VCL ビッカーズ 水陸両用軽戦車 A4E12 王立オランダ東印度陸軍仕様
「VCL ビッカーズ 水陸両用軽戦車 A4E12 王立オランダ東印度陸軍仕様 (プラモデル) (CAMs 1/35 AFV No.CV35-003 )」です
●第2次世界大戦時におけるオランダ陸軍の水陸両用戦車「ビッカーズ A4E12」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立キット
●イギリスから輸入、植民地である東インドに展開する部隊に配備が行われた水陸両用戦車「ビッカーズ A4E12」を再現、浮航性を持つ舟形の車体形状とフロートの代わりとなる大型のフェンダーを装備した独特のスタイルを再現した内容となっています
●CAMs社製「中国 VCL ビッカーズ 水陸両用軽戦車 A4E12 初期型 1930」をベースに、オランダ軍仕様車(「後期型」)を再現するために、銃塔などを新規パーツへと変更したバリエーションキットです
【 「水陸両用戦車 ビッカーズ A4E12」について 】
●イギリスは第1次世界大戦で世界初となる近代戦車を生み出し、1920年代から1930年代にかけて世界トップレベルの戦車技術を誇っていました
●しかし、イギリス自体は第1次世界大戦の痛手から回復しておらず、世界恐慌の煽りからも経済的に軍備の整備を積極的に行うことはできない状況でした
●そのような背景の下、イギリスの兵器メーカー「ビッカーズ・アームストロング」社は海外に販路を求め、自社の技術により独自に戦車を開発、これをイギリス軍と海外の両方に売り込むという方法を採りました
●「ビッカーズ・アームストロング」社が開発した戦車は、当時の最先端の戦車であり、とりあえず戦車を保有したい中小国から、戦車技術を習得したい大国に至るまで、こぞって「ビッカーズ・アームストロング」社の戦車(「ビッカース Mk.1」や「ビッカーズ 6t戦車」などが有名)を購入します
●戦車の可能性を探っていた「ビッカーズ・アームストロング」社では、水陸両用戦車の開発も開始、1931年から1932年にかけて「A4E11」と「A4E12」という2種の試作車両を開発します
●この「A4E11」と「A4E12」は世界初の水陸両用戦車で、浮航性を持った舟形の車体形状に、フェンダー内部にバルサ材を積めてフロートの代わりとし、車体後部には水上航行用のスクリューを装備しました
・ 武装は、車体上部に、「ビッカーズ 7.7mm機関銃」を搭載した小型銃塔を備え、乗員は銃塔に収まる車長と操縦手の2名でした
・ 「ビッカーズ A4E12」の路上での最高速度は32km/h~43km/h、水上では約6km/hという能力を持ち、当時としては機動力に優れた戦車でした
・ ただし、「ビッカーズ A4E12」の装甲は極めて脆弱なもので、最大装甲厚は11mm程度と、小火器射撃に何とか耐えうる程度となっています
●第1次世界大戦後のオランダは、世界中に一定の植民地を要していたものの、軍事力では隣国ドイツとは比較にならず、ベルサイユ条約下においても人口や工業力などの点から戦争になれば勝負にならないのは明らかでした
●そこで、オランダ本国では軍備の整備は必要最小限に留め、最大の植民地である東インド(現インドネシア)には強力な植民地軍を展開するという方針を採ります
●このため、東インドの植民地軍は本国以上の軍事力を保有、西方電撃戦によってオランダ本国がドイツ軍に席巻された後も連合軍側として日本と戦闘を行いました
●この東インドの植民地軍向けとしてオランダ軍が導入したのが、水陸両用戦車「ビッカーズ A4E12」で、広大な土地を守るための貴重な機甲戦力として配備が行われます
●このオランダ軍の「ビッカーズ A4E12」は武装を変更、オリジナルが「ビッカーズ 7.7mm機関銃」だったのに対して、「ブローニング 7.62mm機銃」を連装状に搭載していました
●1941年12月、太平洋戦争が開戦すると、日本軍は東インドの原油を確保するために進攻作戦を開始、海軍と陸軍とが一体となった攻撃を行いました
●上記のように、東インドに展開するオランダ軍は本国よりも強力な兵力を持ちましたが、練度、士気、そして戦闘能力に優れる日本軍の前に苦戦、特に戦車の機動力を活かした戦い振りにオランダ軍は対応することができず、オランダ軍は一気に壊滅し、戦車として貴重な存在だった「ビッカーズ A4E12」の活動も蟷螂の斧に終わってしまったのです
【 「VCL ビッカーズ 水陸両用軽戦車 A4E12 王立オランダ東印度陸軍仕様」のキット内容について 】
●このオランダ軍の水陸両用戦車「ビッカーズ A4E12」を再現したプラスチックモデル組立キットです
●新興メーカーながら高い成型力で「ビッカーズ A4E12」を再現、細分化したパーツ構成と、エッチングパーツにより、ディテール再現に重きをおいた内容となっています
●銃塔形状が円筒状となり、上部ハッチを大型化した「ビッカーズ A4E12」の「後期型」を再現しています
●銃塔に装備する機銃は、「ビッカーズ 7.7mm機関銃」を単装の装備した状態と、「ブローニング 7.62mm機銃」の連装を装備した状態とを選択することができます
●「ビッカーズ A4E12」は、「銃塔」「車体」、左右の「フェンダー」の4ブロックで構成しています
【 銃 塔 】
●銃塔は、小型で円形の形状となる「ビッカーズ A4E12」の銃塔を再現、独特のリベットを繊細な彫刻で再現しています
●「ブローニング 7.62mm機銃」は一体成型のパーツで再現、2丁を並列配置して連装状とします
・ オリジナル仕様となる「ビッカーズ 7.7mm機関銃」を装備することもできます
・ 防盾は一体成型のパーツで再現、上下に可動とすることができます
●銃塔の側面部はパネルラインに沿って4分割したパーツで構成、これに上面パネルと床面パネルとを取り付けて作製します
・ 上部ハッチは別パーツ化、開閉状態を選択することができます
・ 後部の視察扉はエッチングパーツで再現、銃塔の視察部は開口しており、扉の開閉状態を選択することができます
・ 砲塔内部の座席をパーツ化しています
【 フェンダー 】
●フェンダーは上下に分割したパーツで再現
・ フェンダー支持架はエッチングパーツにて再現
【 車 体 】
●車体下部が舟形で、車体上部が平面となる「ビッカーズ A4E12」の車体レイアウトを再現、表面上のリベットやパネルラインを繊細な彫刻で再現しています
●車体は、各パネルを箱組み状に貼り合せて作製します
・ 操縦席上部と銃塔下部の張り出し部の側面は、エッチングパーツで再現します
・ 後部のグリルは箱組み状に各パネルを貼り合わせて作製、上部の整風板はエッチングパーツで、開閉状態を選択することができます
・ 後部のスクリューと円筒状の舵を別パーツ化、舵は可動とすることができます
・ 車体内部の操縦席もパーツ化して再現しています
●サスペンションは左右に分割したパーツ構成で、転輪を挟んで作製します
【 履 帯 】
●履帯は、一部連結式履帯が付属しています
・ 履帯の上下の直線部は繋がった状態のパーツ、前後の曲線部は2枚ずつに分割したパーツ構成となっています
●エンジングリルの整風板、操縦席部分のパネル、フェンダー支持架などを再現するエッチングパーツが付属しています
【 「VCLビッカーズ 水陸両用軽戦車 A4E12 王立オランダ東印度陸軍仕様」の塗装とマーキング 】
●「VCLビッカーズ 水陸両用軽戦車 A4E12 王立オランダ東印度陸軍仕様」のマーキングとして、オランダ軍仕様となる2種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 装甲車特別派遣隊 (バタビア / 1938年)
・ 戦車実験隊 (バンドン / 1939年)
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、車体番号などを再現したデカールが付属しています
【 「VCLビッカーズ 水陸両用軽戦車 A4E12 王立オランダ東印度陸軍仕様」のパッケージ内容 】
・ オランダ軍 水陸両用戦車 ビッカーズ A4E12(後期型) ×1
・ エッチングシート ×1
・ デカールシート ×1
・ 組立て説明書 ×1
●2015年 一部新金型
--------------------------------------------------------
【 「VCLビッカーズ 水陸両用軽戦車 A4E12 王立オランダ東印度陸軍仕様」のワンポイント 】
●水陸両用戦車「ビッカーズ A4E12」は、戦車史では有名な車両ですが、実験的に採用した国が多く、活躍が乏しいために模型としては超マイナーな存在となります
●ただし、中華民国や東インドのオランダ軍が運用したことから日本軍と交戦、日中戦争や太平洋戦争初期を扱った文献に登場しています
●マレーや東インド方面で電撃戦を展開した日本軍の様子は良く知られるところですが、実際にジオラマなどでそのシーンを再現する場合には、連合軍側の装備が良く分からず、ジオラマビルダーを中心として当惑したユーザーも居るのではないでしょうか?
●本キットは、東インドのオランダ軍が装備した戦車として、そのものズバリのキットであり、太平洋戦争緒戦における日本軍のシーンを演出できる格好の素材です
●もちろん、マイナー車両を好むユーザーにとっても魅力的なアイテムで、世界の戦車史を語る上で欠かせない存在を模型として具現化できるキットと言えるでしょう