ドイツ戦車 パンサー G (スチールホイール仕様)
「ドイツ戦車 パンサー G (スチールホイール仕様) (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.174 )」です
●第2次世界大戦後期におけるドイツ軍の主力戦車「パンサーG型」の「鋼製転輪装備型」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立てキット
●大戦末期の1944年後期頃から前線に登場、ゴム資源節約のため転輪部を「鋼製転輪(スチールホイール)」へと変更し、夜間戦闘に対応できる「赤外線暗視装置」を装備した「パンサー G型」を再現した内容となっています
●タミヤ社製「ドイツ戦車 パンサー G 初期型」をベースに、「鋼製転輪型」を再現するため新規に鋼製転輪と赤外線暗視装置「インフラロート」のパーツを追加したバリエーションキットとなります【 「パンサーG型 鋼製転輪型」について 】
●1941年に独ソ戦が開始、この戦いにおいてドイツ軍はソ連軍の新鋭戦車「T-34」と遭遇、その傾斜装甲を重視した防御力に優れた戦車デザインは当時のドイツ戦車にはないものでした
●ドイツ軍では、このような「T-34」などのソ連軍戦車に対抗するために新型戦車の開発を開始、当初は「T-34」をそのままコピーするという案も出されましたが、乗員の配置の関係などから新造する形となり、1942年末に「5号戦車 パンサー」が完成、最初の量産型となる「パンサー D型」が生産されます
●この「パンサー D型」は、前面装甲80mm厚を誇り、傾斜した装甲により強力な防御力を持っていました
●主砲には、新開発の「70口径 75mm戦車砲 KwK42」を搭載、同砲は75mmクラスの火砲としては最強の装甲貫通能力を誇り、連合軍の戦車を寄せ付けない「パンサー戦車」の強力な牙となっています
●また、機動力は高出力のガソリンエンジンにより最高速度46kmという性能を持ち、「走・攻・守」に優れた第2次世界大戦における最優秀戦車の一つとも言われています
●1943年7月の「クルスク戦」において初陣を飾った「パンサー D型」は、多大な戦果を収める一方、機械的トラブルが後を絶たず、その機械的問題点を解消した「パンサー A型」が1943年8月から生産されます
●1944年3月からは、「パンサー A型」の防御力強化型となる「パンサー G型」の生産が開始、側面と車体前部上面の装甲が強化され、側面装甲は従来の2段式から1枚物へと変更されています
●第2次大戦中、ゴム資源は戦略物資で、産出される地域は限定しており、大戦後期になるとドイツではゴムが不足し始めます
●戦車では転輪の外側にゴムが巻かれており、これは或る程度使用を続けるとゴムが剥離してしまい交換することが必要となります
●戦車には多くのゴムを必要としているため、不足するゴムを節約するために開発されたのが「鋼製転輪」です
●この「鋼製転輪」は、通常の外装式ではなく、転輪内部に緩衝材として少量のゴムが装着されており、従来の方式よりもかなりの量のゴムを節約することが可能で、さらに、構造上ゴムの剥離がないのが特徴となっています
・ この鋼製転輪はゴムの節約の他に対重量性が高く、突撃戦車「ブルムベア」や「4号駆逐戦車/70」などにも使用されています
・ ドイツ以外ではソ連軍でも「鋼製転輪」が生産、使用されています
●「パンサー戦車」の生産工場の一つである「MAN」社では、1944年9月に全「鋼製転輪」型の「パンサーG型」を生産を開始、大戦末期にかけてその装着車両は徐々に増えて行きました
●また、全「鋼製転輪」タイプの他に、履帯の抵抗によりゴムの剥離が激しい最後尾の転輪のみを「鋼製転輪」へと変更したタイプも作られ、大戦末期に見られた「パンサーG型」を象徴する特徴となっています
【 「赤外線暗視装置「インフラロート」」について 】
●ドイツは世界的に見て科学技術、工業技術が進歩しており、高い技術力により性能に優れた光学機器や兵器などを生み出していました
●大戦の中期になると、ドイツ軍は戦局の挽回を狙って各種の新兵器の開発を開始、これは従来の優れた技術力を開発ベースとしており、ドイツ以外の国での実用化は難しいものでした
●ドイツ軍は、夜間戦闘及び夜間行軍を行うことができる赤外線を利用した暗視装置の開発を開始、大戦の後期に制式化したのが「インフラロート」といわれる「赤外線暗視装置」です
●この「赤外線暗視装置」は、「照射装置」と「暗視装置」の2つのユニットで構成され、「照射装置」で赤外線を照射(現在ではアクテイブ方式と呼ばれる)し、反射してくる赤外線を「暗視装置」で捉えることで、目標を捕捉する仕組みとなっています
●「赤外線暗視装置」は、主に主力戦車であった「パンサー戦車」用として開発が進められ、外部を視察する操縦手と車長用に各1基、そして大型の赤外線投光器を装備した「Sd.kfz.251 ウーフー」などの照射により照準射撃を行う砲手用の「暗視装置」というセットとなっていました
・ キットのような、小型の「照射装置」と「暗視装置」とのセットは赤外線照射の有効距離が短く、砲の照準用としては使用できませんでした
・ 「Sd.kfz.251 ウーフー」が装備する大型の「照射装置」は有効距離が長く、この照射を元にして砲手用の「暗視装置」で照準を行いました
・ 「パンサー戦車」用の砲手用の「暗視装置」は、「パンサーD型」のような双眼式の照準器に合わせたものとなっており、「パンサーG型」などには使用できなかったようです
・ このような夜間用の「赤外線暗視装置」は、無敵な兵器なように思われますが、有効な射撃は最初だけで、発射炎により自身の位置が露見してしまうため、この後はほぼ対等な戦いとなってしまいます
●この「パンサー戦車」と「Sd.kfz.251 ウーフー」などで構成される夜間戦闘部隊は大戦後期において実験的に実戦に投入されたと言われていますが、戦果などは現在のところ判明していません
●その後、このような赤外線暗視装置は、車長用の小型の「照射装置」と「暗視装置」という組み合わせが使用されるようになり、夜間での行軍の際の誘導や、夜間戦闘の補助などとして運用されています
【 「パンサーG型 鋼製転輪型」について 】
●このドイツ軍の主力戦車「パンサーG型」の「鋼製転輪型」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●タミヤならではの優れた模型造形技術とシャープなモールドによって「パンサーG型 鋼製転輪型」を再現、同車らしい直線的でエッジの立った彫刻、各部の装甲板の切断面や溶接跡の表現、そして微妙なバランスで成り立つ「パンサーG型」ならではの模型としてのプロポーションの捉え方など、「パンサーG型 鋼製転輪型」のフォルムとディテールとが表現された内容となっています
●また、タミヤ製キットらしく、パーツ数を抑えながらディテールポイントもしっかりと踏まえられており、パーツ同士の合いも良好で、戦車模型初心者からベテランモデラーまで「「パンサーG型 鋼製転輪型」の魅力を堪能できることでしょう
●新規パーツとして「鋼製転輪」を再現したパーツがセットされていますが、「ゴム付き転輪」パーツも付属していますので、最後尾の転輪のみを「鋼製転輪」とした車体を再現することも可能です
●「パンサーG型 鋼製転輪型」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成されています
【 砲 塔 】
●砲塔は、パーツ数を抑えながらその特徴とディテール、そして表面構造などが表現されています
・ 「パンサー G型」で見られる防盾部の円形パターンが、繊細なモールドにより再現
●「70口径 75mm戦車砲 KwK42」の砲身は、先端のマズルブレーキを含めて左右分割式となっています
・ 防盾は1パーツで構成され、基部を固定する金属ビスによって上下可動します
・ 砲尾部分も再現されており、防危板などがパーツ化
●砲塔は上下分割式で、後部パネルは別パーツです
・ 砲塔上部のペリスコープガード、「Sマイン発射機」、ベンチレーターカバーは別パーツです
・ ベンチレーターの前面のガード部は砲塔パーツにモールドにて再現
・ 後部ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます(裏側のアーム部分がパーツ化)
●車長キューポラは、砲塔とは別パーツとなっています
・ ペリスコープの装着部分は開口処理済みで、ペリスコープがパーツ化されています
・ 車長ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 対空機銃架のリング部分は下部のベース部分を含めてパーツ化
・ 対空機銃及び対空機銃架が付属しています
【 車体上部 】
●車体上部は、タミヤらしく一体成型を重視したパーツ構成となっており、装甲板の切断面の荒れ、溶接跡表現、そしてフェンダー部分の材質の違いなどが豊かに表現されています
●車体上部は、前部フェンダーを含めて一体成型されています
・ 前方機銃のマウント部は別パーツです
・ 操縦手ハッチ、前方機銃手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ ペリスコープ及びペリスコープガードがパーツ化されています
・ エンジン点検ハッチは別パーツです
●車載工具ラックは、各ブロックごとに個別にパーツ化され、車載工具類は固定具も含めてパーツ化されています
・ クリーニングロッドケースは左右分割式で、蓋の部分は別パーツです
・ クリーニングロッドケースのパーツにはステー部分が一体成型され、車体側にはそのベース部分がモールドされています
・ 履帯交換用ワイヤーは付属のエナメル線を使用して再現します
・ 後部の予備履帯ラックは履帯装着のアーム部分を含めて一体成型されています
●側面のフェンダーは、左右各1パーツで再現されています
・ シュルツェン架は個別にパーツ化
・ シュルツェンは、左右各1パーツで再現
【 車体下部 】
●車体下部もパーツを押さえながらその複雑な足周りを再現しており、同社製キットらしく確実且つ強度を保ちながら組み上げることができます
●車体下部は、バスタブ式に一体成型され、後部パネルは別パーツです
・ サスペンションアームは別パーツです
・ 起動輪、誘導輪は内蔵させるポリキャップにより回転可動します
・ 後部の排気管は、単排気管タイプとなっており、排気管カバーが付属
・ 車体後部のゲベックカステンは、1パーツで構成され、蓋の部分は別パーツです
・ 転輪は、鋼製転輪とゴム付き転輪とが付属しています
【 履 帯 】
●履帯は、接着及び塗装が可能な素材によるベルト式履帯が付属しています
・ 履帯は、接地部分に滑り止めパターンが付いた「パンター戦車」用の「後期型履帯」が再現され、モデルカステン製「パンター(パンサー)後期型 用履帯」、ブロンコ社製「ドイツ パンター戦車用 後期型 可動キャタピラ」がこれに対応しています
【 赤外線暗視装置 】
●キューポラ前などに装備された車長用の「赤外線暗視装置」が3個付属しています
●「赤外線暗視装置」は、「照射装置」が前後分割式、「暗視装置」が前後方向に3分割式となっています
・ 「照射装置」の前面のガラス部には特徴的なメッシュ模様がモールドされています
・ 車長キューポラに装着させるベース及び取手が付属しています
【 フィギュア 】
●戦車兵のフィギュアが1体付属しています
・ このフィギュアは「ドイツ戦車 パンサー G 初期型」に付属しているものと同一です
・ フィギュアは、車外に立ち、片手を腰の位置において立っているポーズです
・ 服装は、戦車兵用の作業用ツナギを着用、略帽を被った姿です
・ 服の皺の表現はスケールに沿っており、服の縫い目などのディテールは繊細な彫刻でモールドされています
・ フィギュアは、胴体、左腕のパーツ構成です
【 塗装とマーキング 】
●「パンサーG型 鋼製転輪型」のマーキングとして、ドイツ軍仕様となる2種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 221号車 (ベルギー / 1944年12月)
・ 赤外線暗視装置装着車
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、車体番号などを再現したデカールが付属しています
●1994年 一部新金型
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【 「ドイツ戦車 パンサー G (スチールホイール仕様)」のワンポイント 】
●前述のように、この「鋼製転輪」を装備した「パンサーG型」は、大戦後期から末期にかけてのドイツ軍戦車を象徴するような存在ですが、実車写真を見る限り、意外とその装着車両は少なく、割合としては最後尾の転輪を「鋼製転輪」へと変更したタイプが多いようです