陸上自衛隊 60式装甲車
「陸上自衛隊 60式装甲車 (プラモデル) (ファインモールド 1/35 ミリタリー No.FM040 )」です
●1960年代から2000年代前半まで使用された陸上自衛隊の「60式装甲車」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●戦後初の国産の装軌式装甲兵員輸送車である「60式装甲車」を再現、装甲車の機能に特化した特徴ある箱型のボディ形状をした車体フォルムを的確に再現した内容となっています
【 陸上自衛隊 60式装甲車 について 】
●1954年に発足した陸上自衛隊は、発足当時その装備のほとんどをアメリカ軍から供与されたため、第2次世界大戦終了時の装備で構成されていました
●これらの装備品は太平洋戦争時の旧帝国陸軍の装備とはレベルが異なる優秀なもので、産声を上げた戦後の日本の防衛産業にとって技術的な寄与を果たすことになります
●アメリカから供与された装備は日本人の体格には適さず、また将来的には旧式化が免れないとの見解から、1950年代後半から各種装備の国産化が図られるようになります
●「60式装甲車」は、「M3ハーフトラック」の後継車両として1956年から開発が開始され、翌年の1957年には試作車が完成、試験と追加試作を繰り返しながら1960年に制式化されました
●同車は、4名の乗員と6名の兵員を搭載することが可能で、武装は前方機銃として「M1919A4 機関銃」、上部の銃座に「M2 重機関銃」を搭載、その銃座の前方に車長用のキューポラを装備した配置となっています
●また「60式装甲車」の特徴として、オートマチック式の変速器を搭載しており、同時期に開発され、マニュアル式の変速器を装備する「61式戦車」と比べ、その操縦は極めて容易となっていました
●同車は、1972年までに428両が生産されて、40年の長きに渡って陸上自衛隊の貴重な機甲戦力として運用されていましたが、「73式装甲車」などの後継車両の登場や旧式化によって2005年までに全車が退役しています
【 陸上自衛隊 60式装甲車の運用 について 】
●「60式装甲車」は、当時の装甲兵員輸送車としては平均的な性能でしたが、国防予算の関係から装備数は限られ、その配備は東部方面隊の第101装甲輸送隊、北部方面隊の第102装甲輸送隊、そして各戦車大隊が中心となりました
・その後、第101装甲輸送隊は普通科教導連隊、第102装甲輸送隊は第11普通科連隊に編入されています
●本州に駐屯している各師団隷下の戦車大隊では、各戦車中隊に1両ずつ、本部管理中隊に3両程度が配備されており、そのため各師団は6~7両程度の「60式装甲車」を保有していました
●「96式装輪装甲車」が登場するまでは、装甲兵員輸送車は実質的に同車のみであり、師団にとっては「虎の子」的な存在となっていました
●演習時において、この「60式装甲車」と普通化隊員、そして戦車大隊の「61式戦車」もしくは「74式戦車」により機械化部隊を編成、攻撃時時にはこの部隊による機動が主体となって作戦が進められました
●幸いにも実戦経験をすることなくその生涯を全うした「60式装甲車」ですが、唯一の実践的な活動が1991年の雲仙普賢岳の災害出動でした
●普賢岳は大噴火を起こし、火砕流だけではなく火山灰や火山礫が麓の町を覆い尽くしました
●通常の車では通行が不能な状況であり、派遣された「60式装甲車」はその装甲防御力と、装軌式による不整地走行能力を活かして、捜索、輸送、連絡、そして学術調査などに従事しました
●同車は、現地において「足」となり、その存在は無くてはならないものとなり、同地における災害派遣活動に大きく貢献しています
【 陸上自衛隊 60式装甲車 (ファインモールド 1/35 ミリタリー FM40) プラモデルの内容 】
●この陸上自衛隊の「60式装甲車」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●ファインモールド社の高いリサーチ力と造形技術により「60式装甲車」を再現、単純な形の車輌ながら、自衛隊車輌ならではの細かな造りが、繊細なモールドとパーツ構成により再現された内容となっています
●「60式装甲車」の細かな構造は、いたずらにパーツ数を増やして再現しているのではなく、組みやすさを考慮したパーツ構成となっており、パーツ同士の合いも良好で、「60式装甲車」の魅力を「楽しむ」ことができる内容となっています
●「60式装甲車」は、車体下部をベースとして各パネルを貼り合わせて完成させる構成となっています
【 車体下部 】
●車体下部は、各パネルを貼り合せる箱組み方式となっています
・ 車体下部にはサスペンションアームの基部部分が一体成型されており、各サスペンションアームは別パーツです
・ ショックアブソーバーがパーツ化されています
【 足周り 】
●足周りは、戦車と同様に上部転輪を装備した「60式装甲車」特有の構造が表現されています
・ 起動輪は左右分割式
・ 下部転輪は左右分割式で、転輪表面のホイールのリング部は別パーツです
・ 誘導輪は4パーツで構成され、履帯との接触部の肉抜き穴が再現されています
●履帯は、プラスチック製の一部連結式履帯
・ 上下の直線部は繋がった状態のパーツ、前後の曲線部は1枚ずつが分割されたパーツとなっています
・ 履帯上部は、上部転輪による弛みが表現されています
・ 履帯は、表面部にゴムのパッドが付いた状態を再現
【 車体前部 】
●車体前方パネルは組立やすい一体成型のパーツ、機銃やライト類などの装備品は別パーツにて再現されています
・ 車体前部パネルは、前部の斜めにカットされた部分も含めて一体成型されています
・ 前方機銃は、機銃本体と防盾とで構成されています
・ 前照灯は、本体とガラス部との2分割のパーツ構成、ガラス部はクリアーパーツです
・ ライトガードは左右分割のパーツで構成、その複雑な形状を再現
・ 車幅表示灯、バックミラーなどは別パーツ化されています
【 車体天板 】
●車体天板パネルは、グリルルーバーやパネルラインを精緻な彫刻で再現した一体成型のパーツ、キューポラやハッチ類は別パーツ化され、開閉状態を選択することができます
●車体天板は一体成型となっており、乗員ハッチ、後部の兵員室ハッチは別パーツ化されています
・ 上部のエンジングリルのルーバーがシャープに再現され、天板部のパネルラインも彫刻されています
・ エンジングリル部のフード、排気管は3タイプがセットされており、塗装例に基づいてそのタイプを選択します
・ 兵員室ハッチは、実車の構造に合わせて5分割式となっています
・ 操縦手ハッチのペリスコープはクリアーパーツです
●車長キューポラは一体成型となっており、ビジョンブロック部分は別パーツです
・ ビジョンブロックはクリアーパーツで、6箇所のブロックが繋がった状態でパーツ化され、接着箇所が考慮されています
・ 車長ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
●銃座のターレット部は一体成型のパーツで再現
・ ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 「M2重機関銃」は本体、コッキングハンドル、機関部の蓋、グリップ部の4パーツで構成されています
・ 機銃架は3パーツ、弾薬ケース部分は1パーツで構成
・ 防盾は1パーツで構成、その薄さが表現されています
【 車体後部 】
●車体後部パネルは一体成型となっています
・ 後部パネルの尾灯、電源ケーブル差込口がモールドにて再現、繊細かつ立体的に彫刻されています
・ 後部ドアは別パーツで、開閉状態が選択できます(ただし、車体内部は再現されていません)
【 装備品類 】
●車体の天板部を中心として装備される車載工具類は、固定具も含めて独立したパーツで再現
・ 後部のジェリカンラックは、ジェリカン及びラックを含めて前後分割式で、ジェリカンに描かれた「軽油」「火気厳禁」などを再現したデカールが付属しています
・ 車体各部に装着される予備履帯は、ゴムパッドが付いた状態となっています
・ アンテナがパーツ化され、基部も含めて左右それぞれを一体成型のパーツで再現
●前照灯のガラス部、車長キューポラのビジョンブロック、ペリスコープなどを再現するクリアーパーツが付属しています
【 陸上自衛隊 60式装甲車 (ファインモールド 1/35 ミリタリー FM40) 塗装とマーキング 】
●「60式装甲車」のマーキングとして、陸上自衛隊仕様の6種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 第10戦車大隊 (今津駐屯地)
・ 普通科教導連隊 (滝ヶ原駐屯地)
・ 第101装甲輸送隊 (滝ヶ原駐屯地)
・ 第4戦車大隊 (玖珠駐屯地)
・ 第12戦車大隊 (相馬原駐屯地)
・ 第71戦車連隊 (北千歳駐屯地)
●説明書の塗装例に基づく、部隊マーク、部隊表記、車台番号、陸上自衛隊マーク、銘板、「災害派遣」の表記などを再現したデカールが付属しています
●2012年 完全新金型
---------------------------------------
【 陸上自衛隊 60式装甲車 (ファインモールド 1/35 ミリタリー FM40) ワンポイント 】
●「60式装甲車」は、陸上自衛隊の歴史に欠かせない車輌であり、同時期に一緒に行動したタミヤ社製「陸上自衛隊 61式戦車」、ファインモールド社製「自衛隊 73式 小型トラック (キャンバストップ)」などと組み合わせるのに最適なアイテムでしょう
●また、「60式装甲車」は単純な箱型の形状ですので、他の車輌と並べたり、ジオラマ化したりするとより同車の魅力が引き立つと思います
●しかし、ジオラマ化の場合は、この「60式装甲車」が主に使用された時期(服装は旧型の迷彩服もしくは作業服)の自衛隊員のフィギュアが全く存在していないことがネックになります
●ただ、乗員自体は戦車隊員と同じ服装ですので、タミヤ社製「陸上自衛隊 61式戦車」や「陸上自衛隊 74式戦車 (冬季装備)」に付属しているフィギュアを流用しても良いでしょう(操縦手は基本的に戦車ヘルメットを着用していましたが、機銃手や車長は戦車ヘルメットと通常のヘルメットが併用されていたようです)