ハーフトラックシリーズ」のトップバッターのキットで、「M3A2 ハーフトラック」の持つ迫力在るフォルムを再現、MMシリーズの美点である精密感を保ちながら作り易さも考えられており、リベットを多用したボディー再現、メカニカルな足周り、そして質感溢れる座席シートなどタミヤタッチの表現が光る名作です
●アメリカ車輌独特の質実剛剣な雰囲気を持つフロント周り、トラック然としながらも装甲車両独特な存在感、オープントップ車輌ならではの精密感が楽しめる内容となっています
●また、乗車する表情豊かなリラックスポーズの「機甲歩兵」のフィギュアが付属、アメリカ軍のハーフトラックの特徴である車外の装備品だけでなく、豊富なアクセサリー類がセットされており、MMテイストに溢れたキットとなっています
・ キットに付属しているアクセサリーの他に、いろいろな装備品を追加して「アメリカ車輌」らしく荷物を満載している姿を表現するのも面白いでしょう
●車体前部とエンジンルーム部分は、フェンダーが一体化された車体下部、側面板、ラジエターグリル、操縦席前面板とで構成されており、側面に存在するジェリカン、ハンマー、シャベル類は別パーツとなっています
●車体前面のラジエターグリルは、開、閉のそれぞれの状態を別パーツ化しており、選択して使用します
・ 開状態のパーツには、奥にラジエターのモールドも再現されています
●操縦手席前面板は、装甲シャッターを開いた状態と閉じた状態とを選択できます
(両方共に戦闘中は、防弾の為に閉じられました)
●フロントウィンドウを再現する為に、切れ込みが入った透明プラ板が用意されています
●操縦席部分のメーター類は、細かな彫刻を施したパーツで再現
・ 塗装の際、ドライブラシの要領で突起部分に軽く塗料を乗せるだけで、充分なディテール感が得られるでしょう
●操縦席側面ドアは、ドアパーツを加工することにより上部を開いた状態にすることが可能です
●車体後部の兵員輸送室は、側面装甲板、後部装甲板、車内パーツの3パーツで構成されています
・ 側面パネル内側に設置された燃料タンクは室内パーツと一体化した状態でパーツ化、床面の滑り止めパターンもシャープに彫刻されています
・ 兵員室のシート部は座面・背もたれ部分を別パーツ化して再現、柔らかいクッション部分の質感表現は彫刻を変えて再現してます
●武装は、「12.7mm M2重機関銃」1丁と、「M1919A4 機関銃」が2丁付属
・ 「12.7mm 重機関銃」の弾薬箱は、閉じた状態と開いた状態とが選択でき、開いた状態用として内部に弾薬がモールドされています
●シャーシのメインフレームは、トランスミッション部も含めた一体成型で構成、フロントアクセル、リアアクセル共にパーツ分割は最小限となっています
・ フロントアクセルは可動式で、前輪を左右に振った状態にすることができます
●スプロケットホイル及びリアホイルは、ポリキャップを内蔵することにより可動することができ、ロードホイルも貫通したシャフトにより可動式とすることが可能です
●前輪タイヤのゴムの部は一体成型されたラバー製パーツ、タイヤ表面にはトレッドパターンやメーカーの刻印が彫刻されています
●キャタピラは、一体化されたベルト式のラバー製パーツが付属しています
●キットには合計9体のフィギュアが付属
●着座姿勢の操縦手のフィギュアが1体と、前方の機銃架と後部のキャビン部に乗せるフィギュアが7体、そして車輌の横で行軍しているポーズのフィギュアが1体で、操縦手以外のフィギュアは同社「US コンバットクルーセット」のフィギュアが付属しています
・ 「US コンバットクルーセット」には、座っている姿のフィギュアが5体用意されており、「M3A2パーソナルキャリアー」の後部の座席に座らせることができます
・ また、立っている姿のフィギュア2体は、前方の機銃架と後部の装甲板部に配置することができ、いかにも兵士たちの会話が聞こえてきそうなシーンが再現できるような内容となっています
・ 操縦手のフィギュアは、「M1941戦闘服」を着用し、左腕を扉に掛け右腕をハンドルに置いているポーズが再現されています
●豊富なアクセサリーパーツが付属
「US コンバットクルーセット」に含まれるアクセサリーパーツ
・ M1 ガーランドライフル ×8
・ 水筒 ×8
・ 携帯用シャベル ×4
・ 銃剣 ×6
・ ヘルメット ×8(フィギュアに着用させる分も含む)
・ M1911 拳銃用ホルスター ×1
・ 車載無線器 ×1
・ 携行型無線器 ×1
・ 手榴弾 ×10
・ 対戦車地雷 ×10
・ その他、左右フェンダー、後部荷物ラックに載せる毛布類などを再現したパーツが付属しています
●マーキングは、1種類の塗装例、2種類のマーキングが説明書に指示されています
・ 第1機甲師団所属車両
・ 第9機甲師団所属車両
●説明書の指示に基づく国籍マーク、車体番号、所属部隊名などを再現したデカールが付属しています
●キットの説明書には、「M3A1 ハーフトラック」で多く見られるタイプに改造する為の指示が記載されています
●2010年 再販アイテム
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●キットは、構成するパーツ数は少なめで、組み易い内容となっています
●太平洋戦域においては、アメリカ陸軍は機甲師団を投入しておらず、本来は機甲歩兵が持つ兵員輸送型のハーフトラックは、極少数しか見られませんので、注意して下さい
●ミニ知識
とかくライバル視されるアメリカの「M3A1 ハーフトラック」と、ドイツの「Sd.kfz. 251」ですが、防御力では「M3A1 ハーフトラック」が装甲厚12.7mm~6.25mmなのに対し、「Sd.kfz. 251」は14.5mm~8mmと有利でしたが、走行性能に関しては、「M3A1 ハーフトラック」が前輪が駆動し、エンジン馬力も高い為に「Sd.kfz. 251」よりも高い機動力を持っていたようです