ドイツ戦車 パンサー G 後期型
「ドイツ戦車 パンサー G 後期型 (プラモデル) (タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.176 )」です
●「ドイツ戦車 パンサー G 後期型」です
●第2次世界大戦後期におけるドイツ軍の中戦車「パンサー G 後期型」を1/35スケールで再現したプラスチックモデル組立てキット
・ 「パンサー G型」の1944年9月頃以降から生産された「後期型」を再現した内容となっています
●大戦後期におけるドイツ戦車部隊の主力として戦った「パンサー G型」の「後期型」を再現、傾斜装甲を持ち、長砲身の主砲を搭載、戦訓による改修が施された端整かつ重量感あるフォルムを再現
●タミヤ社製「ドイツ戦車 パンサー G 初期型」をベースとして、「後期型」を再現するために、防盾、排気管、ヒーターユニットなどを新規パーツへと変更したバリエーションキットとなります【 「パンサー G型 後期型」について 】
●1941年に独ソ戦が開始、この戦いにおいてドイツ軍はソ連軍の新鋭戦車「T-34」と遭遇、その傾斜装甲を重視した防御力に優れた戦車デザインは当時のドイツ戦車にはないものでした
●ドイツ軍では、このような「T-34」などのソ連軍戦車に対抗するために新型戦車の開発を開始、当初は「T-34」をそのままコピーするという案も出されましたが、乗員の配置の関係などから新造する形となり、1942年末に「5号戦車 パンサー」が完成、最初の量産型となる「パンサー D型」が生産されます
●この「パンサー D型」は、前面装甲80mm厚を誇り、傾斜した装甲により強力な防御力を持っていました
●主砲には、新開発の「70口径 75mm戦車砲 KwK42」を搭載、同砲は75mmクラスの火砲としては最強の装甲貫通能力を誇り、連合軍の戦車を寄せ付けない「パンサー戦車」の強力な牙となっています
●また、機動力は高出力のガソリンエンジンにより最高速度46kmという性能を持ち、「走・攻・守」に優れた第2次世界大戦における最優秀戦車の一つとも言われています
●1943年7月の「クルスク戦」において初陣を飾った「パンサー D型」は、多大な戦果を収める一方、機械的トラブルが後を絶たず、その機械的問題点を解消した「パンサー A型」が1943年8月から生産されます
●1944年3月からは、「パンサー A型」の防御力強化型となる「パンサー G型」の生産が開始、側面と車体前部上面の装甲が強化され、側面装甲は従来の2段式から1枚物へと変更されています
●一方、ドイツ戦車の常として「パンサー G型」も戦訓と生産効率などの関係から仕様変更が繰り返されており、1944年9月頃からは「G後期型」へと生産が移行されます
・ このような仕様変更は、一斉に行われるのではなく、パーツの在庫状況により各部での仕様変更の時期に違いが生じるため、「生産○○○号車からは後期型」というような定義はできません
●「G後期型」では、更に防御力の強化が行われ、従来の円筒状の防盾が、砲弾の跳弾により車体前部に被害を及ぼす「ショット・トラップ」を引き起こすため、下部の形状が変更された「アゴ付き防盾」が採用されました
・ ただし、従来型の防盾がかなり余っていたようで、旧型の防盾を装備している「G後期型」の車両も相当数存在しています
●排気管は、夜間での行動時に目立ってしまう排気炎を防ぐために円筒状の消炎型排気管に変更、エンジングリル左側には車内暖房用のヒーターユニットが取り付けられ、寒冷時における乗員への負担が大幅に軽減されています
●この「パンサー G型」の「後期型」は1944年12月のアルデンヌ戦頃から実戦に投入され、その後のドイツ戦車部隊の主力の地位を占め、ハンガリー戦やベルリン戦などの主要な戦いに参加、ドイツ戦車部隊としての最期の輝きを放ちながらその終焉を共にしたのでした
【 「ドイツ戦車 パンサー G 後期型」のキット内容について 】
●このドイツ軍の中戦車「ドイツ戦車 パンサーG型 後期型」を再現したプラスチックモデル組立てキットです
●タミヤならではの優れた造形技術とシャープなモールドによって「ドイツ戦車 パンサーG型 後期型」を再現、当時のドイツの優れた工業技術を表すように直線的でエッジの立った彫刻、各部の装甲板の切断面や溶接跡の表現、アゴ付き防盾と消炎排気管のフィンの造形、そして微妙なバランスで成り立つ「パンサー G型」の模型として抜群なプロポーションの捉え方など、同社が培ってきたMMシリーズの集大成的なキット内容となっています
●また、タミヤ製キットらしく、パーツ数を抑えながらディテールポイントもしっかりと踏まえられており、パーツ同士の合いも良好で、戦車模型初心者からベテランモデラーまで「パンサー G型」の「後期型」の魅力を堪能できることでしょう
●指揮車型を再現するための増設されたアンテナの基部パーツが付属しており、通常型と指揮車型とを選択することができます
・ ただし、特徴的なスターアンテナは付属していませんので、タスカ社製「WW2 ドイツ 星型アンテナセット」などを利用すると良いでしょう
●「ドイツ戦車 パンサー G 後期型」は、「砲塔」「車体上部」「車体下部」の3ブロックで構成されています
【 砲 塔 】
●砲塔は、パーツ数を抑えながらその特徴とディテール、そして表面構造などが表現されています
●「70口径75mm戦車砲KwK42」の砲身は、先端のマズルブレーキを含めて左右分割式となっています
・ アゴ付き防盾は1パーツで構成され、その中央部に存在する鋳造のパーティングラインも再現されています
・ 防盾は、基部を固定する金属ビスによって上下可動します
・ 砲尾部分も再現されており、防危板などがパーツ化
●砲塔は上下分割式で、後部パネルは別パーツです
・ 砲塔上部のペリスコープ、及びガード、「Sマイン発射機」、ベンチレーターカバーなどは別パーツです
・ ベンチレーターの前面のガード部は砲塔パーツにモールドにて再現
・ 後部ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます(裏側のアーム部分がパーツ化)
・ 車長キューポラ前部に増設された赤外線暗視装置用の配線の引き込みガードがパーツ化されています
●車長キューポラは、砲塔とは別パーツとなっています
・ ペリスコープの装着部分は開口処理されています
・ 車長ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ 対空機銃架のリング部分は下部のベース部分を含めてパーツ化
・ 対空機銃及び対空機銃架、そして対空機銃用の弾薬嚢とその蓋が付属しています
【 車体上部 】
●車体上部は、タミヤらしく一体成型を重視したパーツ構成となっており、装甲板の切断面の荒れ、溶接跡表現、そしてフェンダー部分の材質の違いなどが豊かに表現されています
●車体上部は、前部フェンダーを含めて一体成型されています
・ 前方機銃のマウント部は別パーツです
・ 操縦手ハッチ、前方機銃手ハッチは別パーツで、開閉状態が選択できます
・ ペリスコープ及びペリスコープガードがパーツ化されています
・ エンジン点検ハッチは別パーツです
・ ヒーターユニットは、ユニット本体とファンの2パーツで構成、本体には刻印などがモールドされています
・ エンジングリル部に取り付けられるシャッターを再現したパーツが付属、装着の有無が選択できます
●車載工具ラックは、各ブロックごとに個別にパーツ化され、車載工具類は固定具も含めてパーツ化されています
・ クリーニングロッドケースは左右分割式で、蓋の部分は別パーツです
・ クリーニングロッドケースのパーツにはステー部分が一体成型され、車体側にはそのベース部分がモールドされています
・ 履帯交換用ワイヤーは付属のエナメル線を使用して再現します
・ 後部の予備履帯ラックは履帯装着のアーム部分を含めて一体成型されています
●側面のフェンダーは、左右各1パーツで再現されています
・ シュルツェン架は個別にパーツ化
・ シュルツェンは、左右各1パーツで再現
【 車体下部 】
●車体下部もパーツを押さえながらその複雑な足周りを再現しており、同社製キットらしく確実且つ強度を保ちながら組み上げることができます
●車体下部は、バスタブ式に一体成型され、後部パネルは別パーツです
・ サスペンションアームは別パーツです
・ 起動輪、誘導輪は内蔵させるポリキャップにより回転可動します
・ 消炎排気管は、排気管基部と、消炎部、ステーの3パーツで構成されています
・ 車体後部のゲベックカステンは、1パーツで構成され、蓋の部分は別パーツです
【 履 帯 】
●履帯は、接着及び塗装が可能な素材によるベルト式履帯が付属しています
・ 履帯は、接地部分に滑り止めパターンが付いた「パンサー戦車」用の「後期型履帯」が再現され、モデルカステン製「パンサー(パンサー)後期型 用履帯」、ブロンコ社製「ドイツ パンサー戦車用 後期型 可動キャタピラ」がこれに対応しています
【 フィギュア 】
●武装親衛隊所属の戦車兵のフィギュアが2体付属しています
・ 1体は車長キューポラから上半身を出して双眼鏡の覗いて視察しているポーズ、もう1体は砲塔上に腰掛けて佇んでいるポーズです
・ 服装は、武装親衛隊用の戦車服を着用、腰掛けているフィギュアはその上から防寒ズボンと防寒ミトンを着用しています
・ 服の皺の表現はスケールに沿っており、服の縫い目や徽章類などのディテールは、繊細且つエッジの立った彫刻でモールドされています
・ フィギュアは胴体、両腕、両足のパーツ構成となっています
【 塗装とマーキング 】
●「パンサー G型 後期型」のマーキングとして、ドイツ軍仕様となる3種類の塗装例が説明書に記載されています
・ 第9戦車師団 301号車
・ 第9戦車師団 302号車
・ 第116戦車師団 413号車
●説明書の塗装例に基づく、国籍マーク、車体番号などを再現したデカールが付属しています
●1994年 一部新金型
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【 「ドイツ戦車 パンサー G 後期型」のワンポイント 】
●上記の通り、キットはパーツを抑えながら「パンサー G型」の魅力を捉えたタミヤのMMシリーズの傑作キットの一つとなっています
●アゴ付き防盾に消炎型排気管など、大戦後期から末期にかけてのドイツ戦車を象徴する絶好のアイテムです
●しかし、「パンサー戦車」は長い砲身と広い前面装甲板により迷彩塗装のパターンイメージが掴み難いのも事実です
●キットの説明書には「パンサー G型」の「後期型」の代表的な迷彩パターンとも言える第9戦車師団301号車の迷彩塗装の4面図が記載されていますので、これをトレースする形で迷彩塗装を行うと、同車らしい迷彩パターンが完成します
●また、この「パンサー G型」の「後期型」が登場した頃には、従来のダークイエローベースではなく、ダークグリーンがベース色となっていましたので、これを念頭に入れて塗装を行うと、より大戦後期らしい雰囲気が演出できることでしょう
【 「パンサー戦車」のミニ知識 】
●ドイツ軍では、その開発時から「パンサー戦車」を主力戦車として位置付けしており、生産が軌道に乗った段階で当時の主力戦車だった「4号戦車」の生産を打ち切り、同車の生産に一元化する予定が組まれていました
●ただし、装甲装監「グデーリアン将軍」などから、「4号戦車」の生産中止による戦力の空洞化を懸念した反対案が出され、ドイツ戦車部隊は「4号戦車」と「パンサー戦車」という2本立てで戦力の整備が行われました
・ 機械的には「4号戦車」は完成域に達していたのに、「パンサー戦車」には機械的には数々のトラブルを抱え、生産コストも「パンサー戦車」は「4号戦車」の約1.5倍必要でした
●1944年型のドイツ戦車師団は、1個戦車連隊と2個装甲擲弾兵連隊が基幹となっており、その戦車連隊は2個戦車大隊(1個大隊は約80~100両程度が定数)を保有、1個大隊が「パンサー戦車」装備で、もう1個大隊が「4号戦車」装備でした
●ただし、「パンサー戦車」の生産は予定通りに進まず、戦車待ちの「パンサー戦車」大隊を残したまま、師団が戦線に投入される場合が多く、後に編成が完了した「パンサー戦車」大隊が合流するという方式が採られました
●もっとも、これも事態に余裕があればの話であり、編成された「パンサー大隊」が戦況の逼迫によって他の部隊へと編入される場合も多く、ドイツ軍の戦況の厳しさと同軍の臨機応変さを表すものとなっています