Pz.Kpfw.6 Ausf.B ケーニッヒス・ティーガー ヘンシェル砲塔 後期型
「Pz.Kpfw.6 Ausf.B ケーニッヒス・ティーガー ヘンシェル砲塔 後期型 (プラモデル) (ICM 1/35 ミリタリービークル・フィギュア No.35363 )」です
●第2次世界大戦後期におけるドイツ軍の重戦車「Sd.kfz.186 キングタイガー」の「ヘンシェル砲塔型」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●第2次世界大戦時における最強戦車として各戦線で活躍した重戦車「キングタイガー」の「ヘンシェル砲塔型」を再現、斜に装甲板を配置した傾斜装甲と、なだらかにカーブを描いた曲面構成の砲塔、そして71口径にもなる長砲身の主砲を備えた、重厚かつ迫力のあるフォルムを再現した内容となっています
●本キットで再現している「キングタイガー」は
・ 砲塔 : 前部が切り立った形状になった「ヘンシェル砲塔」
・ 砲塔前部の照準口 : バイザーが付いていない
・ 防盾 : 中央部に段差があるタイプ
・ 装填手ハッチ : 1944年6月以降の40mm厚となる角が丸いタイプ
・ 車長キューポラ : 溶接止めのリング状の対空機銃マウントを装備
・ 砲塔後部のエスケープハッチ : 角のあるタイプ、下部のトーションバーの部分に装甲カバーが付く
・ 操縦手用のペリスコープガード : 通常のタイプ
・ 前部ベンチレーター : 切り欠けの付いた状態
・ エンジンデッキ : 後部右側に燃料タンク通気パイプを装備
・ 起動輪 : 標準型 (9枚歯)
・ 履帯 : Gg26/800/300
という、「Sd.Kfz.182 キングタイガー」の「中期型」を再現しています(時期的には1944年8月~12月頃の生産車両となります)
【 「キングタイガー ヘンシェル砲塔」のキット概要 】
●1/35スケールのキットとしてオーソドックスなパーツ構成
●ただし、サイドフェンダーを一体成型化した車体上部や、トランスミッション点検ハッチを別パーツ化するなど、ICM社独自のパーツ分割を所々に見せている
●車体や砲塔の主要部はスライド金型を用いて、形状と側面のディテールをできるだけ正確に造型
●溶接跡などのディテールは繊細なモールドで再現
●乗員ハッチとエスケープハッチは開閉状態を選択可能
●手榴弾避けネットはフレーム部分のみ再現
●履帯は、起動輪9枚歯タイプに合わせた、2枚組みとなる「キングタイガー」用の「Gg26/800/300履帯」、接着及び塗装が可能な素材によるベルト式
●塗装例はドイツ軍仕様4種、部隊マーク、車体番号などを再現したデカールが付属
【 「Sd.kfz.186 キングタイガー」について 】
●1941年5月、ドイツ軍は重戦車「タイガー1」の開発を開始、この「タイガー1」は戦前の重戦車の研究をベースとしていたため、これを発展させたドイツ的なデザインを踏襲していたのが外観上の特徴でした
●この「タイガー1」の開発が始まった直後、ドイツ軍はソ連領内に向かって軍事進攻を開始、この際、ドイツ軍は車体に傾斜装甲を採り入れたソ連軍の新鋭戦車「T-34」と対峙することになります
●ドイツ軍は「独ソ戦」の推移を睨みながら、「タイガー1」がまだ試作段階だった時期に、早くもより強力で長砲身の主砲を装備する重戦車の開発を指示、「タイガー1」と同様に車体は「ヘンシェル」社と「ポルシェ」社との競作、砲塔は「クルップ」社が開発を担当しました
●この「タイガー1」に続く新型重戦車は、強力な装甲を持つソ連戦車相手に、装甲貫通能力の高い主砲をもってアウトレンジから撃破することが求められ、「タイガー1」の主砲には「Flak36 56口径 88mm高射砲」を車載化した「KwK36 56口径 88mm戦車砲」を搭載したのに対して、より長砲身の「KwK43 71口径 88mm戦車砲」を装備することを計画します
●この重戦車は1943年11月に試作車が完成、「Sd.kfz.186 キングタイガー」として制式化され、量産を始めます
●しかし、当初搭載していた「ポルシェ」社の「VK4502(P)」用の砲塔(「ポルシェ砲塔」)は、砲塔正面も含め曲面を基調とした形状にしたため生産性が悪く、かつ砲塔正面に被弾した場合、跳弾による車体上部への損害が懸念され、砲塔形状を一新した「ヘンシェル砲塔」が生産51両目から搭載されています
●「Sd.kfz.186 キングタイガー」は、当時としては破格に強力な戦車であり、主砲の「KwK43 71口径 88mm戦車砲」は連合軍の重戦車に対し、3000mの遠距離からでもその前面装甲を貫く威力を持っていました
●そして、「Sd.kfz.186 キングタイガー」の前面装甲は、砲塔180mm、車体150mmという厚さで覆われ、スペック上で見れば有効射程からこの厚さの装甲板を貫くことができる連合軍の火砲は存在せず、実際の戦闘記録においても、前面装甲を貫かれたことはありません
●ただし、弱点はエンジンとトランスミッションの駆動系であり、「キングタイガー」のエンジンは「タイガー1」や「パンター」に装備されたエンジンと同タイプで、重量68tにもなる「キングタイガー」にとって出力が不足していました
●そして、過大な重量はエンジンのみならずトランスミッションや最終減速装置などの動力伝達系に大きな負担を掛け、故障や発火という事案が多発してしまいます
●また、「キングタイガー」が戦力化した頃になると、前線だけではなく、ドイツ国内においても連合軍機が襲来するようになり、本来の鉄道輸送が滞り、自走する距離が長くなったことから、故障して戦列から脱落してしまう車両が頻発します
●このような不安を抱えながらも、「キングタイガー」は一旦戦場に放たれると無類の強さを発揮、正面戦闘では連合軍戦車に勝ち目はなく、履帯や主砲などの弱い部分を狙うか、迂回して側面からの攻撃しか勝つ方法がありませんでした
●「キングタイガー」はノルマンディ戦後期から戦線へと投入、「キングタイガー」自体の能力は高いものの、量で迫る連合軍に押し切られてしまいます
●その後、「キングタイガー」は、アルデンヌ戦、ハンガリー戦、ドイツ本国での防衛戦、そしてベルリン戦などの主要な戦いには必ず姿を現し、最強の戦車として連合軍に対して奮戦、厚い装甲と強力な攻撃力で連合軍戦車に対し圧倒的な強さを発揮しています
●しかし、「キングタイガー」はドイツ軍の敗色濃厚となった時期に戦線に投入されたため、その能力を持ってしても物量上の戦力の差は如何ともし難く、強大な連合軍相手に苦戦、ドイツ軍の終焉により「最強の虎」も最期の時を迎えるのです
【 「Pz.Kpfw.6 Ausf.B ケーニッヒス ティーガー ヘンシェル砲塔 後期型」のキット内容について 】
●このドイツ軍の重戦車「Sd.kfz.186 キングタイガー」の「ヘンシェル砲塔型」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●トラックやスタッフカーなどのソフトスキン車両をキット化してきたICM社の造型技術を下敷きに、「キングタイガー ヘンシェル砲塔型」を再現、オーソドックスなパーツ分割と、かっちりとしたパーツ造型で「キングタイガー」のフォルムを捉えながら、繊細なタッチのモールドで表面上のディテールを再現した内容となっています
●「キングタイガー ヘンシェル砲塔型」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成しています
【 砲 塔 】
●砲塔は、溶接跡や装甲板の切断面の荒れなどを繊細なモールドで再現しています
●「KwK43 71口径 88mm戦車砲」の砲身は、「マズルブレーキ」「装甲スリーブ」を含めて左右に分割したパーツで再現、「装甲スリーブ」前端のリング部は別パーツとなっています
・ 「防盾」は前後に分割したパーツで再現
・ 「砲尾」も再現、6つに分割したパーツで構造を再現しています
・ 「防盾」は、完成後も上下に可動させることができます
●砲塔は、上下及び前面パネルの3パーツで構成
・ 「装填手ハッチ」は別パーツ化、開閉状態を選択できます
・ 「エスケープハッチ」は裏側のディテールをパーツ化して再現、ハッチは開閉状態を選択できます
・ 「ベンチレーター」は、通常のタイプと防水カバーが付いたタイプとを選択できます
・ 「吊り下げフック」「毒ガス検知パネル」「「Sマイン発射機」などを別パーツ化して再現
・ 「予備履帯フック」は個別にパーツ化しています
●車長キューポラは、2層のパーツで再現、「ペリコープ」部の奥行きも再現しています
・ 「車長ハッチ」は別パーツ化、開閉状態を選択できます
・ リング状の対空機銃架のレールには、「対空機銃架」を一体成型化しています
【 車体上部 】
●かっちりとした造型で車体上部のフォルムを再現しながら、各部の溶接跡、ボルト穴、ボルトなどのディテールを繊細なタッチのモールドで再現しています
●車体上部は、「サイドスカート」を含めた一体成型のパーツで再現、
・ 「前方機銃マウント」は2パーツで再現、機銃は別パーツ化しています
・ 「トランスミッション点検パネル」は別パーツ化して再現
・ 「操縦手ハッチ」「前方機銃手ハッチ」は別パーツ化、開閉状態を選択することができます
・ 前部の「ベンチレーター」は形状の異なる2種をセット、選択して使用することができます
・ 「ペリスコープ」は、ペリスコープ本体、ペリスコープガードの2パーツで再現
・ 「ボュシュライト」と取り付けベースはそれぞれ一体成型のパーツで再現
・ 「前部フェンダー」は、側面のカバーを含めた一体成型のパーツで再現
・ 車載工具類は個別にパーツ化、それぞれ固定具をパーツとともに一体成型した状態となっています
●エンジンデッキは、手榴弾除けネットが付き、燃料タンクの通気パイプが1つになった「キングタイガー」の「中期型」のレイアウトを再現
・ 「エンジン点検ハッチ」は車体とは別パーツとなっています
・ 通気口の「装甲カバー」を別パーツ化
・ エンジンデッキ各部の「吊り下げフック」を別パーツ化
・ 「手榴弾除けネット」の枠の部分はプラスチックパーツで再現しています(ネット部分を再現するパーツ類は含まれていません)
【 車体下部 】
●車体下部はパーツ数を抑えながら、千鳥式に配置した転輪などの複雑な足周りを再現、同社製キットらしく確実かつ強度を保ちながら組み上げることができます
●車体下部は、各パネルを箱組み状に貼り合わせて作製します
・ 「サスペンションアーム」は別パーツ化
・ 「転輪」は前後に分割したパーツで再現、ハブキャップは別パーツとなっています
・ 「起動輪」は前後に分割したパーツで再現
・ 「誘導輪」は前後方向に3分割したパーツで構成しています
●後部パネルは一体成型のパーツで再現
・ 「車間表示灯」はモールドにて再現
・ 「排気管」は、下部の部分を前後に分割した2パーツで再現
・ 「排気管」の装甲カバーは一体成型のパーツで再現、始動クランクの固定具は別パーツ化しています
・ 「ジャッキ」は3パーツで再現、「固定具」はそれぞれ一体成型のパーツで再現しています
【 履 帯 】
●履帯は、「キングタイガー」用の通常型履帯「Gg26/800/300」を再現しています
・ 履帯は、接着及び塗装が可能な軟質素材によるベルト式履帯となっており、片側2枚のパーツで構成しています
・ より精密で立体感ある履帯に交換したい場合には、「ティーガー 2型 戦車用履帯 (可動式)」がこれに対応しています
【 「キングタイガー ヘンシェル砲塔型」の塗装とマーキング 】
●「キングタイガー ヘンシェル砲塔型」のマーキングとして、ドイツ軍仕様となる4種類の塗装例が説明書に記載されています
・ フェルトフェルンハレ重戦車大隊 「300」 (ハンガリー / 1945年3月)
・ 第503重戦車大隊 (ダンツィヒ / 1945年3月)
・ SS第501重戦車大隊 「332」 (アルデンヌ / 1944年12月)
・ SS第501重戦車大隊 「008」 (アルデンヌ / 1944年12月)
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、車体番号などを再現したデカールが付属しています
【 「Pz.Kpfw.6 Ausf.B ケーニッヒス ティーガー ヘンシェル砲塔 後期型」のパッケージ内容 】
・ Sd.Kfz.182 キングタイガー ヘンシェル砲塔型 ×1
・ デカールシート ×1
・ 組立て説明書 ×1
●2016年 完全新金型
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【 「Pz.Kpfw.6 Ausf.B ケーニッヒス ティーガー ヘンシェル砲塔 後期型」のワンポイント 】
●「キングタイガー」はAFVモデルでは不動の人気があるアイテムで、1990年代にキット化やリニューアル化が行われて以降、1/35スケールでは完全新金型のキットが登場しなかったため、ICM社製のこのキットは気になる人が多いと思いますので、特徴を軽く解説します
●「キングタイガー ヘンシェル砲塔型」のキットは、タミヤ社製「ドイツ重戦車 キングタイガー (ヘンシェル砲塔)」と、ドラゴン社製「Sd.Kfz.182 キングタイガー ヘンシェル砲塔」の2つのキットが双璧を成し、両キットをベースとしたバリエーションキットも多く発売されています
●本キットは、上記の2つのキットとの比較や、現在の新金型キットとして
・ スライド金型を用いたかっちりとした造型
・ パーツ上のディテールに関しては繊細なモールドで再現
という特徴を持っています
●繊細なモールドは重厚な「キングタイガー」には若干相応しくないように感じてしまいますが、これは好みの問題でもあるでしょう
●パーツ構成は、サイドフェンダーを車体に一体成型化していたり、車長キューポラに機銃架を一体成型していたり、と意表を付いていますが、その分組みやすくなった内容とも言えます
●ただし、手榴弾避けネットが含まれていないなど、気になる点もあります
●パーツ構成やディテール再現など、一長一短があるのも事実ですが、かっちりとした造型が自慢のICM社の戦車キットとして、「キングタイガー」に興味のあるモデラーは一度組み立ててみる価値のあるキットだと評価できます